無機材料学

科目基礎情報

学校 新居浜工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 無機材料学
科目番号 151405 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 環境材料工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 配布資料を用いる。
担当教員 平澤 英之,坂本 全教

到達目標

1. 原子構造と周期律表の関係を理解できること。
2. 代表的な酸化物の結晶構造とガラス構造について理解できること。
3. セラミックスにおける欠陥の種類、セラミックスに与える影響について理解できること。
4. フィックの第1,第2法則の関係式およびその内容について理解できること。
5. 電気伝導度および半導体の原理を理解できること。
6. 熱力学第1,第2,自由エネルギー変化が理解でき、計算が出来ること。
7. セラミックスの状態図を読めること。
8. 相転移理論を理解できること。
9. 単結晶の製造方法の原理および種類がわかること。
10. 焼結理論の基礎が理解できること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1原子構造と周期律表の関係が理解でき、応用問題が解けること。原子構造と周期律表の関係が理解でき、基礎問題が解けること。原子構造と周期律表の関係が理解できず、基礎問題が解けない。
評価項目2酸化物の結晶構造とガラス構造について理解でき、これらに関する応用問題が解けること。酸化物の結晶構造とガラス構造について理解でき、これらに関する基礎問題が解けること。酸化物の結晶構造とガラス構造について理解できず、これらに関する基礎問題が解けない。
評価項目3セラミックスにおける欠陥の種類、セラミックスに与える影響について理解でき、これらに関する応用問題が解けること。セラミックスにおける欠陥の種類、セラミックスに与える影響について理解でき、これらに関する基礎問題が解けること。セラミックスにおける欠陥の種類、セラミックスに与える影響について理解できず、これらに関する基礎問題が解けない。
評価項目4フィックの第1、第2法則の関係式が理解でき、応用問題が解けること。フィックの第1、第2法則の関係式が理解でき、基礎問題が解けること。フィックの第1、第2法則の関係式が理解できず、基礎問題が解けない。
評価項目5電気伝導度および半導体の原理が理解でき、これらに関する応用問題が解けること。電気伝導度および半導体の原理が理解でき、これらに関する基礎問題が解けること。電気伝導度および半導体の原理が理解できず、これらに関する基礎問題が解けない。
評価項目6熱力学第1、第2、自由エネルギー変化が理解でき、これらに関する応用問題が解けること。熱力学第1、第2、自由エネルギー変化が理解でき、これらに関する基礎問題が解けること。熱力学第1、第2、自由エネルギー変化が理解できず、これらに関する基礎問題が解けない。
評価項目7セラミックスの状態図が理解でき、応用問題が解けること。セラミックスの状態図が理解でき、基礎問題が解けること。セラミックスの状態図が理解できず、基礎問題が解けない。
評価項目8相転移理論が理解でき、応用問題が解けること。相転移理論が理解でき、基礎問題が解けること。転移理論が理解できず、基礎問題が解けない。

学科の到達目標項目との関係

専門知識 (B) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
セラミックスは非常に古くから使われている材料であり、日常生活にとって欠くことの出来ないものである。また、工業材料としてのセラミックス材料は、半導体、コンデンサー、LSI用基板等の電子セラミックスを中心に、機能性セラミックス、バイオセラミックス等のいわゆるファインセラミックスとして注目されている。近年では、高温超伝導材料として世界中の注目を浴びている。本講義では、主として、ファインセラミックスを理解するための基礎知識を与えることを目標とする。はじめに、基本である原子構造、化学結合様式、結晶構造の特徴などについて解説する。次に、セラミックスの性質に関係の深い巨視的微構造と原子スケールの点欠陥について詳述し、これらと関係の深い拡散、電気伝導、半導体理論について解説する。また、製造プロセスに重要な相平衡、固相反応、セラミックスの合成についても解説する。最後に、随時、最近のトピックスについても言及する。
授業の進め方・方法:
無機化学を発展させた科目であり、数学(微分、積分)、化学、物理および物理化学に関する3年生までの基礎知識が必要である。電子材料学および無機材料特論の基礎となる科目である。各自十分予習、復習し、講義に備えること。
注意点:
正当な理由の場合を除き、授業を無断欠席しないこと。また、必ず期限どおりに課題を提出すること。

