概要:
高分子は、自然界に見られる繊維や食品、人間の手によって合成されたプラスチックやフィルムなど、生活に欠かせない材料となっている。本科目では、身の回りに存在する高分子はどのように合成されているか、またその種類と性質について学ぶと共に、環境や生命に及ぼす影響や環境分野法令(例、化審法、PL法)を学ぶ。さらに、特許等の知的財産権と高分子化学工業の関連性について学び、プレゼンテーションを行う。教科書やプリントを中心にした講義に加え、演習を随時行うことにより理解を深める。
授業の進め方・方法:
授業中に配布するプリントを予習し、紹介図書などを熟読しながら、高分子の熱的、力学的な性質、機能性などについて考えよう! 本科目は、有機工業化学とも密接な関連があり、生物応用化学専攻の理論有機化学、有機合成化学および高分子化学概論、特許化学概論とも関連する。
注意点:
分子は、巨大な分子、高分子になることによって独特の性質が現れ、様々な機能を持つようになることを多角的に学ぶため、有機化学、合成化学、物理化学の基礎知識があらかじめ必要とされる。
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
はじめに 身の回りの高分子について考えてみよう
|
1,2
|
2週 |
高分子とは何か(分類の概念について) |
1,2
|
3週 |
高分子とは何か(分子構造について) |
1,2
|
4週 |
高分子とは何か(分子量の概念について) |
1,2
|
5週 |
高分子とは何か(分子量分布の概念および計算方法について) |
1,2
|
6週 |
高分子とは何か(熱安定性について熱力学的視点から考えよう) |
1,2
|
7週 |
高分子とは何か(幾何学的構造、高次構造について考えよう) |
1,2
|
8週 |
中間試験 |
1,2
|
2ndQ |
9週 |
高分子とはなにか(固体構造について考えよう) |
1,2
|
10週 |
高分子とはなにか(力学的性質、電気的性質について考えよう) |
1,2
|
11週 |
高分子の成形加工について(射出成形、押出成形などについて) |
1,2
|
12週 |
高分子の成形加工について(成形加工用原材料について) |
1,2
|
13週 |
高分子の環境や生命に及ぼす影響について考えてみよう |
1,2,3
|
14週 |
高分子に関する法規制について(PL法、MSDSシート、RoHSなどについて) |
1,2,3
|
15週 |
高分子に関する製品規格について(ISO, JIS, ASTMなどについて) |
1,2,3
|
16週 |
期末試験 |
1,2,3
|
後期 |
3rdQ |
1週 |
天然高分子と合成高分子の違いについて考えてみよう |
1,2
|
2週 |
高分子合成法と特許等の知的財産権との関連について |
1,2
|
3週 |
高分子合成:ラジカル重合(1) |
1
|
4週 |
高分子合成:ラジカル重合(2) |
1
|
5週 |
高分子合成:ラジカル重合(3) |
1
|
6週 |
高分子合成法(ラジカル重合)の特許を含むインターネット検索結果をまとめ、プレゼン |
1
|
7週 |
高分子合成:重付加・付加重合(熱硬化性高分子、耐熱性高分子) |
1
|
8週 |
中間試験 |
1,2
|
4thQ |
9週 |
高分子合成:イオン重合(アニオン重合) |
1
|
10週 |
高分子合成:イオン重合(カチオン重合) |
1
|
11週 |
高分子合成:イオン重合(開環重合) |
1
|
12週 |
高分子と環境負荷との関連について(例、生分解性高分子など) |
1,2,3
|
13週 |
高分子と環境保護の歩みや環境分野法令(例、化審法)について |
1,2,3
|
14週 |
高分子の環境負荷と特許等の知的財産権との関連について(1) |
1,2,3,4
|
15週 |
高分子の環境負荷と特許等の知的財産権との関連について(2) |
1,2,3,4
|
16週 |
期末試験 |
1,2,3,4
|
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 有機化学 | 有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。 | 4 | |
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。 | 4 | |
σ結合とπ結合について説明できる。 | 4 | |
混成軌道を用い物質の形を説明できる。 | 4 | |
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。 | 4 | |
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。 | 4 | |
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。 | 4 | |
共鳴構造について説明できる。 | 4 | |
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。 | 4 | |
芳香族性についてヒュッケル則に基づき説明できる。 | 4 | |
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。 | 4 | |
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。 | 4 | |
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。 | 4 | |
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。 | 4 | |
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。 | 4 | |
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。 | 4 | |
高分子化合物がどのようなものか説明できる。 | 4 | |
代表的な高分子化合物の種類と、その性質について説明できる。 | 4 | |
高分子の分子量、一次構造から高次構造、および構造から発現する性質を説明できる。 | 4 | |
高分子の熱的性質を説明できる。 | 4 | |
重合反応について説明できる。 | 4 | |
重縮合・付加重合・重付加・開環重合などの代表的な高分子合成反応を説明でき、どのような高分子がこの反応によりできているか区別できる。 | 4 | |
ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合の反応を説明できる。 | 4 | |
ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合の特徴を説明できる。 | 4 | |
電子論に立脚し、構造と反応性の関係が予測できる。 | 4 | |
反応機構に基づき、生成物が予測できる。 | 4 | |