1. 基本的な結晶構造について基礎的性質が説明ができる。
2. 結晶の面と方向の指数(ミラー指数) について説明ができる。
3. X線回折について基礎的な説明ができる。
4. 熱力学について基礎的な説明ができる。
5. 熱力学と平衡状態図との関係について基礎的な説明ができる。
6. 1成分系平衡状態図が説明できる。
7. 2成分系平衡状態図(全率固溶、共晶・共析、包晶・包析、偏晶など)が説明できる。
8. 2成分系実用合金の状態図について基礎的な説明ができる。
9. 3成分系実用合金の状態図について基礎的な説明ができる。
概要:
材料の構造とその性質について基本的なつながりを理解するため、また金属や無機材料に関する専門知識を習得する上で不可欠な基礎知識、主に結晶構造やその解析方法、熱力学の基礎、熱力学と状態図との関わり、実用材料の基礎とな
る2 成分系平衡状態図について学ぶ。材料について幅広い観点からの見方を学び、金属材料や無機材料に関する専門知識の習得を確実なものとする基礎知識を身につける。
授業の進め方・方法:
板書による講義形式で授業を進め、レポートにて理解度を確認する。
必要に応じて確認テストを行う。
注意点:
本科目の理解については、材料科学1で学んだ結晶学の基礎と二、三の応用例の続きであることから、結晶学は必修の知識であると共に、数学、物理、化学の基礎を必要としている。内容分野は、4年次に学習する金属材料、無機材料、表面工学や材料物理化学などの専門科目を学ぶ上で基礎となる科目である。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
結晶系・ブラベー格子、結晶格子、ミラー指数(面と方向の表示)、ミラー・ブラベー指数(面と方向の表示) |
1, 2
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2週 |
実格子と逆格子I 逆格子、ラウエの回折条件、原子散乱因子 |
1, 2
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3週 |
実格子と逆格子II 結晶構造の解析 X 線回折法、結晶構造因子 |
1, 2
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4週 |
実格子と逆格子III 結晶構造の解析 X 線回折法、結晶構造因子 |
1, 2
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5週 |
結晶の幾何学(面間距離、結晶面や方向の角度) |
1, 2
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6週 |
熱と温度、物質の三態、理想気体 |
3, 4
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7週 |
熱力学第一法則 |
3, 4
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8週 |
中間試験 |
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2ndQ |
9週 |
熱力学第二法則 |
4
|
10週 |
熱力学第三法則 |
4
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11週 |
熱力学(示量変数、示強変数、ルジャンドル変換) |
4
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12週 |
理想溶体 |
4
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13週 |
正則溶体 |
4
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14週 |
実用溶体(活量、活量係数、ラウールの法則、ヘンリーの法則) I |
4
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15週 |
実用溶体(活量、活量係数、ラウールの法則、ヘンリーの法則) II |
4
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16週 |
期末試験 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
化学ポテンシャルと相律 |
4, 5
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2週 |
熱力学の平衡状態への応用、熱平衡状態、系の自由エネルギーと相変態 |
4, 5
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3週 |
1 成分系平衡状態図の構成I -拡散相変態と無拡散相変態、圧力効果、過冷却、リチャードの法則- |
6
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4週 |
1 成分系平衡状態図の構成II -クラジウスークラペイロンの式、変態の次数- |
6
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5週 |
2元系全率固溶体状態図の成り立ちI -自由エネルギー温度曲線と状態図、てこの原理- |
7
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6週 |
2元系全率固溶体状態図の構成と組織形成 |
7
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7週 |
共晶型状態図の構成と組織形成 |
7
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8週 |
中間試験 |
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4thQ |
