システム制御工学Ⅰ

科目基礎情報

学校 香川高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 システム制御工学Ⅰ
科目番号 221320 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械電子工学科(2019年度以降入学者) 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 井上和夫監修「MATLAB/Simulinkによるわかりやすい制御工学」森北出版SBN 978-4-627-91721-7, MATLAB用配布プリント
担当教員 川上 裕介

到達目標

(1)自動制御を理解しフィードバック制御の概念ならびに基本的構成を説明できる。
(2)制御系を構成する基本的要素の伝達関数とラプラス変換の関係を論理的に説明できる。
(3)各種システムの数学モデルを導出でき伝達関数に変換することが出来る。
(4)各種関数のラプラス変換を求めることができ,逆ラプラス変換をもちいて微分方程式を解くことでシステムの各種応答を計算できる。
(5)1次・2次遅れ要素の時間応用より,ステップ応答の過渡特性と定常特性を説明できる。
(6)システムの極と基本的要素のステップ応答の安定性の関係性を説明できる 。
(7)制御系をブロック線図で表し,閉ループ伝達関数を求めることができる。
(8)システムをフルビッツの方法, ラウスの方法を用いて安定判別を行うことができる。
(9)フィードバック制御系の過渡特性,定常特性を説明できる。
(10)PID制御の各要素の意味を理解し,システムに合わせた制御系設計を行なうことができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1自動制御を理解しフィードバック制御の基本的構成を理解し説明できる。 自動制御を理解しフィードバック制御の基本的構成を知っている。 自動制御を理解しフィードバック制御の基本的構成を知っている。
評価項目2一次遅れ要素,二次遅れ要素を理解し,簡単な物理システムのパラメータとの関係を導出できる。 一次遅れ要素,二次遅れ要素の各パラメータの意味を知っている。 ラプラス変換をもちいて伝達関数を導出できない。
評価項目3高度な物理系の数学モデルを導出でき伝達関数に変換できる。 簡単な物理系の数学モデルを導出でき伝達関数に変換できる。 簡単な物理系の数学モデルを導出できない。
評価項目4ラプラス変換・逆ラプラス変換を利用し,各種入力に対する応答を求めることができる。 ラプラス変換・逆ラプラス変換を利用し,インパルス,ランプ,ステップ応答等基本応答を求めることができる。 ラプラス変換・逆ラプラス変換を利用して時間応答を求めることができない。
評価項目51次遅れ,2次遅れ要素の時間応用より,ステップ応答の過渡特性と定常特性を説明できる。 過渡特性・定常特性を示す指標を知っており,説明できる。 過渡特性・定常特性を示す指標を知らない。
評価項目6システムの極と基本的要素のステップ応答の安定性の関係性を説明できる 。 システムの極と基本的要素のステップ応答の安定性の関係性を知っている 。 システムの極と基本的要素のステップ応答の安定性の関係性を説明できない 。
評価項目7制御系をブロック線図で表し,各種伝達関数を合成し閉ループ伝達関数を求めることができる。 制御系をブロック線図で表し,閉ループ伝達関数を求めることができる。 制御系をブロック線図で表すことができない。
評価項目8フルビッツ・ラウスの安定判別法による,複雑なフードバック制御系の安定性の判別を行える。 フルビッツ・ラウスの安定判別法による,簡単なフードバック制御系の安定性の判別を行える。 フルビッツ・ラウスの安定判別法による,フードバック制御系の安定性の判別を行えない。
評価項目9フィードバック制御系の過渡特性,定常特性を知っており,定常偏差改善や外乱抑制の説明ができる。 フィードバック制御系の過渡特性,定常特性を知っている。 フィードバック制御系の過渡特性,定常特性を説明できない。
評価項目10改良型PID制御の各要素の意味を理解し,システムに合わせた制御系設計を行なうことができる。 PID制御の意味とP, I, Dの各動作の意味を知っている。 PID制御を知らない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B-(2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
古典制御理論を学び,技術者に必要な制御系に関する解析能力,設計能力を身につける。
授業の進め方・方法:
1.項目ごとにその基本的な考え方と理論を例題に基づいて解説する。
2.演習問題を学生に解かせ, それらの解答に基づき,再度,必要な理論の考え方を解説する。
3.必要に応じて制御系の応用ソフトウェア(MATLAB, Simulink)を用いて必要な実習を行う。

