概要:
現在、身の回りの生活用品の8 割以上が有機化合物から製造されている。有機工業化学では、有機化学及び合成化学で学んだ基礎知識を基にして、石油化学製品の反応や製造法を学び、さらに高分子物質及び機能性物質の標準的な製造法及び基礎的な性質を学ぶ。さらに、有機工業化学と特許等の知的財産権の関連性を学び、自ら化学技術者として化学工業、社会に貢献できる実践的な知識・素養を身に付けることを目標とする。
授業の進め方・方法:
授業で学習する内容に関する課題の提出と与えられたテーマのパワーポイントによる発表により双方向形式の授業を行う。
注意点:
身の回りのほとんどが工業製品、中でも有機工業製品で構成されている。それらは、どんな物質で構成されているか、どのようにして作るのか、どんな性質を有しているか、どんな用途が有るか、使い勝手はどうか、工業化への道のりはどのようになっているか、いろいろ考える所に進歩があり、次の課題を見つけることができる。大学・公的機関・会社での研究・仕事を通して社会に貢献する為の基礎として、有機工業化学は有意義な科目である。地球温暖化と化石燃料の関係、代替エネルギーについても考えよう! 技術者に必須である知的財産権の権利と責任について学びましょう!
この科目は学修単位科目であるので、(90時間-講義時間)以上の自学自習を必要とする。したがって、科目担当教員が課した課題の内、(90時間-講義時間)× 3/4 時間以上に相当する課題提出がないと単位を認めない。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
有機工業化学とは |
1,2
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2週 |
炭化水素の熱分解:物質収支(1)(エステル誘導体反応プロセス) |
1,4
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3週 |
芳香族炭化水素の製造法:物質収支(2)(フローシート計算-反応・蒸留) |
1,4
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4週 |
エチレンからの誘導体の合成:物質収支(3)(フローシート計算-反応・蒸留) |
1,4
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5週 |
プロピレンからの誘導体の合成:物質収支(4)(原単位) |
1,4
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6週 |
環状脂肪族炭化水素の利用:物質収支(5)(比例費) |
1,4
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7週 |
芳香族炭化水素からの誘導体、新しい化学原料体系:物質収支(6)(エステル誘導体物質収支の計算) |
1,4
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8週 |
中間試験 |
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2ndQ |
9週 |
高分子合成法、および知的財産権:特許になる発明とは |
3,5
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10週 |
プラスチック、および知的財産権:特許電子図書館(IPDL)による検索 |
3,5
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11週 |
熱可塑性樹脂、および知的財産権:特許請求の範囲と明細書の書き方(1) |
3,5
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12週 |
熱硬化性樹脂、および知的財産権:特許請求の範囲と明細書の書き方(2) |
3,5
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13週 |
ゴム、エラストマー、および知的財産権:特許出願後の手続 |
3,5
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14週 |
繊維、および知的財産権:外国に特許を出願する場合 |
3,5
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15週 |
機能性高分子、および知的財産権:日本特許とU.S.P.との比較 |
3,5
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16週 |
期末試験 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
石油の組成と性状 |
1,2
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2週 |
石油の精製と転化 |
1,2
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3週 |
石油化学工業における環境問題と対策(1)(学生によるプレゼン) |
1,2
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4週 |
石油化学工業における環境問題と対策(2)(学生によるプレゼン) |
1,2
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5週 |
合成基礎原料の製造 |
3
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6週 |
エチレンからの誘導体の合成方法 |
3
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7週 |
プロピレンからの誘導体の合成方法 |
3
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8週 |
中間試験 |
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4thQ |
9週 |
芳香族炭化水素からの誘導体の合成方法 |
3
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10週 |
石油化学工業(プラスチック)(1) |
3
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11週 |
石油化学工業(プラスチック)(2) |
3
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12週 |
石油化学工業(油脂)(1) |
3
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13週 |
石油化学工業(油脂)(2) |
3
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14週 |
石油化学工業(染料) |
3
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15週 |
石油化学工業(香料) |
3
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16週 |
期末試験 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 有機化学 | 有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。 | 4 | |
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。 | 4 | |
σ結合とπ結合について説明できる。 | 4 | |
混成軌道を用い物質の形を説明できる。 | 4 | |
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。 | 4 | |
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。 | 4 | |
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。 | 4 | |
共鳴構造について説明できる。 | 4 | |
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。 | 4 | |
芳香族性についてヒュッケル則に基づき説明できる。 | 4 | |
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。 | 4 | |
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。 | 4 | |
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。 | 4 | |
高分子化合物がどのようなものか説明できる。 | 4 | |
代表的な高分子化合物の種類と、その性質について説明できる。 | 4 | |
高分子の分子量、一次構造から高次構造、および構造から発現する性質を説明できる。 | 4 | |
高分子の熱的性質を説明できる。 | 4 | |
重合反応について説明できる。 | 4 | |
重縮合・付加重合・重付加・開環重合などの代表的な高分子合成反応を説明でき、どのような高分子がこの反応によりできているか区別できる。 | 4 | |
ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合の反応を説明できる。 | 4 | |
ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合の特徴を説明できる。 | 4 | |
分野横断的能力 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 日本語と特定の外国語の文章を読み、その内容を把握できる。 | 3 | |
他者とコミュニケーションをとるために日本語や特定の外国語で正しい文章を記述できる。 | 3 | |
他者が話す日本語や特定の外国語の内容を把握できる。 | 3 | |
日本語や特定の外国語で、会話の目標を理解して会話を成立させることができる。 | 3 | |
円滑なコミュニケーションのために図表を用意できる。 | 3 | |
円滑なコミュニケーションのための態度をとることができる(相づち、繰り返し、ボディーランゲージなど)。 | 3 | |
他者の意見を聞き合意形成することができる。 | 3 | |
合意形成のために会話を成立させることができる。 | 3 | |
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。 | 3 | |
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。 | 3 | |
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。 | 3 | |
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。 | 3 | |
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。 | 3 | |
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。 | 3 | |
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。 | 3 | |
あるべき姿と現状との差異(課題)を認識するための情報収集ができる | 3 | |
複数の情報を整理・構造化できる。 | 3 | |
特性要因図、樹形図、ロジックツリーなど課題発見・現状分析のために効果的な図や表を用いることができる。 | 3 | |
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。 | 3 | |
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。 | 3 | |
事実をもとに論理や考察を展開できる。 | 3 | |
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。 | 3 | |