現代物理学B

科目基礎情報

学校 高知工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 現代物理学B
科目番号 6111 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 専攻科(一般・専門基礎共通科目) 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:教材として,自作のレジュメを用いる。
担当教員 谷澤 俊弘

到達目標

【到達目標】
1.統計力学の考え方を理解し,その考え方に基づいて理想気体の熱力学諸量を計算し,その物理的意味を考察することができる。
2.シュレディンガー方程式の導出ができ,さらに,シュレディンガー方程式を利用して,簡単な量子力学問題を解き,その物理的意味を考察することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1エントロピー・絶対温度の概念を正しく理解し,理想気体の状態方程式の微視的な導出が正しくできる。エントロピー・絶対温度の概念を正しく理解し,理想気体の状態方程式の微視的導出方法を正しく説明することができる。エントロピー・絶対温度の概念が正しく理解できず,理想気体の状態方程式の微視的な導出方法を正しく説明することができない。
評価項目21次元シュレディンガー方程式が正しく導出でき,束縛問題,散乱問題の双方に正しく適用することができる。1次元シュレディンガー方程式が正しく導出でき,束縛問題あるいは散乱問題のいずれかに正しく適用することができる。1次元シュレディンガー方程式が正しく導出できず,束縛問題・散乱問題のいずれにも正しく適用することができない。
評価項目3

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 説明 閉じる
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教育方法等

概要:
さまざまな物質の性質(物性)を理解するための基礎となる,量子力学と統計力学の考え方を学ぶ。基本的な問題について,具体的な計算を行い,数式とその物理的イメージを結びつけて理解できるようになることを目標とする。
授業の進め方・方法:
主として,授業進度に合わせた自作のレジュメをもとに講義形式で授業を進めるが,必要に応じて問題演習も取り入れる。また,理解度を確認し知識を定着させるために,適宜,レポートの提出を課す。
注意点:
試験の成績を70%,平素の学習状況等(課題・小テスト・レポート等を含む)を30%の割合で総合的に評価する。実務に応用できる専門基礎として,到達目標に対する達成度を試験等において評価する。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 理想気体の熱力学について学ぶ。[1-3] 理想気体の熱力学の基本的な知識を正しく理解できる。
2週 理想気体の熱力学について学ぶ。[1-3] 熱機関についての基本的な知識を正しく理解できる。
3週 理想気体の熱力学について学ぶ。[1-3] カルノー機関についての基本的な知識を正しく理解できる。
4週 エントロピーの統計力学における定義について学ぶ。[4-6] カルノーの定理・絶対温度についての基本的な知識を正しく理解できる。
5週 エントロピーの統計力学における定義について学ぶ。[4-6] エントロピーについての基本的な知識を正しく理解できる。
6週 エントロピーの統計力学における定義について学ぶ。[4-6] ここまでの基本的な知識を正しく適用して,カルノーの定理を証明した上で,エントロピーの定義とその意義を正しく導出することができる。
7週 自由エネルギーについて学ぶ。[7] 熱力学の諸法則を用い,自由エネルギーやエントロピーから状態方程式を導出する過程を正しく理解し,具体的な問題に適用することができる。
8週 理想気体の熱力学的諸量の導出について学ぶ。[8-9] 小正準分布についての基本的な知識を正しく理解することができる。
4thQ
9週 理想気体の熱力学的諸量の導出について学ぶ。[8-9] 小正準分布を正しく適用して,理想気体の状態方程式を導出することができる。
10週 シュレディンガー方程式の成り立ちについて学ぶ。[10-12] 量子力学の基本原理である粒子と波の同等性について正しく理解することができる。
11週 シュレディンガー方程式の成り立ちについて学ぶ。[10-12] 自由粒子の波動関数について正しく理解することができる。
12週 シュレディンガー方程式の成り立ちについて学ぶ。[10-12] 1次元シュレディンガー方程式の導出を正しく理解することができる。
13週 シュレディンガー方程式の応用について学ぶ。[13-15]

1次元シュレディンガー方程式を正しく適用して,1次元粒子の束縛問題を解くことができる。
14週 シュレディンガー方程式の応用について学ぶ。[13-15]

1次元シュレディンガー方程式を正しく適用して,1次元粒子の簡単な散乱問題を解くことができる。
15週 シュレディンガー方程式の応用について学ぶ。[13-15]

1次元シュレディンガー方程式を正しく適用して,1次元粒子の量子トンネル問題を解くことができる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。3
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。3
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3
物体に作用する力を図示することができる。3
力の合成と分解をすることができる。3
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。3
慣性の法則について説明できる。3
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。3
運動方程式を用いた計算ができる。3
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。3
最大摩擦力に関する計算ができる。3
動摩擦力に関する計算ができる。3
仕事と仕事率に関する計算ができる。4
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。4
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。4
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。4
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。4
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。4
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。4
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。4
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。4
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。4
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。4
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.4
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。4
力のモーメントを求めることができる。3
角運動量を求めることができる。3
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3
重心に関する計算ができる。3
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。4
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。4
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。4
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。4
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。4
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。4
気体の内部エネルギーについて説明できる。4
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。4
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。4
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。4
熱機関の熱効率に関する計算ができる。4
波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。3
横波と縦波の違いについて説明できる。3
波の重ね合わせの原理について説明できる。4
波の独立性について説明できる。4
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。4
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。4
ホイヘンスの原理について説明できる。4
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。4
弦の長さと弦を伝わる波の速さから、弦の固有振動数を求めることができる。3
気柱の長さと音速から、開管、閉管の固有振動数を求めることができる(開口端補正は考えない)。3
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。3
一直線上の運動において、ドップラー効果による音の振動数変化を求めることができる。3
自然光と偏光の違いについて説明できる。3
光の反射角、屈折角に関する計算ができる。3
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。3
電気導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。3
オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。3
抵抗を直列接続、及び並列接続したときの合成抵抗の値を求めることができる。3
ジュール熱や電力を求めることができる。3

評価割合

試験発表相互評価課題・レポート等ポートフォリオその他合計
総合評価割合70003000100
基礎的能力3500150050
専門的能力3500150050
分野横断的能力0000000