物理II

科目基礎情報

学校 高知工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 物理II
科目番号 B2013 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 SD 基礎教育・一般科目 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:高等学校検定済教科書 「高等学校 物理基礎」(第一学習社)、「高等学校 物理」(第一学習社)
問題集:「2023 新課程版 セミナー 物理基礎+物理」(第一学習社)
担当教員 高野 弘,横山 有太

到達目標

【到達目標】 授業計画に記述した各項目の到達目標
   1.波の伝わり方を表す物理量、波の種類、波の基本的な性質について説明できる。
   2.波の独立性や重ね合わせの原理を用いて干渉現象の計算ができる。ホイヘンスの原理に基づき波の反射・屈折や回折を説明できる。屈折の法則を利用して屈折角を計算できる。
   3.音に関して、音の3要素やうなり、共鳴現象を説明できる。発音体の固有振動数の計算ができる。ドップラー効果による振動数変化の計算ができる。
   4.光に関して、偏光、分散、散乱、回折、干渉現象を説明できる。屈折の法則を用いて反射角・屈折角および全反射の臨界角の計算ができる。
   5.静電気力に関するクーロンの法則を説明できる。電場・電位の考え方を説明でき基本的な計算ができる。
   6.導体および誘電体について説明できる。コンデンサーの電気容量の計算ができる。  
   7.電子と光における「粒子と波動の二重性」について説明できる。エネルギーと振動数、運動量と波長の関係式を用いて、各物理量の計算ができる。
上記の到達目標を達成することにより、物理の基礎的な考え方と問題解決方法を体得する。
更に、法則を系統的に理解して種々の問題に応用するという物理の典型的な学習法を身につける。

到達目標の具体的な記述表現とレベルとの対応を以下に記す。
  1. “知る・学ぶ(知識・記憶レベル)”と記した項目については、項目に関して得た知識を基に、定性的な説明ができる。
  2. “理解する・計算できる(理解レベル)”と記した項目については、基本公式から計算(または作図)によって、定量的に現象を説明できる。
  3. “演習を行う・応用できる(適用レベル)”と記した項目については、体得した手法を具体的な問題に適用して問題を解決できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1静電気学に関して,体系立った知識を体得して,法則を具体的な問題に応用して必要な物理量を算出できる。静電気学に関して,個別に知識を獲得して,法則を用いて,基礎的な物理量を算出できる。静電気学に関して,知識の修得が十分でなく,基礎的な物理量を算出できない。
評価項目2波動現象および具体例の音波・光波に関して,体系立った知識を体得して,法則を具体的な問題に応用して必要な物理量を算出できる。波動現象および具体例の音波・光波に関して,個別に知識を獲得して,法則を用いて基礎的な物理量を算出できる。波動現象および具体例の音波・光波に関して,知識の修得が十分でなく,基礎的な物理量を算出できない。
評価項目3電子と光における「粒子と波動の二重性」に関して,体系立った知識を体得して,具体的な問題に対して体系的な説明ができる。電子と光における「粒子と波動の二重性」に関して,個別に知識を獲得して,基礎的な物理量の説明ができる。電子と光における「粒子と波動の二重性」に関して,知識の修得が十分でなく,基礎的な物理量の説明ができない。

学科の到達目標項目との関係

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教育方法等

概要:
 以下の項目に関して学習し、具体的な演習問題を解くことにより、物理の基礎的な考え方(物の見方)と問題解決方法を身に着ける。更に、「法則を系統的に理解して種々の問題に応用する」という物理の典型的な学習法を身につける。
 1.静電気力に関する法則と電場・電位
 2.波の基本的な性質や法則およびその具体例としての音波や光波
 3.現代物理学としての電子と光

