ディジタル信号処理

科目基礎情報

学校 高知工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 ディジタル信号処理
科目番号 1046 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電気情報工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 教科書:渡部英二「ディジタル信号処理システムの基礎」(森北出版) 参考書:谷口慶治編「信号処理の基礎」(共立出版) 兼田 護「ディジタル信号処理の基礎」(森北出版)
担当教員 浦山 康洋

到達目標

【到達目標】
1.ディジタル信号の意味と取り扱い方法,離散時間信号系の構造と特性を理解し,説明できる。
2.DFT,FFTの原理を理解し,説明できる。
3.ディジタルフィルタの原理,ディジタル演算と演算誤差を理解し,説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1ディジタル信号と離散時間信号系の基礎及び応用例を説明でき,基本的な構造解析,特性解析ができる。ディジタル信号と離散時間信号系の基礎を理解し,初歩的な構造解析,特性解析ができる。ディジタル信号と離散時間信号系の基本的な構造・特性解析ができるが,基礎的な理解が深まっていない。
評価項目2DFT,FFTの原理を説明し,基本的なアルゴリズムを設計できる。DFT,FFTの原理を説明し,基本的な特性を解析できる。DFT,FFTの原理を説明できないが,簡単な特性解析はできる。
評価項目3アナログフィルタとディジタルフィルタの違いを理解し,典型的なFIRおよびIIRフィルタを設計できる。アナログフィルタとディジタルフィルタの違いを理解し,簡単なFIRおよびIIRフィルタを設計できる。簡単なFIRおよびIIRフィルタの改造設計はできるものの,部分的な理解に留まっている。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達目標 (B) 説明 閉じる
JABEE基準1(2) (d)(1) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
アナログ信号・信号処理と比較しながら,ディジタル信号とその処理について知識および基礎技術を修得します。ディジタル信号の時間領域および周波数領域での解析・処理について学び,ディジタルフィルタの設計について学びます。
授業の進め方・方法:
授業は板書による要点の解説とプリントによる演習を中心として進め,適宜,スライドやコンピュータシミュレーションによって実践的な技術力を養成する。
注意点:
試験の成績を60%,平素の学習状況等(課題・小テスト・レポート等を含む)を40%の割合で総合的に評価する。学期毎の評価は中間と期末の各期間の評価の平均,学年の評価は前学期と後学期の評価の平均とする。なお,通年科目における後学期中間の評価は前学期中間,前学期末,後学期中間の各期間の評価の平均とする。技術者が身につけるべき専門基礎として,到達目標に対する達成度を試験等において評価する。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 信号処理の概要[1]:信号処理の概念,ディジタル信号処理の歴史的背景,特徴について学ぶ。 信号処理の概念と基本的な用語を説明できる。
2週 離散時間信号とシステム [2-8]:信号とシステムの表現方法,周波数特性,z変換,伝達関数およびシステムの安定性について学ぶ。
信号のインパルス信号表現とステップ信号表現ができる。
3週 離散時間信号とシステム [2-8]:信号とシステムの表現方法,周波数特性,z変換,伝達関数およびシステムの安定性について学ぶ。
離散時間システムの差分方程式表現ができ,簡単な差分方程式を解いて,IIR,FIRの判定ができる。
4週 離散時間信号とシステム [2-8]:信号とシステムの表現方法,周波数特性,z変換,伝達関数およびシステムの安定性について学ぶ。
離散時間正弦波信号の特性値を計算でき,周波数伝達関数の振幅および位相特性を決定できる。
5週 離散時間信号とシステム [2-8]:信号とシステムの表現方法,周波数特性,z変換,伝達関数およびシステムの安定性について学ぶ。
簡単なz変換と逆z変換ができる。
6週 離散時間信号とシステム [2-8]:信号とシステムの表現方法,周波数特性,z変換,伝達関数およびシステムの安定性について学ぶ。
z変換をシステム解析に応用できる。
7週 離散時間信号とシステム [2-8]:信号とシステムの表現方法,周波数特性,z変換,伝達関数およびシステムの安定性について学ぶ。
パルス伝達関数を算定でき,その回路表現ができる。
8週 離散時間信号とシステム [2-8]:信号とシステムの表現方法,周波数特性,z変換,伝達関数およびシステムの安定性について学ぶ。
システムの安定性を判定できる。
2ndQ
9週 連続時間信号とシステム [9-11]:フーリエ変換,フーリエ級数,デルタ関数,連続時間信号システムについて学ぶ。
簡単なフーリエ変換を計算でき,フーリエ変換の性質を検証できる。
10週 連続時間信号とシステム [9-11]:フーリエ変換,フーリエ級数,デルタ関数,連続時間信号システムについて学ぶ。
