応用倫理学

科目基礎情報

学校 新居浜工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 応用倫理学
科目番号 104211 科目区分 一般 / 選択必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 配布プリント/適宜講義内で紹介
担当教員 濱井 潤也

到達目標

1.グローバル社会における多文化共存のあり方を考察し,自分の意見を述べることができる。
2.現代の戦争の形態を理解し,世界平和を希求することができる。
3.生命倫理の諸問題の特徴を理解し,自身の見解を理論的に展開できる。
4.環境倫理の考え方の特徴を理解し,自身の見解を理論的に展開できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
到達目標1多文化共生に必要な考え方を理解し,自由や平等などの近代以後の西洋的価値観を客観的に捉えて,異文化との実践的諸問題に有効な解答を考察することができる。我々が普段当たり前だと考えている自由や平等などの価値観が,決して中立ではなく,ある場面では別種の不自由や不平等を生み出すことを理解し,多文化共生への問題意識を記述することができる。自由や平等などの近代以後の西洋的価値観を無批判に受け入れ,それに反する考え方を単に間違っている,あるいは劣っていると見なしている。
到達目標2諸外国や国連と日本の行動原理の違いとそれぞれの問題点を理解し,現代の紛争,内戦等の実践的問題を考察することができる。戦時国際法や正戦論等,諸外国が戦争に対して日本とは異なった思想,行動原理を有していることを理解し,事例を分析することができる。戦争について論じる際に,その背景構造と論点を理解せずに単に平和への感情を綴ることしかできない。
到達目標3生命倫理的諸問題に対して,当事者やその家族,医療関係者当等の視点から考察すべき論点を多面的に抽出し,問題の全体像を把握したうえで自身の見解を述べることができる。自己決定権やQuality of life等,人間の尊厳を巡る諸概念の意味を理解し,生命倫理的事例における論点の対立構造を記述することができる。生命を巡る問題に際して,倫理的問題として取り組むのではなく単に自身の主観的な好き,嫌いでしか考察できない。
到達目標4人間中心主義,自然中心主義の双方の立場を総体的に把握し,実践的な環境問題に対してそれらを応用的に用いて自身の見解を述べることができる。人間中心主義,自然中心主義の長所と短所について理解し,それぞれの思想についてその特徴を記述することができる。環境問題を単に技術的問題,あるいは個々人のボランティア精神に依存した問題として捉え,政治・社会的問題として捉える視点に欠けている。

学科の到達目標項目との関係

教養 (D) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本科1年の「倫理」の授業で学習したことを基盤として,哲学・倫理学の先人達及び現代の思想家の考え方を用いて,現代社会の様々な問題を考えてみましょう。本授業では,「技術者倫理」を除く代表的な応用倫理学分野,「生命倫理」「戦争倫理」「多文化社会論」「環境倫理」等を幅広く採りあげます。
授業の進め方・方法:
基本的には講義形式で進めますが、グループディスカッションやプレゼンテーション等も積極的に取り入れる予定です。
注意点:
本授業では,現代社会が実際に直面し,乗り越えなければならない実践的な問題を主に四つの領域に区分して考察します。日々ニュースになる話題においても,授業で学んだことを活かして考え,自分の意見をはっきりと表現できるようにしておきましょう。
※本授業は追認試験の対象にはならないので注意してください。

本科目の区分

Webシラバスと本校履修要覧の科目区分では表記が異なるので注意すること。
本科目は履修要覧(p.9)に記載する「④選択科目」である。



授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 導入:平等と多様性 1
2週 ロールズの正義論 1
3週 タブーと境界:我々は正しいか? 1
4週 ケベック問題から考えるチャールズ・テイラーのコミュニタリアニズム 1
5週 マイケル・ウォルツァーの平等論:単一平等と複合平等 1
6週 戦争倫理への導入 2
7週 カントとヘーゲルの戦争論 2
8週 マイケル・ウォルツァーの戦争論 2
2ndQ
9週 生命倫理学への導入:医療技術の進展と倫理問題 3
10週 生きる権利と死ぬ権利:安楽死・尊厳死 3
11週 優生学とエンハンスメント 3
12週 どこからどこまでが人間か?:中絶・脳死・臓器移植 3
13週 環境倫理学への導入:なぜ環境を保護しなければならないのか? 4
14週 人間中心主義と自然中心主義 4
15週 自然との和解への道 4
16週 期末テスト 1-4

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学社会地理歴史的分野民族、宗教、生活文化の多様性を理解し、異なる文化・社会が共存することの重要性について考察できる。3
公民的分野人間の生涯における青年期の意義と自己形成の課題を理解し、これまでの哲学者や先人の考え方を手掛かりにして、自己の生き方および他者と共に生きていくことの重要性について考察できる。3
自己が主体的に参画していく社会について、基本的人権や民主主義などの基本原理を理解し、基礎的な政治・法・経済のしくみを説明できる。3
現代社会の考察現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。3

評価割合

期末レポート課題合計
総合評価割合6040100
基礎的能力6040100
専門的能力000
分野横断的能力000