工学実験Ⅰ

科目基礎情報

学校 香川高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 工学実験Ⅰ
科目番号 4128 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 4
開設学科 情報工学科(2019年度以降入学者) 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 4
教科書/教材 情報工学科作成の実験書
担当教員 河田 純,篠山 学,谷口 億宇,宮﨑 貴大

到達目標

1.実験装置・器具・情報機器等を利用して,目的を達成する手法を理解する。
2.実験を通じて工学の基礎に係わる知識を理解する。
3.実験から得られたデータについて工学的に考察し,説明できる。
4.実験結果・実験データを整理・加工,図表を活用,構成・内容が充実した実験レポートの作成ができること。
5.プログラミング基礎実験分野では,ソフトウェアの標準的な開発ツールや開発環境の利用経験を通じて,簡単なソフトウェアの生成とその動作確認ができるようになること。また,数値計算ソフトを用いて,数理現象を視覚化する技術を修得する。
6.論理回路設計実験では,簡単な組合せ論理回路と順序回路を設計できること。
7.情報通信ネットワーク実験では,プロトコルの概念を理解し,かつ標準的な技術を理解すること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1実験装置・器具・情報機器等を利用して,目的を達成する手法を説明でき,改善できる。実験装置・器具・情報機器等を利用して,目的を達成する手法を説明できる。実験装置・器具・情報機器等を利用して,目的を達成する手法を説明できない。
評価項目2実験を通じて修得した工学の基礎に係わる知識を説明できる,他人に教授できる。実験を通じて修得した,工学の基礎に係わる知識を説明できる。工学の基礎に係わる知識を,実験を通じて修得しておらず,説明できない。
評価項目3実験から得られたデータについて工学的に考察し,説明でき,他人に教授できる。実験から得られたデータについて工学的に考察し,説明できる。実験から得られたデータについて工学的に考察できず,説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
電気電子工学実験・実習系領域では,電気電子に関する各種の計測,試験法等についての技術を修得するとともに,専門科目について学習した内容を実験を通して理解することを目標とする。
複雑なコンピュータのハードウェアは,電子デバイスレベル,論理ゲ-トレベル,機能ICレベル等のように,数段の階層構造をなしていることを理解する。また,工学的に複雑な数理現象を理解するために,ソフトウェアを使用した数値実験技術を修得することは,技術者として必要である。ネットワ-ク技術者としての基礎知識・能力とコンピュ-タによる機械制御の初歩的能力を修得する。本実験を通して,コンピュ-タの下位レベルから上位レベルまでを包括的に理解できることが目標である。また,この科目では,企業で電磁気学や電子デバイス等の研究を行っていた教員が,その経験を活かし,様々な電子デバイスの特性に関する実験・実習を行い,技術者として必要な,デバイス・精密な部品・測定機器の取り扱い方法,実験におけるデ-タの収集方法と分析技法,共同作業により円滑に計画を遂行する技能,技術レポ-トの書き方等に関して修得する。
<実験テーマ>
1. 電気電子測定実験
2. デジタル回路実験
3. 数値シミュレーション
4. ディープラーニング入門
5. ネットワークシステムインテグレーションⅠ
授業の進め方・方法:
各テ-マ毎に,実験前の予習レポート提出と実験後の結果考察レポート提出を義務付けている。また必要に応じ,各週の実験終了後に実験結果をまとめたレポート等を提出させ担当者のチェックを受けることで結果考察レポ-トに備える。予習レポ-トで,実験を円滑に進めるための作業手順を考え,内容を予習する。実験開始前の口頭試問で一部確認し,実際の実験で,それを遂行・理解・検証する。実験中,学生は,進行状況・協力状況等を工学実験記録シ-トに記録し,実験終了後に提出する。実験終了後の口頭試問(小テスト含)で実験内容・成果の理解度を確認する。実験後の結果考察レポ-トでは,実験結果・考察・課題・反省・提案等を技術レポ-ト形式で記述する。低学年で履修した,実験項目に該当する電気・電子関係の知識をよく勉強しておくこと。
注意点:
この科目は指定科目である。この科目の単位修得が進級要件となるので,必ず修得すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 電気電子測定実験
