構造力学Ⅱ

科目基礎情報

学校 高知工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 構造力学Ⅱ
科目番号 V4018 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 SD まちづくり・防災コース 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 3
教科書/教材 教科書:PEL編集委員会,「構造力学」(実教書店)
担当教員 近藤 拓也

到達目標

1.断面内に作用する応力を算定することができる。
2.弾性構造物の変形理論を理解し、微分方程式を用いて構造物の変形を求めることができる。
3.エネルギーの基礎概念が理解でき,構造物のひずみエネルギーを求めることができる。
4.仮想仕事の原理が理解でき,静定構造物の変形を求めることができる。
5.エネルギー法を用いて不静定構造物の反力を求めることができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
微分方程式を用いた構造物の変形解析梁の変形理論を理解したうえで、静定構造物の変形を求めることができる。梁の変形理論は理解できていないが、静定構造物の変形を計算することはできる。梁の変形計算を行うことができない。
ひずみエネルギー構造物に蓄えられる仕事とエネルギーの概念を説明でき,ひずみエネルギーを用いた変形計算を行うことができるひずみエネルギーを用いた変形計算を行うことができるが,構造物に蓄えられる仕事とエネルギーの関係について説明ができない。ひずみエネルギーを用いた変形計算を行うことができない。
仮想仕事の原理仮想仕事の原理について説明を行うことができる。また仮想仕事の原理を利用して変形を求めることができる。仮想仕事の原理を用いて変形を求めることができるが、仮想仕事の原理について説明を行うことができない。仮想仕事の原理を用いて変形を求めることができない。
不静定構造物の反力算定余力法およびひずみエネルギーを利用して不静定構造物の反力を求めることができる。余力法およびひずみエネルギーを利用して不静定構造物の反力算定について、立式を行うことができる。余力法およびひずみエネルギーを利用した不静定構造物の反力算定を行うことができない。
断面内の応力算定各種理論式を利用して、断面内に作用する応力を算定することができる。各種理論式を利用して、断面内に作用する応力について、教科書を見ながら解くことができる。断面内に作用する応力を算定することができない。

