概要:
1.静電気力に関する法則や電場・電位,
2.運動量と力積の関係や運動量保存の法則,
3.波の基本的な性質や法則およびその具体例としての音波や光波,
4.現代物理学としての電子と光,
に関して学習して具体的な演習問題を解くことにより,物理の基礎的な考え方(物の見方)と問題解決方法を身に着ける。法則を系統的に理解して種々の問題に応用するという物理の典型的な学習法を身につける。
検定済み教科書および問題集を用いて,教科書に掲載された法則および公式を学習し,それらを適用する基本(標準)問題が解けるレベルの力量を身に着ける。更に,既習事項との関連を理解して,応用(総合)問題が解けるレベルを目指す。
授業では,事前に配布した授業計画に基づき,教科書の予習(新用語,法則,式)ノートの相互点検,復習・質問から始めて,前半(50%)を学習内容の説明や例題演習の模範解答等の授業にあてるので,ノートテイク・質問等を通してその時その場での理解を目指す。後半(50%)は学生自身が問題演習を行い学習項目の定着を図る。問題演習は,教科書の問題や教科書準拠の問題集を各自で解答することを原則として,班別での学習支援(教え合い・学び合い)を通して主体的な学びになるように努める。問題集の基本(標準)レベル問題は課題プリントとして配布して宿題演習(自己採点を行う。判らない項目は質問を受け付ける。)とする。予習・授業・復習の繰り返しで,着実に力を付ける。基本(標準)問題の解答ができるレベルを合格ラインとする。
実力不足の学生は,毎週の「物理演習Ⅱ」を受講して,弱点を克服して,自学自習できる力を養う。
授業の進め方・方法:
授業計画を参照
注意点:
定期試験の成績を70%,平素の学習状況等(提出物・平常(実力)試験等)を30%の割合で総合的に評価することを原則とする。前学期の評価は前学期中間と前学期末の各期間の総合評価,後学期中間の評価は前学期中間,前学期末,後学期中間の各期間の総合評価,学年の評価は前学期中間,前学期末,後学期中間,後学期末の各期間の総合評価とする。
専門科目を学ぶための基礎として,1.静電気学における法則や電場・電位,2.運動量と力積の関係および運動量保存の法則,3.波の基本的な性質や法則およびその具体例としての音波と光波,4.現代物理学としての電子と光,に関する学習の理解度を評価する。
電気回路や時間変動する電磁場に関しては,電気基礎で学習する。剛体のつり合いや円運動・単振動に関しては,力学基礎で学習する。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位 1.電場 電荷と静電気力[1-2] |
電荷とその間に働く静電気力,電気量保存の法則について説明できる。クーロンの法則を使える。
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2週 |
第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位 1.電場 電場と重ね合わせの原理[3-4] |
電場の定義(考え方)を理解して,点電荷のつくる電場を,重ね合わせの原理を用いて,算出できる。
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3週 |
第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位 1.電場 電気力線[5-6] |
電気力線の定義(考え方)およびガウス法則を説明できる。一様分布電荷のつくる電場を計算できる。
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4週 |
第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位 1.電場 総合演習[7-8] |
電場に関する標準的なレベルの問題を解くことができる。
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5週 |
第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位 2.電位 電位と電位差[9-10] |
電位(位置エネルギー)の定義および電場(力)と電位差(仕事)の関係を説明できる。
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6週 |
第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位 2.電位 等電位面と電気力線[11-12] |
点電荷の電位を計算して,等電位面を描画できる。等電位線と電気力線との関係を説明できる。
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7週 |
第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位 2.電位 静電誘導と誘電分極[13-14] |
導体の静電誘導や静電遮蔽を説明できる。絶縁体(誘電体)の誘電分極を説明できる。
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8週 |
第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位 2.電位 総合演習[15-16] |
電位に関する標準的なレベルの問題を解くことができる。
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2ndQ |
9週 |
第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位 3.コンデンサー コンデンサーの原理と電気容量[17-18] |
コンデンサーの仕組みを理解して電気容量を計算できる。誘電体による電気容量変化を比誘電率で扱える。
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10週 |
第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位 3.コンデンサー コンデンサーの接続と静電エネルギー[19-20] |
並列接続,直列接続したコンデンサーの合成容量が計算できる。静電エネルギーの計算ができる。
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11週 |
第Ⅲ章 電気と磁気 第1節 電場と電位 3.コンデンサー 総合演習[21-22] |
コンデンサーに関する標準的なレベルの問題を解くことができる。
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12週 |
第Ⅰ章 運動とエネルギー 第2節 運動量の保存 1.運動量と力積[23-24] |
運動量変化と力積の関係について説明できる。この関係を用いて,運動量の計算ができる。
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13週 |
第Ⅰ章 運動とエネルギー 第2節 運動量の保存 2.運動量保存の法則[25-26] |
運動量保存の法則について説明できる。衝突問題に応用して,衝突後の速度の計算等ができる。
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14週 |
第Ⅰ章 運動とエネルギー 第2節 運動量の保存 3.反発係数[27-28] |
反発係数について説明できる。反発係数を用いて,衝突問題を解くことができる。
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15週 |