(1) 電圧・電流の測定
交流回路論における電圧・電流の諸現象について,実験を通して,理解する。B3:1-3, C2:1,2, D2:1-3, D3:1,2, D5:1,2, E1:1,2, E3:1-3, E4:1,2, E5:1,2, E6:1-3
2週 電気電子測定実験
(2) 線形アナログ演算回路の基礎
オペアンプを用いた,基本演算回路(加算・減算・積分・微分・反転・非反転回路)の原理・特性・動作について,実験を通して,理解する。B3:1-3, C2:1,2, D2:1-3, D3:1,2,
D5:1,2, E1:1,2, E3:1-3, E4:1,2, E5:1,2, E6:1-3
3週 電気電子測定実験(1),(2)
・補充実験
・口頭試問(小テスト)
・レポート作成(情報収集・情報分析・文書作成)
電気電子測定実験(1),(2)に関して,2週で完了しなかった項目について,補充実験を行う。小テストも含めた口頭試問を実施し,実験内容の修得状況を学生自身が確認する。情報機器を活用した情報収集・情報分析(インターネット検索)や文書作成(エクセル等)により,レポートを作成する。B3:1-3, C1:1, C2:1,2, C3:1-3, D2:1-3, D3:1,2, D5:1,2, E1:1,2, E3:1-3, E4:1,2, E5:1,2, E6:1-3
4週 電気電子測定実験
(3) 電子デバイスの静特性の測定
半導体素子(ダイオード・バイポーラトランジスタ・
MOS)の電気的特性の測定法を修得し,実験を通して,各デバイスの原理・静特性を理解する。B3:1-3, C2:1,2,
D2:1-3, D3:1,2, D5:1,2, E1:1,2, E3:1-3, E4:1,2,
E5:1,2, E6:1-3
5週 電気電子測定実験
(4) D/Aコンバ-タ
D/Aコンバ-タの原理・基本特性を理解する。B3:1-3, C2:1,2, D2:1-3, D3:1,2, D5:1,2, E1:1,2, E3:1-3, E4:1,2, E5:1,2, E6:1-3
6週 電気電子測定実験(3),(4)
・補充実験
・口頭試問(小テスト)
・レポート作成(情報収集・情報分析・文書作成)
電気電子測定実験(3),(4)に関して,2週で完了しなかった項目について,補充実験を行う。小テストも含めた口頭試問を実施し,実験内容の修得状況を学生自身が確認する。情報機器を活用した情報収集・情報分析(インターネット検索)や文書作成(エクセル等)により,レポートを作成する。B3:1-3, C1:1, C2:1,2, C3:1-3, D2:1-3, D3:1,2, D5:1,2, E1:1,2, E3:1-3, E4:1,2, E5:1,2, E6:1-3
7週 デジタル回路実験
(1) 論理回路を用いた回路製作
ロジックICを用いた回路の製作を通して、論理回路の動作や設計方法や電気諸量の測定方法など、応用に必要な手法を修得する。
D3:1,2, D5:1,2, E1:1,2, E2:1,2, E3:1-3,E6:1-3
8週 デジタル回路実験
(2) 電子回路製作の基礎
回路製作に必要な電気電子部品の特徴や使用方法について、実験を通して理解する。
D3:1,2, D5:1,2, E1:1,2, E2:1,2, E3:1-3,E6:1-3
2ndQ
9週 デジタル回路実験
(3) マイコンによる電子回路製作1
マイコンを用いた回路を製作し,組み込みプログラミングの手法の基本を理解する。ソフトウェア開発現場において標準的とされるツールを使い,生成したロードモジュールの動作を確認する。
D3:1,2, D5:1,2, E1:1,2, E2:1,2, E3:1-3,E6:1-3
10週 デジタル回路実験
(4) マイコンによる電子回路製作2
マイコンを用いた回路を製作し,組み込みプログラミングの手法の基本を理解する。ソフトウェア開発現場において標準的とされるツールを使い,生成したロードモジュールの動作を確認する。
D3:1,2, D5:1,2, E1:1,2, E2:1,2, E3:1-3,E6:1-3
11週 デジタル回路実験
(5) マイコンによる電子回路製作3
マイコンを用いた回路を製作し,組み込みプログラミングの手法の基本を理解する。ソフトウェア開発現場において標準的とされるツールを使い,生成したロードモジュールの動作を確認する。
D3:1,2, D5:1,2, E1:1,2, E2:1,2, E3:1-3,E6:1-3
12週 デジタル回路実験
(6) レポート指導
レポートの内容の強化や実験に関する補足等の指導を行う.
