パワーエレクトロニクス

科目基礎情報

学校 高知工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 パワーエレクトロニクス
科目番号 N5019 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 SD エネルギー・環境コース 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:野村弘他「PSIMで学ぶ基礎パワーエレクトロニクス」(電気書院) 参考書:片岡昭雄「パワーエレクトロニクス入門」(森北出版)参考書:河村篤男他訳「基礎パワーエレクトロニクス」(コロナ社)
担当教員 中田 祐樹

到達目標

【到達目標】
1.電力用半導体素子の動作と特性について説明ができる。
2.電力変換回路に関連した,平均値,実効値,電力,力率,ひずみ率等を求めることができる。
3.各種電力変換回路の動作とその特性について説明ができる。
4.応用分野や高調波について説明ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1半導体電力変換の必要性を説明でき,目的に応じた変換手法を検討できる。半導体電力変換の必要性を説明できる。半導体電力変換の必要性を説明できない。
評価項目2パワエレの基本回路について動作を解析でき,応用について検討できる。パワエレの基本回路について動作を解析できる。パワエレの基本回路について動作を解析できない。
評価項目3シミュレーション技法を用いて,回路の動作解析ができ,電圧・電流等の関係を説明できる。シミュレーション技法を用いて,回路の動作解析ができる。シミュレーション技法を用いて,回路の動作解析ができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (C) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
半導体デバイスを用いて効率よく電力の変換と制御を行うパワーエレクトロニクス技術は省エネ技術でもあり,地球環境保全やエネルギー問題の解決にも役立つ。また,主要な応用分野として各種電動機の駆動や制御があり,機械・電気の融合分野でもある。本講義では電力の有効利用の見地から,各種半導体電力変換器の原理と応用を解説し,上記の社会的要求に応ずる素養を習得する。
授業の進め方・方法:
授業は教科書「PSIMで学ぶ基礎パワーエレクトロニクス」およびスライドを併用した講義とする。より講義内容を理解させるために演習問題を自主学習することにより,計算能力・知識の向上を図る。課題については授業内で模範解答を説明するので,自分の考え違いや解答方法を正し,模範解答に準じた解答手法を身に着けること。欠課した時間に配布する課題や資料は,各自の机に入れるので自分で管理し,課題は提出期日に提出すること。なお,授業には関数電卓を持参すること。基礎事項に重点を置きつつも,具体性を持たせるため,講義にシミュレーション実習を取り入れるためノートパソコンが必要となる場合がある。
注意点:
【成績評価の基準・方法】
 試験の成績を70%,平素の学習状況等(課題・小テスト・レポート等を含む)を30%の割合で総合的に評価する。学期毎の評価は中間と期末の各期間の評価の平均,学年の評価は前学期と後学期の評価の平均とする。なお,通年科目における後学期中間の評価は前学期中間,前学期末,後学期中間の各期間の評価の平均とする。技術者が身につけるべき専門基礎として,到達目標に対する達成度を試験等において評価する。また,全ての課題,レポートの提出が完了していることが単位認定の要件である。
【事前・事後学習】
事前学習として教科書の該当部分(事前に説明)を読んだうえで授業に臨むこと。また,事後学習として授業内で指示した課題を提出すること。その課題とした演習問題については,周りの学生とデッスカッションしたりし,自分なりの解答を提出をすること。
【履修上の注意】
この科目を履修するにあたり,3年生の電気回路I,4年生の電気回路II,電気機器,電子回路の全ての内容,および工業数学で学ぶフーリエ級数展開・フーリエ変換の内容を十分に理解しておくこと。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 パワーエレクトロニクス概説:パワーエレクトロニクスとは何か,その特徴と必要性について学ぶ。合わせて,シミュレーションの意義と方法について学ぶ。 パワーエレクトロニクスとは何か,その特徴と必要性につて説明できる。
2週 パワーエレクトロニクス概説:パワーエレクトロニクスとは何か,その特徴と必要性について学ぶ。合わせて,シミュレーションの意義と方法について学ぶ。 シミュレーション解析の意義と留意点について説明できる。
3週 電力用半導体素子:ダイオード,MOSFET,IGBTなど電力用半導体素子について学ぶ。 理想スイッチと実際の半導体スイッチの違いについて説明できる。
4週 電力用半導体素子:ダイオード,MOSFET,IGBTなど電力用半導体素子について学ぶ。 各半導体スイッチの特徴について説明できる。
5週 電力用半導体素子:ダイオード,MOSFET,IGBTなど電力用半導体素子について学ぶ。 ドライブ回路とスナバ回路の必要性を説明できる。
6週 パワーエレクトロニクスの基礎事項Ⅰ:平均値と実効値,電力の計算方法を学ぶ。 定義にしたがって平均値,実効値,電力の計算ができる。
7週 パワーエレクトロニクスの基礎事項Ⅰ:平均値と実効値,電力の計算方法を学ぶ。(シミュレーション演習) フーリエ級数展開ができ,ひずみ波の実効値,平均電力が求められる。
8週 パワーエレクトロニクスの基礎事項Ⅰ:平均値と実効値,電力の計算方法を学ぶ。(シミュレーション演習) シミュレーションによって,回路の諸波形とその実効値,電力を求めることができる。
2ndQ
9週 パワーエレクトロニクスの基礎事項Ⅰ:平均値と実効値,電力の計算方法を学ぶ。(シミュレーション演習) ひずみ波に関するシミュレーションを行い,波形のフーリエ解析ができる。
10週 パワーエレクトロニクスの基礎事項Ⅱ:ひずみ波と力率,過渡現象について学ぶ。 定義にしたがってひずみ波の電力,実効値,ひずみ率,総合力率が求められる。
