回路設計(論理設計)

科目基礎情報

学校 香川高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 回路設計(論理設計)
科目番号 221227 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気情報工学科(2019年度以降入学者) 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 参考書:伊原充博,他 著「ディジタル回路」コロナ社,五島正裕 著「ディジタル回路」数理工学社,Myke Predko 著,日向俊二 訳「独習デジタル回路」翔泳社
担当教員 辻 正敏,北村 大地

到達目標

4年,5年前期までに修得した各専門科目や実験の知識をもとに,論理回路から成る電子機器を設計及び開発できることを目標とする。
前期では,基本的な素子の取り扱い方,データシートの読み方等の基礎的な知識を講義しつつ,汎用ロジックICを用いた337拍子生成回路を一例として製作し,さらに学生自ら自由に拡張や改良を行う。また,開発業務における安全上の注意点,チームでの開発マネジメント法,コミュニケーションスキル等を実践的に学ぶ。
後期では,FPGAによるストップウォッチの開発例を元に,自らデバイスの設計及び開発を行い,最終的に製作したデバイスの目的や特徴等をプレゼンテーションする。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)未到達レベルの目安(不可)
設計制作能力自ら考えた設計仕様をまとめ,これに基づいて論理回路を設計し製作することができる。与えられた設計仕様に基づいて論理回路を設計し製作することができる。設計仕様に基づく論理回路が設計製作できない。
開発マネジメント能力チームでの開発において,各人の作業内容や責任を明らかにでき,円滑な開発を自らマネジメントできる。チームでの開発において,自分の作業内容に責任を持って従事できる。チームでの開発において,自分の作業内容を実行できない。
プレゼンテーション能力設計製作した論理回路やデバイス等を,他者にとって明確かつ魅力的に説明できる。設計製作した論理回路やデバイス等を,他者にとって明確に説明できる。設計製作した論理回路やデバイス等を他者に説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
これまで学んだ論理回路の回路設計理論を実際のものづくりに活用して,技術者として必要な全般的な知識や技術を実践的に学ぶ。
さらに,設計を通して社会における技術の必要性を理解し,技術者としての心構えを形成する。
また,設計及び製作の中で,意見交換,討議を重ねることにより,コミュニケーション能力やチームマネジメント能力を高める。
汎用ロジックICやFPGA等,実際の電子デバイスに利用されている機構を理解し,これらを用いた設計製作能力を養う。
授業の進め方・方法:
3~5人のチームに分かれて,個人またはチーム単位で設計仕様の決定,回路の設計,製作,及び改良を行う。
初期段階においては,設計開発における安全上の注意事項や各素子のデータシートの読み方等基礎的な知識について解説を行い,その後はチーム単位での活動とする。
前期は与えられた仕様を満たす論理回路を,汎用ロジックICを用いてチームで設計・製作する。
後期はチーム単位で自ら考えた仕様を満たす論理回路を,汎用ロジックICまたはFPGAを用いてチームで設計・製作する。
注意点:
・2年次の必修科目「情報基礎数学」,3年次の必修科目「論理回路」,4年次の必修科目「計算機ハードウェア」で学習した知識が必要となる。
・教材については,適宜プリントを配布する。また,実験で用いる部品も支給・貸与する。
・事前連絡無く遅刻・欠席した場合,チームメイトが迷惑を被る。そのような無責任な行動は一般的に許されないことを理解してもらうために,個人成績(チームワーク)から減点する可能性がある。
・定期試験は前期期末試験のみ実施する。
・前期の12~15週に実施するFPGA設計演習については,可能な限り後期の自由設計製作と時期を近づけるために,夏休み中の補講期間及び後期に授業時間変更する可能性がある。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンスと授業計画の説明,基本ICの種類と動作 論理回路における基本的な汎用ロジックICの種類や動作について説明できる。
2週 開発における安全上の注意,データシートの読み方,スイッチやLED等の取り扱い 論理回路における基本的な汎用ロジックICのデータシートの各項目の意味を説明できる。スイッチやLEDを適切に接続できる。
3週 チーム決め,マルチバイブレータ回路 抵抗,コンデンサ,論理反転を用いたマルチバイブレータ回路の動作原理を説明でき,設計できる。
4週 337拍子回路の要求仕様提示,回路図面製作,マルチバイブレータ回路設計製作 抵抗,コンデンサ,論理反転を用いたマルチバイブレータ回路の動作原理を説明でき,設計できる。
5週 マルチバイブレータ回路設計製作 与えられた仕様に従って適切な要求仕様書,機能ブロック図,回路結線図,製造図面を作成できる。
