1. ネットワークで結ばれた情報システムを運用するにあたり,運用設計の進め方を説明できる.
2. 業務で運用する情報ネットワークにおいて,利用者とのやり取りの取りまとめのしかたを説明できる.
3. 情報ネットワーク基盤の維持管理のしかたを説明できる.
4. 情報システムの運用管理をどのように進めるかを説明できる.
概要:
ネットワークを介して接続される情報システム全体について,単に設計して導入されればそれで終わりではない.導入後の運用管理は極めて重要である.情報システムの設計に問題があると,運用の段階で多大な負担がかかる.また,運用方法が適切でないと,一貫した運用ができず運用担当者に負担がかかってしまう.そこで本講義では情報システムを導入する際に考えるべき運用設計について理解し,システム導入後の定常,非定常業務への対応が適切に行えるようにはどうすればいいかを説明できるようにする.
授業の進め方・方法:
授業では教科書に沿ってシステム導入,運用の仕方について,一般的な情報システムを想定して考えていくことにする.いくつかの例を挙げて,どのようにしておけば適切な運用ができるのかを考えてもらう.講義を受けるだけでなく,事例について個人あるいはグループでワークを行う.進度によっては各トピックを扱う週を短縮したり増やしたりすることもある.
この科目は学修単位科目(授業30時間+自学自習60時間)であるため,講義後に理解度を確認するレポート課題を出題し,その提出状況を評価に反映する.定期試験も実施する.
注意点:
【成績評価の基準・方法】
試験の成績を80%,課題を20%の割合で総合的に評価する.成績評価は中間と期末の各期間の評価の平均とする.学年の評価は前学期末の評価とする.技術者が身に着けるべき専門科目として,上記の到達目標に対する達成度を試験等において評価する.
【事前・事後学習】
事前学習としてシラバスに沿って教科書を読んだ上で,理解が難しかった部分を整理して授業に臨むこと.また,事後学習として授業内で取り扱った項目について,関連した事例を調査して理解を深めること.
【学修単位科目(授業時間外の学習時間等)】
本科目は学修単位のため,以下の標準学習時間を設定した自主学習を累計45時間分以上実施して課題等を提出しなければ,成績が60点を超えた場合でも59点として扱い単位を認定しない.
・全15回の授業に対して,0.5時間の事前学習と1.5時間の事後学習.計30時間分.
・中間試験および期末試験に対してそれぞれ試験勉強のための課題学習4時間.計8時間分.
・授業期間中に出題する課題を学習する時間7時間分.
【履修上の注意】
本科目は,情報システムを構築する技術者ではなく,運用管理や利用者サポートを行う技術者の立場に置かれたときの行動を検討する科目である.卒業後に情報システムを運用する立場に置かれたときの事を想定して,前向きに受講していただきたい.
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス システム運用とは |
システム運用とはどのようなものか,構築との違いを理解する.
|
2週 |
運用設計I |
情報ネットワークシステムを安定して稼働するための運用設計について理解する.
|
3週 |
運用設計II |
運用設計で取り扱う範囲,目指すレベル,重要な分類について理解する.
|
4週 |
システム導入I |
システムを導入する際のフェイズについて,要件定義や基本設計など理解する.
|
5週 |
システム導入II |
システムを導入する際のフェイズについて,実稼働前に行うべき事柄を理解する.
|
6週 |
業務運用I |
業務運用の設計に必要な,様々な図の作成方法について理解する.
|
7週 |
業務運用II |
業務運用について,情報システムを想定して様々な図を作成できるようにする.
|
8週 |
業務運用III |
業務運用について,情報システムの利用者への対応,業務分担などを理解する.
|
2ndQ |
9週 |
基盤運用I |
情報ネットワークシステムの基盤運用の全体像を理解する.
|
10週 |
基盤運用II |
情報ネットワークシステムの効率的な運用に必要なバッチ処理,スクリプト処理の例を設定できるようにする.
|
11週 |
基盤運用III |
バックアップや監視,ログ解析などシステムの機密性,完全性,可用性を保つための運用手段を理解する.
|
12週 |
基盤運用IV |
特権を持つユーザのアカウント管理など,権限の分離,最小権限の原則を理解する.
|
13週 |
運用管理I |
運用維持管理の基準設定について理解する.
|
14週 |
運用管理II |
情報ネットワークシステムの維持管理に必要な情報の選別方法や対応法について理解する.
|
15週 |
運用管理III |
情報ネットワークシステムに関わる利害関係者に対し、適切な報告を行うための必要事項を理解する.
|
16週 |
運用リテラシーの実システムへの応用 |
情報ネットワークの実例を考え,よりよい運用を行うための方策を検討する.
|
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。 | 3 | |
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。 | 3 | |
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。 | 3 | |
社会における技術者の役割と責任を説明できる。 | 3 | |
情報技術の進展が社会に及ぼす影響、個人情報保護法、著作権などの法律について説明できる。 | 4 | |
高度情報通信ネットワーク社会の中核にある情報通信技術と倫理との関わりを説明できる。 | 4 | |
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。 | 3 | |
環境問題を考慮して、技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。 | 3 | |
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。 | 3 | |
過疎化、少子化など地方が抱える問題について認識し、地域社会に貢献するために科学技術が果たせる役割について説明できる。 | 3 | |
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。 | 3 | |
知的財産の獲得などで必要な新規アイデアを生み出す技法などについて説明できる。 | 3 | |
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。 | 4 | |
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。 | 4 | |
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。 | 3 | |
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。 | 3 | |
情報リテラシー | 情報リテラシー | 情報を適切に収集・処理・発信するための基礎的な知識を活用できる。 | 4 | |
論理演算と進数変換の仕組みを用いて基本的な演算ができる。 | 4 | |
コンピュータのハードウェアに関する基礎的な知識を活用できる。 | 4 | |
情報伝達システムやインターネットの基本的な仕組みを把握している。 | 4 | |
情報セキュリティの必要性および守るべき情報を認識している。 | 4 | |
個人情報とプライバシー保護の考え方についての基本的な配慮ができる。 | 4 | |
インターネット(SNSを含む)やコンピュータの利用における様々な脅威を認識している | 4 | |
インターネット(SNSを含む)やコンピュータの利用における様々な脅威に対して実践すべき対策を説明できる。 | 4 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 情報系分野 | 情報通信ネットワーク | プロトコルの概念を説明できる。 | 4 | |
プロトコルの階層化の概念や利点を説明できる。 | 4 | |
ローカルエリアネットワークの概念を説明できる。 | 4 | |
インターネットの概念を説明できる。 | 4 | |
TCP/IPの4階層について、各層の役割を説明でき、各層に関係する具体的かつ標準的な規約や技術を説明できる。 | 4 | |
主要なサーバの構築方法を説明できる。 | 4 | |
情報通信ネットワークを利用したアプリケーションの作成方法を説明できる。 | 4 | |
ネットワークを構成するコンポーネントの基本的な設定内容について説明できる。 | 4 | |
無線通信の仕組みと規格について説明できる。 | 4 | |
有線通信の仕組みと規格について説明できる。 | 4 | |
SSH等のリモートアクセスの接続形態と仕組みについて説明できる。 | 4 | |
基本的なルーティング技術について説明できる。 | 4 | |
基本的なフィルタリング技術について説明できる。 | 4 | |