制御工学演習

科目基礎情報

学校 高知工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 制御工学演習
科目番号 1070 科目区分 専門 / 必修
授業形態 演習 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電気情報工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 教科書:杉江俊治 他「フィードバック制御入門」(コロナ社) 参考書:北川 能 他「自動制御工学」(森北出版)
担当教員 榎本 隆二

到達目標

【到達目標】
1.伝達関数とブロック線図を用いたシステム表現ができる。
2.閉ループ伝達関数からシステムの過渡特性,定常特性および安定性を解析できる。
3.ボード線図等を用いてシステムの周波数特性の表現と解析ができる。
4.安定性,過渡特性,定常特性を考慮して簡単なフィードバック制御系を設計できる。
5.多自由度制御系を理解し,古典制御の特徴を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1動的システムの線形表現を理解した上で,ラプラス変換を経由して伝達関数とブロック線図でシステム表現できる。線形化されたシステム方程式について,ラプラス変換を経由して伝達関数とブロック線図でシステム表現できる。簡単なシステムの伝達関数は決定できるものの,線形化やブロック線図表現との関係が把握できていない。
評価項目2閉ループ伝達関数からシステムの過渡特性,定常特性を解析でき,主要な公式を導出できる。また,ラウス・フルビッツの安定判別法を様々な局面で活用できる。与えられた基本公式を変形して,閉ループ伝達関数からシステムの過渡特性,定常特性および安定性を解析できる。簡単なシステムの過渡応答は計算できるものの,伝達関数に関する理解が浅いために定常特性や安定性解析を使いこなせない。
評価項目3むだ時間要素を含むやや複雑なシステムの周波数特性をボード線図やベクトル軌跡で表現・解析できる。簡単で要素的なシステムの周波数特性をボード線図やベクトル軌跡で表現・解析できる。与えられたボード線図から周波数応答の状況を読み取ることができるものの,2次系の周波数応答の概略を描画できない。
評価項目4フィードバック制御系の安定性,過渡特性,定常特性を一巡伝達関数のボード線図から読み取ることができ,各種の特性補償を駆使して要求を満たす簡単なフィードバック制御系を設計できる。ナイキストの安定判別を理解し,安定性,過渡特性,定常特性を考慮して簡単で典型的なフィードバック制御系を設計できる。一巡伝達関数のボード線図から位相余裕,ゲイン余裕を読み取ることができるものの,それがフィードバック制御系の設計と結びつかない。
評価項目5フィードフォワードとフィードバックの役割を理解した上で,多自由度制御系の意味を理解し,古典制御の特徴と限界を説明できる。感度関数,相補感度関数を理解し,2自由度制御系の意味を理解し,古典制御の特徴を説明できる。感度関数,相補感度関数の計算はできるものの,2自由度制御系の理解にまでは至らない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達目標 (B) 説明 閉じる
JABEE基準1(2) (d)(1) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
古典制御理論による制御系の表現を学び,その代表的な解析手法および設計手法を修得する.
授業の進め方・方法:
授業は板書による要点の解説とプリントによる演習を中心として進め,適宜,グループ学習を織り込んで実践的技術力を要請する。
注意点:
試験の成績を60%,平素の学習状況等(課題・小テスト・レポート等を含む)を40%の割合で総合的に評価する。学期毎の評価は中間と期末の評価の平均,学年の評価は前学期と後学期の評価の平均とする。なお,通年科目における後学期中間の評価は前学期中間,前学期末,後学期中間の各期間の評価の平均とする。技術者が身につけるべき専門基礎として,上記の到達目標に対する達成度を試験等によって評価する。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 .序論[1]:フィードバック制御の基礎概念,基本構成および特性について学ぶ。 フィードバック制御の概念,基本的な構成を典型的な制御系について説明できる。
2週 動的システムの表現[2-7]:モデル化,ラプラス変換,伝達関数,ブロック線図について学ぶ。 ラプラス変換の典型的な公式を証明でき,ラプラス変換表を使って,システム方程式から伝達関数を計算できる。
3週 系の数式表現[2-7]:モデル化,ラプラス変換,伝達関数,ブロック線図について学ぶ。 電気回路およびオペアンプを含む線形電子回路のモデル化と伝達関数およびブロック線図による表現ができる。
