電気回路Ⅱ

科目基礎情報

学校 高知工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 電気回路Ⅱ
科目番号 N4039 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 SD エネルギー・環境コース 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:早川・松下・茂木「電気回路(1)直流・交流回路編」コロナ社,安倍・柏谷・亀田・中場「電気回路(2)回路網・過渡現象編」コロナ社
担当教員 吉田 正伸

到達目標

1.三相交流回路における,各部の電圧・電流および電力が計算できる。
2.二端子対回路の特性が伝送行列などを使って計算でき,等価回路を求めることができる。
3.各種フィルタ回路の周波数特性を説明することができる。
4.過渡現象が起こっている状態の任意の時間における電圧と電流の値を求めることができる。
5.伝送線路における電圧・電流の分布(入射波,反射波)を求めることができる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
三相交流三相交流回路の回路構成を自在に変換できて,各部の電圧・電流および電力が計算できる。三相交流回路における,各部の電圧・電流および電力が計算できる。三相交流回路の基本回路構成における,各部の電圧・電流および電力が計算できない。
二端子対回路二端子対回路において,伝送行列ほか複数の各パラメータを自在に変換して計算でき,回路の諸特性を求めることができる。二端子対回路の特性がインピーダンス行列,アドミタンス行列,伝送行列を使って計算でき,等価回路を求めることができる。二端子対回路の特性がインピーダンス行列,アドミタンス行列,伝送行列を使って計算でき,等価回路を求めることができない。
過渡現象任意の入力波形に関して,過渡現象が起こっている状態の任意の時間における電圧と電流の値を求めることができる。基本的な入力波形に関して,過渡現象が起こっている状態の任意の時間における電圧と電流の値を求めることができる。過渡現象が起こっている状態の任意の時間における電圧と電流の値を求めることができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (B) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
電気基礎(2年),電気回路I(3年)で学習した電気回路をさらに発展させ,三相交流,二端子対回路網,ひずみ波,過渡現象,分布定数回路に関する考え方を身につける。これらの電気回路の基礎的な考え方が想起でき,計算することができる力を身につける。
授業の進め方・方法:
「現象」を頭でイメージしながら,計算問題に取り組んで欲しい。本授業には,電気基礎(2年),電気回路Ⅰ(3年),工業数学(4年)での学習内容の理解が必須である。
注意点:
試験の成績を70%,平素の学習状況等(課題・小テスト・レポート等を含む)を30%の割合で総合的に評価する。前学期の評価は中間と期末の各期間の平均、後学期の評価は中間と期末の各期間の評価の平均、学年の評価は前学期と後学期の評価の平均とする。なお、通年科目における後学期中間の評価は前学期中間、前学期末、後学期中間の各期間の評価の平均とする。技術者が身につけるべき専門基礎として,到達目標に対する達成度を試験等において評価する。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 対称三相交流起電力交流の発生とその性質について学ぶ。 対称三相交流起電力交流の発生とその性質を説明できる。
2週 対称三相交流起電力とインピーダンスの結線法について学ぶ。 対称三相交流起電力とインピーダンスの結線法(Y-Y接続・Δ-Δ接続)の相電圧,相電流,線間電圧,線電流が説明できる。
3週 対称三相交流起電力とインピーダンスの結線法について学ぶ。 対称三相交流起電力とインピーダンスの結線法(ΔY接続の組合せ)が説明できる。
4週 対称三相交流回路の有効電力,無効電力,ブロンデルの定理について学ぶ。 対称三相交流回路の有効電力,無効電力,ブロンデルの定理が説明できる。
5週 V結線の電源および変圧器を利用した三相交流回路について学ぶ。 V結線の電源および変圧器を利用した三相交流回路の説明ができる。
6週 三相交流による回転磁界について学ぶ。 三相交流による回転磁界を説明できる。
7週 不平衡三相交流負荷について学ぶ。 不平衡三相交流負荷に対する諸計算ができる。
8週 二端子対回路のY,Z,H,Gパラメータと直列・並列接続について学ぶ。 二端子対回路のY,Z,H,Gパラメータを求めることができる。
2ndQ
9週 二端子対回路のFパラメータと縦続接続について学ぶ。 二端子対回路のFパラメータを求めることができる。
10週 二端子対回路のインピーダンスと影像パラメータについて学ぶ。 二端子対回路の伝送的性質(反復パラメータ・影像パラメータ)が説明できる。
11週 二端子対回路の等価回路について学ぶ。 二端子回路網の数式表現が理解でき,等価回路が書ける。
12週 抵抗減衰器ついて学ぶ。 抵抗減衰器の設計ができる。
13週 低域・高域・帯域フィルタの特性について学ぶ。 低域・高域・帯域フィルタの役割と分類について説明できる。
14週 低域・高域・帯域フィルタの特性について学ぶ。 定K形フィルタの特性について計算できる。
15週 複雑な二端子回路ついて学ぶ。 複雑な二端子回路の計算が説明できる。
16週
後期
3rdQ
1週 直流RC回路とRL回路の過渡現象と初期条件について学ぶ。 回路の過渡現象の考え方を説明できる。時定数を説明できる。
2週 直流RC回路とRL回路の過渡現象と初期条件について学ぶ。 回路現象を微分方程式で表現でき,RC回路やRL回路の過渡現象の一般解が計算できる。
