概要:
実数値をとる変数の実数値関数については,本科の微分積分等でその性質や扱い方を学んできた。この授業では,複素数値をとる変数の関数を対象とする解析学(微分積分学)の基礎を学ぶことを目的とする。
授業の進め方・方法:
講義形式の授業で、主に以下の内容を学ぶ。
1.正則関数:正則関数の定義・諸性質等を学び、Cauchy-Riemannの関係式により与えられた複素関数が正則であるか否か判定出来ることを詳しく解説する。
2.複素積分:複素積分の定義・諸性質等を学び、具体的な関数の与えられた曲線に沿う積分値を求めることが理解出来るよう、詳しく解説する。
3.Cauchyの積分定理:複素関数論において基本的で重要な定理であるので、理解を深めることが出来るよう沢山の例題を通して詳しく解説し、その後、Cauchyの積分表示や導関数の積分表示についても指導する。
4.留数定理:具体的な関数の積分値を留数定理を用いて求めることが出来るよう詳しく解説し、実数を積分変数とするある種の定積分の値を求めることが出来るよう指導する。
注意点:
試験の成績を60%,平素の学習状況等(課題・小テスト・レポート等を含む)を40%の割合で総合的に評価する。実務に応用できる専門基礎知識として,到達目標に対する達成度を試験等において評価する。
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
1. 複素関数,正則関数[1-2] |
指数関数や三角関数の性質を定義に基づいて理解出来る。
|
2週 |
1. 複素関数,正則関数[1-2] |
複素関数の微分法の性質が理解出来る。正則関数の定義を正確に把握出来る。
|
3週 |
2. Cauchy-Riemannの関係式,正則関数による写像[3-5] |
Cauchy-Riemannの関係式が理解出来る。
|
4週 |
2. Cauchy-Riemannの関係式,正則関数による写像[3-5] |
正則な関数の導関数を求めることが出来る。正則関数による写像を具体例を通して複素数平面に描くことが出来る。
|
5週 |
2. Cauchy-Riemannの関係式,正則関数による写像[3-5] |
写像の等角性や多価関数、逆関数の導関数などを具体例を通して理解出来る。
|
6週 |
3. 複素積分,Cauchyの積分定理[6-9] |
複素積分の定義を正確に把握出来る。
|
7週 |
3. 複素積分,Cauchyの積分定理[6-9] |
複素積分の諸性質を導くことが出来、具体的に計算出来る。
|
8週 |
3. 複素積分,Cauchyの積分定理[6-9] |
Cauchyの積分定理が理解出来る。
|
2ndQ |
9週 |
3. 複素積分,Cauchyの積分定理[6-9] |
Cauchyの積分定理やその応用を使って具体的に積分の値を求めることが出来る。
|
10週 |
4. Cauchyの積分表示,関数の展開[10-12] |
Cauchyの積分表示を使って、具体的な積分の値を求めることが出来る。
|
11週 |
4. Cauchyの積分表示,関数の展開[10-12] |
数列の極限の諸性質を使って、数列の収束・発散を具体的に計算出来る。べき級数の収束・発散を具体的に計算出来る。
|
12週 |
4. Cauchyの積分表示,関数の展開[10-12] |
テーラー展開、ローラン展開を具体例を通して計算出来る。
|
13週 |
孤立特異点と留数,留数定理[13-15] |
孤立特異点と留数計算を具体例を通して計算出来る。
|
14週 |
孤立特異点と留数,留数定理[13-15] |
留数定理を使って、具体的に積分の値を求めることが出来る。
|
15週 |
孤立特異点と留数,留数定理[13-15] |
留数定理を利用して,実数を積分変数とするある種の定積分の値を求めることができる。
|
16週 |
|
|
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 数学 | 数学 | 数学 | 指数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。 | 4 | 前1 |
三角関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。 | 4 | 前1 |
無限等比級数等の簡単な級数の収束・発散を調べ、その和を求めることができる。 | 4 | 前11,前14 |
簡単な場合について、関数の極限を求めることができる。 | 4 | 前2,前13 |
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。 | 4 | |
導関数の定義を理解している。 | 3 | 前4,前5 |
積・商の導関数の公式を用いて、導関数を求めることがができる。 | 4 | 前2 |
合成関数の導関数を求めることができる。 | 4 | 前2 |
三角関数・指数関数・対数関数の導関数を求めることができる。 | 4 | |
逆三角関数を理解し、逆三角関数の導関数を求めることができる。 | 4 | |
関数の増減表を書いて、極値を求め、グラフの概形をかくことができる。 | 4 | |
極値を利用して、関数の最大値・最小値を求めることができる。 | 4 | |
簡単な場合について、関数の接線の方程式を求めることができる。 | 3 | |
2次の導関数を利用して、グラフの凹凸を調べることができる。 | 4 | 前12 |
関数の媒介変数表示を理解し、媒介変数を利用して、その導関数を求めることができる。 | 4 | |
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。 | 3 | 前6 |
置換積分および部分積分を用いて、不定積分や定積分を求めることができる。 | 4 | 前9,前10 |
定積分の定義と微積分の基本定理を理解し、簡単な定積分を求めることができる。 | 3 | |
微積分の基本定理を理解している。 | 3 | 前7 |
定積分の基本的な計算ができる。 | 4 | 前10,前14,前15 |
置換積分および部分積分を用いて、定積分を求めることができる。 | 4 | 前9,前10,前14,前15 |
分数関数・無理関数・三角関数・指数関数・対数関数の不定積分・定積分を求めることができる。 | 4 | 前10 |
2変数関数の定義域を理解し、不等式やグラフで表すことができる。 | 3 | |
いろいろな関数の偏導関数を求めることができる。 | 4 | |
合成関数の偏微分法を利用して、偏導関数を求めることができる。 | 4 | |
簡単な関数について、2次までの偏導関数を求めることができる。 | 4 | |
偏導関数を用いて、基本的な2変数関数の極値を求めることができる。 | 4 | |