物理化学III

科目基礎情報

学校 高知工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 物理化学III
科目番号 1054 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:田中 潔 他「フレンドリー物理化学」(三共出版)、 参考書:宮崎栄三「化学熱力学」(裳華房) 千原英昭・稲葉章訳「アトキンス物理化学要論」(東京化学同人)
担当教員 中林 浩俊

到達目標

【到達目標】
1.反応速度の表し方と濃度・温度依存性について説明・計算ができる。
2.起電力と平衡との関係について説明・計算ができる。
3.放射性壊変と放射線、および、核分裂反応と原子力について、説明ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安      標準的な到達レベルの目安      未到達レベルの目安      
評価項目1 反応速度論反応速度の表し方と濃度・温度依存性について応用計算ができる。   反応速度の表し方と濃度・温度依存性について説明・基本的な計算ができる。   反応速度の表し方と濃度・温度依存性について説明・基本的な計算ができない。   
評価項目2 電気化学分野ネルンストの式を十分に理解し、濃度と標準酸化還元電位が与えられれば、各種電池の起電力、平衡定数、ギブズの自由エネルギーを求めることができる。   起電力と平衡との関係について説明・計算ができる。   起電力と平衡との関係について説明・計算ができない。   
評価項目3 核化学分野放射性壊変と放射線、および、核分裂反応と原子力について、半減期、エネルギー計算ができる。    放射性壊変と放射線、および、核分裂反応と原子力について、説明ができる。    放射性壊変と放射線、および、核分裂反応と原子力について、説明ができない。   

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
4年次までに学んだ「物理化学Ⅰ・Ⅱ」をもとに,物質工学における基礎知識として必要な化学反応の速度、電気化学、および、核化学に関する基本を習得する。
授業の進め方・方法:
授業は随時演習を取り入れた講義形式で進めていく。この中で随時小テストや演習を実施する。また、必要に応じて課題の提出を求める。
注意点:
試験の成績90%,小テストと課題からなる平常点10% の割合で総合的に評価する。学年の評価は前学期中間及び前学期末の各期間の評価を平均する。技術者が身につけるべき専門基礎として,到達目標に対する達成度を試験等において評価する。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 1. 化学反応の速さ[1-5]:速度式,反応次数,速度と諸条件,触媒作用、反応速度等に関する演習も交えながら、学習する。 化学反応の反応次数を理解する。
2週 1. 化学反応の速さ[1-5]:速度式,反応次数,速度と諸条件,触媒作用、反応速度等に関する演習も交えながら、学習する。 一次反応について反応速度式で表すことができ、半減期を求めることができる。
3週 1. 化学反応の速さ[1-5]:速度式,反応次数,速度と諸条件,触媒作用、反応速度等に関する演習も交えながら、学習する。 二次反応および高次反応の反応速度を反応速度式で表すことができる。
4週 1. 化学反応の速さ[1-5]:速度式,反応次数,速度と諸条件,触媒作用、反応速度等に関する演習も交えながら、学習する。 反応速度の温度依存性を調べるため、アレニウスプロットを作成し、活性化エネルギーを求めることができる。
5週 1. 化学反応の速さ[1-5]:速度式,反応次数,速度と諸条件,触媒作用、反応速度等に関する演習も交えながら、学習する。 衝突理論、遷移状態理論の概念を理解し、反応機構について考察することができる。
6週 1. 化学反応の速さ[1-5]:速度式,反応次数,速度と諸条件,触媒作用、反応速度等に関する演習も交えながら、学習する。 定常状態近似法や律速段階近似法を用いて,基本的な化学反応の反応速度式の導出ができる。
7週 1. 化学反応の速さ[1-5]:速度式,反応次数,速度と諸条件,触媒作用、反応速度等に関する演習も交えながら、学習する。 ミカエリス・メンテン機構を理解したうえで、酵素反応の反応速度式の導出ができる。
8週 2. 電気化学 [10-12]:化学電池,酸化還元反応,電極電位,起電力と平衡,起電力と熱力学について、電気化学に関する演習を交えながら、学習する。 酸化還元反応と参加数の変化について理解する。
2ndQ
9週 2. 電気化学 [10-12]:化学電池,酸化還元反応,電極電位,起電力と平衡,起電力と熱力学について、電気化学に関する演習を交えながら、学習する。 ダニエル電池における化学反応を理解する。
10週 2. 電気化学 [10-12]:化学電池,酸化還元反応,電極電位,起電力と平衡,起電力と熱力学について、電気化学に関する演習を交えながら、学習する。 ネルンストの式を理解し,起電力と平衡定数,ギブズの自由エネルギーを計算できる。
11週 2. 電気化学 [10-12]:化学電池,酸化還元反応,電極電位,起電力と平衡,起電力と熱力学について、電気化学に関する演習を交えながら、学習する。 標準電極電位と電極反応を理解する。
12週 2. 電気化学 [10-12]:化学電池,酸化還元反応,電極電位,起電力と平衡,起電力と熱力学について、電気化学に関する演習を交えながら、学習する。 基本的な実用電池を知る。
13週 3. 核化学[6-9]:放射線壊変と放射線、核分裂反応と原子力について学習する。表現について理解を深める。
放射性核種と放射線の種類と特性を理解する。
14週 3. 核化学[6-9]:放射線壊変と放射線、核分裂反応と原子力について学習する。

放射性物質の半減期と核の結合エネルギーが算出できる。
15週 3. 核化学[6-9]:放射線壊変と放射線、核分裂反応と原子力について学習する。
核分裂反応によるエネルギー授受の計算ができ、原子力発電への応用について理解する。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野物理化学放射線の種類と性質を説明できる。3前13
放射性元素の半減期と安定性を説明できる。3前14
年代測定の例として、C14による時代考証ができる。3前14
核分裂と核融合のエネルギー利用を説明できる。3前15
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。3前1
反応速度定数、反応次数の概念を理解して、計算により求めることができる。3前1
微分式と積分式が相互に変換できて半減期が求められる。3前2
連続反応、可逆反応、併発反応等を理解している。3
律速段階近似、定常状態近似等を理解し、応用できる。3前6
衝突理論を理解して、アレニウスプロットを説明できる。3前4,前5
活性錯合体理論を理解して、アイリングプロットを説明できる。3
活性状態のエンタルピー、エントロピー、自由エネルギーの関係を定量的に説明できる。3
ネルンストの式を用いて、起電力、自由エネルギー、平衡定数の関係が説明できる。3前10
電池反応と電気分解を理解し、実用例を説明できる。3前11,前12

評価割合

試験課題・小テスト合計
総合評価割合9010100
基礎的能力000
専門的能力9010100
分野横断的能力000