概要:
建築物の構造設計の役割・目的を整理し、構造計画と構造計算を含めた構造設計の流れを学び、新耐震設計法の基本的な考え方、骨組に作用する荷重および力の流れを学習する。その上で、許容応力度等計算による鉄筋コンクリート造や鋼構造の柱・はりの断面設計法の基本を身につけることより、建築技術者としての専門的基礎知識を習得する。
授業の進め方・方法:
建築物の構造設計の役割・目的、設計の流れ、および、骨組の形状、骨組に作用する荷重、力の伝わり方や構造材料を検討する構造計画と、新耐震設計法による計算ルートや断面設計を行う構造計算について学習する。最近、多くの建築物に用いられている制振構造や免震構造の考え方についても学習する。この科目は学習単位科目であるため、事前・事後学習として設計課題やレポートの作成、さらにその発表を実施する。
注意点:
試験の成績を60%,平素の学習状況等(課題・小テスト・レポート等を含む)を40%の割合で総合的に評価する。学年の評価は後学期中間と後学期末の各期間の成績を平均して評価する。技術者が身につけるべき専門基礎として,到達目標に対する達成度を試験等において評価する。
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
建築構造設計とは[1-2]:建築設計全体の流れと構造設計の役割、目的を学習する。 |
建築設計全体の流れと構造設計の役割、目的を説明できる。
|
2週 |
建築構造設計とは[1-2]:構造設計全体の流れと設計段階における実施内容を学習する。 |
構造設計の全体の流れと計画・基本・実施・施工設計における実施内容を説明できる。
|
3週 |
骨組形式[3-4]:木造および鋼構造の建築図から骨組の構成と構造図の作図法の基本を学ぶ。 |
木造および鋼構造の建築図から骨組の構造図(伏図と軸組図)が作図できる。
|
4週 |
骨組形式[3-4]:鉄筋コンクリート造の建築図から骨組形式と構造図の作図法の基本を学ぶ。 |
鉄筋コンクリート造の建築図から骨組の構造図(伏図と軸組図)が作図できる。
|
5週 |
荷重と外力[5-7]:建築構造物に作用する固定荷重・積載荷重と積雪荷重の求め方を学習する。 |
建築構造物に作用する固定荷重・積載荷重と積雪荷重を求めることができる。
|
6週 |
荷重と外力[5-7]:建築構造物に作用する風圧力の求め方を学習する。 |
建築構造物に作用する風圧力を計算することができる。
|
7週 |
荷重と外力[5-7]:構造物に作用する地震力の求め方を学習する。 |
建築構造物に作用する地震力を計算することができる。
|
8週 |
新耐震設計法[8-9]新耐震設計法の基本的な考え方を学習する。 |
新耐震設計法の基本である1次設計と2次設計、耐震設計を行う場合の計算ルートが説明できる
|
4thQ |
9週 |
新耐震設計法[8-9]:大地震を想定した構造設計の概要及び耐震構造の基礎を学習する。 |
骨組の保有水平耐力と必要保有水平耐力を説明できる。
|
10週 |
鋼構造[10-12]:鋼材ができるまで、鋼材の種類、接合方法(ボルト接合、溶接接合)を学習する。 |
鋼材ができるまで、鋼材の種類、接合方法(ボルト接合、溶接接合)を説明できる。
|
11週 |
鋼構造[10-12]:部材の設計上の注意点(座屈・横座屈)を考慮した部材の許容応力度を学習する。 |
部材の設計上の注意点(座屈・横座屈)を考慮した部材の許容応力度を説明できる。
|
12週 |
鋼構造[10-12]:軸力、曲げモーメント、せん断力を受ける部材の断面設計を学習する。 |
軸力、曲げモーメント、せん断力を受ける鋼部材の断面設計ができる。
|
13週 |
鉄筋コンクリート造[13-14]鉄筋とコンクリートおよび付着の許容応力度を学習する。 |
鉄筋とコンクリートおよび付着の許容応力度を説明できる。
|
14週 |
鉄筋コンクリート造[13-14]曲げモーメントを受けるはりと曲げモーメントと軸力を受ける柱の断面設計法を学習する。 |
曲げモーメントを受けるはりと曲げモーメントと軸力を受ける柱の断面設計ができる。
|
15週 |
最近の構造設計[15-15]:免震構造,制振構造や耐震診断の基礎を学習する。 |