周期信号のフーリエ級数を計算でき,デルタ関数をフーリエ変換できる。
11週 連続時間信号とシステム [9-11]:フーリエ変換,フーリエ級数,デルタ関数,連続時間信号システムについて学ぶ。 簡単な連続時間フィルタの特性解析ができる。
12週 連続時間信号の標本化[12-15]:標本化定理,周期信号の標本化について学ぶ。 標本化定理を説明でき,ナイキストレートを算定できる。
13週 連続時間信号の標本化[12-15]:標本化定理,周期信号の標本化について学ぶ。 帯域制限フィルタの構造と機能を理解し,出力波形を算定できる。
14週 連続時間信号の標本化[12-15]:標本化定理,周期信号の標本化について学ぶ。 ホールド回路およびオーバーサンプリングを理解し,その働きを説明できる。
15週 連続時間信号の標本化[12-15]:標本化定理,周期信号の標本化について学ぶ。 簡単な系のディジタルシミュレータを設計できる。
16週
後期
3rdQ
1週 離散フーリエ変換と高速フーリエ変換[1-5]:離散時間フーリエ変換,離散フーリエ級数,離散フーリエ変換(DFT),高速フーリエ変換(FFT)について学ぶ。
簡単な信号の離散時間フーリエ変換ができる。
2週 離散フーリエ変換と高速フーリエ変換[1-5]:離散時間フーリエ変換,離散フーリエ級数,離散フーリエ変換(DFT),高速フーリエ変換(FFT)について学ぶ。
簡単な信号を離散フーリエ級数展開できる。
3週 離散フーリエ変換と高速フーリエ変換[1-5]:離散時間フーリエ変換,離散フーリエ級数,離散フーリエ変換(DFT),高速フーリエ変換(FFT)について学ぶ。
離散フーリエ変換の定義を理解し,その諸性質を検証できる。
4週 離散フーリエ変換と高速フーリエ変換[1-5]:離散時間フーリエ変換,離散フーリエ級数,離散フーリエ変換(DFT),高速フーリエ変換(FFT)について学ぶ。
高速フーリエ変換のアルゴリズムを説明できる。
5週 離散フーリエ変換と高速フーリエ変換[1-5]:離散時間フーリエ変換,離散フーリエ級数,離散フーリエ変換(DFT),高速フーリエ変換(FFT)について学ぶ。 高速フーリエ変換のアルゴリズムを解析できる。
6週 ディジタルフィルタ[6-13]:ディジタルフィルタリング,無歪みフィルタリング,理想フィルタ,FIRフィルタの特性近似,IIRフィルタの特性近似,周波数変換,ディジタルフィルタの回路について学ぶ。
ディジタルフィルタの概念と種類を説明できる。
7週 ディジタルフィルタ[6-13]:ディジタルフィルタリング,無歪みフィルタリング,理想フィルタ,FIRフィルタの特性近似,IIRフィルタの特性近似,周波数変換,ディジタルフィルタの回路について学ぶ。 無歪みフィルタリングおよび理想フィルタと典型的な実現可能フィルタを説明できる。
8週 ディジタルフィルタ[6-13]:ディジタルフィルタリング,無歪みフィルタリング,理想フィルタ,FIRフィルタの特性近似,IIRフィルタの特性近似,周波数変換,ディジタルフィルタの回路について学ぶ。 FIR型伝達関数に対応する零位相伝達関数を計算でき,また,窓関数法を適用できる。
4thQ
9週 ディジタルフィルタ[6-13]:ディジタルフィルタリング,無歪みフィルタリング,理想フィルタ,FIRフィルタの特性近似,IIRフィルタの特性近似,周波数変換,ディジタルフィルタの回路について学ぶ。 伝達関数の双一次変換ができ,それによって得られる2次伝達関数を解析できる。
10週 ディジタルフィルタ[6-13]:ディジタルフィルタリング,無歪みフィルタリング,理想フィルタ,FIRフィルタの特性近似,IIRフィルタの特性近似,周波数変換,ディジタルフィルタの回路について学ぶ。 2次IIR形伝達関数の特徴パラメータを計算できる。
11週 ディジタルフィルタ[6-13]:ディジタルフィルタリング,無歪みフィルタリング,理想フィルタ,FIRフィルタの特性近似,IIRフィルタの特性近似,周波数変換,ディジタルフィルタの回路について学ぶ。 コサイン変調およびオールパス変換を用いて帯域通過フィルタを設計できる。
12週 ディジタルフィルタ[6-13]:ディジタルフィルタリング,無歪みフィルタリング,理想フィルタ,FIRフィルタの特性近似,IIRフィルタの特性近似,周波数変換,ディジタルフィルタの回路について学ぶ。 簡単なディジタルフィルタの回路を描画,解析できる。
13週 ディジタルフィルタ[6-13]:ディジタルフィルタリング,無歪みフィルタリング,理想フィルタ,FIRフィルタの特性近似,IIRフィルタの特性近似,周波数変換,ディジタルフィルタの回路について学ぶ。 転置フィルタ,ラティス形回路の解析,設計ができる。
14週 システム実現[14-15]:ディジタル信号処理の実現方法,演算,DSPついて学ぶ。 DSPにおける誤差解析とソフトウエアによる実現ができる。
15週 システム実現[14-15]:ディジタル信号処理の実現方法,演算,DSPついて学ぶ。 DSPの専用ハードウエアによる実現を例示できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価平素の学習状況等ポートフォリオその他合計
総合評価割合60004000100
基礎的能力5000300080
専門的能力1000100020
分野横断的能力0000000