物理II

科目基礎情報

学校 高知工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 物理II
科目番号 B2013 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 SD 基礎教育・一般科目 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:高等学校検定済教科書 「改訂 物理基礎」(第一学習社),「物理」(第一学習社) 問題集:「セミナー 物理基礎+物理」(第一学習社),改訂ネオパルノート物理基礎(第一学習社),スタディノート物理(第一学習社)
担当教員 高野 弘

到達目標

【到達目標】 授業計画に記述した各項目の到達目標
   1.静電気力に関するクーロンの法則を説明できる。電場・電位の考え方を説明でき基本的な計算ができる。
   2.導体および誘電体について説明できる。コンデンサーの電気容量の計算ができる。
   3.運動量と力積の関係および運動量保存の法則を説明できて,様々な物理量の計算に利用できる。
   4.波の伝わり方を表す物理量,波の種類,波の基本的な性質について説明できる。
   5.波の独立性や重ね合わせの原理を用いて干渉現象の計算ができる。ホイヘンスの原理に基づき波の反射・屈折や回折を説明できる。屈折の法則を利用して屈折角を計算できる。
   6.音に関して,音の3要素やうなり,共鳴現象を説明できる。発音体の固有振動数の計算ができる。ドップラー効果による振動数変化の計算ができる。
   7.光に関して,偏光,分散,散乱現象を説明できる。屈折の法則を用いて反射角・屈折角および全反射の臨界角の計算ができる。
   8.電子と光における「粒子と波動の二重性」について説明できる。エネルギーと振動数,運動量と波長の関係式を用いて,各物理量の計算ができる。。
上記の到達目標を達成することにより,物理の基礎的な考え方と問題解決方法を体得する。
とともに,法則を系統的に理解して種々の問題に応用するという物理の典型的な学習法を身につける。


 到達目標の具体的な記述表現とレベルとの対応を以下に記す。
  1. “知る・学ぶ(知識・記憶レベル)”と記した項目については,項目に関して得た知識を基に,定性的な説明ができる。
  2. “理解する・計算できる(理解レベル)”と記した項目については,基本公式から計算(または作図)によって,定量的に現象を説明できる。
  3. “演習を行う・応用できる(適用レベル)”と記した項目については,体得した手法を具体的な問題に適用して問題を解決できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1静電気学に関して,体系立った知識を体得して,法則を具体的な問題に応用して必要な物理量を算出できる。静電気学に関して,個別に知識を獲得して,法則を用いて,基礎的な物理量を算出できる。静電気学に関して,知識の修得が十分でなく,基礎的な物理量を算出できない。
評価項目2運動量と力積の関係並びに運動量保存の法則に関して,体系立った知識を体得して,関係や法則を具体的な問題に応用して必要な物理量を算出できる。運動量と力積の関係並びに運動量保存の法則に関して,個別に知識を獲得して,関係や法則を用いて基礎的な物理量を算出できる。運動量と力積の関係並びに運動量保存の法則に関して,知識の修得が十分でなく,基礎的な物理量を算出できない。
評価項目3波動現象および具体例の音波・光波に関して,体系立った知識を体得して,法則を具体的な問題に応用して必要な物理量を算出できる。波動現象および具体例の音波・光波に関して,個別に知識を獲得して,法則を用いて基礎的な物理量を算出できる。波動現象および具体例の音波・光波に関して,知識の修得が十分でなく,基礎的な物理量を算出できない。
評価項目4電子と光における「粒子と波動の二重性」に関して,体系立った知識を体得して,具体的な問題に対して体系的な説明ができる。電子と光における「粒子と波動の二重性」に関して,個別に知識を獲得して,基礎的な物理量の説明ができる。電子と光における「粒子と波動の二重性」に関して,知識の修得が十分でなく,基礎的な物理量の説明ができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 1.静電気力に関する法則や電場・電位,
 2.運動量と力積の関係や運動量保存の法則,
 3.波の基本的な性質や法則およびその具体例としての音波や光波,
 4.現代物理学としての電子と光,
に関して学習して具体的な演習問題を解くことにより,物理の基礎的な考え方(物の見方)と問題解決方法を身に着ける。法則を系統的に理解して種々の問題に応用するという物理の典型的な学習法を身につける。
 検定済み教科書および問題集を用いて,教科書に掲載された法則および公式を学習し,それらを適用する基本(標準)問題が解けるレベルの力量を身に着ける。更に,既習事項との関連を理解して,応用(総合)問題が解けるレベルを目指す。

