化学II

科目基礎情報

学校 高知工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 化学II
科目番号 1107 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 SD 基礎教育・一般科目 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:「化学基礎」,「化学」(数研出版)参考書:「フォトサイエンス化学図録」(数研出版),「新訂エクセル化学総合版」(実教出版),「これでわかる化学」(三共出版),「基本セレクト化学基礎」(数研出版)
担当教員 多田 佳織,尾﨑 信一

到達目標

1. 酸化還元反応を理解しており,化学電池,電気分解の仕組みを説明できる。
2. 物質の状態が粒子間に働く力で決まることを理解し,気体,溶液の種々の性質を説明できる。
3. 反応速度におよぼす温度・濃度・触媒の影響について理解している。
4. 可逆反応における平衡状態について理解しており,電離平衡に応用できる。
5. 有機化合物の性質や特徴を理解している。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1酸化還元反応を理解し,化学電池,電気分解の仕組みを説明でき,実用電池や身近な物質の精製を説明できる。酸化還元反応を理解し,化学電池,電気分解の仕組みが説明できる。酸化還元反応を理解しており,化学電池,電気分解の仕組みを説明できない。
評価項目2物質の状態が粒子間に働く力で決まることを理解し,気体,溶液の種々の性質を説明できる。物質の三態を理解し、説明できる。物質の三態を理解していない。
評価項目3反応速度に及ぼす温度・濃度・触媒の影響について理解し、説明できる。反応速度に及ぼす温度・濃度・触媒の影響について理解している。反応速度に及ぼす温度・濃度・触媒の影響について理解していない。
評価項目4可逆反応における平衡状態について理解しており,電離平衡に応用できる。可逆反応における平衡状態について理解している。平衡状態について理解しできていない。
評価項目5有機化合物の性質や特徴を理解し,その構造や命名をすることができる。有機化合物の性質や特徴を理解している。有機化合物の性質や特徴を理解していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
物質の変化(酸化還元反応の例や応用)について学んだうえで,実際の有機物質の性質や変化を系統的に整理して理解し,物質を構成する粒子間の結合様式や個々の物質の示す性質との関係を理解する。さらに,気体,溶液,固体の示す種々の性質について学ぶ。また,物質を変化させるとき,条件によって反応の速さや平衡時の濃度の関係が変わることを学び,化学工業への応用の一端を理解する。これらの学習を通じて,技術者に要求される科学的思考力を養うとともに,化学がわれわれの生活に深く関わっていることを理解していく。
授業の進め方・方法:
講義だけではなく、演習を取り入れながら進めていく。
注意点:
試験の成績75%,平素の学習状況等(課題・小テスト・レポート等を含む)を25%の 割合で総合的に評価する。評価は中間と期末の各期間の評価の平均とする。また,学年末試験の成績には四国地区高専共通試験の結果も加味する。技術者が身につけるべき専門基礎として,到達目標に対する達成度を試験等において評価する。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 物質の変化
酸化還元反応:酸化と還元
酸化・還元の定義について理解する。また,酸化数について理解し,その変化から酸か還元か判断することができる。
2週 物質の変化
酸化還元反応:酸化剤と還元剤
酸化剤と還元剤について理解し,酸化還元反応を化学反応式で表すことができる
3週 物質の変化
酸化還元反応:酸化剤と還元剤
酸化還元反応の量的関係について理解し,計算することができる。
4週 物質の変化
酸化還元反応:金属の酸化還元反応
金属のイオン化傾向について理解する。
5週 物質の変化
酸化還元反応:酸化還元反応の利用
電池の仕組みについて理解し,代表的な電池について説明できる。
6週 物質の変化
酸化還元反応:酸化還元反応の利用
電気分解での各電極で起こる反応について理解する。
7週 物質の変化
酸化還元反応:酸化還元反応の利用
電気分解の量的関係について計算することかできる。
8週 物質の変化
化学反応とエネルギー:化学反応と熱
化学反応に伴う熱の出入りについて理解し,熱化学方程式を用いて現すことができる。反応熱の種類について理解する。
2ndQ
9週 物質の変化
化学反応とエネルギー:化学反応と熱
ヘスの法則について理解し,それを用いて熱を求めることかできる。
10週 物質の構造と状態
気体の性質
粒子の概念をもとに物質の状態変化を理解し気体の性質を学ぶ。
11週 物質の構造と状態
気体の性質
粒子の概念をもとに物質の状態変化を理解し気体の性質を学ぶ。
12週 物質の構造と状態
溶液の性質
物質の溶解と濃度・溶解度について学ぶ。
13週 物質の構造と状態
溶液の性質
物質の溶解と濃度・溶解度について学ぶ。
14週 物質の構造と状態
希薄溶液の性質
希薄溶液の束一的性質について学ぶ。
15週 物質の構造と状態
コロイド溶液の性質
コロイド溶液の性質と応用について学ぶ。
16週
後期
3rdQ
1週 物質の変化と化学平衡
反応速度
反応速度に及ぼす温度・濃度・触媒の影響について学ぶ。
2週 物質の変化と化学平衡
反応速度
反応速度に及ぼす温度・濃度・触媒の影響について学ぶ。
3週 物質の変化と化学平衡
可逆反応における平衡状態
化学平衡時の質量作用の法則について学ぶ。
4週 水溶液中での化学反応
電離平衡
酸・塩基の電離平衡とpHの関係について 学ぶ。
5週 水溶液中での化学反応
電離平衡
酸・塩基の電離平衡とpHの関係について 学ぶ。
6週 有機化合物
有機化合物の分類と分析
有機化合物の特徴と分類,構造について理解する。