本科目の区分

Webシラバスと本校履修要覧の科目区分では表記が異なるので注意すること。
本科目は履修要覧(p.9)に記載する「③選択必修科目」である。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 原子構造と周期表 1
2週 元素の一般的性質 1
3週 化学結合 1
4週 結晶構造 2
5週 単位格子の規定 2
6週 化合物の結晶構造(1)
7週 中間試験
8週 化合物の結晶構造(2) 2
2ndQ
9週 セラミックスの微構造とバルク欠陥 3
10週 点欠陥 3
11週 転位 3
12週 表面、界面および粒界 3
13週 拡散(1) 4
14週 拡散(2) 4
15週 期末試験
16週 電気伝導と半導体理論(1) 5
後期
3rdQ
1週 電気伝導と半導体理論(2) 5
2週 熱力学の法則(1) 6
3週 熱力学の法則(2) 6
4週 相律と状態図の読み方、2成分系 7
5週 共晶型および包晶型状態図、2成分系の実例 7
6週 状態図の利用( 帯溶融法、凍結乾燥法、非平衡冷却) 7
7週 中間試験
8週 相転移の理論(1) 8
4thQ
9週 相転移の理論(2) 8
10週 固相の関与する反応(1) 8
11週 固相の関与する反応(2) 8
12週 セラミックスの合成・応用 9
13週 焼結(1) 10
14週 焼結(2) 10
15週 期末試験
16週 試験返却・総括

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野材料物性原子の結合の種類および結合力や物質の例など特徴について説明できる。4前1,前2,前3
結晶構造の特徴の観点から、純金属、合金や化合物の性質を説明できる。4前4
陽子・中性子・電子からなる原子の構造について説明できる。4前1
ボーアの水素原子模型を用いて、エネルギー準位を説明できる。4前1
4つの量子数を用いて量子状態を記述して、電子殻や占有する電子数などを説明できる。4前3
周期表の元素配列に対して、電子配置や各族および周期毎の物性の特徴を関連付けられる。4前3
結晶系の種類、14種のブラベー格子について説明できる。4前4,前5
ミラー指数を用いて格子方位と格子面を記述できる。4前5
代表的な結晶構造の原子配置を描き、充填率の計算ができる。4前4
無機材料パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。4前1
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質について説明できる。4前1
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。4前1,前2
イオン結合の形成と特徴について理解できる。4前3
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比などの基本的な計算ができる。4前4
セラミックス、金属材料、炭素材料、複合材料等、無機材料の用途・製法・構造等について説明できる。4後13
単結晶化、焼結、薄膜化、微粒子化、多孔質化などに必要な材料合成法について説明できる。4後14,後15
材料組織点欠陥である空孔、格子間原子、置換原子などを区別して説明できる。4前10,前11
線欠陥である刃状転位とらせん転位を理解し、変形機構と関連して説明できる。4前12
物質系の平衡状態について、安定状態、準安定状態、不安定状態を説明できる。4後5
ギブスの相律から自由度を求めて系の自由度を説明できる。4後6,後7
純金属の凝固過程での過冷却状態、核生成、結晶粒成長の各段階について説明できる。4後10,後11
2元系平衡状態図上で、てこの原理を用いて、各相の割合を計算できる。4後5
全率固溶体型の状態図を、自由エネルギー曲線と関連させて説明できる。4後5
共晶型反応の状態図を用いて、一般的な共晶組織の形成過程について説明できる。4後6
包晶型反応の状態図を用いて、一般的な包晶組織の形成過程について説明できる。4後6
格子間原子型および原子空孔型の拡散機構を説明できる。4前14,前15
拡散係数の物理的意味を説明できる。4前14,前15

評価割合

試験課題演習合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力020000020
専門的能力800000080
分野横断的能力0000000