耐震構造、制振構造、免震構造を説明できる。
|
16週 |
|
|
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 建築系分野 | 材料 | 建築材料の変遷や発展について説明できる。 | 2 | |
建築材料の規格・要求性能について説明することができる。 | 2 | |
木材の種類について説明できる。 | 3 | |
傷(節など)について説明できる。 | 2 | |
耐久性(例えば腐れ、枯渇、虫害など)について説明できる。 | 2 | |
耐火性について説明できる。 | 2 | |
近年の木材工業製品(集成材、積層材など)の種類について説明できる。 | 2 | |
セメントの製造方法(廃棄物の利用も含む)について説明できる。 | 2 | |
セメントの種類・特徴について説明できる。 | 2 | |
コンクリート用軽量骨材があることを知っている。 | 2 | |
混和材(剤)料の種類(例えばAE剤と減水剤、フライアッシュやシリカフュームなど)をあげることができる。 | 1 | |
コンクリートの調合のうち、水セメント比の計算ができる。 | 2 | |
スランプ、空気量について、強度または、耐久性の観点でその影響について説明できる。 | 2 | |
コンクリートの強度(圧縮、引張、曲げ、せん断)の関係について説明できる。 | 3 | |
各種(暑中・寒中など)・特殊(水密、高強度など)コンクリートの名称をあげることができる。 | 2 | |
コンクリート製品(ALC、プレキャストなど)の特徴について説明できる。 | 2 | |
建築用構造用鋼材の種類(SS、SM、SNなど)・性質について説明できる。 | 3 | |
建築用鋼製品(丸鋼・形鋼・板など)の特徴・性質について説明できる。 | 3 | |
非鉄金属(アルミ、銅、ステンレスなど)の分類、特徴をあげることができる。 | 2 | |
屋根材(例えば和瓦、洋瓦、金属、アスファルト系など)の特徴をあげることができる。 | 1 | |
タイルの種類、特徴をあげることができる。 | 1 | |
下地材の種類(例えば繊維板、パーティクルボード、石こうボードなど)をあげることができる。 | 1 | |
床の仕上げ材料(カーペット、フローリング、レベリング、長尺シート等)をあげることができる。 | 1 | |
構造 | 建築構造の成り立ちを説明できる。 | 3 | |
建築構造(W造、RC造、S造、SRC造など)の分類ができる。 | 3 | |
力の定義、単位、成分について説明できる。 | 3 | |
断面一次モーメントを理解し、図心を計算できる。 | 3 | |
断面二次モーメント、断面相乗モーメント、断面係数や断面二次半径などの断面諸量を計算できる。 | 3 | |
弾性状態における応力とひずみの定義、力と変形の関係を説明でき、それらを計算できる。 | 3 | |
曲げモーメントによる断面に生じる応力(引張、圧縮)とひずみの関係を理解し、それらを計算できる。 | 3 | |
はり断面内のせん断応力分布について説明できる。 | 2 | |
骨組構造物に作用する荷重の種類について説明できる。 | 3 | |
各種構造の設計荷重・外力を計算できる。 | 3 | |
トラスの種類を説明でき、トラスの部材力の意味について説明できる。 | 2 | |
節点法や切断法を用いて、トラスの部材応力を計算できる。 | 3 | |
はりの断面に作用する内力としての応力(軸力、せん断力、曲げモーメント)、応力図(軸力図、せん断力図、曲げモーメント図)について説明することができる。 | 3 | |
応力と荷重の関係、応力と変形の関係を用いてはりのたわみの微分方程式を用い、幾何学的境界条件と力学的境界条件について説明でき、たわみやたわみ角を計算できる。 | 2 | |
不静定構造物の解法の基本となる応力と変形関係について説明できる。 | 2 | |
圧縮力を受ける柱の分類(短柱・長柱)が出来、各種支持条件に対するEuler座屈荷重を計算できる。 | 3 | |
偏心圧縮柱の応力状態を説明できる。 | 3 | |
