物理化学

科目基礎情報

学校 新居浜工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 物理化学
科目番号 151304 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 環境材料工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 物理化学(化学同人) 著:真船文隆・渡辺正  参考図書:機能性材料科学入門(共立出版)
担当教員 坂本 全教

到達目標

1.物質の状態をミクロな観点から理解できること。
2.理想気体と状態方程式を通し,気体のミクロな分子状態を理解すること。
3.熱とエネルギーの関係について理解すること。
4. エンタルピーとエントロピーについて理解すること。
5. ギブズエネルギーと化学平衡について理解すること。
6. 化学ポテンシャルと液体の関係について理解すること。
7. 関連する分野(電気化学,反応速度論)について理解すること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1物質の状態をミクロな観点から理解し,発展的な演習問題が解ける。物質の状態をミクロな観点から理解し,標準的な演習問題が解ける。物質の状態をミクロな観点から理解できず,演習問題が解けない。
評価項目2理想気体と状態方程式を通し,気体のミクロな分子状態を理解し, 発展的な演習問題が解ける。理想気体と状態方程式を通し,気体のミクロな分子状態を理解し,標準的な演習問題が解ける。理想気体と状態方程式を通し,気体のミクロな分子状態を理解できず,演習問題が解けない。
評価項目3熱とエネルギーの関係について理解し,発展的な演習問題が解ける。熱とエネルギーの関係について理解し,標準的な演習問題が解ける。熱とエネルギーの関係について理解できず,演習問題が解けない。
評価項目4エンタルピーとエントロピーについて理解し,発展的な演習問題が解ける。エンタルピーとエントロピーについて理解し,標準的な演習問題が解ける。エンタルピーとエントロピーについて理解できず, 演習問題が解けない。
評価項目5ギブズエネルギーと化学平衡について理解し,発展的な演習問題が解ける。ギブズエネルギーと化学平衡について理解し,標準的な演習問題が解ける。ギブズエネルギーと化学平衡について理解できず,演習問題が解けない。
評価項目6化学ポテンシャルと液体の関係について理解し,発展的な演習問題が解ける。化学ポテンシャルと液体の関係について理解し,標準的な演習問題が解ける。化学ポテンシャルと液体の関係について理解できず,演習問題が解けない。
評価項目7関連する分野(電気化学,反応速度論)について理解し,発展的な演習問題が解ける。関連する分野(電気化学,反応速度論)について理解し,標準的な演習問題が解ける。関連する分野(電気化学,反応速度論)について理解できず,演習問題が解けない。

学科の到達目標項目との関係

専門知識 (B) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
物理化学は全ての化学分野の理論的な面を担う科目である。本講義の物理化学では主に①化学熱力学と②化学平衡論について学ぶ。登場する概念(エンタルピー,エントロピー,ギブズエネルギー,化学ポテンシャルなど)は,多くの応用実用分野に登場し,その概念はさらに高度に拡張されていく。そのため,材料系分野の学習において極めて重要である。本講義では,まず原子や分子をミクロに取り扱い,またそれらを集団的に取り扱う考え方について学び,化学熱力学の学習に移る。その後,化学平衡論に進む。熱力学の基礎を確立したのち,①電気化学への応用 ② 反応速度論について簡単に学ぶ。
授業の進め方・方法:
定期テスト80%、課題・小テスト等を20%として評価する。
注意点:
本科目では低学年で学習した物理・化学の内容の知識が前提になる。また,微分・積分・三角関数など,数学の知識も多く必要となり,これら基礎科目の復習が大変重要である。物理化学で学んだ概念は,高学年に続く専門科目(材料物理化学,表面工学,無機材料学など)の土台となる。そのため,学習内容の確実な理解が望まれる。また物理化学の学習では,実際に手を動かし,多くの計算問題を解くことがもっとも早い理解への道である。学習当初は難しく感じるものも多いが,挫けずにトライし続けることが肝要である。