第Ⅰ章 運動とエネルギー 第2節 運動量の保存 総合演習[29-30] |
運動量に関する標準的なレベルの問題を解くことができる。
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16週 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
基礎第3章 波動 第1節 波の性質 波の表し方[1-2] 波の進行と媒質の振動 |
媒質の振動と波の進行について,波の基本要素(振幅,波長,周期,振動数,速さ)を用いて説明できる。
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2週 |
基礎第3章 波動 第1節 波の性質 波の表し方[3-4] 縦波と横波 |
波の基本式を用いて,波の基本要素を計算できる。横波と縦波の違いを説明できる。
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3週 |
基礎第3章 波動 第1節 波の性質 波の重ね合わせ「5-6] |
波の独立性および重ね合わせの原理より,定常波や入射波と反射波の合成波を求めることができる。
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4週 |
第Ⅱ章 波動 第1節 波の伝わり方 1.波の性質[7-8] 正弦波の式 |
正弦波の式を用いて,y-xグラフ(瞬間の波形)とy-tグラフ(媒質の振動)を説明できる。
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5週 |
第Ⅱ章 波動 第1節 波の伝わり方 2.波の干渉[9-10] |
波の干渉の条件式を用いて,波が互いに強め合う(弱め合う)位置を計算できる。
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6週 |
第Ⅱ章 波動 第1節 波の伝わり方 2.波の反射と屈折[11-12] |
反射と屈折および回折をホイヘンスの原理で説明できる。屈折の法則を用いて屈折角を計算できる。
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7週 |
基礎第3章 波動 第2節 音波 1.音波の性質[13-14] |
音波の性質(縦波,音速,音の3要素)や音の伝わり方,共鳴・うなりについて説明できる。
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8週 |
基礎第3章 波動 第2節 音波 2.物体の振動[15-16] |
弦,開管,閉管において,媒質の長さと波の伝わる速さから,固有振動数を求めることができる。
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4thQ |
9週 |
第Ⅱ章 波動 第2節 音波 2.ドップラー効果[17-18] |
一直線上の運動において,ドップラー効果による音の振動数の変化を求めることができる。
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10週 |
第Ⅱ章 波動 第3節 光波 1.光の性質[19-20] 反射・屈折の法則 |
反射・屈折の法則(絶対屈折率)を用いて,反射角・屈折角,全反射の臨界角の計算ができる。
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11週 |
第Ⅱ章 波動 第3節 光波 1.光の性質[21-22] 分散・散乱・偏光 |
光は横波(偏光)であり,屈折率が振動数で異なりスペクトルを生じる(分散)ことを説明できる。
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12週 |
第Ⅳ章 原子 第1節 電子と光 1.電子[23-24] |
電子の電荷と質量について,J.J.トムソンの比電荷の測定,ミリカンの電気素量の測定を説明できる。
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13週 |
第Ⅳ章 原子 第1節 電子と光 2.光の粒子性[25-26] |
光の粒子性を示す光電効果の実験について説明でき,測定値を用いて仕事関数を計算できる。
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14週 |
第Ⅳ章 原子 第1節 電子と光 3.X線[27-28] |
X線回折像による結晶構造解析の原理を説明できる。X線の粒子性を示すコンプトン効果の説明ができる。
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15週 |
第Ⅳ章 原子 第1節 電子と光 4.粒子の波動性[29-30] |
「粒子と波動の二重性」を説明できる。エネルギーと振動数,運動量と波長の間の関係式を使える。
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 物理 | 力学 | 物体の質量と速度から運動量を求めることができる。 | 3 | 前12 |
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。 | 3 | 前12 |
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。 | 3 | 前13 |
波動 | 波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。 | 3 | 後1 |
横波と縦波の違いについて説明できる。 | 3 | 後2 |
波の重ね合わせの原理について説明できる。 | 3 | 後3 |
波の独立性について説明できる。 | 3 | 後3 |
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。 | 3 | 後5 |
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。 | 3 | 後5 |
ホイヘンスの原理について説明できる。 | 3 | 後6 |
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。 | 3 | 後10 |
弦の長さと弦を伝わる波の速さから、弦の固有振動数を求めることができる。 | 3 | 後8 |
気柱の長さと音速から、開管、閉管の固有振動数を求めることができる(開口端補正は考えない)。 | 3 | 後8 |
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。 | 3 | 後9 |
一直線上の運動において、ドップラー効果による音の振動数変化を求めることができる。 | 3 | 後9 |
自然光と偏光の違いについて説明できる。 | 3 | 後11 |
光の反射角、屈折角に関する計算ができる。 | 3 | 後10 |
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。 | 3 | 後11 |
電気 | 導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。 | 3 | 前7 |
電場・電位について説明できる。 | 3 | 前2,前5 |
クーロンの法則が説明できる。 | 3 | 前1 |
クーロンの法則から、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。 | 3 | 前1 |