金属材料

科目基礎情報

学校 新居浜工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 金属材料
科目番号 110305 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 JSMEテキストシリーズ 機械材料学
担当教員 水口 隆

到達目標

   1. 金属の結晶構造の種類が理解できる
   2. 金属材料のミクロな変形・回復・再結晶の機構が理解できる
   3. 機械材料の持つ機械的性質についての基礎知識が理解できる
   4. 機械的性質の試験法や非破壊検査法が理解できる
   5. 二相状態図から合金の組成を読み取ることができる
   6. 鉄鋼材料の熱処理(組織)と機械的性質の関係が理解できる
   7. 非鉄金属の特性が理解できる
   8. 機能性材料の特性が理解できる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1ミラー指数を用いて結晶面を表記でき、面間隔を求めることができる14種類の分類を理解し、配位数・密度・充填率を求めることができる7種の基本構造の違いが理解できない
評価項目2すべり変形・へき開変形・回復・再結晶違いを転位の動きで説明できる塑性変形の起こり方、加工硬化について理解し、説明できる転位について理解できない
評価項目3材料を強くする8種の方法を理解し、説明できる機械的性質8種類を説明できる強さの違いが理解できない
評価項目4寸法効果・高温強度・疲労強度を高める方法を理解し、説明できる機械的性質の試験法および非破壊検査法を理解し、説明できる非破壊検査法のメリット等が理解できない
評価項目5固溶体・金属化合物の2相状態や3成分系の状態図を読み取ることができる炭素鋼の製法・性質を理解し、Fe-C系平衡状態図の読み取ることができる指定の組成・温度における組織名やその重量割合を求めることができない
評価項目6TTT線図から最適焼入れ条件(冷却速度など)を求めることができる焼入れ・焼戻し・焼なまし・焼ならし・溶体化処理について理解し、説明できる熱処理による組織の違いが理解できない
評価項目7非鉄合金の特性から適性用途を理解し、選ぶことができるAl,Cu,Mg,Ti,Ni,Zr,Wなど軽合金・重金属の特性を理解し、説明できるJIS記号から材料の特性を便覧から求めることができない
評価項目8機能性材料を用いた傾斜材料やアクチュエーターとしての利用方法を理解し、説明できる形状記憶合金・水素吸蔵合金・超塑性材などの特性を理解し、説明できる材料の特性を活かした利用方法を理解できない

学科の到達目標項目との関係

専門知識 (B) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
前期では、機械設計を行うにあたり、材料を選定するうえでの判断基準となる機械的性質ならびに
 その試験方法などの一般的な基本知識を学ぶ。
 また、金属材料におけるミクロとマクロの関連を学ぶ。
後期では、金属材料の代表として鉄鋼材料を中心に、製造条件と組織および材料特性との関連についてに基礎知識を理解する。
 さらに、各種金属材料の製造および使用上の基本的な考え方について理解することを目標とする。
授業の進め方・方法:
 教科書を中心に、必要に応じてプリントで補足する。
 図の解説を多用し、材料のミクロ組織と諸性質との関連の基本的な理解を深める。
 演習や小テストを行い理解を深める。
注意点:
ミクロな (目に見えない)世界とマクロな世界の現象を把握するために、イメージしながら授業を受けること。
また、結晶学、再結晶や疲労破壊などの材料強度学、状態 図などの冶金学はそれぞれで
2冊の本になっている内容を掻い摘んでいるので、それらの詳しい参考文献などをみることで理解を深めて欲しい。
事前学習より復 習を行うこと。本科目は「機能性材料」へと続く。

本科目の区分

Webシラバスと本校履修要覧の科目区分では表記が異なるので注意すること。
本科目は履修要覧(p.9)に記載する「④選択科目」である。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業ガイダンス、機械材料総論(機能、分類)

2週 金属のミクロな構造(結晶構造、ミラー指数など)
3週 格機械工学科材料を子欠陥、演習
1,2
4週 ミクロな組織と材料強度の関係(塑性変形・転位) 2,3
5週 析出・固溶硬化、微細粒化
3,4
6週 マクロな材料強度・延性・脆性破壊(クリープ・疲労) 3,4
7週 中間試験
3,4
8週 機械的性質に及ぼすマクロな要因(切欠き、応力集中)
3,4
2ndQ
9週 材料試験法(機械的性質)について
3,4
10週 非破壊検査方法
3,4
11週 合金とその組織

12週 状態図、演習
13週 熱処理の基礎

5,6
14週 総合演習
1,2,3,4,5
15週
期末試験
16週
3,4
後期
3rdQ
1週 鉄鋼の製造方法
5
2週 炭素鋼の状態図
3週 共析鋼と亜共析鋼
4週 過共析鋼、演習

3,4,5
5週 鋼の熱処理(焼入れ条件)
6週 熱処理と内部組織と機械的性質の関係(マルテンパー、マルクエンチ、オーステンパー、オースフォーミング) 3,4,5,6
7週 中間試験
8週 耐熱・高強度・工具鋼
3,4,8
4thQ
9週 表面硬化処理、演習
3,4
10週 構造用合金鋼
鋳鉄(低温脆性)
3,4
11週 非鉄金属材料(軽金属)
12週 非鉄金属材料(重金属)
13週 機能性材料(傾斜材料・繊維強化)
14週 機能性材料(制振・アモルファス・水素吸蔵・形状記憶・超塑性)
15週 定期試験
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野工作降伏、加工硬化、降伏条件式、相当応力、及び体積一定則の塑性力学の基本概念が説明できる。4
材料機械材料に求められる性質を説明できる。4前1
金属材料、非金属材料、複合材料、機能性材料の性質と用途を説明できる。4前1,後11,後12
引張試験の方法を理解し、応力-ひずみ線図を説明できる。4前9
硬さの表し方および硬さ試験の原理を説明できる。4前9
脆性および靱性の意味を理解し、衝撃試験による粘り強さの試験方法を説明できる。4前7,前9
疲労の意味を理解し、疲労試験とS-N曲線を説明できる。4前9
機械的性質と温度の関係およびクリープ現象を説明できる。4前9,後6
金属と合金の結晶構造を説明できる。4前2,前3,前11
金属と合金の状態変化および凝固過程を説明できる。4前5,前11
合金の状態図の見方を説明できる。4前5,前11,前12
塑性変形の起り方を説明できる。4前4,前6
加工硬化と再結晶がどのような現象であるか説明できる。4前3,前4
鉄鋼の製法を説明できる。4前16,後1
炭素鋼の性質を理解し、分類することができる。4後2,後3,後4
Fe-C系平衡状態図の見方を説明できる。4後2
焼きなましの目的と操作を説明できる。4前13
焼きならしの目的と操作を説明できる。4前13
焼入れの目的と操作を説明できる。4前13,前16,後5
焼戻しの目的と操作を説明できる。4前13

評価割合

試験小テスト課題合計
総合評価割合801010100
基礎的能力0000
専門的能力801010100
分野横断的能力0000
0000