物理化学

科目基礎情報

学校 新居浜工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 物理化学
科目番号 151304 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 環境材料工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 物理化学、真船文隆・渡辺 正、化学同人  世界一わかりやすい化学基礎・化学の特別講座、西村淳矢、中経出版
担当教員 朝日 太郎

到達目標

1.原子構造と電子配置について理解できること。
2.各種化学結合(共有結合、イオン結合、金属結合)について理解できること。
3.混成軌道の概念とそれらから成る各種分子の構造について理解できること。
4.物質の三態と理想気体の状態方程式について理解できること。
5.熱力学第1および第2法則、及びエントロピーの概念について理解できること。
6.ギブズ自由エネルギーと化学ポテンシャルについて理解できること。
7.溶液論(溶解度、蒸気圧、浸透圧)について理解できること。
8.酸・塩基、酸化・還元反応について理解できること。
9.反応速度論に関する事項(遷移状態、律速反応、化学平衡)が理解できること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1電子殻と量子数の関係が正しく理解でき、各元素の電子配置が規則に基づいて正しく書ける。原子の構造が理解でき、各元素の電子数に基づいた電子配置が書ける。各元素の電子配置が正しく書けない。
評価項目2イオン結合・共有結合と比較して金属結合や水素結合、ファンデルワールス結合が理解できる。イオン結合と共有結合の違いが理解できる。化学結合の違いが理解できない。
評価項目3各種混成軌道の違いについて理解でき、化合物の分子構造について推測できる。各軌道の組み合わせで混成軌道ができることを理解できる。軌道の混成について理解できない。
評価項目4理想気体の状態方程式と実在気体の状態方程式の違いを理解できる。理想気体の状態方程式の計算ができ、水の状態図を用いて状態を説明できる。理想気体の状態方程式が理解できず、水の状態図が理解できない。
評価項目5熱力学第1、第2法則に関連して、エンタルピーやエントロピーの概念と結びつけて説明することができる。熱力学第一法則はエネルギー保存則、第二法則はエントロピー増大則と関連していることが理解できる。エネルギー保存やエントロピーについて理解できず、熱力学第一法則と第二法則が説明できない。
評価項目6ギブズ自由エネルギーを用いて、化学ポテンシャルの概念が理解できる。エンタルピーやエントロピーを用いて、自由エネルギーの概念を説明できる。自由エネルギーについて説明できない。
評価項目7溶液の凝固点降下と沸点上昇の計算ができ、浸透圧について説明できる。溶液の凝固点降下と沸点上昇がなぜ起こるのか説明できる。溶液の凝固点降下と沸点上昇について理解できない。
評価項目8溶液の酸性度・塩基性度についてpHを用いて計算できる。化合物の酸化数が計算でき、電子の授受に伴う各種現象について説明できる。溶液の酸性度・塩基性度についてpHを用いて表現できる。化合物の酸化数が計算できる。溶液の酸性度・塩基性度をpHで表現できない。化合物の酸化数が計算できない。
評価項目9ルシャトリエの化学平衡の概念について説明でき、工業への応用事例を挙げることができる。反応速度論における遷移状態、活性化状態、平衡状態について理解でき、説明できる。反応速度の観点から、化学平衡について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

専門知識 (B) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
物理化学は全ての化学分野の理論的な面を担う科目であり、材料系分野の学習においても極めて重要な科目である。化学は物質を扱う学問であるが、まず、物質を構成する最小単位である原子・分子構造の考察を扱う「構造論」から入り、次に、これらが集合体をなしてマクロな状態となった物質の性質を扱う「物性論」を学習する。さらに、化学反応に伴う物質の変化をエネルギー論的に扱う「化学熱力学」分野を学習し、物理化学の基礎を理解することを目標とする。
授業の進め方・方法:
定期テスト80%、課題・小テスト等20%として評価する。課題等の提出物は期限内に提出されたものを評価の対象とする。
注意点:
本科目は低学年で学習した物理・化学の内容の復習が必須である。高学年に続く専門科目(材料物理化学、表面工学、有機化学、無機材料学など)の基礎となる内容を多く含んだ科目なので、学習内容の確実な理解が望まれる。また、低学年次で学んだ物理や化学の復習が必須である。紹介した参考書も大いに活用すべきである。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 物理化学の概要 1~9
2週 原子構造(原子核と電子、電子殻と量子数) 1
3週 原子の性質(電子配置、元素の周期性、イオン化エネルギー、電気陰性度) 1
4週 化学結合①(結合の種類) 2
5週 化学結合②(シグマ結合とパイ結合) 2
6週 分子構造①(混成軌道) 3
7週 分子構造②(基本的な分子の構造) 3
8週 中間試験
2ndQ
9週 固体の構造と性質①(結晶構造) 2,3
10週 固体の構造と性質②(電気的性質) 2,3
11週 熱力学第一法則①(内部エネルギー、エネルギー保存則) 5
12週 熱力学第一法則②(エンタルピー、ヘスの法則) 5
13週 エントロピー①(可逆変化と不可逆変化) 5
14週 エントロピー②(系の変化によるエントロピーの計算) 5
15週 エントロピー③(熱力学第3法則) 5
16週 期末試験
後期
3rdQ
1週 ギブズエネルギー、化学ポテンシャル① 6
2週 ギブズエネルギー、化学ポテンシャル② 6
3週 物質の3態、気体の状態方程式 4
4週 溶液の性質①(溶解度、蒸気圧) 7
5週 溶液の性質②(沸点上昇・凝固点降下、浸透圧) 7
6週 酸・塩基①(定義、HSAB則) 8
7週 酸・塩基②(水のイオン積、水素イオン濃度、中和反応) 8
8週 中間試験
4thQ
9週 酸化・還元反応①(酸化数) 8
10週 酸化・還元反応②(イオン化傾向) 8
11週 酸化・還元反応③(ファラデーの法則、電気分解) 8
12週 酸化・還元反応③(化学電池) 9
13週 反応速度論①(反応速度、遷移状態、律速段階) 9
14週 反応速度論②(化学平衡、平衡定数) 9
15週 反応速度論③(ルシャトリエの法則) 9
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野物理化学仕事、熱、エネルギーの概念について説明できる。2
熱力学第一法則と内部エネルギーの概念を説明できる。2
膨張の仕事が計算でき、仕事が状態量でないことを理解できる。2
内部エネルギー、熱、仕事の符号の規則を説明でき、膨張の仕事を計算できる。2
エンタルピーの定義およびエンタルピーが状態量であることを説明できる。2
断熱変化に伴う温度変化を計算できる。2
標準生成エンタルピーの物理的意味を理解し、反応エンタルピーを計算できる。2
反応エンタルピーの温度依存性に関するキルヒホッフの法則を理解し、いろいろな反応の反応エンタルピーを計算できる。2
定圧熱容量と定容熱容量の関係式が導出できる。2
エントロピーの定義を理解し、不可逆過程におけるエントロピー生成について説明できる。2
ヘルムホルツエネルギーとギブズエネルギーの定義および自発的変化の方向性との関連について説明できる。2
標準モルギブズエネルギーの定義に基づいて標準反応ギブズエネルギーを計算できる。2
内部エネルギーと巨視的熱力学量の関係を導出できる。2
ギブズエネルギーと巨視的熱力学量との関係を導出できる。ギブスーヘルムホルツの式を導出できる。2
純物質の化学ポテンシャルの定義と物理的意味を理解し、理想気体の化学ポテンシャルを計算できる。2
理想溶液と実在溶液の違いを説明できる。2

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力3000001040
専門的能力3000001040
分野横断的能力200000020