無機化学I

科目基礎情報

学校 高知工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 無機化学I
科目番号 0099 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材  教科書:荻野博 他「基本無機化学」(東京化学同人) 参考書:田中 潔 他 「フレンドリー 物理化学」(三共出版)
担当教員 藤田 陽師

到達目標

【到達目標】
1. 原子の電子配置とオービタルのエネルギーについて説明できる。
2. 種々の化学結合と物質の性質について説明でき、そこから得られる分子の形や特性が類推できる。
3. 原子のイオン化エネルギー,ならびに,電子親和力と電気陰性度について理解している。
4. 簡単な金属結晶やイオン結晶についてその構造を理解し、特性を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 電子配置、軌道、およびエネルギー準位関連標準的な到達に加え、マイナーな元素、イオンの電子配置が答えられる。分子軌道図から分子の特性を説明できる。複雑な分子の混成軌道を答えることができる。原子やイオン種与えられればその電子配置が答えられる。二原子分子の分子軌道図を書くことができ、各準位の項の記号および結合特性が答えられる。基本的な分子の混成軌道を答えることができる。原子やイオンが与えられて、その電子配置が答えられない。基本的な二原子分子の分子軌道図を書くことができない。簡単な分子の混成軌道を描くことができない。
評価項目2 古典的な分子構造、分子の形標準的な到達に加え、複雑な分子に関してもその形、極性を類推することができる。分子式が与えられればその分子のLewis構造が描け、分子の形を予測でき、極性を答えることができる。分子のLewis構造を描くことができない。
評価項目3 イオン化エネルギー、電子親和力、原子の半径、イオン半径と周期律、物性標準的な到達に加え、遷移金属やランタノイドについてもイオン化エネルギー、電子親和力における傾向が説明できる。初歩的なイオン化エネルギー算出ができる。初歩的な電気陰性度の算出ができる。第二周期元素までについてはイオン化エネルギー、電子親和力と周期律の関係性について説明できる。原子半径、イオン半径と周期律の関係について説明でき、これらに関する専門用語について説明できる。初歩的なイオン化エネルギー算出や電気陰性度算出ができない。イオン化エネルギー、電子親和力、原子半径、イオン半径と周期律、物性を対応して説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
材料を学ぶ基礎となる無機化学を学ぶ。原子の電子配置,周期律表,各種化学結合と初歩的な固体構造について学習する。
授業の進め方・方法:
授業は随時演習を取り入れた講義形式で進めていく。この中で、平均週1回を目安に前週までの内容に関する小テストを実施する。また、必要に応じて随時課題がある。
注意点:
試験の成績90%,小テストと課題からなる平常点10% の割合で総合的に評価する。学期毎の評価は中間と期末の各期間の評価の平均,学年の評価は前学期と後学期の評価の平均とする。なお,後学期中間の評価は前学期中間,前学期末,後学期中間の各期間の評価の平均とする。技術者が身につけるべき専門基礎として,到達目標に対する達成度を試験等において評価する。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 原子の構造の学習に先がけ、必要な光波の諸物性について復習する。 光波の諸物性の計算ができる。 光のエネルギー計算ができる。
2週 光電効果について学習する。
水素原子の発光スペクトルについて学習する。
光電効果現象を説明でき、水素原子の発光スペクトルについて説明できる。
3週 水素原子の発光スペクトルについて学習する。
ボーアの水素モデルについて学習する。ド・ブロイ波について学習する。
各種発光系列を理解しており、その波長の計算ができる。
ボーアの水素モデルについて、その導出を理解し、各量子数でのエネルギー計算ができる。ド・ブロイ波とは何かを理解し、説明できる。
4週 水素原子についてのシュレディンガー方程式の帰結について学習する。 シュレディンガー方程式の存在を理解しており、現れた各種の量子数と軌道の関係が理解できる。原子軌道の図を正しく書くことができる。
5週 水素原子についてのシュレディンガー方程式の帰結について学習する。 シュレディンガー方程式の存在を理解しており、現れた各種の量子数と軌道の関係が理解できる。原子軌道の図を正しく書くことができる。
6週 電子配置に関する規則を学び、原子の電子配置について学習する。 パウリの排他則およびフントの規則を利用して、各原子の電子配置を正しく書くことができる。
7週 電子配置に関する規則を学び、原子の電子配置について学習する。
周期表と電子配置の関係を学習する。
パウリの排他則およびフントの規則を利用して、各原子の電子配置を正しく書くことができる。
周期表と電子配置の相関を理解できる。周期表上の各種ブロックを答えることができる。
8週 前期中間試験 前期期末試験を通してこれまでの内容における到達目標を達成できる。
2ndQ
9週 単原子イオンの電子配置について学習する。 パウリの排他則およびフントの規則を利用して、各イオンの電子配置を正しく書くことができる。
10週 電子軌道の遮蔽と貫入について学ぶ。 各元素、イオンの有効核電荷を計算できる。電子軌道の貫入とは何かを理解し、説明できる。
