概要:
無機材料学では,1~3年生で培った数学・理科の知識をベースにして,実学的な「固体物性」について学びを深める。
前期は電子物性を学んだあと,金属・半導体の各種物性(電気伝導率,熱伝導率,光反射率)およびバンド理論について学ぶ。
後期では材料物性に加えて,各種測定評価法の原理原則についても学ぶ。
これらはすべて,材料研究の応用に関する必須な知識であり,
確実な理解と知識の習得が肝要である。
授業の進め方・方法:
無機化学を発展させた科目であり,数学(微分・積分・三角関数),化学・物理および物理化学に関する3年生までの基礎知識が必須である。また,電子材料学および無機材料特論,エネルギー材料工学の基礎となる科目である。
各自十分予習、復習し、講義に備えること。
注意点:
正当な理由の場合を除き,授業を無断欠席しないこと。また,必ず期限どおりに課題を提出すること。
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 材料系分野 | 材料物性 | 原子の結合の種類および結合力や物質の例など特徴について説明できる。 | 4 | 前1,前2,前3,前14 |
結晶構造の特徴の観点から、純金属、合金や化合物の性質を説明できる。 | 4 | 前1,前2 |
陽子・中性子・電子からなる原子の構造について説明できる。 | 4 | 前1,前2,前5 |
ボーアの水素原子模型を用いて、エネルギー準位を説明できる。 | 4 | 前1,前2,前6 |
4つの量子数を用いて量子状態を記述して、電子殻や占有する電子数などを説明できる。 | 4 | 前1,前2,前3 |
周期表の元素配列に対して、電子配置や各族および周期毎の物性の特徴を関連付けられる。 | 4 | 前1,前2,前3 |
結晶系の種類、14種のブラベー格子について説明できる。 | 4 | 前5 |
ミラー指数を用いて格子方位と格子面を記述できる。 | 4 | 前5 |
代表的な結晶構造の原子配置を描き、充填率の計算ができる。 | 4 | |
不純物半導体のエネルギーバンドと不純物準位を描き、伝導機構について説明できる。 | 4 | 前9,前10,前11,前12,前13,前14 |
真性半導体の伝導機構について説明できる。 | 4 | 前9,前10,前11,前12,前13,前14 |
力学 | パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。 | 4 | 前1,前2,前3,前4,前9,前10,前11 |
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質について説明できる。 | 4 | 前1,前2,前3,前4,前9,前10,前11 |
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。 | 4 | 前1,前2 |
イオン結合の形成と特徴について理解できる。 | 4 | 前1,前2,前9,前10,前11 |
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比などの基本的な計算ができる。 | 4 | |
セラミックス、金属材料、炭素材料、複合材料等、無機材料の用途・製法・構造等について説明できる。 | 4 | 前6,前9,後13 |
単結晶化、焼結、薄膜化、微粒子化、多孔質化などに必要な材料合成法について説明できる。 | 4 | 後14,後15 |
金属材料 | 点欠陥である空孔、格子間原子、置換原子などを区別して説明できる。 | 4 | 前10,前11 |
線欠陥である刃状転位とらせん転位を理解し、変形機構と関連して説明できる。 | 4 | 前12 |
物質系の平衡状態について、安定状態、準安定状態、不安定状態を説明できる。 | 4 | 後5 |
ギブスの相律から自由度を求めて系の自由度を説明できる。 | 4 | 後6,後7 |
純金属の凝固過程での過冷却状態、核生成、結晶粒成長の各段階について説明できる。 | 4 | 後10,後11 |
2元系平衡状態図上で、てこの原理を用いて、各相の割合を計算できる。 | 4 | 後5 |
全率固溶体型の状態図を、自由エネルギー曲線と関連させて説明できる。 | 4 | 後5 |
共晶型反応の状態図を用いて、一般的な共晶組織の形成過程について説明できる。 | 4 | 後6 |
包晶型反応の状態図を用いて、一般的な包晶組織の形成過程について説明できる。 | 4 | 後6 |
格子間原子型および原子空孔型の拡散機構を説明できる。 | 4 | 前14,前15 |
拡散係数の物理的意味を説明できる。 | 4 | 前14,前15 |