環境工学Ⅰ

科目基礎情報

学校 香川高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 環境工学Ⅰ
科目番号 221417 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 建設環境工学科(2019年度以降入学者) 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:PEL編集委員会,環境工学(実教出版),配布テキスト その他の参考資料は適宜テキストにて紹介する
担当教員 多川 正

到達目標

経済成長に伴って,地球の温暖化,化石エネルギー枯渇,酸性雨,オゾン層破壊等の問題が深刻化してきている。これらの環境問題の現状と生物との関連,発生原因を理解し,今後の環境改善・修復について自分が何をすべきかを考え,それを説明できる。地球上の水資源の循環,利用形態を理解し,水質汚濁における公害の発生原因,および最新の水環境問題について説明できる。都市生活の上で必要不可欠な水道水の供給などの都市環境保全に必要な技術を理解し,水環境を保全,修復,管理するための基本的な考え方を習得する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)未到達レベルの目安(不可)
評価項目1地球温暖化、オゾン層の破壊に関する国際的な取り組みについて理解している。地球温暖化、オゾン層の破壊を理解している。地球温暖化、オゾン層の破壊を説明できない。
評価項目2エネルギー資源の現状と地球資源問題を理解している。地球資源問題を理解している。地球資源問題を説明できない。
評価項目3環境容量および環境倫理を説明でき、未来世代に対する現世世代のなすべきことについて説明できる。環境容量および環境倫理を説明できる。環境容量および環境倫理を説明できない。
評価項目4炭素、窒素と酸化・還元などを行う微生物の種を含め物質循環と微生物の関係を説明できる。物質循環と微生物の関係を説明できる。物質循環と微生物の関係を説明できない。
評価項目5水の物性、水の循環および水質指標を測定原理を含めて理解している。水の物性、水の循環および水質指標を理解している。水の物性、水の循環および水質指標を説明できない。
評価項目6水質汚濁物の発生源と移動過程を理解でき、原単位、発生負荷から河川浄化モデルを含めた計算ができる。水質汚濁物の発生源と移動過程を理解でき、原単位、発生負荷を含めた計算ができる。水質汚濁物の発生源と移動過程を説明できない。
評価項目7水域生態系と水質変換過程(自浄作用、富栄養化)を理解しており、対策について理解している。水域生態系と水質変換過程(自浄作用、富栄養化)を理解している。水域生態系と水質変換過程(自浄作用、富栄養化)を説明できない。
評価項目8水道の歴史、衛生的役割、種類を説明できる。水道の役割、種類を説明できる。水道の役割、種類を説明できない。
評価項目9水道計画を理解でき、これに関する施設容量の計算ができる。水道計画を理解でき、これに関する計算ができる。水道計画を説明できない。
評価項目10浄水の単位操作(凝集・沈殿凝集等)を理解し、容量計算ができる。浄水の単位操作(凝集・沈殿凝集等)を理解している。浄水の単位操作(凝集・沈殿凝集等)を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