注意点:
・数学(微分積分,線形代数,複素関数論)の復習を行っておくこと。
・数学的な式展開,証明が多い内容なので必ず授業の予習復習を行うこと。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 全体ガイダンス
制御の意味と制御工学とは
制御工学に関する用語説明
自動制御を理解しフィードバック制御の基本的構成を知っている。
2週 動的システムと静的システム
動的システムのモデルと線形微分方程式
動的システムの意味を理解できる。
3週 ラプラス変換の性質 ラプラス変換の意味と性質を理解出来る。
4週 ラプラス変換の性質と微分・積分のラプラス変換
伝達関数と極,零点,ゲインについて
ラプラス変換の意味と性質を理解し,線形微分方程式を伝達関数に変換することが出来る。
5週 電気回路系のモデリングと伝達関数 簡単な電気回路系の数学モデルを導出でき伝達関数に変換できる。
6週 一次遅れ要素,二次遅れ要素 一次遅れ要素,二次遅れ要素を理解し,各物理システムのパラメータとの関係を導出できる。
7週 インパルス,ステップ,ランプ信号のラプラス変換 インパルス,ステップ,ランプ関数を理解し,そのラプラス変換を知っている。
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 時間応答と逆ラプラス変換 ラプラス変換・逆ラプラス変換を利用し,インパルス,ランプ,ステップ応答を求めることができる。
10週 時間応答と逆ラプラス変換2 ラプラス変換・逆ラプラス変換を利用し,各種入力に対する応答を求めることができる。
11週 過渡特性と定常特性の意味と指標
最終値の定理と定常値の計算
過渡特性・定常特性を示す指標を知っている。
12週 一次遅れ要素の過渡特性・定常特性 1次遅れ要素の時間応用より,ステップ応答の過渡特性と定常特性を説明できる。
13週 二次遅れ要素の過渡特性・定常特性1 2次遅れ要素の時間応用より,ステップ応答の過渡特性と定常特性を説明できる。
14週 二次遅れ要素の過渡特性・定常特性2 2次遅れ要素の時間応用より,ステップ応答の過渡特性と定常特性を説明できる。
15週 二次遅れ要素の過渡特性・定常特性3 2次遅れ要素の時間応用より,ステップ応答の過渡特性と定常特性を説明できる。
16週 前期期末試験
後期
3rdQ
1週 システムの極と安定性について システムの極と基本的要素のステップ応答の安定性の関係性を説明できる 。
2週 システムの極と安定性について2 システムの極と基本的要素のステップ応答の安定性の関係性を説明できる 。
3週 MATLAB/Simulink演習1 MATLAB/Simulinkをもちいて,システムの各種応答波形を求められる。
4週 MATLAB/Simulink演習2 MATLAB/Simulinkをもちいて,システムの極とステップ応答の過渡特性・定常特性の関係を確認できる。
5週 閉ループ制御系のブロック線図 制御系をブロック線図で表し,閉ループ伝達関数を求めることができる。
6週 閉ループ伝達関数と特性方程式 フィードバック制御系の閉ループ伝達関数を導出できる。
特性方程式の意味を理解している
7週 フルビッツの安定判別法 フルビッツの安定判別法による,フードバック制御系の安定性の判別を行える。
8週 後期中間試験
4thQ
9週 ラウスの安定判別法 ラウスの安定判別法による,フードバック制御系の安定性の判別を行える。
10週 フィードバック制御系の定常特性 フィードバック制御系の過渡特性,定常特性を説明できる。
11週 フィードバック制御系の定常特性2 フィードバック制御系の過渡特性,定常特性を説明できる。
12週 PID制御 PID制御の意味とP, I, Dの各動作の意味を知っている。
改良型PID制御の意味を知っている。
13週 MATLAB/Simulink演習3 MATLAB/Simulinkをもちいて,PID制御系を構築できる。
14週 MATLAB/Simulink演習4 MATLAB/Simulinkをもちいて,改良型PID制御系を構築できる。
15週 MATLAB/Simulink演習5 MATLAB/Simulinkをもちいて,PID制御系におけるP, I, Dの各動作の働きを確認できる。
16週 後期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野計測制御自動制御の定義と種類を説明できる。4前1,前8,後12,後16
フィードバック制御の概念と構成要素を説明できる。4前2,前8,後12,後16
基本的な関数のラプラス変換と逆ラプラス変換を求めることができる。3前3,前7,前8
ラプラス変換と逆ラプラス変換を用いて微分方程式を解くことができる。3前3,前4,前7,前8
伝達関数を説明できる。4前5,前6,前8,後5,後6,後8
ブロック線図を用いて制御系を表現できる。4前5,前6,前8,後3,後4,後5,後6,後8,後13,後14,後15,後16
制御系の過渡特性について説明できる。3前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,前16,後3,後4
制御系の定常特性について説明できる。3前11,前12,前13,前14,前15,前16,後3,後4,後10,後11
制御系の周波数特性について説明できる。3後3,後4
安定判別法を用いて制御系の安定・不安定を判別できる。4後1,後2,後7,後8,後9

評価割合

試験MATLAB演習合計
総合評価割合6040100
到達目標(1)606
到達目標(2)62026
到達目標(3)606
到達目標(4)606
到達目標(5)606
到達目標(6)606
到達目標(7)606
到達目標(8)606
到達目標(9)606
到達目標(10)62026