13週 数値シミュレーション
(1) プログラム作成
モンテカルロ法を使ったプログラムを書ける。
B3: 1, D1: 1, D2: 1, D3: 1, 2, D5: 1, E1: 1, 2, E5: 1,2, E6: 1-3
14週 数値シミュレーション
(2) データ分析
データを分析し、考察する。
B3: 1, D1: 1, D2: 1, D3: 1, 2, D5: 1, E1: 1, 2, E5: 1,2, E6: 1-3
15週 数値シミュレーション
(3) レポート作成
レポートを作成する。B3: 1, D2: 1-3, D3: 1,2, D5: 1, E1: 1, 2, E5: 1, 2, E6:1-3
16週 数値シミュレーション
(4) レビュー作成
他の学生のレポートを読み、レビューを作成する。B3: 1, D2: 1-3, D3: 1,2, D5: 1, E1: 1, 2, E5: 1, 2, E6:1-3
後期
3rdQ
1週 数値シミュレーション
(5) レポートレビュー1
レポートを相互にレビューすることで、より効果的な書き方を習得する。B3: 1, D2: 1-3, D3: 1,2, D5: 1, E1: 1, 2, E5: 1, 2, E6:1-3
2週 数値シミュレーション
(6) レポートレビュー2
レポートを相互にレビューすることで、より効果的な書き方を習得する。B3: 1, D2: 1-3, D3: 1,2, D5: 1, E1: 1, 2, E5: 1, 2, E6:1-3
3週 ディープラーニング入門
(1) CNNを使った画像分類1
畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を使った画像分類を学習し,認識精度の向上に有用なCNNのチューニングを習得する。
D2:1-3, D3:1,2, E1:1,2, E5:1,2, E6:1-3
4週 ディープラーニング入門
(2) CNNを使った画像分類2
畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を使った画像分類を学習し,認識精度の向上に有用なCNNのチューニングを習得する。
D2:1-3, D3:1,2, E1:1,2, E5:1,2, E6:1-3
5週 ディープラーニング入門
(3) データ収集と学習データの作成
ディープラーニングに必要な学習データの作成方法を習得する。
D2:1-3, D3:1,2, E1:1,2, E5:1,2, E6:1-3
6週 ディープラーニング入門
(4) 転移学習とファインチューニング1
転移学習とファインチューニングについて習得する。D2:1-3, D3:1,2, E1:1,2, E5:1,2, E6:1-3
7週 ディープラーニング入門
(5) 転移学習とファインチューニング2
転移学習とファインチューニングについて習得する。
D2:1-3, D3:1,2, E1:1,2, E5:1,2, E6:1-3
8週 ディープラーニング入門
(6) レポート指導
レポートの内容の強化や実験に関する補足等の指導を行う.