4週 系の数式表現[2-7]:モデル化,ラプラス変換,伝達関数,ブロック線図について学ぶ。 機械系や熱系のモデル化と伝達関数およびブロック線図による表現ができる。
5週 系の数式表現[2-7]:モデル化,ラプラス変換,伝達関数,ブロック線図について学ぶ。 平衡状態近傍における線形化方程式を決定でき,水槽系の線形モデルと伝達関数およびブロック線図による表現ができる。
6週 系の数式表現[2-7]:モデル化,ラプラス変換,伝達関数,ブロック線図について学ぶ。 ブロック線図の等価変換を用いて複雑なブロック線図の簡略化や伝達関数の詳細なブロック線図表現ができる。
7週 系の数式表現[2-7]:モデル化,ラプラス変換,伝達関数,ブロック線図について学ぶ。 部分分数分解を経由してラプラス変換表を用いた逆ラプラス変換ができる。
8週 過渡応答と安定性[8-11]:インパルス応答,ステップ応答および安定解析について学ぶ。 1次系および2次系のインパルス応答とステップ応答を解析できる。
2ndQ
9週 過渡応答と安定性[8-11]:インパルス応答,ステップ応答および安定解析について学ぶ。 伝達関数の極と零点の配置から過渡応答の特性値を計算できる。
10週 過渡応答と安定性[8-11]:インパルス応答,ステップ応答および安定解析について学ぶ。 安定性の概念を説明でき,ラウスの安定判別法を使って安定解析ができる。
11週 過渡応答と安定性[8-11]:インパルス応答,ステップ応答および安定解析について学ぶ。 フルビッツの安定班別鳳を使って安定解析ができ,安定性の観点からフィードバック制御系の設計ができる。
12週 閉ループ系の特性[12-13]:感度解析,定常特性,根軌跡について学ぶ。 制御系の型を理解し,各種の定常偏差を計算できる。
13週 閉ループ系の特性[12-13]:感度解析,定常特性,根軌跡について学ぶ。 根軌跡の概念を説明でき,簡単な制御系の根軌跡の概形を描画できる。
14週 周波数応答[14-15]:周波数応答,ベクトル軌跡およびボード線図について学ぶ。 周波数伝達関数を計算でき,ベクトル軌跡およびボード線図を読むことができる。
15週 周波数応答[14-15]:周波数応答,ベクトル軌跡およびボード線図について学ぶ。 1次系および1次系の直列結合のボード線図を描き,解析できる。
16週
後期
3rdQ
1週 周波数応答(続き)[1-3]:ボード線図の描画と特性値の算定法を学ぶ。 2次系のボード線図を描き,解析できる。
2週 周波数応答(続き)[1-3]:ボード線図の描画と特性値の算定法を学ぶ。 やや複雑な系のボード線図の描画および解析ができる。
3週 周波数応答(続き)[1-3]:ボード線図の描画と特性値の算定法を学ぶ。 ボード線図から閉ループ系の各種の特性値を算定できる。
4週 閉ループ系の安定性[4-7]:内部安定性,閉ループ系の安定性を学ぶ。 閉ループ系の内部安定性を判定できる。
5週 閉ループ系の安定性[4-7]:内部安定性,閉ループ系の安定性を学ぶ。 複素関数論における巻数を理解し,ナイキストの安定判別定理を説明できる。
6週 閉ループ系の安定性[4-7]:内部安定性,閉ループ系の安定性を学ぶ。 ナイキストの安定判別定理を用いて,簡単な系の安定判別ができる。
7週 閉ループ系の安定性[4-7]:内部安定性,閉ループ系の安定性を学ぶ。 位相余裕,ゲイン余裕から系の安定性を判別できる。
8週 電気サーボ系[8-10]:電気サーボ系の構成とその伝達関数について学ぶ。 DCモータによる電気サーボ系の構成を理解し,その伝達関数を決定できる。
4thQ
9週 電気サーボ系[8-10]:電気サーボ系の構成とその伝達関数について学ぶ。 DCモータによるテーブルの速度制御系を設計できる。
10週 電気サーボ系[8-10]:電気サーボ系の構成とその伝達関数について学ぶ。 DCモータによるテーブルの位置制御系を設計できる。
11週 閉ループ系の設計[11-13]:PID制御およびループ整形について学ぶ。 PI補償,PD補償およびPID補償を理解し,その特性を説明できる。
12週 閉ループ系の設計[11-13]:PID制御およびループ整形について学ぶ。 代表的なPIDチューニング法を理解し,それを用いた制御系設計ができる。
13週 閉ループ系の設計[11-13]:PID制御およびループ整形について学ぶ。 位相遅れ補償,位相進み補償および位相進み遅れ補償を理解し,それを用いた制御系設計ができる。
14週 多自由度制御系[14-15]:2自由度制御系および他自由度制御系について学ぶ。 フィードフォワード制御とフィードバック制御の役割を理解し,簡単な2自由度制御系を設計できる。
15週 多自由度制御系[14-15]:2自由度制御系および他自由度制御系について学ぶ。 2自由度PID制御系,多自由度制御系から状態フィードバック制御までの制御系の構成を理解し説明できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合60000400100
基礎的能力3000020050
専門的能力2000010030
分野横断的能力1000010020