ラーメンやその種類について説明できる。 | 2 | |
ラーメンの支点反力、応力(軸力、せん断力、曲げモーメント)を計算し、その応力図(軸力図、せん断力図、曲げモーメント図)をかくことができる。 | 3 | |
構造力学における仕事やひずみエネルギーの概念について説明できる。 | 2 | |
仕事やエネルギーの概念を用いて、構造物(例えば梁、ラーメン、トラスなど)の支点反力、応力(図)、変形(たわみ、たわみ角)を計算できる。 | 3 | |
構造物の安定性、静定・不静定の物理的意味と判別式の誘導ができ、不静定次数を計算できる。 | 3 | |
静定基本系(例えば、仮想仕事法など)を用い、不静定構造物の応力と、支点反力を求めることができる。 | 3 | |
いずれかの方法(変位法(たわみ角法)、固定モーメント法など)により、不静定構造物の支点反力、応力(図)を計算できる。 | 3 | |
木構造の特徴・構造形式について説明できる。 | 3 | |
木材の接合について説明できる。 | 3 | |
基礎、軸組み、小屋組み、床組み、階段、開口部などの木造建築の構法を説明できる。 | 2 | |
鋼構造物の復元力特性と設計法の関係について説明できる。 | 2 | |
S造の特徴・構造形式について説明できる。 | 3 | |
鋼材・溶接の許容応力度について説明できる。 | 3 | |
軸力のみを受ける部材の設計の計算ができる。 | 3 | |
軸力、曲げを受ける部材の設計の計算ができる。 | 3 | |
曲げ材の設計の計算ができる。 | 3 | |
鉄筋コンクリート造(ラーメン構造、壁式構造、プレストレストコンクリート構造など)の特徴・構造形式について説明できる。 | 3 | |
構造計算の設計ルートについて説明できる。 | 2 | |
建物の外力と変形能力に基づく構造設計法について説明できる。 | 2 | |
断面内の応力の分布について説明できる。 | 2 | |
許容曲げモーメントを計算できる。 | 3 | |
主筋の算定ができる。 | 3 | |
釣合い鉄筋比について説明ができる。 | 2 | |
中立軸の算定ができる。 | 3 | |
許容せん断力を計算できる。 | 3 | |
せん断補強筋の算定ができる。 | 3 | |
終局曲げモーメントについて説明できる。 | 2 | |
終局剪断力について説明できる。 | 2 | |
断面内の応力の分布について説明できる。 | 2 | |
許容曲げモーメントを計算できる。 | 3 | |
MNインターラクションカーブについて説明できる。 | 2 | |
主筋の算定ができる。 | 3 | |
釣合い鉄筋比について説明ができる。 | 3 | |
中立軸の算定ができる。 | 3 | |
許容せん断力を計算できる。 | 3 | |
せん断補強筋の算定ができる。 | 3 | |
終局曲げモーメントについて説明できる。 | 2 | |
終局剪断力について説明できる。 | 2 | |
基礎形式(直接、杭)の分類ができる。 | 2 | |
基礎形式別の支持力算定方を説明できる。 | 2 | |
マグニチュードの概念と震度階について説明できる。 | 2 | |
地震被害を受けた建物の破壊等の特徴について説明できる。 | 2 | |
施工・法規 | 設計図書と施工図の関係について説明できる。 | 2 | |
工作物の定義について説明できる。 | 2 | |
建築手続きに関する用語について説明できる。 | 1 | |
建築基準法に基づき、建築物の面積、高さ、階数が算定できる。 | 1 | |
一般構造(構造方法に関する技術的基準)の法令文を読み、適用できる。 | 2 | |
構造強度(構造計算方法に関する規定)の法令文を読み、適用できる。 | 2 | |
防火・耐火・内装制限に関する法令を探すことができる。 | 1 | |
建築設備関連法令を探すことができる。 | 1 | |
高さ制限について説明できる。 | 2 | |
確認と許可について説明できる。 | 2 | |
建築基準法に関連する法律関係(例えば都市計画法、消防法、ハートビル法、品確法、建築士法、建設業法、労働安全衛生規則など)の法令を探すことができる。 | 2 | |