9週 |
偏晶型、包晶型状態図と材料組織 |
7
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10週 |
実用合金の状態図、鉄鋼材料の基礎I |
7
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11週 |
実用合金の状態図、鉄鋼材料の基礎II |
7
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12週 |
実用合金の状態図、鉄鋼材料の基礎III |
7
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13週 |
実用合金の状態図、鉄鋼材料の基礎IV |
7
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14週 |
全率固溶型3成分系平衡状態図II(等温断面図、縦断面図) |
8
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15週 |
互いに溶解度のない3成分系平衡状態図(等温断面図、縦断面図) |
8
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16週 |
期末試験 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 材料系分野 | 材料物性 | 金属の一般的な性質について説明できる。 | 4 | 前1,後7 |
原子の結合の種類および結合力や物質の例など特徴について説明できる。 | 4 | 前1 |
結晶構造の特徴の観点から、純金属、合金や化合物の性質を説明できる。 | 4 | 前1 |
陽子・中性子・電子からなる原子の構造について説明できる。 | 3 | 前1 |
周期表の元素配列に対して、電子配置や各族および周期毎の物性の特徴を関連付けられる。 | 4 | 前1 |
結晶系の種類、14種のブラベー格子について説明できる。 | 4 | 前1,前2,前3,前4,前5 |
ミラー指数を用いて格子方位と格子面を記述できる。 | 4 | 前1,前2,前3,前4,前5 |
X線回折法を用いて結晶構造の解析に応用することができる。 | 4 | 前1,前2,前3,前4,前5 |
金属材料 | 純鉄の組織と変態について、結晶構造を含めて説明できる。 | 4 | 後10,後11 |
炭素鋼の状態図を用いて標準組織および機械的性質を説明できる。 | 4 | 後10,後11 |
炭素鋼の焼なましと焼ならしについて冷却速度の違いに依存した機械的性質の変化を説明できる。 | 4 | 後10,後11 |
合金鋼の状態図の読み方を利用して炭化物の種類や析出挙動を説明できる。 | 4 | 後10,後11,後12,後13,後14,後15 |
状態図を用いて、鋳鉄の性質および組織について説明できる。 | 4 | 後10,後11 |
無機材料 | 原子の構成粒子を理解し、原子番号、質量数、同位体について説明できる。 | 4 | 前1 |
材料組織 | 物質系の平衡状態について、安定状態、準安定状態、不安定状態を説明できる。 | 4 | 前6,前7,後12 |
ギブスの相律から自由度を求めて系の自由度を説明できる。 | 4 | 前6,前7 |
純金属の凝固過程での過冷却状態、核生成、結晶粒成長の各段階について説明できる。 | 4 | 後10,後11 |
2元系平衡状態図上で、てこの原理を用いて、各相の割合を計算できる。 | 4 | 後5,後6,後11 |
全率固溶体型の状態図を、自由エネルギー曲線と関連させて説明できる。 | 4 | 後5 |
共晶型反応の状態図を用いて、一般的な共晶組織の形成過程について説明できる。 | 4 | 後6,後7 |
包晶型反応の状態図を用いて、一般的な包晶組織の形成過程について説明できる。 | 4 | 後6,後7,後9 |
塑性変形におけるすべり変形と双晶変形の特徴について説明できる。 | 4 | 後12,後13 |
降伏現象ならびに応力-歪み曲線から降伏点を求めることができる。 | 4 | 後12,後13 |
格子間原子型および原子空孔型の拡散機構を説明できる。 | 4 | 後12,後13 |
自由エネルギーの変化を利用して、相変態について説明できる。 | 4 | 後1,後2,後3,後4 |
共析変態で生じる組織を描き、相変態過程を説明できる。 | 4 | 後7,後10,後12,後13 |
マルテンサイト変態について結晶学的観点からの相変態の特徴を説明できる。 | 4 | 後10,後11,後12,後13 |
物理化学 | 熱力学第一法則と内部エネルギーの概念を説明できる。 | 4 | 前7 |
内部エネルギー、熱、仕事の符号の規則を説明でき、膨張の仕事を計算できる。 | 4 | 前9,前10,前11,前12,前13 |
エンタルピーの定義およびエンタルピーが状態量であることを説明できる。 | 4 | 前9,前10,前11,前12,前13 |
断熱変化に伴う温度変化を計算できる。 | 4 | 前9,前10,前11,前12,前13 |
標準生成エンタルピーの物理的意味を理解し、反応エンタルピーを計算できる。 | 4 | 前9,前10,前11,前12,前13 |
定圧熱容量と定容熱容量の関係式が導出できる。 | 4 | 前9,前10,前11,前12,前13 |
エントロピーの定義を理解し、不可逆過程におけるエントロピー生成について説明できる。 | 4 | 前10,前11 |
ヘルムホルツエネルギーとギブズエネルギーの定義および自発的変化の方向性との関連について説明できる。 | 4 | 前10,前11,後1,後2 |
標準モルギブズエネルギーの定義に基づいて標準反応ギブズエネルギーを計算できる。 | 4 | 前10,前11,後1,後2 |
内部エネルギーと巨視的熱力学量の関係を導出できる。 | 4 | 前10,前11 |
純物質の化学ポテンシャルの定義と物理的意味を理解し、理想気体の化学ポテンシャルを計算できる。 | 4 | 前10,前11 |
理想溶液と実在溶液の違いを説明できる。 | 4 | 前12,前13,前14,前15 |