3週 直流RC回路とRL回路の過渡現象と初期条件について学ぶ。 回路現象を微分方程式で表現でき,RC回路やRL回路の過渡現象の一般解が計算できる。
4週 回路方程式のラプラス変換を用いた解法について学ぶ。 ラプラス変換を用いた過渡現象解析について計算できる。
5週 回路方程式のラプラス変換を用いた解法について学ぶ。 ラプラス変換を用いた過渡現象解析について計算できる。
6週 回路方程式のラプラス変換を用いた解法について学ぶ。 ラプラス変換を用いた過渡現象解析について計算できる。
7週 直流RLC回路の過渡現象と初期条件について学ぶ。 直流RLC回路の過渡現象の解を条件ごとに計算できる。
8週 交流回路の過渡現象について学ぶ。 回路に正弦波電圧を加えた場合の過渡現象について説明できる。
4thQ
9週 ひずみ波のフーリエ級数展開とその特性,周波数スペクトルについて学ぶ。 ひずみ波をフーリエ級数展開で表現することが説明できる。
10週 ひずみ波のフーリエ級数展開とその特性,周波数スペクトルについて学ぶ。 基本的な波形のフーリエ級数展開が計算できる。ひずみの状態を表す諸量について説明できる。
11週 分布定数回路1 [11-13]:分布定数回路の基礎方程式と特性インピーダンスについて学ぶ。 集中定数回路と分布定数回路の違いについて説明できる。
12週 分布定数回路の基礎方程式と特性インピーダンスについて学ぶ。 伝搬方程式と基本解を求めることができる。
13週 分布定数回路の基礎方程式と特性インピーダンスについて学ぶ。 分布定数回路の基本解について,その特徴を説明できる。
14週 有限長線路における特性と,入力インピーダンス,反射係数と定在波,整合回路について学ぶ。 特性インピーダンス,無損失線路,無ひずみ線路の境界条件について説明できる。
15週 有限長線路における特性と,入力インピーダンス,反射係数と定在波,整合回路について学ぶ。 特性インピーダンス,無損失線路,無ひずみ線路の境界条件について説明できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路電荷と電流、電圧を説明できる。4後1,後2,後3,後4,後5,後6
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。4後1,後2,後3
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。4後1,後2,後3
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。4後1,後2,後3
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。4前6
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,後8,後9,後10,後11,後12,後13
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,後8,後9,後10,後11,後12,後13
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,後8,後9,後10,後11,後12,後13
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,後8,後9,後10,後11,後12,後13
瞬時値を用いて、交流回路の計算ができる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7
フェーザ表示を用いて、交流回路の計算ができる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,後11,後12,後13
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後8,後11,後12,後13
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。4前1,前2,後11,後12,後13
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。4前13,前14
相互誘導を説明し、相互誘導回路の計算ができる。4前10,前11
理想変成器を説明できる。4前10,前11
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。4前5
RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。4後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。4後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8
重ねの理を用いて、回路の計算ができる。4前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
網目電流法を用いて回路の計算ができる。4前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
節点電位法を用いて回路の計算ができる。4前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
テブナンの定理を回路の計算に用いることができる。4前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15

評価割合

試験課題合計
総合評価割合7030100
基礎的能力20525
専門的能力401555
分野横断的能力101020