概要:
我々の経済活動や産業活動は身近な生活や自然環境に悪影響を与え、その結果として深刻な地球環境問題を引き起こしている。この迫り来る人類存続の危機に対して、持続可能な社会の構築は世界的な重要課題であり、環境方針や目標を設定し、その達成に向けて取り組む環境マネジメントが望まれている。この講義では、まず様々な環境問題の歴史、地球環境問題と国際的な取り組み、エネルギー問題と持続可能な社会における環境倫理の重要性について学ぶ。また、持続可能な社会を構築するための環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001のしくみ、環境へのインパクトを評価するライフサイクルアセスメント手法、2015年の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)に関する取り組みについて理解し、企業運営に必要な環境マネジメントの基礎知識を身につけることをめざす。
授業の進め方・方法:
下記の授業計画に従って講義を行う。授業は配付プリントやスライドを使って説明したり、課題の自主学習やグループ討議を行って知識の向上を図る。欠課した時間に配布する課題や資料は各自の机に入れておくので提出期日までに提出すること。前学期末に試験を行う。
注意点:
【成績評価の基準・方法】
試験の成績を60%,平素の学習状況等(課題やグループ討議)を40%の割合で総合的に評価する。技術者が身につけるべき専門基礎として,上記の到達目標に対する達成度を試験等において評価する。
【事前・事後学習】
事前・事後学習として課題を手書きで提出する。課題はSNSで調べたり(出典を明記)、周囲の学生とディスカッションをしても構わないが、自分で考えた解答を書くこと(他人の解答を写してはいけない)。
【学修単位科目(授業時間外の学習時間等)】
本科目は学修単位のため、以下の標準学習時間を設定した自主学習を累計45時間分以上実施して提出しなければ、成績が60点を超えた場合でも59点として扱い単位を認定しない。
・全15回の授業に対して、2.5時間の事前・事後学習。計37.5時間分。
・期末試験勉強のための課題学習7.5時間。
【履修上の注意】
この科目を履修するにあたり、5年前学期の環境工学の内容を理解しておくことが望ましい。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
地球と人類の歴史について学ぶ。 |
生物の誕生,物質循環,人類とエネルギーの関係などが説明できる。
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2週 |
地球環境問題と国際的な取り組みについて学ぶ。 |
様々な地球規模の環境問題を理解し,その具体的な取り組みについて説明できる。
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3週 |
エネルギー問題と持続可能な社会について学ぶ。 |
将来のエネルギー問題に対する持続可能な社会の構築について説明できる。
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4週 |
公害問題と環境政策について学ぶ。 |
高度経済成長期以降の公害問題を理解し,行政や地域社会の責任を説明できる。
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5週 |
水質汚濁と富栄養化について学ぶ。 |
各種水質指標の意味を理解でき,水質汚濁問題の原因やその対策について説明できる。
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6週 |
上水道と下水道のしくみについて学ぶ。 |
上下水道の歴史,役割,種類が理解でき,普及状況や課題を説明できる。
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7週 |
廃棄物の処理とリサイクルについて学ぶ。 |
廃棄物問題の歴史,区分,発生状況,廃棄物の処理と処分,中間処理及び最終処分の方法を説明できる。
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8週 |
循環型社会への取り組みについて学ぶ。 |
廃棄物の不法投棄と不適正処理,循環型社会形成のための法体系を説明できる。
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4thQ |
9週 |
生態系と生物多様性の保全について学ぶ。 |
生態系の構造や機能、生物多様性などが説明できる。
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10週 |
環境保全への国際的な取り組みについて学ぶ。 |
生態系と生物多様性の保全施策が説明できる。
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11週 |
環境アセスメントとミティゲーションについて学ぶ。 |
環境アセスメントの目的,現状,リスクアセスメントが説明できる。
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12週 |
環境マネジメントとLCAについて学ぶ。 |
ISO9001,ISO14001,LCAが説明できる。
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13週 |
SDGsと取り組みの現状について学ぶ。 |
SDGs,プラネタリーバウンダリーが説明できる。
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14週 |
企業のSDGsの取り組みについて学ぶ。 |
SDGsの取り組みの進捗が説明できる。
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15週 |
サプライチェーンとESG投資について学ぶ。 |
企業の取り組み,サプライチェーンマネジメント,ESG投資が説明できる。
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。 | 3 | 後10,後11 |
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。 | 3 | 後6,後7,後8,後9 |
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。 | 3 | 後4,後5 |
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。 | 3 | 後10,後11 |
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。 | 3 | 後6,後7,後8,後9 |
科学技術が社会に与えてきた影響をもとに、技術者の役割や責任を説明できる。 | 3 | 後1,後2,後3 |
グローバリゼーション・異文化多文化理解 | グローバリゼーション・異文化多文化理解 | それぞれの国や地域の経済的・社会的な発展に対して科学技術が果たすべき役割や技術者の責任ある行動について説明できる。 | 3 | 後4,後5 |
分野横断的能力 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。 | 3 | 後12,後13,後14,後15 |
あるべき姿と現状との差異(課題)を認識するための情報収集ができる | 3 | 後12,後13,後14,後15 |
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。 | 3 | 後12,後13,後14,後15 |
態度・志向性(人間力) | 態度・志向性 | 態度・志向性 | 技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。 | 3 | 後12,後13,後14,後15 |