学科の到達目標項目との関係

基準1(2)(d)(3) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
構造力学は,土木・建築構造物の構造設計や他のいくつかの教科の基礎となる科目である。3学年の構造力学Ⅰで習得した知識をもとに,断面内の応力、変形方程式、仮想仕事の原理、エネルギー原理を理解し,さらには不静定構造物の計算方法を理解することにより、建設技術者としての専門的基礎知識を習得する。
なお、この科目は、企業で土木構造物の維持管理を担当していた教員が、その経験を活かし、土木構造物(コンクリート・鋼構造物)の構造力学の重要性、およびその方法について講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
基本的に座学により基本理論を修得し、演習により計算方法を習得する。1/4期は断面内応力、2/4期は変形方程式に関する事項、3/4期は仮想仕事の原理およびひずみエネルギーに関する事項、4/4期は不静定構造物の解法に関する事項を学習する。
注意点:
【成績評価の基準・方法】
試験の成績を60%,平素の学習状況等(課題・小テスト・レポート等を含む)を40%の割合で総合的に評価する。学期毎の評価は中間と期末の各期間の評価の平均、学年の評価は前学期と後学期の評価の平均とする。なお、後学期中間の評価は前学期中間、前学期末、後学期中間の各期間の評価の平均とする。技術者が身につけるべき専門基礎として,到達目標に対する達成度を試験等において評価する。
【事前・事後学習】
3年生で学習した構造力学Ⅰの範囲について十分熟知したうえで講義を行う。そのため、3年次の学習範囲については復習をしておくこと。
また、与えた課題については、周囲と協力しながら、理解したうえで提出を行うこと。
【履修上の注意】
微分積分ⅠA、ⅠB、Ⅱ、物理Ⅰ、応用物理Ⅰ、および構造力学Ⅰを基本として、構造力学の応用を学んでいく。そのため、これら科目について十分に理解したうえで、授業に臨むこと。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 [1-2]はり、ラーメンの反力、断面力の算定方法の復習 はり、ラーメンに外力が作用した場合の反力、断面力を作用することができる
2週 [1-2]はり、ラーメンの反力、断面力の算定方法の復習 はり、ラーメンに外力が作用した場合の反力、断面力を作用することができる
3週 トラスの断面力の算定方法の復習 トラスに外力が作用した場合の反力、断面力を作用することができる
4週 [4-5]応力とひずみ:断面内に生じる応力とひずみの種類および計算方法について学修する はり断面内に発生する応力を計算できる
5週 [4-5]応力とひずみ:断面内に生じる応力とひずみの種類および計算方法について学修する はり断面内に発生する応力を計算できる
6週 [6-7]組合せ応力とモールの応力円:断面内に発生する応力について、モールの応力円を利用して解く モールの応力円について説明できる。モールの応力円を使用して応力を算定することができる。
7週 [6-7]組合せ応力とモールの応力円:断面内に発生する応力について、モールの応力円を利用して解く 各種例題を通して、断面内に作用する応力を算定することができる
8週 柱:座屈の概念、有効座屈長について学修する 座屈の概念を説明することができる。柱の定義を説明することができる。
2ndQ
9週 [9-10]柱:偏心荷重の概念について学修する 偏心荷重の載荷による、断面内の発生応力の変化を説明することができる
10週 [9-10]柱:偏心荷重の概念について学修する 偏心荷重の載荷による、断面内の発生応力の変化を説明することができる
11週 [11-15]微分方程式を利用したはりのたわみ:例題を通して、はりのたわみを解く はりに力が載荷すると、変形が生じることを概念的に理解する。たわみ、たわみ角について説明できる。
12週 [11-15]微分方程式を利用したはりのたわみ:例題を通して、はりのたわみを解く 例題を通して、はりのたわみ、たわみ角を解くことができる
13週 [11-15]微分方程式を利用したはりのたわみ:例題を通して、はりのたわみを解く 例題を通して、はりのたわみ、たわみ角を解くことができる
14週 [11-15]微分方程式を利用したはりのたわみ:例題を通して、はりのたわみを解く 例題を通して、はりのたわみ、たわみ角を解くことができる
15週 [11-15]微分方程式を利用したはりのたわみ:例題を通して、はりのたわみを解く 例題を通して、はりのたわみ、たわみ角を解くことができる
16週
後期
3rdQ
1週 [16-19]仮想仕事の原理:仮想仕事の原理を利用してたわみを算定する 仮想仕事の原理の概念について理解する
2週 [16-19]仮想仕事の原理:仮想仕事の原理を利用してたわみを算定する 仮想仕事の原理を用いて、たわみ・たわみ角を求めることができる
3週 [16-19]仮想仕事の原理:仮想仕事の原理を利用してたわみを算定する 仮想仕事の原理を用いて、たわみ・たわみ角を求めることができる
4週 [16-19]仮想仕事の原理:仮想仕事の原理を利用してたわみを算定する 仮想仕事の原理を用いて、たわみ・たわみ角を求めることができる
5週 [20]ひずみエネルギー:ひずみエネルギーの概念を学修する はりおよびトラスに作用するひずみエネルギーを計算できる
6週 [21-24]カスティリアーノの定理:ひずみエネルギーを利用してたわみを算定する カスティリアーノの定理を利用してたわみ・たわみ角を計算することができる
7週 [21-24]カスティリアーノの定理:ひずみエネルギーを利用してたわみを算定する カスティリアーノの定理を利用してたわみ・たわみ角を計算することができる
8週 [21-24]カスティリアーノの定理:ひずみエネルギーを利用してたわみを算定する カスティリアーノの定理を利用してたわみ・たわみ角を計算することができる
4thQ
9週 [21-24]カスティリアーノの定理:ひずみエネルギーを利用してたわみを算定する カスティリアーノの定理を利用してたわみ・たわみ角を計算することができる
10週 [25-30]不静定構造物:不静定次数の算定 不静定次数を算定できる。不静定構造物の定義を説明できる。
11週 [25-30]不静定構造物:最小仕事の原理を利用して不静定反力を算定する 最小仕事の原理を説明できる。最小仕事の原理を用いて反力を算定できる。
12週 [25-30]不静定構造物:最小仕事の原理を利用して不静定反力を算定する 最小仕事の原理を説明できる。最小仕事の原理を用いて反力を算定できる。
13週 [25-30]不静定構造物:最小仕事の原理を利用して不静定反力を算定する 最小仕事の原理を用いて反力を算定できる。
14週 [25-30]不静定構造物:最小仕事の原理を利用して不静定反力を算定する 最小仕事の原理を用いて反力を算定できる。
15週 [25-30]不静定構造物:余力法を用いて不静定反力を算定する 余力法について説明できる。余力法を用いて反力を算定できる
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建設系分野構造応力とその種類、ひずみとその種類、応力とひずみの関係を理解し、弾性係数、ポアソン比やフックの法則などの概要について説明でき、それらを計算できる。4前2,前3,前4,前5
断面に作用する垂直応力、せん断応力について、説明できる。3前2,前3,前4,前5
はりのたわみの微分方程式に関して、その幾何学的境界条件と力学的境界条件を理解し、微分方程式を解いて、たわみやたわみ角を計算できる。4前9,前10,前11,前12,前13
圧縮力を受ける柱の分類(短柱・長柱)を理解し、各種支持条件に対するEuler座屈荷重を計算できる。3前6,前7
仮想仕事の原理を用いた静定の解法を説明できる。4前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7
構造物の安定性、静定・不静定の物理的意味と判別式の誘導ができ、不静定次数を計算できる。4後9
重ね合わせの原理を用いた不静定構造物の構造解析法を説明できる。4後13,後14,後15
応力法と変位法による不静定構造物の解法を説明できる。2後10,後11,後12
建築系分野構造弾性状態における応力とひずみの定義、力と変形の関係を説明でき、それらを計算できる。3前2,前4,前5
曲げモーメントによる断面に生じる応力(引張、圧縮)とひずみの関係を理解し、それらを計算できる。3前3,前4,前5
はり断面内のせん断応力分布について説明できる。2前3,前4,前5
応力と荷重の関係、応力と変形の関係を用いてはりのたわみの微分方程式を用い、幾何学的境界条件と力学的境界条件について説明でき、たわみやたわみ角を計算できる。3前9,前10,前11,前12,前13
不静定構造物の解法の基本となる応力と変形関係について説明できる。2後9
圧縮力を受ける柱の分類(短柱・長柱)が出来、各種支持条件に対するEuler座屈荷重を計算できる。3前6
偏心圧縮柱の応力状態を説明できる。3前7
構造力学における仕事やひずみエネルギーの概念について説明できる。3前14
仕事やエネルギーの概念を用いて、構造物(例えば梁、ラーメン、トラスなど)の支点反力、応力(図)、変形(たわみ、たわみ角)を計算できる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7
構造物の安定性、静定・不静定の物理的意味と判別式の誘導ができ、不静定次数を計算できる。3後9
静定基本系(例えば、仮想仕事法など)を用い、不静定構造物の応力と、支点反力を求めることができる。3後10,後11,後12
いずれかの方法(変位法(たわみ角法)、固定モーメント法など)により、不静定構造物の支点反力、応力(図)を計算できる。2後13,後14,後15

評価割合

試験演習出席合計
総合評価割合603010100
基礎的能力30101050
専門的能力2020040
分野横断的能力100010