概要:
羽根車によって流体とエネルギー変換を行うターボ機械の中から渦巻ポンプを設計課題として取り上げ,その原理や構造および特性の基礎を学習した後,設計のしかたを習得します。この授業では渦巻ポンプを数名単位のグループで討議しながら共同で設計することを通して,機械の設計から製作までの流れを体得し,専門知識を融合させた応用力と創造力を養うことを目的とします。
授業の進め方・方法:
受講者をグループ分けし,各グループは仮想の会社の構成員となる。会社毎に開発するポンプ仕様を決め,全員が設計計算を行ったあと,会社毎に設計値を話し合って決定する。設計値の決定には,多数の要素を複合的に考慮することが求められるため,最適解が一つとは限らず,創造性を発揮させて仕様に基づくポンプを設計することが要求される。それぞれが最終決定した設計値をもとに,教員によるデザインレビューを口頭試問により受けた後,ポンプ組立図や部品図の製図を行う。本授業では,ポンプの設計を通じて学生同士や教員と学生間での討議が活発に行われ,学生の創造性が高まる内容となっている。
注意点:
発表内容や計算書及び提出図面を70%,平素の授業状況等(取り組み状況等)を30%の割合で総合的に評価する。技術者が身につけるべき専門基礎として,基本的な設計計算の適用方法,具体的な装置の安全性評価に関する理解度,設計計算書の作成方法,製図の正確さを評価する。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
グループ分けと開発するポンプについての使用用途等を検討 |
グループ内で開発するポンプの用途について話し合い,ポンプの仕様について検討することができる。
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2週 |
開発するポンプについての仕様の決定 |
グループ内で開発するポンプの仕様を決定することができる。
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3週 |
開発するポンプの仕様についてのデザインレビュー,プレゼンテーション |
開発するポンプの用途や仕様についてグループでまとめ,発表することができる。
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4週 |
渦巻ポンプの基礎:原理及び構造,揚水系の設計,ポンプ諸元を決定する。 |
原理及び構造,揚水系の設計,ポンプ諸元について理解し,設計を進めることができる。
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5週 |
渦巻ポンプの設計:羽根車及びボリュート,主軸及び軸受,軸封装置の設計を行う。 |
羽根車の主要な設計について理解し,計算を行うことができる。
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6週 |
渦巻ポンプの設計:羽根車及びボリュート,主軸及び軸受,軸封装置の設計を行う。 |
ボリュート部の設計について理解し,計算を行うことができる。
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7週 |
渦巻ポンプの設計:羽根車及びボリュート,主軸及び軸受,軸封装置の設計を行う。 |
主軸及び軸封装置の設計について理解し計算することができる。
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8週 |
渦巻ポンプの設計:羽根車及びボリュート,主軸及び軸受,軸封装置の設計を行う。 |
渦巻ポンプの設計書を作成することができる。
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2ndQ |
9週 |
渦巻ポンプの計画図:羽根車及びボリュート計画図,主軸及び軸受計画図を製図する。 |
計算書に基づき渦巻きポンプの組立図を作図できる。
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10週 |
渦巻ポンプの計画図:羽根車及びボリュート計画図,主軸及び軸受計画図を製図する。 |
計算書に基づき渦巻きポンプの組立図を正しく作図できる。
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11週 |
渦巻ポンプの計画図:羽根車及びボリュート計画図,主軸及び軸受計画図を製図する。 |
計算書に基づき渦巻きポンプの組立図を各部品の役割を理解して正しく作図できる。
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12週 |
渦巻ポンプの製作図:羽根車及びボリュート製作図を製図する。 |
設計書に基づき羽根車の部品図をCADで作図できる。
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13週 |
渦巻ポンプの製作図:羽根車及びボリュート製作図を製図する。 |
寸法記入法,寸法公差,はめあい,加工法を考慮して羽根車の部品図をCADで作図できる。
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14週 |
渦巻ポンプの製作図:羽根車及びボリュート製作図を製図する。 |
設計書に基づきボリュート部の部品図をCADで作図できる。
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15週 |
渦巻ポンプの製作図:羽根車及びボリュート製作図を製図する。 |
寸法記入法,寸法公差,はめあい,加工法を考慮してボリュート部の部品図をCADで作図できる。
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 製図 | 図面の役割と種類を適用できる。 | 2 | |
製図用具を正しく使うことができる。 | 3 | |
線の種類と用途を説明できる。 | 3 | |
物体の投影図を正確にかくことができる。 | 3 | |
製作図の書き方を理解し、製作図を作成することができる。 | 2 | |
図形を正しく描くことができる。 | 3 | |
図形に寸法を記入することができる。 | 3 | |
公差と表面性状の意味を理解し、図示することができる。 | 3 | |
部品のスケッチ図を書くことができる。 | 3 | |
CADシステムの役割と構成を説明できる。 | 3 | |
CADシステムの役割と基本機能を理解し、利用できる。 | 3 | |
ボルト・ナット、軸継手、軸受、歯車などの機械要素の図面を作成できる。 | 3 | |
歯車減速装置、手巻きウインチ、渦巻きポンプ、ねじジャッキなどを題材に、その主要部の設計および製図ができる。 | 3 | |
歯車減速装置、手巻きウインチ、渦巻きポンプなどの部品図と組立図を作成できる。 | 3 | |
機械設計 | 機械設計の方法を理解できる。 | 2 | |
標準規格の意義を説明できる。 | 2 | |
ねじ、ボルト・ナットの種類、特徴、用途、規格を理解し、適用できる。 | 2 | |
軸の種類と用途を理解し、適用できる。 | 2 | |
軸の強度、変形、危険速度を計算できる。 | 3 | |
キーの強度を計算できる。 | 3 | |
軸継手の種類と用途を理解し、適用できる。 | 2 | |
滑り軸受の構造と種類を説明できる。 | 3 | |
転がり軸受の構造、種類、寿命を説明できる。 | 3 | |
熱流体 | 絶対圧力およびゲージ圧力を説明できる。 | 3 | |
連続の式を理解し、諸問題の流速と流量を計算できる。 | 3 | |
ベルヌーイの式を理解し、流体の諸問題に適用できる。 | 3 | |
層流と乱流の違いを説明できる。 | 3 | |
レイノルズ数と臨界レイノルズ数を理解し、流れの状態に適用できる。 | 3 | |
ダルシー・ワイスバッハの式を用いて管摩擦損失を計算できる。 | 3 | |
ムーディー線図を用いて管摩擦係数を求めることができる。 | 3 | |