電気回路Ⅰ

科目基礎情報

学校 高知工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 電気回路Ⅰ
科目番号 R3040 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 SD ロボティクスコース 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:早川,松下,茂木「電気回路(1)直流・交流回路編」,コロナ社 教材:自作プリント
担当教員 山口 巧

到達目標

【到達目標】
1.交流回路網を様々な方法で解析できる。
2.共振回路と交流電力の計算ができる。
3.相互誘導回路と基礎的な三相交流回路の計算ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1課題状況に応じて,キルヒホッフの法則と等価電源の概念から導かれる交流回路網解析の諸定理を使い分け,効率的に回路設計ができる。キルヒホッフの法則と等価電源の概念から導かれる交流回路網解析の諸定理を正しく適用できる。交流回路網解析の諸定理の適用経験を持つが,理解は断片的で適用範囲は限定されている。
評価項目2交流回路網の解析的な取り扱いと記号的な取り扱いの関連を理解した上で,共振回路と交流電力の計算ができる。交流回路網の解析的取り扱いあるいは記号的取り扱いのいずれかによって,共振回路と交流電力の計算ができる。共振回路と交流電力の計算経験はあるが,計算原理の理解を欠くために適用範囲は限定されている。
評価項目3実用されている相互誘導回路と基礎的な三相交流回路の計算ができる。相互誘導回路と基礎的な三相交流回路の計算ができ,ひずみ波交流の取り扱いの基本を理解している。相互誘導回路と基礎的な三相交流回路の計算経験はあるが,理解は断片的で適用範囲は限定されている。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育目標 (B) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
2年次の電気回路基礎で学んだ単相交流回路の知識を,やや複雑な回路網へ応用する力や多相交流へ展開する考え方を身につける。さらに,回路方程式の微分,積分を用いた表現,相互誘導回路,LC共振,周波数特性,ひずみ波交流のフーリエ級数表現など,数学的な取り扱いを習得する。
授業の進め方・方法:
授業は板書による要点の解説とプリントによる演習を中心として進め,適宜,グループ学習を織り込んで実践的技術力を養成する。
注意点:
試験の成績を60%,平素の学習状況等(課題・小テスト・レポート等を含む)を40%の割合で総合的に評価する。学期毎の評価は中間と期末の各期間の評価の平均、学年の評価は前学期と後学期の評価の平均とする。なお,通年科目における後学期中間の評価は前学期中間、前学期末、後学期中間の各期間の評価の平均とする。技術者が身につけるべき専門基礎として,到達目標に対する達成度を試験等において評価する。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 交流回路解析の基礎:複素数の表現と計算,交流電圧・交流電流の表現を学ぶ。 交流電圧・交流電流を直交座標,極座標,指数関数,フェーザを用いて表現できる。
2週 交流回路解析の基礎:瞬時値による回路解析の基礎を学ぶ。 抵抗,インダクタンス,コンデンサを含む交流回路を瞬時値を用いて表現できる。
3週 交流回路解析の基礎:インピーダンス,リアクタンス,アドミタンス,サセプタンス,複素電力を学ぶ。 交流回路素子の特性値を計算でき,瞬時値による解析との対応付けができる。
4週 交流回路網解析の基礎:交流回路網解析の概要,グラフと閉路を学ぶ。 グラフと閉路に関する理解のもとで,キルヒホッフの法則を適用できる。
5週 交流回路網解析の基礎:枝電流法,網目電流法,接点電位法を学ぶ。 簡単な回路を枝電流法,網目電流法,接点電位法によって解析でき,回路方程式を導出できる。
6週 交流回路網解析の諸定理:等価電圧源と等価電流源を学ぶ。 等価電圧源と等価電流源を含む交流回路の回路方程式を導出できる。
7週 交流回路網解析の諸定理:重ね合せの理,鳳-テブナンの定理,ノートンの定理を学ぶ。 重ね合せの理,鳳-テブナンの定理,ノートンの定理を導出でき,簡単な回路網の解析に適用できる。
8週 交流回路網解析:復習と総合演習
2ndQ
9週 交流回路網解析:前期中間試験
10週 交流回路網解析の諸定理:帆足-ミルマンの定理を学ぶ。 帆足-ミルマンの定理を導出でき,簡単な回路網の解析に適用できる。
11週 交流回路網解析の諸定理:補償の定理,相反の定理を学ぶ。 補償の定理,相反の定理を導出でき,簡単な回路網の解析に適用できる。
12週 共振回路:直列共振回路と並列共振回路,共振周波数,帯域幅を学ぶ。 直列共振と並列共振を理解し,共振周波数,帯域幅,Q値等を説明でき,計算できる。
13週 共振回路:直列-並列変換,並列-直列変換と様々な共振回路の取り扱いを学ぶ。 回路素子の直列-並列変換,並列-直列変換ができ,様々な共振回路の解析ができる。
