熱・流体工学

科目基礎情報

学校 高知工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 熱・流体工学
科目番号 N4046 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 SD エネルギー・環境コース 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 講義資料を配布,参考書:平田・田中・熊野・羽田 「エネルギー工学」(森北出版),佐野・杉山・永橋「基礎から学ぶ工業熱力学」(コロナ社),「エネルギー管理士実戦問題 熱分野+必須基礎科目」(オーム社)他
担当教員 竹島 敬志

到達目標

1.閉じた系と開いた系について、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算でき、外界にする仕事量をp-v線図で説明できる。
2.理想気体の状態方程式について説明でき,理想気体の状態変化における熱量,仕事,内部エネルギーおよびエンタルピー,エントロピーを計算できる。
3.理想気体における混合気体の性質を理解し,混合気体の物性値と物理量を計算できる。
4.各種熱機関・冷凍サイクルの状態変化を説明でき,熱効率および成績係数を計算できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
熱力学の第1法則閉じた系と開いた系について、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーに関する応用問題の計算でき、外界にする仕事量をp-v線図で明快に説明できる。閉じた系と開いた系について、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算でき、外界にする仕事量をp-v線図で説明できる。閉じた系と開いた系について、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーの計算ができない。また外界にする仕事量をp-v線図で説明できない。
理想気体理想気体の状態方程式について明快に説明でき,理想気体の状態変化における熱量,仕事,内部エネルギーおよびエンタルピー,エントロピーをガスサイクル等に適用できる。理想気体の状態方程式について説明でき,理想気体の状態変化における熱量,仕事,内部エネルギーおよびエンタルピー,エントロピーの基本問題の計算ができる。理想気体の状態方程式について説明できない。また,理想気体の状態変化における熱量,仕事,内部エネルギーおよびエンタルピー,エントロピーの基本問題の計算ができない。
混合気体(湿り空気を含む)理想気体における混合気体の性質を明快に説明でき,混合気体の物性値と物理量を湿り空気に適用できる。理想気体における混合気体の性質を理解し,混合気体の物性値と物理量の基本問題の計算ができる。理想気体における混合気体の性質を理解できない。また,混合気体の物性値と物理量の基本問題の計算ができない。
熱機関・冷凍サイクル各種熱機関・冷凍サイクルの状態変化を明快に説明でき,熱効率および各種熱機関・冷凍サイクルの状態変化を明快に説明できる。また熱機関のサイクルや冷凍サイクルに熱効率および成績係数を適用できる。各種熱機関・冷凍サイクルの状態変化を説明でき,熱効率および成績係数の基本問題の計算ができる。各種熱機関・冷凍サイクルの状態変化を説明できない。また熱効率および成績係数の基本問題の計算ができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (C) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
機械工学の基礎である4力学に数えられる「熱力学」と「流体力学」は,エネルギーという概念のわかりにくさから難しい力学とされる。
授業では熱力学の第1法則と第2法則の基本概念を理想気体に適用し,熱エネルギーを機械的動力ならびに電気エネルギーに変換できる各種熱機関やヒートポンプに適用できる応用力を身につける。
授業の進め方・方法:
講義資料をベースに各項目ごとの解説で基本事項を理解してもらい、演習問題により理解度をチェックし,理解の促進を図る。
講義資料は授業前にGoogleClassroomにアップする。事前学習に利用すること。
注意点:
【成績評価の基準・方法】
試験の成績を70 %,平素の学習状況(課題・小テストを含む)を30 %の割合で総合的に評価する。試験の成績は定期試験で評価する。評価は中間と期末の平均とする。技術者が身につけるべき専門基礎として,到達目標に対する達成度を試験等において評価する。
【事前・事後学習】
事前学習:講義資料をGoogleClassroomにアップします。講義資料と参考書の該当箇所を読んで授業に臨むこと。
