材料科学2

科目基礎情報

学校 新居浜工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 材料科学2
科目番号 151303 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 環境材料工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 金属組織学序論  阿部秀夫 著  コロナ社
担当教員 當代 光陽

到達目標

1. 基本的な結晶構造について基礎的性質が説明ができる。
2. 結晶の面と方向の指数(ミラー指数) について説明ができる。
3. X線回折について基礎的な説明ができる。
4. 熱力学について基礎的な説明ができる。
5. 熱力学と平衡状態図との関係について基礎的な説明ができる。
6. 1成分系平衡状態図が説明できる。
7. 2成分系平衡状態図(全率固溶、共晶・共析、包晶・包析、偏晶など)が説明できる。
8. 2成分系実用合金の状態図について基礎的な説明ができる。
9. 3成分系実用合金の状態図について基礎的な説明ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
X線回折理論を理解し、結晶構造の格子定数が計算できる。基本的な結晶構造の格子定数が計算できる。基本的な結晶構造の格子定数が計算できない。
X線回折理論を理解し、複雑な結晶構造の構造因子が計算できる。基本的な結晶構造の構造因子が計算できる。基本的な結晶構造の構造因子が計算できない。
理想気体の理論を理解し、状態計算ができる。理想気体の基本的な計算ができる。理想気体の基本的な計算ができない。
熱力学理論を理解し、熱力学について基礎的な説明ができる。熱力学について基礎的な説明ができる。熱力学について基礎的な説明ができない。
熱力学と平衡状態図との関係について理論的に説明ができる。熱力学と平衡状態図との関係について基礎的な説明ができる。熱力学と平衡状態図との関係について基礎的な説明ができない。
1成分系平衡状態図理論を理解し、説明できる。1成分系平衡状態図が説明できる。1成分系平衡状態図が説明できない。
2成分系平衡状態図理論を理解し、説明できる。2成分系平衡状態図が説明できる。2成分系平衡状態図が説明できない。
3成分系平衡状態図理論を理解し、説明できる。3成分系平衡状態図が説明できる。3成分系平衡状態図が説明できない。