 授業では,事前に配布した授業計画に基づき,教科書の予習(新用語,法則,式)ノートの相互点検,復習・質問から始めて,前半(50%)を学習内容の説明や例題演習の模範解答等の授業にあてるので,ノートテイク・質問等を通してその時その場での理解を目指す。後半(50%)は学生自身が問題演習を行い学習項目の定着を図る。問題演習は,教科書の問題や教科書準拠の問題集を各自で解答することを原則として,班別での学習支援(教え合い・学び合い)を通して主体的な学びになるように努める。問題集の基本(標準)レベル問題は課題プリントとして配布して宿題演習(自己採点を行う。判らない項目は質問を受け付ける。)とする。予習・授業・復習の繰り返しで,着実に力を付ける。基本(標準)問題の解答ができるレベルを合格ラインとする。

 実力不足の学生は,毎週の「物理演習Ⅱ」を受講して,弱点を克服して,自学自習できる力を養う。
授業の進め方・方法:
授業計画を参照
注意点:
 定期試験の成績を70%,平素の学習状況等(提出物・平常(実力)試験等)を30%の割合で総合的に評価することを原則とする。前学期の評価は前学期中間と前学期末の各期間の総合評価,後学期中間の評価は前学期中間,前学期末,後学期中間の各期間の総合評価,学年の評価は前学期中間,前学期末,後学期中間,後学期末の各期間の総合評価とする。
 専門科目を学ぶための基礎として,1.静電気学における法則や電場・電位,2.運動量と力積の関係および運動量保存の法則,3.波の基本的な性質や法則およびその具体例としての音波と光波,4.現代物理学としての電子と光,に関する学習の理解度を評価する。
電気回路や時間変動する電磁場に関しては,電気基礎で学習する。剛体のつり合いや円運動・単振動に関しては,力学基礎で学習する。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位 1.電場
 電荷と静電気力[1-2]
電荷とその間に働く静電気力,電気量保存の法則について説明できる。クーロンの法則を使える。
2週 第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位 1.電場
 電場と重ね合わせの原理[3-4]
電場の定義(考え方)を理解して,点電荷のつくる電場を,重ね合わせの原理を用いて,算出できる。
3週 第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位 1.電場
 電気力線[5-6]
電気力線の定義(考え方)およびガウス法則を説明できる。一様分布電荷のつくる電場を計算できる。
4週 第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位 1.電場
 総合演習[7-8]
電場に関する標準的なレベルの問題を解くことができる。
5週 第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位 2.電位
 電位と電位差[9-10]
電位(位置エネルギー)の定義および電場(力)と電位差(仕事)の関係を説明できる。
6週 第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位 2.電位
 等電位面と電気力線[11-12]
点電荷の電位を計算して,等電位面を描画できる。等電位線と電気力線との関係を説明できる。
7週 第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位 2.電位
 静電誘導と誘電分極[13-14]
導体の静電誘導や静電遮蔽を説明できる。絶縁体(誘電体)の誘電分極を説明できる。
8週 第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位 2.電位
 総合演習[15-16]
電位に関する標準的なレベルの問題を解くことができる。
2ndQ
9週 第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位 3.コンデンサー
 コンデンサーの原理と電気容量[17-18]
コンデンサーの仕組みを理解して電気容量を計算できる。誘電体による電気容量変化を比誘電率で扱える。
10週 第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位 3.コンデンサー
