ディジタル制御

科目基礎情報

学校 高知工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 ディジタル制御
科目番号 7002 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械・電気工学専攻 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:自作プリント,参考書:美多他「基礎ディジタル制御」(コロナ社)
担当教員 榎本 隆二

到達目標

1.ディジタル制御システムに必要な機器構成や要素技術を理解し,説明できる。
2.離散時間システムの表現と可制御・可観測性,過渡特性,定常特性及び安定性を解析できる。
3.レギュレータ系,サーボ系の状態フィードバック及び出力フィードバックを理解し,簡単なディジタル制御系を設計できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1ディジタル制御システムに必要な機器構成や要素技術を理解し,説明できる。ディジタル制御システムに必要な機器構成や要素技術のいくつかを説明できる。ディジタル制御システムに必要な機器構成や要素技術の理解が断片的で統合されていない。
評価項目2離散時間システムの表現と可制御・可観測性,過渡特性,定常特性及び安定性を解析できる。離散時間システムの表現と可制御・可観測性,過渡特性,定常特性及び安定性のうち,いくつかの項目を解析できる。離散時間システムの表現はできるものの,特性解析に結びつかない。
評価項目3レギュレータ系,サーボ系の状態フィードバック及び出力フィードバックを理解し,簡単なディジタル制御系を設計できる。レギュレータ系,サーボ系の状態フィードバック及び出力フィードバックを理解し,与えられた構成のディジタル制御系のパラメータを決定できる。簡単なレギュレータの構造は理解しているが,具体的な設計には結びつかない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
本講義では,ディジタル制御を導入する場合に必要とされる状態方程式,連続系の離散化,可制御性と可観測性,安定性,状態フィードバック,最適制御などディジタル制御の基礎的事項と,実システムの構築に必要な計測・情報技術の役割について理解させる。
授業の進め方・方法:
授業は板書による要点の解説とプリントによる演習を中心として進め,適宜,スライドやコンピュータシミュレーションによって実践的な技術力を養成する。
注意点:
定期試験の成績を60%,平素の学習状況(課題)を40%の重みで総合的に評価する。事前学習として,次の授業範囲の内容を教科書で確認して未知の専門用語を列挙すること。事後学習として,教科書の例題および章末演習問題,さらに配布されたプリントを行うこと。関連科目は制御工学である。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 1. 状態フィードバック制御の概要[1]:古典制御と現代制御の関連を学ぶ。 古典制御の多自由度フィードバック系から現代制御の状態フィードバック系に至る考え方を把握し,説明できる。
2週 2. 状態方程式と伝達関数行列[2]:状態方程式と伝達関数行列について学ぶ。 他入力他出力システムの状態方程式表現と伝達関数行列表現ができる。
3週 3. 遷移行列と行列指数関数[3]:ジョルダン細胞を踏まえた行列指数関数の計算法を学ぶ。 線形連続時間状態方程式を解ける。
4週 4. 状態方程式の離散化[4, 5]:z変換とパルス伝達関数について学ぶ。 連続時間状態方程式の離散化とパルス伝達関数表現ができる。
5週 4. 状態方程式の離散化[4, 5]:z変換とパルス伝達関数について学ぶ。 z変換ができ,z変換からパルス伝達関数を決定できる。
6週 5. 安定性解析[6,7]:ジュリーの定理,リャプノフの定理とその応用を学ぶ。 ジュリーの定理を用いて離散時間系の安定性解析ができる。
7週 5. 安定性解析[6,7]:ジュリーの定理,リャプノフの定理とその応用を学ぶ。 リャプノフの定理を用いて離散時間系の安定性解析ができる。
8週 7. 可制御性・可観測性[8]:システムの可制御性・可観測性・可安定性,正準構造分解を学ぶ。 現代制御理論の基本概念を説明できる。
2ndQ
9週 8. 逆変換[9]:連続時間系への逆変換とサンプリング定理ついて学ぶ。 離散時間系を逆変換でき,また,サンプリング定理を使ったサンプリング周期の決定ができる。
10週 9. ディジタルレギュレータの設計[10,11,12]:極指定制御,全状態及び最小次元オブザーバーを併用した極指定制御,有限整定制御,最適レギュレータについて学ぶ。 離散系の極指定状態フィードバック制御系及び有限整定制御系を設計できる。
11週 9. ディジタルレギュレータの設計[10,11,12]:極指定制御,全状態及び最小次元オブザーバーを併用した極指定制御,有限整定制御,最適レギュレータについて学ぶ。 離散時間系の各種オブザーバー併用出力フィードバック系を設計できる。
12週 9. ディジタルレギュレータの設計[10,11,12]:極指定制御,全状態及び最小次元オブザーバーを併用した極指定制御,有限整定制御,最適レギュレータについて学ぶ。 簡単な線形最適レギュレータを設計できる。
13週 10. ディジタルサーボ系[13]:内部モデル原理,出力レギュレーションとサーボ系設計を学ぶ。 簡単なディジタルサーボ系を設計できる。
14週 11. 様々なディジタル制御系[14,15]:ディジタル再設計とディジタル制御系の実例を学ぶ。

実例に基づいて,ディジタル制御系設計を説明できる。
15週 11. 様々なディジタル制御系[14,15]:ディジタル再設計とディジタル制御系の実例を学ぶ。

実例に基づいて,ディジタル再設計を説明できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野計測制御計測の定義と種類を説明できる。3
測定誤差の原因と種類、精度と不確かさを説明できる。3
国際単位系の構成を理解し、SI単位およびSI接頭語を説明できる。3
代表的な物理量の計測方法と計測機器を説明できる。3
自動制御の定義と種類を説明できる。4
フィードバック制御の概念と構成要素を説明できる。4
基本的な関数のラプラス変換と逆ラプラス変換を求めることができる。4
ラプラス変換と逆ラプラス変換を用いて微分方程式を解くことができる。4
伝達関数を説明できる。4
ブロック線図を用いて制御系を表現できる。4
制御系の過渡特性について説明できる。4
制御系の定常特性について説明できる。4
制御系の周波数特性について説明できる。4
安定判別法を用いて制御系の安定・不安定を判別できる。4
電気・電子系分野制御伝達関数を用いたシステムの入出力表現ができる。4
ブロック線図を用いてシステムを表現することができる。4
システムの過渡特性について、ステップ応答を用いて説明できる。4
システムの定常特性について、定常偏差を用いて説明できる。4
システムの周波数特性について、ボード線図を用いて説明できる。4
フィードバックシステムの安定判別法について説明できる。4

評価割合

試験発表相互評価態度小テストその他合計
総合評価割合60000400100
基礎的能力2000010030
専門的能力3000020050
分野横断的能力1000010020