学科の到達目標項目との関係

専門知識 (B) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
材料の構造とその性質について基本的なつながりを理解するため、また金属や無機材料に関する専門知識を習得する上で不可欠な基礎知識、主に結晶構造やその解析方法、熱力学の基礎、熱力学と状態図との関わり、実用材料の基礎とな
る2 成分系平衡状態図について学ぶ。材料について幅広い観点からの見方を学び、金属材料や無機材料に関する専門知識の習得を確実なものとする基礎知識を身につける。
授業の進め方・方法:
板書による講義形式で授業を進め、レポートにて理解度を確認する。
注意点:
本科目の理解については、材料科学1で学んだ結晶学の基礎と二、三の応用例の続きであることから、結晶学は必修の知識であると共に、数学、物理、化学の基礎を必要としている。内容分野は、4年次に学習する金属材料、無機材料、表面工学や材料物理化学などの専門科目を学ぶ上で基礎となる科目である。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 結晶系・ブラベー格子、結晶格子、ミラー指数(面と方向の表示)、ミラー・ブラベー指数(面と方向の表示) 1, 2
2週 実格子と逆格子I  逆格子、ラウエの回折条件、原子散乱因子 1, 2
3週 実格子と逆格子II 結晶構造の解析 X 線回折法、結晶構造因子 1, 2
4週 実格子と逆格子III 結晶構造の解析 X 線回折法、結晶構造因子 1, 2
5週 結晶の幾何学(面間距離、結晶面や方向の角度) 1, 2
6週 熱と温度、物質の三態、理想気体 3, 4
7週 熱力学第一法則 3, 4
8週 中間試験
2ndQ
9週 熱力学第二法則 4
10週 熱力学第三法則4 4
11週 熱力学(示量変数、示強変数、ルジャンドル変換) 4
12週 理想溶体 4
13週 正則溶体 4
14週 実用溶体(活量、活量係数、ラウールの法則、ヘンリーの法則) I 4
15週 実用溶体(活量、活量係数、ラウールの法則、ヘンリーの法則) II 4
16週 期末試験
後期
3rdQ
1週 化学ポテンシャルと相律 4, 5
2週 熱力学の平衡状態への応用、熱平衡状態、系の自由エネルギーと相変態 4, 5
3週 1 成分系平衡状態図の構成I -拡散相変態と無拡散相変態、圧力効果、過冷却、リチャードの法則- 6
4週 1 成分系平衡状態図の構成II -クラジウスークラペイロンの式、変態の次数- 6
5週 2元系全率固溶体状態図の成り立ちI -自由エネルギー温度曲線と状態図、てこの原理- 7
6週 2元系全率固溶体状態図の構成と組織形成 7
7週 共晶型状態図の構成と組織形成 7
8週 中間試験
4thQ
9週 偏晶型、包晶型状態図と材料組織 7
10週 実用合金の状態図、鉄鋼材料の基礎I 7
11週 実用合金の状態図、鉄鋼材料の基礎II 7
12週 3成分系平衡状態図の構成 8
13週 全率固溶型3成分系平衡状態図I(等温断面図) 8
14週 全率固溶型3成分系平衡状態図II(縦断面図) 8
15週 互いに溶解度のない3成分系平衡状態図(等温断面図、縦断面図) 8
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野材料物性金属の一般的な性質について説明できる。4
原子の結合の種類および結合力や物質の例など特徴について説明できる。4
代表的な結晶構造の原子配置について説明でき、充填率の計算ができる。4
結晶構造の特徴の観点から、純金属、合金や化合物の性質を説明できる。4
陽子・中性子・電子からなる原子の構造について説明できる。3
周期表の元素配列に対して、電子配置や各族および周期毎の物性の特徴を関連付けられる。2
化学結合の種類および結合力や物質の例などを説明できる。3
結晶系の種類、14種のブラベー格子について説明できる。4
ミラー指数を用いて格子方位と格子面を記述できる。4
14種のブラベー格子について説明でき、描くことができる。4
X線回折法を用いて結晶構造の解析に応用することができる。4
金属材料純鉄の組織と変態について、結晶構造を含めて説明できる。3
炭素鋼の状態図を用いて標準組織および機械的性質を説明できる。4
炭素鋼の焼なましと焼ならしについて冷却速度の違いに依存した機械的性質の変化を説明できる。3
合金鋼の状態図の読み方を利用して炭化物の種類や析出挙動を説明できる。4
状態図を用いて、鋳鉄の性質および組織について説明できる。3
無機材料原子の構成粒子を理解し、原子番号、質量数、同位体について説明できる。3
材料組織物質系の平衡状態について、安定状態、準安定状態、不安定状態を説明できる。4
ギブスの相律から自由度を求めて系の自由度を説明できる。4
熱分析の原理について説明できる。4
純金属の凝固過程での過冷却状態、核生成、結晶粒成長の各段階について説明できる。4
2元系平衡状態図上で、てこの原理を用いて、各相の割合を計算できる。4
相分離型の状態図を、自由エネルギー曲線と関連させて説明できる。4
全率固溶体型の状態図を、自由エネルギー曲線と関連させて説明できる。4
共晶型反応の状態図を用いて、一般的な共晶組織の形成過程について説明できる。4
包晶型反応の状態図を用いて、一般的な包晶組織の形成過程について説明できる。4
偏晶型の反応と状態図を説明できる。4
中間相生成型の反応と状態図を説明できる。4
固溶体の自由エネルギー曲線から求められる合金の安定状態について理解できる。4
自由エネルギー曲線と状態図の関係を系統的にまとめ、説明することができる。4
塑性変形におけるすべり変形と双晶変形の特徴について説明できる。2
降伏現象ならびに応力-歪み曲線から降伏点を求めることができる。2
格子間原子型および原子空孔型の拡散機構を説明できる。2
自由エネルギーの変化を利用して、相変態について説明できる。4
凝固過程での状態変化や特徴を説明できる。4
共析変態で生じる組織を描き、相変態過程を説明できる。3
マルテンサイト変態について結晶学的観点からの相変態の特徴を説明できる。3
物理化学仕事、熱、エネルギーの概念について説明できる。4
熱力学第一法則と内部エネルギーの概念を説明できる。4
膨張の仕事が計算でき、仕事が状態量でないことを理解できる。4
内部エネルギー、熱、仕事の符号の規則を説明でき、膨張の仕事を計算できる。4
エンタルピーの定義およびエンタルピーが状態量であることを説明できる。4
断熱変化に伴う温度変化を計算できる。4
標準生成エンタルピーの物理的意味を理解し、反応エンタルピーを計算できる。4
反応エンタルピーの温度依存性に関するキルヒホッフの法則を理解し、いろいろな反応の反応エンタルピーを計算できる。4
定圧熱容量と定容熱容量の関係式が導出できる。4
エントロピーの定義を理解し、不可逆過程におけるエントロピー生成について説明できる。4
ヘルムホルツエネルギーとギブズエネルギーの定義および自発的変化の方向性との関連について説明できる。4
標準モルギブズエネルギーの定義に基づいて標準反応ギブズエネルギーを計算できる。4
内部エネルギーと巨視的熱力学量の関係を導出できる。4
ギブズエネルギーと巨視的熱力学量との関係を導出できる。ギブスーヘルムホルツの式を導出できる。4
純物質の化学ポテンシャルの定義と物理的意味を理解し、理想気体の化学ポテンシャルを計算できる。4
理想溶液と実在溶液の違いを説明できる。4

評価割合

試験レポートノート態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70300000100
基礎的能力3015000045
専門的能力4015000055
分野横断的能力0000000