エネルギー変換

科目基礎情報

学校 高知工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 エネルギー変換
科目番号 N5013 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 SD エネルギー・環境コース 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 【前期】「エネルギー工学」,平田ほか3名共著,森北出版  【後期】プリント配布
担当教員 吉田 正伸,永橋 優純

到達目標

1.エンジンシステムの原理と構造,特徴を説明できる。
2.蒸気動力システムの原理と構造,特徴を説明できる。
3.燃焼の基本原理の説明と燃焼計算ができる。、
4.化学電池と燃料電池の構造と特徴を説明できる。
5.核分裂反応と原子力発電の特徴を説明できる。
6.太陽光発電や風力発電の特性を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1エンジンシステムの原理と構造,特徴を説明でき、各種サイクルの理論効率が導けるとともに実機関の性能計算もできる。 エンジンシステムの原理と構造,特徴を説明できる。エンジンシステムの原理と構造,特徴を説明できない。
評価項目2蒸気動力システムの原理と構造,特徴を説明できるとともに、蒸気の熱的状態量の計算やランキンサイクルの熱効率を求めることができる。蒸気動力システムの原理と構造,特徴を説明できる。蒸気動力システムの原理と構造,特徴を説明できない。
評価項目3燃焼の基本原理の説明ができるとともに、理論空気量や燃焼ガスの組成、および理論燃焼温度を求めることができる。燃焼の基本原理の説明ができる。燃焼の基本原理の説明ができない。
評価項目4化学電池と燃料電池の構造を説明でき,化学反応式を用いてその特徴を説明できる。化学電池と燃料電池の構造と特徴を説明できる。化学電池と燃料電池の構造と特徴を説明できない。
評価項目5核分裂反応と原子力発電の特徴を説明でき,核分裂のエネルギーを計算できる。核分裂反応と原子力発電の特徴を説明できる。核分裂反応と原子力発電の特徴を説明できない。
評価項目6太陽光発電や風力発電の特性を説明でき,分散電源システムの説明ができる。太陽光発電や風力発電の特性を説明できる。太陽光発電や風力発電の特性を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (C) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
【前期】我々が日常利用する各種エネルギーは,1次エネルギーを様々なデバイスを使って使い易い他の形態のエネルギーに変換し利用する。本講義の前半では,熱流体を利用した動力エネルギーの生成原理を中心としたエネルギー変換の基本を学ぶ。特に機械工学や化学工学の分野で扱われる、作動流体の有する熱的エネルギーを力学的エネルギーや電気的エネルギーに変換する過程を学ぶ。また、その基本となる燃焼の基本原理についても学ぶ。
【後期】最近ではエネルギー利用と環境問題は切り離しては考えられない状況にあり、再生可能エネルギーへの依存率が高まりつつあjるとともに,余剰な電気エネルギーの貯蔵にも注目が集まっている。本講義の後半では,電気エネルギーと他のエネルギーの相互変換の概要について学ぶとともに,化学電池と物理電池,また風力,原子力,バイオマスなどを利用した各種発電方法についてその原理と特徴を学び,地球環境問題の面からも有効的な電気エネルギーの取り扱い方を考慮できる技術者になるための知識を養う。
授業の進め方・方法:
【前期】教科書:「エネルギー工学」,平田ほか3名共著,森北出版 を基本として、永橋の講義ノートを中心に授業を進める。章ごとに自宅学習課題としての演習問題を課し提出してもらう。
【後期】教科書は使用せず,週ごとに授業内容に沿ったスライドおよびプリントを使用して講義を行う。また必要に応じて授業内容に沿った調査事項や課題解決のためのグループワークとグループ発表を行う。パソコンを使用する場合は事前に連絡をする。
注意点:
【成績評価の基準・方法】
【前期】試験の成績を65%,平素の学習状況等(課題)を35%の割合で総合的に評価する。前期中間の成績評価はその期間の前述の通りの評価とし、前期末の成績評価は、前学期中間と前学期末の各期間の評価の平均とする。
【後期】試験の成績を65%,平素の学習状況等(課題・発表)を35%の割合で総合的に評価する。後学期中間の成績評価は前学期中間と前学期末および後学期中間の各期間の評価の平均とする。学年の評価は前学期中間,前学期末,後学期中間および学年末の各期間の評価の平均とする。技術者が身につけるべき専門基礎として,上記の到達目標に対する達成度を試験等において評価する。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 理論サイクルとしての、オットーサイクル、ディーゼルサイクルについて学ぶ。 オットーサイクル、ディーゼルサイクルの理論熱効率を求めることができる。
2週 理論サイクルとしてのサバテサイクルを学ぶ。 サバテサイクルの理論熱効率と理論平均有効圧を求めることができる。
3週 ガソリンエンジン,ディーゼルエンジンの作動原理や構造を学ぶ。 ガソリンエンジン,ディーゼルエンジンの作動原理や構造を説明できる。
4週 2サイクルエンジン,4サイクルエンジンの作動原理や構造を学ぶ。 2サイクルエンジン,4サイクルエンジンの作動原理や構造を説明できる。
5週 実機関の性能(出力,トルク,燃費率)の求め方を学ぶ。 実機関の性能計算ができる。
6週 発電所動力プラントとしての蒸気動力システムの概要を学ぶ。 蒸気動力システムの分類や構成、構造などの概要を説明できる。
7週 蒸気の熱的状態量の求め方を学ぶ。 蒸気表や蒸気線図を用いて蒸気の熱的状態量を求めることができる。
8週 蒸気サイクルの基本サイクルである、ランキンサイクルの理論熱効率の求め方を学ぶ。 ランキンサイクルの理論熱効率を求めることができる。
2ndQ