7週 有機化合物
有機化合物の分類と分析
有機化合物の分析について理解し,分子式・組成式を決定することができる。
8週 有機化合物
脂肪族炭化水素
飽和炭化水素(アルカン)の構造・性質について理解し,記述することができる。
4thQ
9週 有機化合物
脂肪族炭化水素
飽和炭化水素(アルカン)の構造・性質について理解し,記述することができる。
10週 有機化合物
脂肪族炭化水素
不飽和炭化水素(アルケン)の構造・性質について理解し,記述することができる。
11週 有機化合物
脂肪族炭化水素
不飽和炭化水素(アルキン)の構造・性質について理解し,記述することができる。
12週 有機化合物
アルコールと関連化合物
アルコールの構造・分類・性質について理解し,記述することができる。また,エーテルの構造について理解する。
13週 有機化合物
アルコールと関連化合物
アルデヒド・ケトンの構造・性質について理解し,記述することができる。
14週 有機化合物
アルコールと関連化合物
脂肪族カルボン酸・エステルの構造・性質について理解し,記述することができる。
15週 有機化合物
芳香族化合物
芳香族化合物の構造・性質について理解し,記述することができる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)代表的な金属やプラスチックなど有機材料について、その性質、用途、また、その再利用など生活とのかかわりについて説明できる。3
洗剤や食品添加物等の化学物質の有効性、環境へのリスクについて説明できる。3
物質が原子からできていることを説明できる。3
単体と化合物がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。3
同素体がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。3
純物質と混合物の区別が説明できる。3
混合物の分離法について理解でき、分離操作を行う場合、適切な分離法を選択できる。3
物質を構成する分子・原子が常に運動していることが説明できる。3
水の状態変化が説明できる。3
物質の三態とその状態変化を説明できる。3
ボイルの法則、シャルルの法則、ボイル-シャルルの法則を説明でき、必要な計算ができる。2前10,前11
気体の状態方程式を説明でき、気体の状態方程式を使った計算ができる。2前10,前11
原子の構造(原子核・陽子・中性子・電子)や原子番号、質量数を説明できる。3
同位体について説明できる。3
放射性同位体とその代表的な用途について説明できる。3
原子の電子配置について電子殻を用い書き表すことができる。3
価電子の働きについて説明できる。3
原子のイオン化について説明できる。3
代表的なイオンを化学式で表すことができる。3
原子番号から価電子の数を見積もることができ、価電子から原子の性質について考えることができる。3
元素の性質を周期表(周期と族)と周期律から考えることができる。3
イオン式とイオンの名称を説明できる。3
イオン結合について説明できる。3
イオン結合性物質の性質を説明できる。3
イオン性結晶がどのようなものか説明できる。3
共有結合について説明できる。3後7,後8
構造式や電子式により分子を書き表すことができる。3後7,後8
自由電子と金属結合がどのようなものか説明できる。3
金属の性質を説明できる。3
原子の相対質量が説明できる。2
天然に存在する原子が同位体の混合物であり、その相対質量の平均値として原子量を用いることを説明できる。2
アボガドロ定数を理解し、物質量(mol)を用い物質の量を表すことができる。3
分子量・式量がどのような意味をもつか説明できる。3
気体の体積と物質量の関係を説明できる。3
化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。3
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。3
電離について説明でき、電解質と非電解質の区別ができる。3
質量パーセント濃度の説明ができ、質量パーセント濃度の計算ができる。3
モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。3
酸・塩基の定義(ブレンステッドまで)を説明できる。3
酸・塩基の化学式から酸・塩基の価数をつけることができる。3
電離度から酸・塩基の強弱を説明できる。3
pHを説明でき、pHから水素イオン濃度を計算できる。また、水素イオン濃度をpHに変換できる。3
中和反応がどのような反応であるか説明できる。また、中和滴定の計算ができる。3
酸化還元反応について説明できる。3前1,前2,前3
イオン化傾向について説明できる。3前4
金属の反応性についてイオン化傾向に基づき説明できる。3前4
ダニエル電池についてその反応を説明できる。3前5
鉛蓄電池についてその反応を説明できる。2前5
一次電池の種類を説明できる。3前5
二次電池の種類を説明できる。2前5
電気分解反応を説明できる。3前6
電気分解の利用として、例えば電解めっき、銅の精錬、金属のリサイクルへの適用など、実社会における技術の利用例を説明できる。3前6
ファラデーの法則による計算ができる。3前6,前7
化学実験化学実験実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。2
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷)を理解し、対応ができる。2
測定と測定値の取り扱いができる。3
有効数字の概念・測定器具の精度が説明できる。3
レポート作成の手順を理解し、レポートを作成できる。3
ガラス器具の取り扱いができる。3
基本的な実験器具に関して、目的に応じて選択し正しく使うことができる。3
試薬の調製ができる。2

評価割合

試験小テスト課題レポートその他合計
総合評価割合7581043100
基礎的能力70794393
専門的能力000000
分野横断的能力511007