到達目標
1.対称三相交流の電圧・電流・電力を正しく計算できる。
2.配電方式の説明ができ,配電線路の電圧降下,力率改善の計算ができる。
3.電線のたるみ,張力,長さが計算できる。
4.配電線路の保護装置の説明ができる。
5.送電線路の線路定数の計算と等価回路を用いた送電線路の計算ができる。
6.電力円線図を用いて調相機容量が計算できる。
7.送配電線路の基本的な故障計算ができる。
8.高調波障害,中性点接地方式,安定度,直流送電システムの説明ができる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 送配電の概要および運用についての問題点とその解決策を説明できる。 | 送配電の概要と運用の問題点を説明できる。 | 送配電の概要と運用について説明できない。 |
評価項目2 | 配電線路の電圧降下や力率改善の計算および電線のたるみ・長さの計算ができ,線路の設計がる。 | 配電線路の電圧降下や力率改善の計算および電線のたるみ・長さの計算ができる。 | 配電線路の電圧降下や力率改善の計算および電線のたるみ・長さの計算ができない。 |
評価項目3 | 送配電線路の線路定数が計算でき、基本式が導き出せる。 | 送配電線路の線路定数が計算できる。 | 送配電線路の線路定数が計算できない。 |
評価項目4 | 様々な送配電線路の故障計算ができる。 | 基本的な送配電線路の故障計算ができる。 | 送配電線路の故障計算ができない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
限りある資源によって作られた電気エネルギーの輸送システムに関する知識の習得と,システムの運用に必要な電気関連法規を学ぶ。それにより,社会的・倫理的判断のもと電気エネルギーを使用できる技術者の育成をめざす。具体的には需要家までの電力輸送技術とその具体的な計算手法の習得と,既存のシステムの問題点の把握をめざす。
授業の進め方・方法:
授業は教科書「送配電の基礎」およびプリントを主にし,スライドを併用した講義とする。より講義内容を理解させるために演習問題を自主学習することにより,計算能力・知識の向上を図る。課題については授業内で模範解答を説明するので,自分の考え違いや解答方法を正し,模範解答に準じた解答手法を身に着けること。欠課した時間に配布する課題や資料は,各自の机に入れるので自分で管理し,課題は提出期日に提出すること。なお,授業には関数電卓を持参すること。
注意点:
【成績評価の基準・方法】
試験の成績を70%,平素の学習状況等(課題)を30%の割合で総合的に評価する。学年の評価は中間と期末の各期間の平均とする。技術者が身につけるべき専門基礎として,上記の到達目標に対する達成度を試験等において評価する。
【事前・事後学習】
事前学習として教科書の該当部分(事前に説明)を読んだうえで指定のプリントに理解が難しかった部分を抜き出してまとめて授業に臨むこと。また,事後学習として授業内で指示した課題を提出すること。その課題とした演習問題については,周りの学生とデッスカッションしたりし,自分なりの解答を提出をすること。
【学修単位科目(授業時間外の学習時間等)】
本科目は学修単位のため,以下の標準学習時間を設定した自主学習を累計45時間分以上実施して提出しなければ,成績が60点を超えた場合でも59点として扱い単位を認定しない。
・全15回の授業に対して,0.5時間の事前学習と2.0時間の事後学習。計37.5時間分。
・中間試験,期末試験に対して試験勉強のための課題学習それぞれ4時間分×2回。計8時間。
【履修上の注意】
この科目を履修するにあたり,3年生の電気回路I,4年生の電気回路II,電気機器の全ての内容,および工業数学で学ぶフーリエ級数展開・フーリエ変換の内容を十分に理解しておくこと。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
電気法規:電気用品安全法,電気事業法,電気工事業法,電気工事士法について学ぶ。 |
電気保安四法の説明ができる。
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2週 |
三相交流:対称三相交流の発生とY結線・Δ結線,各種電力について学ぶ。 |
Y結線・Δ結線における電圧・電流の計算,皮相電力,有効電力,無効電力を計算できる。
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3週 |
配電方式:配電線路の電気方式,配電材料,変圧器とその等価回路について学ぶ。 |
配電線路の電気方式,配電材料の説明ができ,変圧器とその等価回路の動作が説明できる。
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4週 |
配電線路の計算:配電線路の電圧降下,所要電線量,配電線路の力率改善,分散負荷について学ぶ。 |
配電線路の電圧降下,所要電線量が計算でき,力率改善手法が説明でき,分散負荷の特徴が計算できる。
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5週 |
