概要:
セラミックスは非常に古くから使われている材料であり、日常生活にとって欠くことの出来ないものである。また、工業材料としてのセラミックス材料は、半導体、コンデンサー、LSI用基板等の電子セラミックスを中心に、機能性セラミックス、バイオセラミックス等のいわゆるファインセラミックスとして注目されている。近年では、高温超伝導材料として世界中の注目を浴びている。本講義では、主として、ファインセラミックスを理解するための基礎知識を与えることを目標とする。はじめに、基本である原子構造、化学結合様式、結晶構造の特徴などについて解説する。次に、セラミックスの性質に関係の深い巨視的微構造と原子スケールの点欠陥について詳述し、これらと関係の深い拡散、電気伝導、半導体理論について解説する。また、製造プロセスに重要な相平衡、固相反応、セラミックスの合成についても解説する。最後に、随時、最近のトピックスについても言及する。
授業の進め方・方法:
無機化学を発展させた科目であり、数学(微分、積分)、化学、物理および物理化学に関する3年生までの基礎知識が必要である。電子材料学および無機材料特論の基礎となる科目である。各自十分予習、復習し、講義に備えること。
注意点:
正当な理由の場合を除き、授業を無断欠席しないこと。また、必ず期限どおりに課題を提出すること。
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 材料系分野 | 材料物性 | 原子の結合の種類および結合力や物質の例など特徴について説明できる。 | 4 | |
結晶構造の特徴の観点から、純金属、合金や化合物の性質を説明できる。 | 4 | |
陽子・中性子・電子からなる原子の構造について説明できる。 | 4 | |
ボーアの水素原子模型を用いて、エネルギー準位を説明できる。 | 4 | |
4つの量子数を用いて量子状態を記述して、電子殻や占有する電子数などを説明できる。 | 4 | |
周期表の元素配列に対して、電子配置や各族および周期毎の物性の特徴を関連付けられる。 | 4 | |
結晶系の種類、14種のブラベー格子について説明できる。 | 4 | |
ミラー指数を用いて格子方位と格子面を記述できる。 | 4 | |
代表的な結晶構造の原子配置を描き、充填率の計算ができる。 | 4 | |
無機材料 | パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。 | 4 | |
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質について説明できる。 | 4 | |
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。 | 4 | |
イオン結合の形成と特徴について理解できる。 | 4 | |
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比などの基本的な計算ができる。 | 4 | |
セラミックス、金属材料、炭素材料、複合材料等、無機材料の用途・製法・構造等について説明できる。 | 4 | |
単結晶化、焼結、薄膜化、微粒子化、多孔質化などに必要な材料合成法について説明できる。 | 4 | |
材料組織 | 点欠陥である空孔、格子間原子、置換原子などを区別して説明できる。 | 4 | |
線欠陥である刃状転位とらせん転位を理解し、変形機構と関連して説明できる。 | 4 | |
物質系の平衡状態について、安定状態、準安定状態、不安定状態を説明できる。 | 4 | |
ギブスの相律から自由度を求めて系の自由度を説明できる。 | 4 | |
純金属の凝固過程での過冷却状態、核生成、結晶粒成長の各段階について説明できる。 | 4 | |
2元系平衡状態図上で、てこの原理を用いて、各相の割合を計算できる。 | 4 | |
全率固溶体型の状態図を、自由エネルギー曲線と関連させて説明できる。 | 4 | |
共晶型反応の状態図を用いて、一般的な共晶組織の形成過程について説明できる。 | 4 | |
包晶型反応の状態図を用いて、一般的な包晶組織の形成過程について説明できる。 | 4 | |
格子間原子型および原子空孔型の拡散機構を説明できる。 | 4 | |
拡散係数の物理的意味を説明できる。 | 4 | |