 検定済み教科書および問題集を用いて、教科書に掲載された法則および公式を学習し、それらを適用する基本(標準)問題が解けるレベルの力量を身に着ける。更に、既習事項との関連を理解して、応用(総合)問題が解けるレベルを目指す。
授業の進め方・方法:
 授業では、事前に配布した授業計画に基づき、教科書の予習(新用語、法則、式)ノートの相互点検、復習・質問から始めて、前半(50%)を学習内容の説明や例題演習の模範解答等の授業にあてる。説明は板書やスライドで行うので、ノートテイク・質問等を通してその時その場での理解を目指す。なお、授業内容をまとめたスライドや授業ノート等の資料はweb上で配信する。
 後半(50%)は学生自身が問題演習を行い学習項目の定着を図る。問題演習は、教科書の問題や教科書準拠の問題集を各自で解答することを原則として、班別での学習支援(教え合い・学び合い)を通して主体的な学びになるように努める。
 問題集の基本(標準)レベル問題は課題プリントとして配布して宿題演習(自己採点を行う。判らない項目は質問を受け付ける。)とする。予習・授業・復習の繰り返しで、着実に力を付ける。基本(標準)問題の解答ができるレベルを合格ラインとする。授業内容については、授業計画を参照して下さい。
注意点:
【成績評価の基準・方法】
 定期試験の成績を60%、平素の学習状況等(提出物・平常(実力)試験等)を40%の割合で総合的に評価することを原則とする。前学期の評価は前学期中間と前学期末の各期間の総合評価、後学期中間の評価は前学期中間、前学期末、後学期中間の各期間の総合評価、学年の評価は前学期中間、前学期末、後学期中間、後学期末の各期間の総合評価とする。
 専門科目を学ぶための基礎として、1. 静電気学における法則や電場・電位、コンデンサー、2. 波の基本的な性質や法則およびその具体例としての音波と光波、3. 現代物理学としての電子と光、に関する学習の理解度を、上記の到達目標に対する到達度を試験等において評価する。
【事前・事後学習】
 事前に配布する授業計画に基づき、教科書の予習(新用語、法則、式)をする。前半(50%)は学習項目の講義、後半(50%)は学生自身が問題演習を行う。問題集の基本(標準)レベル問題は課題プリントとして配布して宿題演習(自己採点を行う。判らない項目は質問を受け付ける。)とし、次回授業時に提出する。
【履修上の注意】
 授業で十分に理解することができなかった学生や課題プリントを自力で解くことができない学生は、毎週の「物理演習Ⅱ」を受講して、弱点を克服して自学自習できる力を養う。また、電気回路や時間変動する電磁場に関しては、「電気基礎」および「応用物理Ⅰ」で学習する。剛体のつり合いや円運動・単振動に関しては、「力学基礎」および「物理Ⅲ」で学習する。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 前期初回ガイダンス:シラバスの説明を行う
【物理基礎】
第Ⅲ章 波動 第1節 波の性質
①波の表し方と波の要素 (1)
媒質の振動と波の進行について、波の基本要素(振幅、波長、周期、振動数、速さ)を用いて説明できる。
波の基本式を用いて、波の基本要素を計算できる。
2週 【物理基礎】
第Ⅲ章 波動 第1節 波の性質
①波の表し方と波の要素 (2)
正弦波のy-xグラフ(瞬間の波形)とy-tグラフ(媒質の振動)を描くことができる。
波の位相について説明できる。
横波と縦波の違いを説明できる。
3週 【物理基礎】
第Ⅲ章 波動 第1節 波の性質
②波の重ね合わせと反射
波の独立性および重ね合わせの原理より、定常波や入射波と反射波の合成波を求めることができる。
4週 【物理】
第Ⅱ章 波動 第1節 波の性質
①正弦波
正弦波の式を用いて、y-xグラフ(瞬間の波形)とy-tグラフ(媒質の振動)を説明できる。
5週 【物理】
第Ⅱ章 波動 第1節 波の性質
②波の伝わり方 (1)
波の独立性、重ね合わせの原理、定常波について説明できる(復習)
平面波と球面波について説明できる。
波の干渉の条件式を用いて、波が互いに強め合う(弱め合う)位置を計算できる。
6週 【物理】
第Ⅱ章 波動 第1節 波の性質
②波の伝わり方 (2)
平面波の反射・屈折および回折をホイヘンスの原理で説明できる。
屈折の法則を用いて屈折角を計算できる。
7週 総合演習① これまでの学習内容に関する標準レベルの問題が自力で解ける。
8週 前期中間試験 前期第1週~第7週の学習内容について試験を行い、到達度を判定する。
2ndQ
9週 試験返却・解説
【物理基礎】
第Ⅲ章 波動 第2節 音波
①音波の性質
音波の性質(縦波、音速、音の3要素)やうなりについて説明できる。
10週 試験返却・解説
【物理基礎】
第Ⅲ章 波動 第2節 音波
②物体の振動
弦、開管、閉管において、媒質の長さと波の伝わる速さから、固有振動数を求めることができる。
共振・共鳴について説明できる。
11週 【物理】
第Ⅱ章 波動 第2節 音波
②ドップラー効果
ドップラー効果による音の振動数の変化を求めることができる。
12週 【物理】
第Ⅱ章 波動 第3節 光波
①光の性質 (1)
光の性質について説明できる。
反射・屈折の法則(絶対屈折率)を用いて、反射角・屈折角・臨界角の計算ができる。
13週 【物理】
第Ⅱ章 波動 第3節 光波
①光の性質 (2)
③光の回折と干渉 (1)
光は横波(偏光)であり、屈折率が振動数で異なりスペクトルを生じる(分散)ことや光の散乱を説明できる。
ヤングの実験について説明でき、明線(暗線)の位置を計算できる。
14週 【物理】
第Ⅱ章 波動 第3節 光波
③光の回折と干渉 (2)
回折格子による光の回折・干渉について説明できる。
薄膜や空気層による光の干渉について説明できる。
15週 総合演習② これまでの学習内容に関する標準レベルの問題が自力で解ける。
16週 試験返却・解説
後期
3rdQ
1週 後期初回ガイダンス:後期の授業計画について説明を行う。
【物理】
第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位