配電線路の計算:配電線路の電線のたるみ,張力,長さの計算について学ぶ。 |
配電線路の電線のたるみ,張力,長さの計算ができる。
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6週 |
配電線路の保護装置:開閉器,遮断器,避雷器,接地工事,高低圧混触について学ぶ。 |
開閉器,遮断器,避雷器,接地工事,高低圧混触が説明できる。
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7週 |
送電線路の線路定数:送電線路の抵抗,インダクタンス,静電容量について学ぶ。 |
送電線路の抵抗,インダクタンス,静電容量の計算ができる。
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8週 |
送電線路の電気的特性:分布定数回路と四端子定数,それらを使った簡易等価回路について学ぶ。 |
分布定数回路と四端子定数を計算でき,それらを使って簡易等価回路を書くことができる。
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2ndQ |
9週 |
電力円線図:電力円線図と調相機容量について学ぶ。 |
電力円線図による定電圧維持と調相機容量が計算できる。
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10週 |
故障計算法:%インピーダンス法,単位法および短絡容量の計算について学ぶ。 |
%インピーダンス法と単位法を使い,短絡容量の計算ができる。
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11週 |
故障計算法:対称座標法について学ぶ。 |
対称座標法の仕組みについて説明できる。
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12週 |
故障計算法:対称座標法を使った故障計算ができる。 |
対称座標法を使って故障計算ができる。
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13週 |
第3高調波および中性点接地:第3高調波の発生と各種中性点接地方式について学ぶ。 |
第3高調波の発生と問題点および中性点接地について説明できる。
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14週 |
安定度:定態安定度,過渡安定度について学ぶ。 |
定態安定度,過渡安定度が計算できる
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15週 |
直流送電:直流送電システムとその長所・短所について学ぶ。 |
直流送電システムとその長所・短所について説明できる。
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16週 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 電力 | 三相交流における電圧・電流(相電圧、線間電圧、線電流)を説明できる。 | 4 | 前2 |
電源および負荷のΔ-Y、Y-Δ変換ができる。 | 4 | 前2 |
対称三相回路の電圧・電流・電力の計算ができる。 | 4 | 前2 |
直流機の原理と構造を説明できる。 | 3 | 前1 |
誘導機の原理と構造を説明できる。 | 3 | 前1 |
同期機の原理と構造を説明できる。 | 3 | 前1 |
変圧器の原理、構造、特性を説明でき、その等価回路を説明できる。 | 3 | 前3 |
半導体電力変換装置の原理と働きについて説明できる。 | 3 | 前15 |
電力システムの構成およびその構成要素について説明できる。 | 4 | 前2,前3,前7,前8,前15 |
交流および直流送配電方式について、それぞれの特徴を説明できる。 | 4 | 前15 |
電力品質の定義およびその維持に必要な手段について知っている。 | 4 | 前13,前14 |
電力システムの経済的運用について説明できる。 | 4 | 前7,前8,前9,前10,前11,前12 |
水力発電の原理について理解し、水力発電の主要設備を説明できる。 | 3 | 前2 |
火力発電の原理について理解し、火力発電の主要設備を説明できる。 | 3 | 前2 |
原子力発電の原理について理解し、原子力発電の主要設備を説明できる。 | 3 | 前2 |
その他の新エネルギー・再生可能エネルギーを用いた発電の概要を説明できる。 | 3 | 前2 |
電気エネルギーの発生・輸送・利用と環境問題との関わりについて説明できる。 | 3 | 前2 |
評価割合
| 試験 | 課題 | 合計 |
総合評価割合 | 70 | 30 | 100 |
基礎的能力 | 20 | 10 | 30 |
専門的能力 | 40 | 10 | 50 |
分野横断的能力 | 10 | 10 | 20 |