11週 周期律とイオン化エネルギー、電子親和力、原子半径、イオン半径の関係について学ぶ。 原子番号とイオン化エネルギー、電子親和力、イオン半径の相関グラフをもとにして、その相関性について説明できる。ランタノイド収縮とは何か説明できる。
12週 周期律とイオン化エネルギー、電子親和力、原子半径、イオン半径の関係について学ぶ。 原子番号とイオン化エネルギー、電子親和力、イオン半径の相関グラフをもとにして、その相関性について説明できる。ランタノイド収縮とは何か説明できる。
13週 元素の電気陰性度について学ぶ。 各種の電気陰性度の特徴を説明でき、必要な物性データを用いて算出できる。
14週 元素の電気陰性度について学ぶ。 各種の電気陰性度の特徴を説明でき、必要な物性データを用いて算出できる。
15週 前期期末試験 前期期末試験を通してこれまでの内容における到達目標を達成できる。
16週
後期
3rdQ
1週 原子軌道の混成について学ぶ。 原子軌道の混成のイメージを理解している。指定した原子の混成軌道を正しく答えることができる。
2週 水素分子の分子軌道について学ぶ。 分子軌道に関する専門用語が意味するところを理解したうえで水素分イオン、水素分子、ヘリウム二量体等のの分子軌道図を描ける。
3週 等核二原子分子の分子軌道について学習する。 分子軌道に関する専門用語が意味するところを理解したうえで等核二原子分子の分子軌道図を描ける。 分子軌道図からその分子の磁性について、答えることができる。
4週 異核二原子分子の分子軌道について学習する。 分子軌道に関する専門用語が意味するところを理解したうえで異核二原子分子の分子軌道図を描ける。
5週 分子のルイス構造について学ぶ。 分子のLewis構造を描くことができる。
6週 分子のルイス構造について学ぶ。 分子のLewis構造を描くことができる。
7週 後期中間試験 後期中間試験を通してこれまでの内容における到達目標を達成できる。
8週 ルイス構造を基にした、分子の形の予測方法について学ぶ。 VSEPR理論を使い、分子の形を正しく答えることができる。
4thQ
9週 ルイス構造を基にした、分子の形の予測方法について学ぶ。 VSEPR理論を使い、分子の形を正しく答えることができる。
10週 結合の分極と分子の極性について学ぶ。 分子式、分子名を見てその分子の形からその分子が極性分子か、無極性分子か判別できる
11週 代表的な金属結晶構造について学ぶ。また格子定数の基本的な計算方法を学ぶ。
金属結晶の格子情報から、密度や充填率を算出する方法を学ぶ。
代表的な結晶構造について構造と名称の対応がつく。ブラッグの反射条件を理解している。
結晶格子の特徴から、金属結晶の密度や充填率等を算出することができる。充填率が何か説明できる。
12週 代表的なイオン結晶の構造について学習する。またこれらの密度や充填率等を算出する方法を学ぶ。 代表的な結晶構造について構造と名称の対応がつく。 結晶格子の特徴から、イオン結晶の密度や充填率等を算出することができる。
13週 格子エネルギーについて学習し、さらに格子エネルギーの見積もり方について学習する。 格子エネルギーとは何か理解し、必要な物性データを用いて算出することができる。
14週 格子エネルギーについて学習し、さらに格子エネルギーの見積もり方について学習する。 格子エネルギーとは何か理解し、必要な物性データを用いて算出することができる。
15週 学年末試験 学年末試験を通してこれまでの内容における到達目標を達成できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学混成軌道を用い物質の形を説明できる。2
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。3
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。3
共鳴構造について説明できる。2
無機化学主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。2
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。2
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。2
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。2
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。3
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。3
イオン結合と共有結合について説明できる。3
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。3
金属結合の形成について理解できる。3
代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)や分子軌道法(MO法)から共有結合を説明できる。3
電子配置から混成軌道の形成について説明することができる。3
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。2

評価割合

試験小テスト、課題合計
総合評価割合9010100
基礎的能力50656
専門的能力30333
分野横断的能力10111