14週 交流電力:最大有効電力定理を学ぶ。 交流電力とその解析的な取り扱いを理解し,最大有効電力定理を活用できる。
15週 交流回路網解析:復習と総合演習
16週
後期
3rdQ
1週 相互誘導回路:電磁誘導結合回路を学ぶ。 電磁誘導回路の基礎的な取り扱いを理解し,物理的な取り扱いとの整合性を説明できる。
2週 相互誘導回路:磁束と磁束密度,ファラデーの法則とレンツの法則を学ぶ。 磁束と磁束密度を計算でき,ファラデーの法則とレンツの法則を用いた計算ができる。
3週 相互誘導回路:自己誘導回路と自己インダクタンスを学ぶ。 自己誘導回路と自己インダクタンスを説明でき,回路解析に活用できる。
4週 相互誘導回路:相互誘導回路と相互インダクタンスを学ぶ。 相互誘導回路と相互インダクタンスを説明でき,回路解析に活用できる。
5週 相互誘導回路:結合係数と漏れ磁束を学ぶ。 結合係数と漏れ磁束を説明でき,回路解析に活用できる。
6週 相互誘導回路:様々な電磁結合回路の取り扱いを学ぶ。 様々な電磁結合回路の計算ができる。
7週 相互誘導回路:変圧器結合とインピーダンス整合を学ぶ。 変圧器結合とインピーダンス整合を説明でき,回路解析に活用できる。
8週 相互誘導回路:復習と総合演習
4thQ
9週 相互誘導回路:後期中間試験
10週 ベクトル軌跡:ベクトル軌跡とその活用方法を学ぶ。 ベクトル軌跡を説明でき,それの解析およびそれの描画ができる。
11週 三相交流回路:スターデルタ変換,三相交流の表現,三相4線式と三相3線式を学ぶ。 三相交流回路について,スターデルタ変換,三相交流の表現,三相4線式と三相3線式を説明でき,特性値を計算できる。
12週 三相交流回路:様々な三相結線について学ぶ。 様々な三相結線の回路について各部の電流、電圧を求めることができる。
13週 三相交流回路:三相電力と電力ベクトル図を学ぶ。 様々な三相結線,三相電力と電力ベクトル図を説明でき,回路解析ができる。
14週 三相交流回路:三相電力、電力量と電力ベクトル図を学ぶ。 様々な三相結線,三相電力と電力ベクトル図を説明でき,回路解析ができる。
15週 復習と総合演習
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路電荷と電流、電圧を説明できる。3前1
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。3前1
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。3
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。3
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。3
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。3
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。3前1,前2
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。3前1,前2
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。3前1
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。3前1,前2
瞬時値を用いて、交流回路の計算ができる。3前1,前2
フェーザ表示を用いて、交流回路の計算ができる。3前1,前2
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。3前2,前3
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。3前4
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。3前4,前5
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。3前12
相互誘導を説明し、相互誘導回路の計算ができる。3後1,後2,後4,後6,後7
理想変成器を説明できる。3後4,後6,後7
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。3前14
重ねの理を用いて、回路の計算ができる。3前7
網目電流法を用いて回路の計算ができる。3前7
節点電位法を用いて回路の計算ができる。3前7
テブナンの定理を回路の計算に用いることができる。3前7,前10
電磁気コンデンサの直列接続、並列接続を説明し、その合成静電容量を計算できる。3
電磁誘導を説明でき、誘導起電力を計算できる。3後1
自己誘導と相互誘導を説明できる。3後1,後3,後4
自己インダクタンス及び相互インダクタンスを求めることができる。3後3,後4

評価割合

試験発表相互評価ポートフォリオその他合計
総合評価割合6000400100
基礎的能力300020050
専門的能力300010040
分野横断的能力00010010