無機化学II

科目基礎情報

学校 高知工業高等専門学校 開講年度 平成28年度 (2016年度)
授業科目 無機化学II
科目番号 0025 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 物質工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材  教科書:一國雅巳「基礎無機化学」(裳華房)
担当教員 藤田 陽師

到達目標

【到達目標】
1.錯体と錯イオンの構造を理解し,錯体の命名法を使うことができる。
2.錯体におけるd軌道の分裂,高スピン錯体と低スピン錯体について理解できる。
3.配位子場理論について理解できる。
4.錯体の立体化学に関して,ヤーン-テラー歪み,幾何異性,光学異性について理解できる。
5.酸と塩基,及び酸化還元の強さについて理解できる。
6.錯体の生成定数と配位子置換について理解できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安    標準的な到達レベルの目安   未到達レベルの目安   
評価項目1 錯体の命名錯体と錯イオンの構造をよく理解し,錯体の命名法を十分に使うことができる。   錯体と錯イオンの構造を理解し,錯体の命名法を使える。      錯体と錯イオンの構造を理解せず,錯体の命名法を使うことができない。   
評価項目2 d軌道の分裂,高スピン錯体と低スピン錯体錯体におけるd軌道の分裂,高スピン錯体と低スピン錯体について十分に理解できる。   錯体におけるd軌道の分裂,高スピン錯体と低スピン錯体について理解できる。   錯体におけるd軌道の分裂,高スピン錯体と低スピン錯体について理解できない。   
評価項目3 配位子場理論配位子場理論についてよく理解できる。   配位子場理論について理解できる。   配位子場理論について理解できない。   
評価項目4 錯体の立体化学錯体の立体化学に関して,ヤーン-テラー歪み,幾何異性,光学異性についてよく理解できる。   錯体の立体化学に関して,ヤーン-テラー歪み,幾何異性,光学異性について理解できる。   錯体の立体化学に関して,ヤーン-テラー歪み,幾何異性,光学異性について理解できない。   
評価項目5 酸と塩基,及び酸化還元酸と塩基,及び酸化還元の強さについてよく理解できる。   酸と塩基,及び酸化還元の強さについて理解できる。   酸と塩基,及び酸化還元の強さについて理解できない。   
評価項目6 錯体の生成定数と配位子置換錯体の生成定数と配位子置換についてよく理解できる。   錯体の生成定数と配位子置換について理解できる。   錯体の生成定数と配位子置換について理解できない。   

学科の到達目標項目との関係

学習教育到達目標 (B) 説明 閉じる
JABEE基準1(2) (d)(3) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 無機化学は,物質工学の専門基礎科目の1つであり,3年生で学んだ無機化学Ⅰに引き続いて無機化学の専門基礎を学習する。本科目では,特徴的な無機物質の1つである錯体の構造と電子構造,およびその物性と溶液中での反応について学習し,化学技術者としての専門的基礎知識を習得する。
授業の進め方・方法:
教科書に沿って授業を進め,適宜課題を提出する。
注意点:
 試験の成績90%,平素の学習状況等(課題等を含む)を10%の割合で総合的に評価する。学年の評価は前学期中間及び前学期末の各期間の評価を平均する。技術者が身につけるべき専門基礎として,到達目標に対する達成度を試験等において評価する。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 錯体および錯イオンの定義、命名法について学ぶ。 錯体および錯イオンを正しく命名することができる。錯体および錯イオンの名称から分子式を書くことができる。
2週 錯体および錯イオンの立体構造について学ぶ 錯体の構造異性体を区別して書くことができる。錯体の名称から立体構造を書くことができる。
3週 水和物について学ぶ。 水和物について理解できる。
4週 d軌道の分裂について学ぶ 八面体錯体、四面体錯体、正方錯体、直線錯体について、d軌道の分裂を描くことができ、なぜそのような分裂になるのかを結晶場理論に基づいて説明することができる。
5週 高スピン錯体と低スピン錯体について学ぶ。 八面体錯体について、高スピン錯体と低スピン錯体を区別して電子配置を書くことができる。
6週 高スピン錯体と低スピン錯体について学ぶ。 錯体の電子配置からCFSEを計算することができる。
7週 高スピン錯体と低スピン錯体について学ぶ。 ヤーンテラー効果とは何か、電子配置図とともに説明することができる。
8週 錯体の光吸収特性および磁気特性について学ぶ d軌道分裂の特性からその錯体が何色か、予想できる。電子配置からその錯体の磁気モーメントを計算することができる。
2ndQ
9週 配位子置換と生成定数,配位子置換反応の速度について学ぶ。 配位子置換と生成定数,配位子置換反応の速度について学ぶ。
10週 配位子場理論について学ぶ 配位子場理論がどのようなものか概略を説明できる。
11週 配位子場理論について学ぶ σ配位子、π供与体配位子、π受容体配位子とは何か説明でき、それぞれの場合の錯体の分子軌道を描くことができる。
12週 配位子場理論から説明できる物性について学ぶ MLCT遷移、LMCT遷移について理解できる。分光化学系列について説明できる。配位子の置換活性について説明できる。
13週 酸と塩基の定義,酸,塩基の強さについて学ぶ。 ルイス酸について、酸性度を構造から定性的に比較できる。HSAB則について説明できる。
14週 酸化還元の定義,電子交換,酸化剤還元剤の強さ,不均化について学ぶ。 各化合物中の元素の酸化数を計算できる。酸化還元の半反応式を構築できる。酸化還元反応式を導出できる。
15週 酸化還元の定義,電子交換,酸化剤還元剤の強さ,不均化について学ぶ。 酸化剤、還元剤の強さを説明できる。不均化について説明できる。標準電極電位と酸化還元について説明できる
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野無機化学錯体化学で使用される用語(中心原子、配位子、キレート、配位数など)を説明できる。2
錯体の命名法の基本を説明できる。2
配位数と構造について説明できる。2
代表的な錯体の性質(色、磁性等)を説明できる。2
分析化学溶解度・溶解度積について理解し必要な計算ができる。3
強酸、強塩基および弱酸、弱塩基についての各種平衡について説明できる。3
強酸、強塩基、弱酸、弱塩基、弱酸の塩、弱塩基の塩のpHの計算ができる。3
緩衝溶液とpHの関係について説明できる。3
錯体の生成について説明できる。2

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオ小テスト・課題合計
総合評価割合90000010100
基礎的能力0000000
専門的能力90000010100
分野横断的能力0000000