 学習・教育到達度目標 B-2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
この科目は企業で水浄化設備の計画や技術を担当していた教員が、その経験を活かし、地球規模の環境問題や地域規模の環境問題、水質汚濁や上水道工学の最新の状況について講義形式で授業を行うものである。
経済成長に伴って,地球の温暖化,化石エネルギー枯渇,酸性雨,オゾン層破壊等の問題が深刻化してきている。これらの環境問題の現状と生物との関連,発生原因を理解し,今後の環境改善・修復について自分が何をすべきかを考え,それを説明できる。地球の誕生,生物の誕生や環境の役割を理解する。
地球上の水資源の循環,利用形態を理解し,水質汚濁における公害の発生原因,および最新の水環境問題について説明できる。都市生活の上で必要不可欠な水道水の供給などの都市環境保全に必要な技術を理解し,水環境を保全,修復,管理するための基本的な考え方を習得する。
授業の進め方・方法:
授業内容の理解を深めるために,テキストを配布して教科書の内容を補足説明する。講義主体であるが,適宜小実験を見せるので,理解を深める一助にしてほしい。適宜,演習課題(計算等)を行い,化学,単位計算等の理解を深める。
注意点:
引用・参考図書を配布テキストに併記してありますので,自主的に学習に取り組む,自学自習の姿勢を希望します。また,授業に関連する参考書,図書,DVD等の貸し出しを随時行っています。eco検定や公害防止管理者試験(国家資格)にも積極的に取り組んで欲しい。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス、成績評価
2週 地球温暖化、オゾン層の破壊(1) 地球温暖化、オゾン層の破壊の問題について、発生原因と現状について説明できる。
3週 地球温暖化、オゾン層の破壊(2) 地球温暖化、オゾン層の破壊の問題について、国際的な取り組みと日本における取り組みについて説明できる。
4週 エネルギー資源と諸問題(1) エネルギー資源の生産と消費について説明できる。
5週 エネルギー資源と諸問題(2) 化石エネルギーの特徴と、再生可能エネルギー、新エネルギーについて説明できる。
6週 環境問題の歴史 地球環境問題
地球環境問題
地球規模の環境問題の歴史、特徴について説明できる。
典型七公害を含めた地域環境問題の歴史について説明できる。
7週 地球環境の役割と生態系 環境の役割を説明できる。
大気圏、水圏、岩石圏、生物圏を説明できる。
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 環境倫理の基本原則 3つの環境倫理の原則について説明できる。
10週 環境容量 環境容量について説明できる。
11週 生態系の物質の循環(1) 大気圏、水圏、岩石圏、生物圏を説明できる。
12週 生態系の物質の循環(2) 大気圏、水圏、岩石圏、生物圏との相関と物質のやりとりについて説明できる。
13週 水の分布と循環
日本の水事情、水の利用形態
水の物性,性質について説明できる。
水の3つの利用形態について説明できる。
14週 公害、水質汚濁の現状 水環境に関する公害の発生理由と歴史について説明できる。
15週 前期末試験
16週 試験返却・解説
後期
3rdQ
1週 水質浄化のメカニズム 水質浄化のメカニズムを説明できる。
2週 環境基準と排水基準 環境基準と排水基準の相違点について説明できる。
3週 公共用水域の環境基準達成度 各水域における環境基準の達成率について特徴を説明できる。
4週 水質指標 水質指標の基礎となる,pH、BOD, COD, SSなどについて,化学の知識を用い,測定原理を含めた説明および計算問題が解答できる。
5週 海外における水環境問題 海外における水質汚濁問題や事故事例などについて説明できる。
6週 水資源の消失、公平な分配 バーチャルウオーター、水資源の公平な分配に関する問題点について説明できる。
7週 上水道の役割、歴史、目的、現況 上水道の役割を説明できる。
8週 後期中間試験
4thQ
9週 上水道の構成、計画、施設 2つの浄水処理プロセスを図示説明できる。
10週 浄水操作(1) 凝集・沈殿、ろ過のメカニズムが説明できる。
11週 浄水操作(2) 消毒、殺菌について説明できる。
12週 最近の上水道における問題点 塩素消毒がかかえる問題点や寄生虫による水道の問題、水道水源の確保、汚染、水道施設の老朽化、耐震化などの問題について説明できる。
13週 高度処理 生物処理、オゾン処理、活性炭処理のそれぞれの役割を説明できる。
14週 諸外国・途上国における上水道 途上国における水道の普及状況と汚染について説明できる。
15週 後期末試験
16週 試験返却・解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学ライフサイエンス/アースサイエンスライフサイエンス/アースサイエンス有害物質の生物濃縮について説明できる。3
工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。4前2,前3,前7,前9,前10,後14
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。4前6
社会における技術者の役割と責任を説明できる。4前5,前10
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。4前2,前3,前6,前7,前9,前10
環境問題を考慮して、技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。4前2,前3,前6,前7,前9,前10
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。4前4,前5,前6,前7,前9,前10,後6,後14
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。4前4,前5,前6,前7,前9,前10,後6
専門的能力分野別の専門工学建設系分野環境地球規模の環境問題を説明できる。4前2,前3,前6,前7,前9,前10,後5
環境と人の健康との関わりを説明できる。4前2,前3,前6,前7,前9
過去に生じた公害の歴史とその内容(環境要因と疾病の関係)について、説明できる。4前6,前7,前9,前10,前14
水の物性、水の循環を説明できる。4前13,後4
水質指標を説明できる。4前13
水質汚濁の現状を説明できる。4前14,後1
水質汚濁物の発生源と移動過程を説明でき、原単位、発生負荷を含めた計算ができる。4後1
水域生態系と水質変換過程(自浄作用、富栄養化、生物濃縮等)について、説明できる。4後1
水質汚濁の防止対策・水質管理計画(施策、法規等)を説明できる。4後2,後3
物質循環と微生物の関係を説明できる。4前7,後3
水道の役割、種類を説明できる。4後7,後9
水道計画(基本計画、給水量、水質、水圧等)を理解でき、これに関する計算ができる。4後7,後9,後11,後12
浄水の単位操作(凝集、沈澱凝集、濾過、殺菌等)を説明できる。4後10,後11,後13
生物多様性の現状と危機について、説明できる。4前7,前10
生態系の保全手法を説明できる。4前11,前12
生態系や生物多様性を守るための施策を説明できる。4前11,前12
物質循環と微生物の関係を説明できる。4前11,前12

評価割合

試験合計
総合評価割合10000000100
評価項目1~1010000000100