①静電気力 (1)
電荷とその間に働く静電気力、電気量保存の法則について説明できる。
導体の静電誘導や静電遮蔽を説明できる。
絶縁体(誘電体)の誘電分極を説明できる。
2週 【物理】
第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位
①静電気力 (2)
②電場 (1)
クーロンの法則を使える。
電場の定義(考え方)を理解して、点電荷のつくる電場を重ね合わせの原理を用いて算出できる。
3週 【物理】
第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位
②電場 (2)
電気力線の定義(考え方)およびガウスの法則を説明できる。
一様分布電荷のつくる電場を計算できる。
4週 【物理】
第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位
③電位 (1)
電位(位置エネルギー)の定義および電場(力)と電位差(仕事)の関係を説明できる。
一様な電場と電位差の関係を説明できる。
点電荷周りの電位を計算できる。
5週 【物理】
第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位
③電位 (2)
点電荷の電位を計算して、等電位面を描画できる。
等電位線と電気力線との関係を説明できる。
電位とエネルギーの関係を説明できる。
電場中に導体・誘電体を置いたときの、内部の電場・電位について説明できる。
6週 【物理】
第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位
④コンデンサー (1)
コンデンサーの仕組みを理解して電気容量を計算できる。
7週 総合演習③ これまでの学習内容に関する標準レベルの問題が自力で解ける。
8週 後期中間試験 後期第1週~第7週の学習内容について試験を行い、到達度を判定する。
4thQ
9週 試験返却・解説
【物理】
第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位
④コンデンサー (2)
誘電体による電気容量変化を比誘電率で扱える。
10週 【物理】
第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位
④コンデンサー (3)
並列接続あるいは直列接続したコンデンサーの合成容量が計算できる。
静電エネルギーの計算ができる。
11週 【物理】
第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位
④コンデンサー(問題演習)
ここまでに学習したコンデンサーに関する標準レベルの問題が自力で解ける。
12週 【物理】
第Ⅳ章 原子 第1節 電子と光
①電子
電子の電荷と質量について、J.J.トムソンの比電荷の測定、ミリカンの電気素量の測定を説明できる。
13週 【物理】
第Ⅳ章 原子 第1節 電子と光
②光の粒子性
光の粒子性を示す光電効果の実験について説明でき、測定値を用いて仕事関数を計算できる。
14週 【物理】
第Ⅳ章 原子
第1節 電子と光
③X線
④粒子の波動性
X線回折像による結晶構造解析の原理を説明できる。
X線の粒子性を示すコンプトン効果の説明ができる。
「粒子と波動の二重性」を説明できる。
エネルギーと振動数、運動量と波長の間の関係式を使える。
15週 総合演習④ これまでの学習内容に関する標準レベルの問題が自力で解ける。
16週 試験返却・解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。3前1,前4
横波と縦波の違いについて説明できる。3前2
波の重ね合わせの原理について説明できる。3前3,前5
波の独立性について説明できる。3前3,前5
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。3前5
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。3前3,前5
ホイヘンスの原理について説明できる。3前6
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。3前6
弦の長さと弦を伝わる波の速さから、弦の固有振動数を求めることができる。3前10
気柱の長さと音速から、開管、閉管の固有振動数を求めることができる(開口端補正は考えない)。3前10
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。3前10
一直線上の運動において、ドップラー効果による音の振動数変化を求めることができる。3前11
自然光と偏光の違いについて説明できる。3前13
光の反射角、屈折角に関する計算ができる。3前12
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。3前13
電気導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。3後1
電場・電位について説明できる。3後2,後3,後4,後5
クーロンの法則が説明できる。3後2
クーロンの法則から、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。3後2
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電磁気導体の性質を説明でき、導体表面の電荷密度や電界などを計算できる。2前10
誘電体と分極及び電束密度を説明できる。2前10
静電容量を説明でき、平行平板コンデンサ等の静電容量を計算できる。2前11
コンデンサの直列接続、並列接続を説明し、その合成静電容量を計算できる。2前12
静電エネルギーを説明できる。2前12

評価割合

試験演習課題、授業ノート、小テスト等合計
総合評価割合6040100
基礎的能力6040100
専門的能力000
分野横断的能力000