9週 ランキンサイクルの効率改善方法を学ぶ。 再生サイクルや再熱サイクルの熱効率を求めることができる。
10週 蒸気サイクルの中の、冷凍サイクルを学ぶ。 冷凍機や、ヒートポンプの成績係数を求めることができる。
11週 燃焼の基本概念や燃料の特性を学ぶ。 燃焼の基本概念や燃料の特性を説明できる。
12週 燃焼の基礎式や発熱量の求め方を学ぶ。 燃焼の基礎式を利用して発熱量を与える式を導くことができる。
13週 理論酸素量や理論空気量の求め方を学ぶ。 燃料の組成が与えられれば、理論酸素量、理論空気量を求めることができる。
14週 燃焼ガス成分の求め方を学ぶ。 燃料の組成が与えられれば、燃焼ガスの組成を求めることができる。
15週 空気過剰率や理論燃焼温度の求め方を学ぶ。 燃料の組成が与えられれば、理論燃焼温度が求められる。
16週
後期
3rdQ
1週 電気エネルギーの利用とエネルギー変換デバイスについて学ぶ。 電気エネルギーを中心とした様々なデバイスを用いたエネルギーの変換について説明できる。
2週 電気化学の基礎と電池の種類について学ぶ。 電気エネルギーと化学エネルギーの相互変換および電極と電解質溶液の説明ができる。
3週 1次電池の原理について学ぶ。 1次電池の原理が説明できる。
4週 2次電池の原理について学ぶ。 2次電池の原理が説明できる。
5週 燃料電池の原理について学ぶ。 燃料電池の原理が説明できる。
6週 燃料電池の種類と利用方法について学ぶ。 燃料電池の種類と適切な用途が説明できる。
7週 様々な蓄電システムと分散電源システムについて学ぶ。 電気二重層キャパシタやフライホイールなど電池以外の蓄電システムとそれを利用ししたマイクログリッドなどの分散電源システムの構成が説明できる。
8週 原子力発電の原理について学ぶ。 一般的な原子炉の構成や原子力発電所の主要設備の説明ができる。
4thQ
9週 核分裂と核分裂連鎖反応および放射線について学ぶ。 核分裂と核分裂連鎖反応によるエネルギーの計算ができ,放射線の発生とその種類について説明できる。
10週 バイオマス発電と地熱発電の原理ついて学ぶ。 バイオマス発電と地熱発電の原理ついて説明できる
11週 風力発電について学ぶ。 風車の種類と風のエネルギー,および風力発電について説明できる。
12週 太陽電池の原理ついて学ぶ。 光電効果と太陽電池の基本的な原理が説明できる。
13週 太陽電池の種類とその特徴について学ぶ。 太陽電池の種類とその特徴が説明できる。
14週 太陽電池とパワーコンディショナおよびメガソーラーについて学ぶ。 太陽電池とパワーコンディショナおよびメガソーラーについて説明できる。
15週 再生可能エネルギーを用いた系統連系システムについて学ぶ。 再生可能エネルギーを用いた系統連系システムが説明できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体流体の定義と力学的な取り扱い方を理解し、適用できる。2
流体の性質を表す各種物理量の定義と単位を理解し、適用できる。2
ニュートンの粘性法則、ニュートン流体、非ニュートン流体を説明できる。2
絶対圧力およびゲージ圧力を説明できる。2
パスカルの原理を説明できる。2
液柱計やマノメーターを用いた圧力計測について問題を解くことができる。2
平面や曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。2
物体に作用する浮力を計算できる。2
定常流と非定常流の違いを説明できる。2
流線と流管の定義を説明できる。2
連続の式を理解し、諸問題の流速と流量を計算できる。2
オイラーの運動方程式を説明できる。2
ベルヌーイの式を理解し、流体の諸問題に適用できる。2
運動量の法則を理解し、流体が物体に及ぼす力を計算できる。2
層流と乱流の違いを説明できる。2
レイノルズ数と臨界レイノルズ数を理解し、流れの状態に適用できる。2
ダルシー・ワイスバッハの式を用いて管摩擦損失を計算できる。2
ムーディー線図を用いて管摩擦係数を求めることができる。2
熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。3
閉じた系と開いた系、系の平衡、状態量などの意味を説明できる。3
熱力学の第一法則を説明できる。3
閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。3
閉じた系および開いた系が外界にする仕事をp-V線図で説明できる。3
理想気体の圧力、体積、温度の関係を、状態方程式を用いて説明できる。3
定積比熱、定圧比熱、比熱比および気体定数の相互関係を説明できる。3
内部エネルギーやエンタルピーの変化量と温度の関係を説明できる。3
等圧変化、等積変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。3
熱力学の第二法則を説明できる。2
サイクルの意味を理解し、熱機関の熱効率を計算できる。3
カルノーサイクルの状態変化を理解し、熱効率を計算できる。3
エントロピーの定義を理解し、可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる。2
サイクルをT-s線図で表現できる。2
電気・電子系分野電力半導体電力変換装置の原理と働きについて説明できる。3
電力システムの構成およびその構成要素について説明できる。3
交流および直流送配電方式について、それぞれの特徴を説明できる。3
電力品質の定義およびその維持に必要な手段について知っている。3
電力システムの経済的運用について説明できる。3
水力発電の原理について理解し、水力発電の主要設備を説明できる。3
火力発電の原理について理解し、火力発電の主要設備を説明できる。3
原子力発電の原理について理解し、原子力発電の主要設備を説明できる。2
その他の新エネルギー・再生可能エネルギーを用いた発電の概要を説明できる。3
電気エネルギーの発生・輸送・利用と環境問題との関わりについて説明できる。2

評価割合

試験発表課題合計
総合評価割合651025100
基礎的能力5005
専門的能力4051560
分野横断的能力2051035