到達目標
1.直流回路のオームの法則やキルヒホッフの法則を理解し,合成抵抗や回路網の任意の点の電圧や電流を計算できる。
2.直流回路の電力や電力量,エネルギーとの関係を説明できる。
3.導体の抵抗率・導電率と抵抗値の関係や抵抗器の種類および各種電池の原理を説明できる。
4.正弦波交流の諸量の意味を説明することができる。
5.記号法を用いて,交流回路の電圧,電流,電力,合成インピーダンスを計算できる。
6.電磁誘導の法則に付いて説明できる。
7.電気計測のための機器を正しく利用できる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
直流回路の解析 | 複雑な直流回路にオームの法則やキルヒホッフの法則を適用して電気回路の計算ができる。 | 直流回路にオームの法則やキルヒホッフの法則を適用して電気回路の計算ができる。 | 直流回路にオームの法則やキルヒホッフの法則を適用して電気回路の計算ができない。 |
交流回路の表現 | 記号法を使って複雑な交流回路の計算ができる。 | 記号法を使った交流回路の計算ができる。 | 記号法を使った交流回路の計算ができない。 |
交流回路の電力 | 交流回路の電力が計算でき,それらの意味を正しく説明できる。 | 交流回路の電力が計算できる。 | 交流回路の電力が計算できない。 |
電気計測機器 | 電気計測に用いる機器の説明ができ,適切な利用方法を説明できる。 | 電気計測に用いる機器の説明ができる。 | 電気計測に用いる機器の説明ができない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
直流回路に関するオームの法則,直列接続・並列接続の合成抵抗の求め方,キルヒホッフの法則,電力を理解し問題を解く能力を身につける。また,正弦波交流の性質を学習し,記号法による基本的な交流回路の計算ができる力を身につける。さらに電気計測に関する知識を身につける。
授業の進め方・方法:
授業は基本的に座学で進めるが,必要に応じて反転学習を取り入れる。
注意点:
【成績評価の基準・方法】
試験の成績を70%,平素の学習状況等(課題等)を30%の割合で総合的に評価する。成績評価は中間と期末の各期間の評価の平均とする。学年の評価は後学期末の評価とする。技術者が身につけるべき専門基礎として,上記の到達目標に対する達成度を試験等において評価する。
【事前・事後学習】
最初の授業で詳細な週ごとの授業計画(教科書の対応ページ)と宿題範囲を記したプリントを配布する。事前学習としてその週の教科書の該当部分を読んで授業に臨むこと。また事後学習として教科書の指定範囲の問題をA4レポート用紙に解いて提出すること。問題の解答は導出過程も丁寧に記し,自分なりの解答を作成すること。
【履修上の注意】
この科目を履修するにあたり,中学校数学で学んだ連立方程式の計算,1年生の基礎数学IA,Bの内容全て(特に整式,関数や複素数),基礎数学IIA,IIBの内容全て(特に三角関数)の内容を十分に理解しておくこと。また,2年生の力学基礎で学ぶ等速円運動,線形代数Aで学ぶ平面ベクトル,線形代数Bで学ぶ行列の計算についても理解を深めることが望ましい。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
電気回路の要素について学ぶ |
電気回路とは何か,また電子・電流・電圧,抵抗,コンデンサ,コイルの説明ができる
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2週 |
直流回路の計算について学ぶ(1) |
オームの法則が計算でき,抵抗の直列接続および並列接続の合成抵抗が計算できる
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3週 |
直流回路の計算について学ぶ(2) |
抵抗の直並列接続の合成抵抗が計算でき,直列抵抗器と分流抵抗器の説明ができる
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4週 |
直流回路の計算について学ぶ(3) |
分圧器・分流器,ブリッジ回路ブリッジ回路の計算ができる
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5週 |
直流回路の計算について学ぶ(4) |
キルヒホッフの法則とオームの法則を用いて回路を解析できる
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6週 |
消費電力と発生熱量について学ぶ |
抵抗率から抵抗値を計算でき,電力,電力量とエネルギーが計算でき,電池について説明できる
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7週 |
電磁誘導について学ぶ |
ファラデーの電磁誘導の法則とインダクタンスの説明ができる
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8週 |
様々な直流回路と関連知識について学ぶ |
第1週から第7週に関連する様々な問題を解くことができる
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4thQ |
9週 |
複素数について学ぶ |
極座標を使ったベクトル表記と,直交座標を使った複素数表記の計算ができる
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10週 |
正弦波交流について学ぶ |
正弦波交流の最大値,実効値,周期,角周波数,位相について説明ができ,瞬時値表記された正弦波交流を記号法で表すことができる。
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11週 |
記号法による交流回路の計算について学ぶ(1) |
記号法を使ってR・L・Cだけの回路の働きが説明でき,インピーダンスが計算できる
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12週 |
記号法による交流回路の計算について学ぶ(2) |
RL直列回路,RC直列回路の計算ができる
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13週 |
記号法による交流回路の計算について学ぶ(3) |
RLC直列回路,並列回路とアドミタンスの計算ができる
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14週 |
共振回路と交流回路の電力について学ぶ |
共振回路における共振周波数の計算と,交流回路の皮相,有効,無効電力および力率を計算できる
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15週 |
電気計測について学ぶ |
計測量の取り扱いが理解でき,指示計器の分類や測定誤差について説明できる
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16週 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 物理 | 電気 | オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。 | 3 | 後2 |
抵抗を直列接続、及び並列接続したときの合成抵抗の値を求めることができる。 | 3 | 後2,後3 |
ジュール熱や電力を求めることができる。 | 3 | 後6 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 電気回路 | 電荷と電流、電圧を説明できる。 | 3 | 後1 |
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。 | 3 | 後2 |
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。 | 3 | 後5 |
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。 | 3 | 後2,後3 |
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。 | 3 | 後4 |
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。 | 3 | 後10 |
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。 | 3 | 後10 |
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。 | 3 | 後10 |
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。 | 3 | 後10,後11 |
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。 | 2 | 後12,後13,後14 |
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。 | 2 | 後11,後12,後13,後14 |
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。 | 2 | 後14 |
評価割合
| 試験 | 課題 | 合計 |
総合評価割合 | 70 | 30 | 100 |
基礎的能力 | 30 | 10 | 40 |
専門的能力 | 30 | 10 | 40 |
分野横断的能力 | 10 | 10 | 20 |