事後学習:授業内で指示した課題を行うこと。その課題とした演習問題については,周りの学生とデッスカッションしたりして,理解を深めること。
【学修単位科目(授業時間外の学習時間等)】
本科目は学修単位のため,以下の標準学習時間を設定した自主学習を累計45時間分以上実施して提出しなければならない。
・全15回の授業に対して,0.5時間の事前学習と1.5時間の事後学習。計30時間分。
・中間試験および期末試験に対してそれぞれ試験勉強のための課題学習4時間。計8時間分。
・冬期休業中に総まとめ課題として7時間分。
【履修上の注意】
この科目を履修するにあたり,2年生の微分積分Ⅰ、3年生の微分積分Ⅱ、物理Ⅲ(後学期中間試験以降)の内容,および4年生のエネルギー資源の内容を理解しておくこと。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 熱力学の第1法則:閉じた系と開いた系の熱力学の第一法則の式について学び、絶対仕事と工業仕事の求め方を学ぶ。 閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算でき、外界にする仕事量をp-v線図で説明できる。
2週 理想気体:閉じた系と開いた系の熱力学の第一法則の式を理想気体に適用し、各状態変化について学ぶ。 等圧変化、等積変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。
3週 理想気体:カルノーサイクルについて学ぶ。 カルノーサイクルをT-s線図で表現できる。
4週 ガスサイクル:熱機関の分類と容積型内燃機関の理論サイクルについて学ぶ。 熱機関の分類について説明できる。
5週 ガスサイクル:容積型内燃機関の理論サイクルについて学ぶ。 容積型内燃機関の理論サイクルの状態変化を理解し,熱効率を計算できる。
6週 ガスサイクル:実際の自動車用エンジンのサイクルについて学ぶ。 自動車に搭載するエンジンのサイクルの状態変化を理解し,熱効率を計算できる。
7週 ガスサイクル:ガスタービンの理論サイクルについて学ぶ。 ガスタービンの理論サイクルの状態変化を理解し,熱効率を計算できる。
8週 ガスサイクル:ジェットエンジンの理論サイクルについて学ぶ。 ジェットエンジン内のガス流動に関する関係式(連続の式、エネルギー式)を説明できる。
4thQ
9週 情報セキュリティ:自動車産業における情報セキュリティについて学ぶ。 情報セキュリティの必要性、様々な脅威の実態について理解できる。
10週 混合気体:理想気体における混合気体の性質について学ぶ。 理想気体における混合の概念を理解し、混合気体の物性値を計算できる。
11週 混合気体:混合気体の状態変化について学ぶ。 混合気体の状態量、熱、仕事を計算できる。
12週 湿り空気:湿度,湿り空気線図,空気調和について学ぶ。 空気線図,空気の状態値,空気調和の方法について説明できる。
13週 蒸気の性質:等圧条件下での水の蒸発および蒸気表・蒸気線図について学ぶ。 水の等圧蒸発過程を説明できる。
蒸気の状態量を蒸気表および蒸気線図から読み取ることができる。
14週 冷凍サイクル:蒸気圧縮式冷凍サイクルの基本構造と性能の評価方法を学ぶ。 冷凍機・ヒートポンプの成績係数を計算できる。
15週 伝熱の基礎:伝熱の三形態、熱伝導と対流熱伝達の基礎について学ぶ。 伝熱の基本形態を理解し、各形態の伝熱機構を説明できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。2
閉じた系と開いた系、系の平衡、状態量などの意味を説明できる。2
熱力学の第一法則を説明できる。2
閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。2
閉じた系および開いた系が外界にする仕事をp-V線図で説明できる。2
理想気体の圧力、体積、温度の関係を、状態方程式を用いて説明できる。2
定積比熱、定圧比熱、比熱比および気体定数の相互関係を説明できる。2
内部エネルギーやエンタルピーの変化量と温度の関係を説明できる。2
等圧変化、等積変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。2後5
熱力学の第二法則を説明できる。2
サイクルの意味を理解し、熱機関の熱効率を計算できる。2
カルノーサイクルの状態変化を理解し、熱効率を計算できる。2後4
エントロピーの定義を理解し、可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる。2後4
サイクルをT-s線図で表現できる。2後7

評価割合

試験課題合計
総合評価割合70300000100
基礎的能力2010000030
専門的能力5020000070
分野横断的能力0000000