6週 マルチバイブレータ回路設計製作,337拍子回路設計製作 作成した仕様書及び設計図を基に論理回路を製作できる。
7週 マルチバイブレータ回路設計製作,337拍子回路設計製作 作成した仕様書及び設計図を基に論理回路を製作できる。
8週 337拍子回路設計製作,追加仕様設計製作 追加・変更された仕様に対して適切に仕様書及び設計図を修正でき,それに基づいて論理回路を製作できる。
2ndQ
9週 337拍子回路設計製作,追加仕様設計製作 追加・変更された仕様に対して適切に仕様書及び設計図を修正でき,それに基づいて論理回路を製作できる。
10週 337拍子回路設計製作,追加仕様設計製作 追加・変更された仕様に対して適切に仕様書及び設計図を修正でき,それに基づいて論理回路を製作できる。
11週 制作物発表会 各チームで製作した回路を他者に魅力的かつ分かりやすくプレゼンテーションすることができる。
12週 FPGA設計演習1 汎用ロジックICとFPGAの用途の違いやFPGAによる開発工程を具体的に説明できる。FPGAとVerilog HDLを用いて実際に論理回路を設計し,仕様通りに駆動させることができる。
13週 FPGA設計演習2 汎用ロジックICとFPGAの用途の違いやFPGAによる開発工程を具体的に説明できる。FPGAとVerilog HDLを用いて実際に論理回路を設計し,仕様通りに駆動させることができる。
14週 FPGA設計演習3 汎用ロジックICとFPGAの用途の違いやFPGAによる開発工程を具体的に説明できる。FPGAとVerilog HDLを用いて実際に論理回路を設計し,仕様通りに駆動させることができる。
15週 FPGA設計演習4 汎用ロジックICとFPGAの用途の違いやFPGAによる開発工程を具体的に説明できる。FPGAとVerilog HDLを用いて実際に論理回路を設計し,仕様通りに駆動させることができる。
16週 期末試験 出題された問題に対して適切に解答できる。
後期
3rdQ
1週 デバイスの自由設計製作(アクティブラーニングによるアイデアソン) 設計製作において,開発するデバイスについてチームでアイデアを出し合うことができる。
2週 デバイスの自由設計製作(アイデアの詳細な議論と要求仕様書の作成) 設計製作において,開発するデバイスについてチームで議論し適切な要求仕様書を作成できる。
3週 FPGAを用いたデバイスの自由設計製作(機能ブロック図とプレゼンテーション資料の作成) 設計製作において,適切な機能ブロック図と事前報告会のための分かりやすいプレゼンテーション資料を作成できる。
4週 FPGAを用いたデバイスの自由設計製作(事前報告会と仕様の再検討) FPGAを用いた設計製作において,開発予定のデバイスをチーム外の人に明確に説明でき,指摘された事項について再検討できる。
5週 FPGAを用いたデバイスの自由設計製作(要求仕様書及び機能ブロック図の修正と報告書作成) FPGAを用いた設計製作において,指摘された事項に関して要求仕様書と機能ブロック図を修正し,報告書を作成できる。
6週 FPGAを用いたデバイスの自由設計製作(要求仕様書と設計図に基づく開発) FPGAを用いた設計製作において,チームでの開発を適切にマネジメントしながら各人が責任を持って作業できる(進捗12.5%)。
7週 FPGAを用いたデバイスの自由設計製作(要求仕様書と設計図に基づく開発) FPGAを用いた設計製作において,チームでの開発を適切にマネジメントしながら各人が責任を持って作業できる(進捗25.0%)。
8週 FPGAを用いたデバイスの自由設計製作(要求仕様書と設計図に基づく開発) FPGAを用いた設計製作において,チームでの開発を適切にマネジメントしながら各人が責任を持って作業できる(進捗37.5%)。
4thQ
9週 FPGAを用いたデバイスの自由設計製作(要求仕様書と設計図に基づく開発) FPGAを用いた設計製作において,チームでの開発を適切にマネジメントしながら各人が責任を持って作業できる(進捗50.0%)。
10週 FPGAを用いたデバイスの自由設計製作(要求仕様書と設計図に基づく開発) FPGAを用いた設計製作において,チームでの開発を適切にマネジメントしながら各人が責任を持って作業できる(進捗62.5%)。
11週 FPGAを用いたデバイスの自由設計製作(要求仕様書と設計図に基づく開発) FPGAを用いた設計製作において,チームでの開発を適切にマネジメントしながら各人が責任を持って作業できる(進捗75.0%)。
12週 FPGAを用いたデバイスの自由設計製作(要求仕様書と設計図に基づく開発) FPGAを用いた設計製作において,チームでの開発を適切にマネジメントしながら各人が責任を持って作業できる(進捗87.5%)。
13週 FPGAを用いたデバイスの自由設計製作(要求仕様書と設計図に基づく開発) FPGAを用いた設計製作において,チームでの開発を適切にマネジメントしながら各人が責任を持って作業できる(進捗100%)。
14週 FPGAを用いたデバイスの自由設計製作(プレゼンテーション資料の作成) 各チームで製作した電子デバイスの魅力的かつ分かりやすいプレゼンテーション資料を作成できる。