 コンデンサーの接続と静電エネルギー[19-20]
並列接続,直列接続したコンデンサーの合成容量が計算できる。静電エネルギーの計算ができる。
11週 第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位 3.コンデンサー
 総合演習[21-22]
コンデンサーに関する標準的なレベルの問題を解くことができる。
12週 第Ⅰ章 運動とエネルギー 第2節 運動量の保存
 1.運動量と力積[23-24]
運動量変化と力積の関係について説明できる。この関係を用いて,運動量の計算ができる。
13週 第Ⅰ章 運動とエネルギー 第2節 運動量の保存
 2.運動量保存の法則[25-26]
運動量保存の法則について説明できる。衝突問題に応用して,衝突後の速度の計算等ができる。
14週 第Ⅰ章 運動とエネルギー 第2節 運動量の保存
 3.反発係数[27-28]
反発係数について説明できる。反発係数を用いて,衝突問題を解くことができる。
15週 第Ⅰ章 運動とエネルギー 第2節 運動量の保存
 総合演習[29-30]
運動量に関する標準的なレベルの問題を解くことができる。
16週
後期
3rdQ
1週 基礎第3章 波動 第1節 波の性質
 波の表し方[1-2] 波の進行と媒質の振動
媒質の振動と波の進行について,波の基本要素(振幅,波長,周期,振動数,速さ)を用いて説明できる。
2週 基礎第3章 波動 第1節 波の性質
 波の表し方[3-4] 縦波と横波
波の基本式を用いて,波の基本要素を計算できる。横波と縦波の違いを説明できる。
3週 基礎第3章 波動 第1節 波の性質
 波の重ね合わせ「5-6]
波の独立性および重ね合わせの原理より,定常波や入射波と反射波の合成波を求めることができる。
4週 第Ⅱ章 波動 第1節 波の伝わり方
 1.波の性質[7-8] 正弦波の式
正弦波の式を用いて,y-xグラフ(瞬間の波形)とy-tグラフ(媒質の振動)を説明できる。
5週 第Ⅱ章 波動 第1節 波の伝わり方
 2.波の干渉[9-10]
波の干渉の条件式を用いて,波が互いに強め合う(弱め合う)位置を計算できる。
6週 第Ⅱ章 波動 第1節 波の伝わり方
 2.波の反射と屈折[11-12]
反射と屈折および回折をホイヘンスの原理で説明できる。屈折の法則を用いて屈折角を計算できる。
7週 基礎第3章 波動 第2節 音波
 1.音波の性質[13-14]
音波の性質(縦波,音速,音の3要素)や音の伝わり方,共鳴・うなりについて説明できる。
8週 基礎第3章 波動 第2節 音波
 2.物体の振動[15-16]
弦,開管,閉管において,媒質の長さと波の伝わる速さから,固有振動数を求めることができる。
4thQ
9週 第Ⅱ章 波動 第2節 音波
 2.ドップラー効果[17-18]
一直線上の運動において,ドップラー効果による音の振動数の変化を求めることができる。
10週 第Ⅱ章 波動 第3節 光波
 1.光の性質[19-20] 
 反射・屈折の法則
反射・屈折の法則(絶対屈折率)を用いて,反射角・屈折角,全反射の臨界角の計算ができる。
11週 第Ⅱ章 波動 第3節 光波
 1.光の性質[21-22] 
 分散・散乱・偏光
光は横波(偏光)であり,屈折率が振動数で異なりスペクトルを生じる(分散)ことを説明できる。
12週 第Ⅳ章 原子 第1節 電子と光
 1.電子[23-24]
電子の電荷と質量について,J.J.トムソンの比電荷の測定,ミリカンの電気素量の測定を説明できる。
13週 第Ⅳ章 原子 第1節 電子と光
 2.光の粒子性[25-26]
光の粒子性を示す光電効果の実験について説明でき,測定値を用いて仕事関数を計算できる。
14週 第Ⅳ章 原子 第1節 電子と光
 3.X線[27-28]
X線回折像による結晶構造解析の原理を説明できる。X線の粒子性を示すコンプトン効果の説明ができる。
15週 第Ⅳ章 原子 第1節 電子と光
 4.粒子の波動性[29-30]
「粒子と波動の二重性」を説明できる。エネルギーと振動数,運動量と波長の間の関係式を使える。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)代表的な金属やプラスチックなど有機材料について、その性質、用途、また、その再利用など生活とのかかわりについて説明できる。3
洗剤や食品添加物等の化学物質の有効性、環境へのリスクについて説明できる。3
