パワーエレクトロニクス特論

科目基礎情報

学校 高知工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 パワーエレクトロニクス特論
科目番号 7015 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械・電気工学専攻 対象学年 専2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 参考書:野村,藤原,吉田「PSIMで学ぶ基礎パワーエレクトロニクス」(電気書院)
担当教員 中田 祐樹

到達目標

1. 半導体電力変換の必要性が理解できていること。
2. パワエレの基本回路である,整流回路,チョッパ回路,インバータ回路の動作を解析でき,応用について検討できること。
3. パワエレ回路のシミュレーション技法を使い,回路の動作解析ができること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1半導体電力変換の必要性を説明でき,目的に応じた変換手法を検討できる。半導体電力変換の必要性を説明できる。半導体電力変換の必要性を説明できない。
評価項目2パワエレの基本回路について動作を解析でき,応用について検討できる。パワエレの基本回路について動作を解析できる。パワエレの基本回路について動作を解析できない。
評価項目3シミュレーション技法を用いて,回路の動作解析ができ,電圧・電流等の関係を説明できる。シミュレーション技法を用いて,回路の動作解析ができる。シミュレーション技法を用いて,回路の動作解析ができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
電力を効率よく変換,制御するパワーエレクトロニクスの知識は,エネルギーの有効利用や各種電気機器の高性能化の見地から,電気技術者にとって不可欠なものとなっている。
本講義では電気機器やパワーエレクトロニクスの基礎を学んできた学生を対象に,より詳細な半導体電力変換器の動作原理,解析法について講義し,この技術の応用能力を高める。
授業の進め方・方法:
基礎事項に重点を置きつつも,具体性を持たせるため,講義にシミュレーション実習を取り入れる。シミュレーション解析ツールとして,PSIM demoを用いる。そのためノートパソコン(Windowsが動作するものが望ましい)が必要となる。
注意点:
【成績評価の基準・方法】
 試験の成績を60%(中間試験を授業中に実施し,試験の成績は中間試験と学期末試験の平均により求める),平素の学習状況等(課題・小テスト・レポート等を含む)を40%の割合で総合的に評価する。実務に応用できる専門基礎として,到達目標に対する達成度を試験等において評価する。
また,全ての課題,レポートの提出が完了していることが単位認定の要件である。
【事前・事後学習】
【学修単位科目(授業時間外の学習時間等)】
本科目は学修単位のため,以下の標準学習時間を設定した自主学習を累計45時間分以上実施して提出しなければ,成績が60点を超えた場合でも59点として扱い単位を認定しない。
・全15回の授業に対して,0.5時間の事前学習と2.5時間の事後学習(課題レポート作成)。計45時間分。
事前学習として,次回実施予定の課題(事前に配布)の内容を理解して授業に臨むこと。また,事後学習として授業内で指示した課題レポートを提出すること。課題レポートは自分なりの考察,検討を加えて提出をすること。
【履修上の注意】
この科目を履修するにあたり,本科3年生の電気回路I,電子回路I,4年生の電気回路II,電気機器,電子回路II,5年生のパワーエレクトロニクスの内容および応用数学で学ぶフーリエ級数展開・フーリエ変換の内容を十分に理解しておくこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 パワーエレクトロニクスの基礎事項を学ぶ。 半導体電力変換の必要性とその概要について説明できる。
2週 PSIM demoの使い方,およびシミュレーション解析手法について学ぶ PSIMで回路を描き,出力波形を読み取ることができる。
3週 半波整流回路について講義し,そのシミュレーション解析を行う。 半波整流回路の動作を説明できる。半波整流回路のシミュレーションができる。
4週 全波整流回路(サイリスタ)について講義し,そのシミュレーション解析を行う。 全波整流回路(サイリスタ)の動作を説明できる。全波整流回路(サイリスタ)のシミュレーションができる。
5週 全波整流回路(ダイオード)について講義し,そのシミュレーション解析を行う。 全波整流回路(ダイオード)の動作を説明できる。全波整流回路(ダイオード)のシミュレーションができる。
6週 降圧チョッパ回路について講義し,そのシミュレーション解析を行う。 降圧チョッパの動作を説明できる。降圧チョッパ回路のシミュレーションができる。
7週 昇圧チョッパ回路について講義し,そのシミュレーション解析を行う。 昇圧チョッパの動作を説明できる。昇圧チョッパ回路のシミュレーションができる。
8週 パワーエレクトロニクスの基礎事項と各種回路(整流回路,チョッパ回路)のシミュレーションに関する総合的演習を行う。確認試験(中間試験)も実施する。 パワーエレクトロニクスの各要素について説明できる。各種回路のシミュレーションができる。
2ndQ
9週 方形波出力インバータ回路について講義し,そのシミュレーション解析を行う。 方形波出力インバータ回路の動作と出力波形の高調波について説明できる。方形波出力インバータ回路のシミュレーションができる。
10週 正弦波出力インバータ回路の正弦波変調方法について講義し,そのシミュレーション解析を行う。 正弦波変調の仕組みと高調波について説明できる。正弦波出力インバータ回路のシミュレーションができる。
11週 フィルタ回路および制御回路(アナログ)の設計手法について学ぶ。 フィルタ回路および制御回路(アナログ)の設計ができる。
12週 双方向チョッパ回路の自動電流制御(ACR)の設計法について学ぶ。 双方向チョッパ回路の自動電流制御(ACR)の設計ができる。
13週 シミュレーション解析を用いて,双方向チョッパ回路の自動電流制御(ACR)の設計を行う。 双方向チョッパ回路の自動電流制御(ACR)の設計ができる。双方向チョッパ回路の自動電流制御(ACR)のシミュレーションができる。
14週 シミュレーション解析を用いて,双方向チョッパ回路の自動電流制御(ACR)の設計を行う。 双方向チョッパ回路の自動電流制御(ACR)の設計ができる。双方向チョッパ回路の自動電流制御(ACR)のシミュレーションができる。
15週 パワーエレクトロニクスの応用と次世代デバイスの利用につて学ぶ。 パワーエレクトロニクスの応用先と次世代デバイスの特徴について説明できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系電気回路電荷と電流、電圧を説明できる。3前1,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。3前1,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10
キルヒホッフの法則を説明し、直流回路の計算に用いることができる3前1,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10
合成抵抗や分圧・分流の考え方を説明し、直流回路の計算に用いることができる。3前1,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。4前1,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。4前1,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。3前1,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10
R,L,C素子における正弦波交流電圧と電流の関係を説明できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10
瞬時値を用いて、簡単な交流回路の計算ができる。3
キルヒホッフの法則を説明し、交流回路の計算に用いることができる。4前1,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を説明し、これらを交流回路の計算に用いることができる。3前1,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10
RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10
電子回路ダイオードの特徴を説明できる。3前1,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10
演算増幅器の特性を説明できる。3前11
反転増幅器や非反転増幅器等の回路を説明できる。2
電力変圧器の原理、構造、特性を説明でき、その等価回路が理解できる。4
半導体電力変換装置の原理と働きについて説明できる。4前1,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前12,前13,前14,前15
高調波障害について理解している。4
制御伝達関数を用いたシステムの入出力表現ができる。3前11,前12,前13,前14
ブロック線図を用いたシステムの表現方法が理解できる。3前11,前12,前13,前14
システムの過渡特性についてステップ応答を用いて説明できる。3前11,前12,前13,前14
システムの定常特性について、定常偏差を用いて説明できる。3前11,前12,前13,前14

評価割合

試験課題,小テスト,レポート合計
総合評価割合6040100
基礎的能力401555
専門的能力101525
分野横断的能力101020