15週 制作物発表会 各チームで製作した電子デバイスを他者に魅力的かつ分かりやすくプレゼンテーションすることができる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の工学実験・実習能力電気・電子系分野【実験・実習能力】電気・電子系【実験実習】電圧・電流・電力などの電気諸量の測定が実践できる。5前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,前16,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
抵抗・インピーダンスの測定が実践できる。5前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,前16,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
オシロスコープを用いて実際の波形観測が実施できる。5前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,前16,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
電気・電子系の実験を安全に行うための基本知識を習得する。5前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,前16,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
論理回路の動作について実験結果を考察できる。5前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,前16,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
ディジタルICの使用方法を習得する。5前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,前16,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
情報系分野【実験・実習能力】情報系【実験・実習】与えられた問題に対してそれを解決するためのソースプログラムを、標準的な開発ツールや開発環境を利用して記述できる。5前12,前13,前14,前15,前16,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
フローチャートなどを用いて、作成するプログラムの設計図を作成することができる。5前12,前13,前14,前15,前16,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
問題を解決するために、与えられたアルゴリズムを用いてソースプログラムを記述し、得られた実行結果を確認できる。5前12,前13,前14,前15,前16,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
与えられた仕様に合致した組合せ論理回路や順序回路を設計できる。5前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,前16,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
基礎的な論理回路を構築し、指定された基本的な動作を実現できる。5前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,前16,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
論理回路などハードウェアを制御するのに最低限必要な電気電子測定ができる。5前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,前16,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
標準的な開発ツールを用いてプログラミングするための開発環境構築ができる。5前12,前13,前14,前15,前16,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
要求仕様にあったソフトウェア(アプリケーション)を構築するために必要なツールや開発環境を構築することができる。5前12,前13,前14,前15,前16,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
要求仕様に従って標準的な手法によりプログラムを設計し、適切な実行結果を得ることができる。5前12,前13,前14,前15,前16,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15

評価割合

試験発表(相互評価含む)作品(チームワーク含む)レポート合計
総合評価割合10234027100
専門的能力(前期)108201250
創造的能力(後期)015201550