物質が原子からできていることを説明できる。3
単体と化合物がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。3
同素体がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。3
純物質と混合物の区別が説明できる。3
混合物の分離法について理解でき、分離操作を行う場合、適切な分離法を選択できる。3
物質を構成する分子・原子が常に運動していることが説明できる。3
水の状態変化が説明できる。3
物質の三態とその状態変化を説明できる。3
ボイルの法則、シャルルの法則、ボイル-シャルルの法則を説明でき、必要な計算ができる。3
気体の状態方程式を説明でき、気体の状態方程式を使った計算ができる。3
原子の構造(原子核・陽子・中性子・電子)や原子番号、質量数を説明できる。3
同位体について説明できる。3
放射性同位体とその代表的な用途について説明できる。3
原子の電子配置について電子殻を用い書き表すことができる。3
価電子の働きについて説明できる。3
原子のイオン化について説明できる。3
代表的なイオンを化学式で表すことができる。3
原子番号から価電子の数を見積もることができ、価電子から原子の性質について考えることができる。3
元素の性質を周期表(周期と族)と周期律から考えることができる。3
イオン式とイオンの名称を説明できる。3
イオン結合について説明できる。3
イオン結合性物質の性質を説明できる。3
イオン性結晶がどのようなものか説明できる。3
共有結合について説明できる。3
構造式や電子式により分子を書き表すことができる。3
自由電子と金属結合がどのようなものか説明できる。3
金属の性質を説明できる。3
原子の相対質量が説明できる。3
天然に存在する原子が同位体の混合物であり、その相対質量の平均値として原子量を用いることを説明できる。3
アボガドロ定数を理解し、物質量(mol)を用い物質の量を表すことができる。3
分子量・式量がどのような意味をもつか説明できる。3
気体の体積と物質量の関係を説明できる。3
化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。3
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。3
電離について説明でき、電解質と非電解質の区別ができる。3
質量パーセント濃度の説明ができ、質量パーセント濃度の計算ができる。3
モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。3
酸・塩基の定義(ブレンステッドまで)を説明できる。3
酸・塩基の化学式から酸・塩基の価数をつけることができる。3
電離度から酸・塩基の強弱を説明できる。3
pHを説明でき、pHから水素イオン濃度を計算できる。また、水素イオン濃度をpHに変換できる。3
酸化還元反応について説明できる。3
イオン化傾向について説明できる。3
金属の反応性についてイオン化傾向に基づき説明できる。3
ダニエル電池についてその反応を説明できる。3
鉛蓄電池についてその反応を説明できる。3
一次電池の種類を説明できる。3
二次電池の種類を説明できる。3
電気分解反応を説明できる。3
電気分解の利用として、例えば電解めっき、銅の精錬、金属のリサイクルへの適用など、実社会における技術の利用例を説明できる。3
ファラデーの法則による計算ができる。3
化学実験化学実験実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。3
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷)を理解し、対応ができる。2
測定と測定値の取り扱いができる。3
有効数字の概念・測定器具の精度が説明できる。3
レポート作成の手順を理解し、レポートを作成できる。3
ガラス器具の取り扱いができる。3
基本的な実験器具に関して、目的に応じて選択し正しく使うことができる。3
試薬の調製ができる。2

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70000030100
基礎的能力70000030100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000