4thQ
9週 ネットワークシステムインテグレーションⅠ
(1) ネットワ-クインテグレ-ション1
ネットワ-クの管理・構築に必要な基礎的知識の修得とその実践方法の学習を目的とする。ネットワークシミュレーターによるネットワーク構築実験,コマンドによるルータの設定ができる。D2:1, D3:1,2,E1:1,2, E3:1-3, E4:1,2, E5:1,2, E6:1-3
10週 ネットワークシステムインテグレーションⅠ
(2) ネットワ-クインテグレ-ション2
ネットワークの経路探索や通信時間からの通信速度の推定実験,SMTPプロトコルやPOP3プロトコルによるメールの詐称実験,Telnetプロトコルによる遠隔ログインを行うことができる。D2:1, D3:1,2,E1:1,2, E3:1-3, E4:1,2, E5:1,2, E6:1-3
11週 ネットワークシステムインテグレーションⅠ
(3) ネットワ-クインテグレ-ション3
Wiresharkを用いてネットワークを流れるプロトコルを観察することができる。D2:1, D3:1,2,E1:1,2, E3:1-3, E4:1,2, E5:1,2, E6:1-3
12週 ネットワークシステムインテグレーションⅠ
(4) クローラと正規表現1
クローラを自作し、インターネット上のデータの必要箇所のみをダウンロードできる。また、正規表現が理解できる。D2:1, D3:1,2,E1:1,2, E3:1-3, E4:1,2, E5:1,2, E6:1-3
13週 ネットワークシステムインテグレーションⅠ
(5) クローラと正規表現2
クローラを自作し、インターネット上のデータの必要箇所のみをダウンロードできる。また、正規表現が理解できる。D2:1, D3:1,2,E1:1,2, E3:1-3, E4:1,2, E5:1,2, E6:1-3
14週 ネットワークシステムインテグレーションⅠ
(6) レポート指導
レポートの内容の強化や実験に関する補足等の指導を行う.
15週
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前13,前14,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後11,後12,後13
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,後10
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前13,前14
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3前3,前6,前12,前15,前16,後1,後2,後8,後14
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3前3,前6,前12,前15,前16,後1,後2,後8,後14
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3前3,前6,前12,前15,前16,後1,後2,後8,後14
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。3前3,前6,前12,前15,前16,後1,後2,後8,後14
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,前16,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,前16,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前15,前16,後1,後2,後8,後14
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3前3,前6,前12,前15,前16,後1,後2,後8,後14
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。4前1,前3
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。4前1,前3
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。4前1,前3
フェーザ表示を用いて、交流回路の計算ができる。4前1,前3
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。4前1,前3
電子回路ダイオードの特徴を説明できる。4前4,前6
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。4前4,前6
演算増幅器の特性を説明できる。4前2,前3
演算増幅器を用いた基本的な回路の動作を説明できる。4前2,前3
情報系分野計算機工学ハードウェア記述言語など標準的な手法を用いてハードウェアの設計、検証を行うことができる。4前7,前8,前9,前10,前11
要求仕様に従って、標準的なプログラマブルデバイスやマイコンを用いたシステムを構成することができる。4前7,前8,前9,前10,前11
情報通信ネットワーク主要なサーバの構築方法を説明できる。4後10,後11
有線通信の仕組みと規格について説明できる。4後9,後10,後11
SSH等のリモートアクセスの接続形態と仕組みについて説明できる。4後10
情報数学・情報理論離散数学に関する知識をアルゴリズムの設計、解析に利用することができる。4前13,前14,前15,前16,後1,後2
コンピュータ向けの主要な数値計算アルゴリズムの概要や特徴を説明できる。4前13,前14,前15,前16,後1,後2
分野別の工学実験・実習能力情報系分野【実験・実習能力】情報系【実験・実習】与えられた仕様に合致した組合せ論理回路や順序回路を設計できる。2前7,前8
基礎的な論理回路を構築し、指定された基本的な動作を実現できる。2前7,前8
論理回路などハードウェアを制御するのに最低限必要な電気電子測定ができる。2前7,前8
標準的な開発ツールを用いてプログラミングするための開発環境構築ができる。3後3,後4
要求仕様にあったソフトウェア(アプリケーション)を構築するために必要なツールや開発環境を構築することができる。3後3,後4

評価割合

実験レポート実施状況・態度・口頭試問・試験合計
総合評価割合5050100
基礎的能力252550
専門的能力252550
分野横断的能力000