本科目の区分

Webシラバスと本校履修要覧の科目区分では表記が異なるので注意すること。
本科目は履修要覧(p.9)に記載する「④選択科目」である。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 物理化学の概要 物質の三態 熱力学第一法則 1~7
2週 比熱 定容比熱と定圧比熱  1
3週 エンタルピーHの導入 偏微分の学習 
123
4週 等温可逆過程の理解  123
5週 気体分子運動論から内部エネルギーUの導出 123
6週 自由度とエネルギー等分配則 マイヤーの関係式 123
7週 断熱過程の理解 ポアソンの式 123
8週 中間試験
2ndQ
9週 反応熱計算 生成熱 燃焼熱 反応熱 の理解 123
10週 ヘスの法則 キルヒホッフの式の理解 123
11週 エントロピーSの導入① 34
12週 エントロピーSの導入② 34
13週 ギブズエネルギーGの導入① 345
14週 ギブズエネルギーGの導入②  熱力学基本式 345
15週 ギブズヘルムホルツの式の導入 345
16週 期末試験
後期
3rdQ
1週 開放系と部分モル量の理解(部分モル体積から理解) 123
2週 化学ポテンシャルμ①単一成分系の化学ポテンシャル 345
3週 化学ポテンシャルμ②複数成分系での化学ポテンシャル 345
4週 化学平衡論へ 反応進行度ξ 化学平衡の条件 345
5週 圧平衡定数Kpの導入 345
6週 ファントホッフの関係式の導入 345
7週 クラウジウスクラペイロンの関係式の導入 345
8週 中間試験
4thQ
9週 液体の化学ポテンシャル① ラウール則とヘンリー則 3456
10週 液体の化学ポテンシャル② 沸点上昇と凝固点効果 3456
11週 液体の化学ポテンシャル③ フガシティと活量 3456
12週 化学熱力学の電気化学への応用① 17
13週 化学熱力学の電気化学への応用② 17
14週 反応速度論① 17
15週 反応速度論② 17
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野無機材料原子の構成粒子を理解し、原子番号、質量数、同位体について説明できる。4前1,前2,前3
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。4
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。4後5
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質について説明できる。4前1
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。4前3,後5
化学結合の初期理論としてのオクテット則(八隅説)により電子配置をルイス構造で示すことができる。4前3
原子価結合法により、共有結合を説明できる。4前3
イオン結合の形成と特徴について理解できる。4前3,後5
金属結合の形成と特徴について理解できる。4前3,後5
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比などの基本的な計算ができる。4後12
酸化還元の知識を用いて酸化還元の反応式から酸化剤、還元剤の濃度等の計算ができる。4前14
イオン化傾向と電池の電極および代表的な電池について説明できる。4前14
電気分解に関する知識を用いてファラデーの法則の計算ができる。4前14
物理化学熱力学第一法則と内部エネルギーの概念を説明できる。4前5,前6
内部エネルギー、熱、仕事の符号の規則を説明でき、膨張の仕事を計算できる。4前5,前6
エンタルピーの定義およびエンタルピーが状態量であることを説明できる。4前7
断熱変化に伴う温度変化を計算できる。4前7
標準生成エンタルピーの物理的意味を理解し、反応エンタルピーを計算できる。4前7
定圧熱容量と定容熱容量の関係式が導出できる。4前7,前11
エントロピーの定義を理解し、不可逆過程におけるエントロピー生成について説明できる。4前11,後1,後2,後3,後4,後5
ヘルムホルツエネルギーとギブズエネルギーの定義および自発的変化の方向性との関連について説明できる。4前12,後1,後2,後3,後4,後5
標準モルギブズエネルギーの定義に基づいて標準反応ギブズエネルギーを計算できる。4前12,後1,後2,後3,後4,後5,後12,後13
内部エネルギーと巨視的熱力学量の関係を導出できる。4前13,後1,後2,後3,後4,後5
純物質の化学ポテンシャルの定義と物理的意味を理解し、理想気体の化学ポテンシャルを計算できる。4前13
理想溶液と実在溶液の違いを説明できる。4前13

評価割合

試験課題・小テスト合計
総合評価割合8020100
基礎的能力301040
専門的能力301040
分野横断的能力20020