11週 パワーエレクトロニクスの基礎事項Ⅱ:ひずみ波と力率,過渡現象について学ぶ。 インダクタとキャパシタの定常特性について説明できる。
12週 パワーエレクトロニクスの基礎事項Ⅱ:ひずみ波と力率,過渡現象について学ぶ。(シミュレーション演習) 過渡現象に関するシミュレーションを行い,過渡現象における諸値を求めることができる。
13週 AC-DC変換回路Ⅰ:単相整流回路について学ぶ。 ダイオードとサイリスタを用いた単相半波整流回路の動作が説明できる。
14週 AC-DC変換回路Ⅰ:単相整流回路について学ぶ。 誘導性負荷が接続された整流回路の動作が説明できる。
15週 AC-DC変換回路Ⅰ:単相整流回路について学ぶ。 ブリッジ整流回路の動作が説明できる。
16週
後期
3rdQ
1週 AC-DC変換回路Ⅱ:三相整流回路,他励式インバータ,直流電圧特性について学ぶ。 ダイオードを用いた三相半波,全波整流回路の動作が説明できる。
2週 AC-DC変換回路Ⅱ:三相整流回路,他励式インバータ,直流電圧特性について学ぶ。 整流回路における線路中のインダクタンスの影響について説明できる。
3週 AC-DC変換回路Ⅱ:三相整流回路,他励式インバータ,直流電圧特性について学ぶ。 キャパシタ平滑回路の動作が説明ができる。
4週 AC-DC変換回路Ⅱ:三相整流回路,他励式インバータ,直流電圧特性について学ぶ。(シミュレーション演習) シミュレーションによって,整流回路の各波形を取得でき,負荷の条件による違いを説明できる。
5週 DC-DC変換回路:降圧形,昇圧形,昇降圧形の変換回路について学ぶ。 降圧チョッパ回路の動作が説明できる。
6週 DC-DC変換回路:降圧形,昇圧形,昇降圧形の変換回路について学ぶ。 昇圧チョッパ回路の動作が説明できる。
7週 DC-DC変換回路:降圧形,昇圧形,昇降圧形の変換回路について学ぶ。 昇降圧チョッパ回路の動作が説明できる。
8週 DC-DC変換回路:降圧形,昇圧形,昇降圧形の変換回路について学ぶ。(シミュレーション演習) 降圧形,昇圧形チョッパのシミュレーションに置いて,各波形が取得できる。また,その波形を用いて,回路の動作説明ができる。
4thQ
9週 DC-AC変換回路:インバータの基本原理について学ぶ。 方形波インバータの基本原理を説明できる。
10週 DC-AC変換回路Ⅰ:インバータの基本原理について学ぶ。 方形波インバータの負荷条件による出力波形の違いについて説明できる。
11週 DC-AC変換回路Ⅱ:パルス変調方式,三相インバータについて学ぶ。 出力電圧調整手法の違いとその原理が説明できる。パルス幅変調(PWM)方式の出力電圧と変調率との関係が説明できる。
12週 DC-AC変換回路Ⅱ:パルス変調方式,三相インバータについて学ぶ。 三相インバータの動作の説明ができる。PWM波形と高調波の関係について説明できる。
13週 AC-AC変換回路:交流電圧調整回路,サイクロコンバータについて学ぶ。 交流電圧調整回路の動作が説明できる。
14週 AC-AC変換回路:交流電圧調整回路,サイクロコンバータについて学ぶ。 サイクロコンバータの動作が説明できる。
15週 検出回路,フィルタ,制御回路について学ぶ。 検出回路,フィルタ,制御回路の設計ができる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。3
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。3
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。3
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。4
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。3
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。4
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。3
瞬時値を用いて、交流回路の計算ができる。4
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。4
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。3
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。4
RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。4
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。4
電子回路ダイオードの特徴を説明できる。3
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。2
FETの特徴と等価回路を説明できる。2
トランジスタ増幅器のバイアス供給方法を説明できる。1
演算増幅器の特性を説明できる。3
演算増幅器を用いた基本的な回路の動作を説明できる。3
電子工学pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。2
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。2
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。3
電力三相交流における電圧・電流(相電圧、線間電圧、線電流)を説明できる。3
対称三相回路の電圧・電流・電力の計算ができる。3
変圧器の原理、構造、特性を説明でき、その等価回路を説明できる。2
半導体電力変換装置の原理と働きについて説明できる。4
制御伝達関数を用いたシステムの入出力表現ができる。3
ブロック線図を用いてシステムを表現することができる。3
システムの過渡特性について、ステップ応答を用いて説明できる。2
システムの定常特性について、定常偏差を用いて説明できる。2
システムの周波数特性について、ボード線図を用いて説明できる。2

評価割合

試験課題,小テスト,その他合計
総合評価割合7030100
基礎的能力501060
専門的能力102030
分野横断的能力10010