水環境工学Ⅰ

科目基礎情報

学校 高知工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 水環境工学Ⅰ
科目番号 V4055 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 SD まちづくり・防災コース 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:山崎慎一「PEL環境工学」(実教出版)
担当教員 山崎 慎一

到達目標

【到達目標】
1.全体として国家公務員一般職,地方公務員中級に合格するレベルの知識を身につける。
2.環境問題の歴史や持続可能な社会が理解できている。
3.pHやBODなどの水質指標が説明でき,汚濁負荷量が計算できる。
4.河川の自浄作用や水質汚濁,富栄養化の現象を理解し,説明できる。
5.下水道の仕組みが説明でき,簡単な施設設計計算ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)未到達レベルの目安(不可)
評価項目1環境問題の歴史や持続可能な社会が理解できている。環境問題の歴史や持続可能な社会がある程度理解できている。環境問題の歴史や持続可能な社会が理解できていない。
評価項目2pHやBODなどの水質指標が説明でき,汚濁負荷量が計算できる。pHやBODなどの水質指標がある程度説明でき,汚濁負荷量が計算方法が理解できている。pHやBODなどの水質指標が説明できない。また、汚濁負荷量が計算できない。
評価項目3河川の自浄作用や水質汚濁,富栄養化の現象を説明できる。河川の自浄作用や水質汚濁,富栄養化の現象をある程度説明できる。河川の自浄作用や水質汚濁,富栄養化の現象を理解できていない。
評価項目4下水道の仕組みが説明でき,簡単な施設設計計算ができる。下水道の仕組みがある程度説明でき,簡単な施設設計計算の方法が理解できる。 下水道の仕組みが説明できない。簡単な施設設計計算ができない。

学科の到達目標項目との関係

基準1(2)(d)(3) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
環境問題の歴史や持続可能な社会,河川や湖沼などの公共用水域における水環境の汚染原因やBODなどの水質調査方法,生活排水を処理する下水道の役割や施設の設計方法などについて,高知県の身近な例を掲げながら分かり易く解説する。この講義では,主に環境問題と環境政策,水環境や下水道に関する知識を総合的に学習し,実務に応用できる基礎知識を身につけることを目標とする。この科目は企業で上下水道や環境関連装置の開発や設計を担当していた教員が、その経験を活かし、それら施設の計画設計等について講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
下記の授業計画に従って講義を行い,定期的に演習問題を行って内容の理解度や到達度を評価する。欠課した時間に配布する課題や資料は各自の机に入れておくので提出期限までに提出すること。前学期中間と前学期末に試験を行う。
注意点:
【成績評価の基準・方法】
試験の成績を60%,平素の学習状況等(課題を含む)を40%の割合で総合的に評価する。成績評価は中間と期末の各期間の評価の平均とする。学年の評価は前学期末の評価とする。技術者が身につけるべき専門基礎として,上記の到達目標に対する達成度を試験等において評価する。
【事前・事後学習】
事前・事後学習として課題を手書きで提出する。課題はSNSで調べたり(出典を明記)、周囲の学生とディスカッションをしても構わないが、自分で考えた解答を書くこと(他人の解答を写してはいけない)。
【履修上の注意】
この科目を履修するにあたり,1年生の化学I,2年生の化学II,総合理科,生物の内容を理解しておくこと。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 地球の人類と歴史[1]:生物の誕生,物質循環,人類とエネルギーの関係などを解説する。 生物の誕生,物質循環,人類とエネルギーの関係などが理解できる。
2週 地球環境問題と国際的な取り組み[2]:地球規模の環境問題を解説する。 様々な地球規模の環境問題を理解し,その具体的な取り組みについて考察できる。
3週 エネルギー問題と持続可能な社会[3]:資源の枯渇と持続可能な開発,技術者に必要な倫理観,持続可能性の評価を解説する。 将来のエネルギー問題に対する持続可能な社会の構築について考察できる。
4週 公害問題と環境政策[4]:高度経済成長期以降の公害問題と法律の制定を解説する。 高度経済成長期以降の公害問題を理解し,行政や地域社会の責任を考察できる。
5週 水質汚濁と富栄養化[5-7]:水質指標,汚濁発生源,汚濁負荷量,自浄作用を理解する。 各種水質指標の意味を理解でき,水質汚濁問題の原因やその対策について考察できる。
6週 水質汚濁と富栄養化[5-7:閉鎖性水域の富栄養化現状,水質保全のための環境基準を理解する。 富栄養化問題を理解し,環境基準が達成されない原因やその対策について考察できる。
7週 水質汚濁と富栄養化[5-7]:水質汚濁に関する基礎的計算を理解する。 水質指標の濃度計算,原単位を使った負荷量計算ができ,水質汚濁の状態が理解できる。
8週 下水道の役割としくみ[8-15]:下水道の歴史,役割,種類,普及状況を理解する。 下水道の歴史,役割,種類が理解でき,普及状況や課題を考察できる。
2ndQ
9週 下水道の役割としくみ[8-15]:下水道の構成施設,基本計画について理解する。 下水道の構成施設,排除方式,基本計画を理解し,計画汚水量及び雨水量を計算できる。
10週 下水道の役割としくみ[8-15]:下水道の構成施設,基本計画について理解する。 下水処理場の汚濁負荷量の計算,下水管渠の基本設計ができる。
11週 下水道の役割としくみ[8-15]:下水処理プロセス,設計及び管理指標を理解する。 標準活性汚泥プロセスのしくみ,関与微生物の役割が理解できる。
12週 下水道の役割としくみ[8-15]:下水処理プロセス,設計及び管理指標を理解する。 標準活性汚泥法の構成施設の基本的な設計計算ができる。
13週 下水道の役割としくみ[8-15]:下水の高度処理プロセスについて理解する。 浮遊生物法と生物膜法の特徴や違いを理解できる。
14週 下水道の役割としくみ[8-15]:下水の高度処理プロセスについて理解する。 高度処理の目的やプロセス(窒素・リン除去法)が理解できる。
15週 下水道の役割としくみ[8-15]:下水処理水の再利用,災害に強い下水道を理解する。 下水道の今後の課題や取り組みが考察できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学ライフサイエンス/アースサイエンスライフサイエンス/アースサイエンス有害物質の生物濃縮について説明できる。3
地球温暖化の問題点、原因と対策について説明できる。3
専門的能力分野別の専門工学建設系分野環境地球規模の環境問題を説明できる。3前2
環境と人の健康との関わりを説明できる。3前4
過去に生じた公害の歴史とその内容(環境要因と疾病の関係)について、説明できる。3前4
水の物性、水の循環を説明できる。3前5
水質指標を説明できる。3前5
水質汚濁の現状を説明できる。3前5
水質汚濁物の発生源と移動過程を説明でき、原単位、発生負荷を含めた計算ができる。4前7
水域生態系と水質変換過程(自浄作用、富栄養化、生物濃縮等)について、説明できる。3前6
水質汚濁の防止対策・水質管理計画(施策、法規等)を説明できる。3前6
物質循環と微生物の関係を説明できる。3前1
下水道の役割と現状、汚水処理の種類について、説明できる。3前8,前15
下水道の基本計画と施設計画、下水道の構成を説明でき、これに関する計算ができる。4前9,前10
生物学的排水処理の基礎(好気的処理)を説明できる。3前11,前12,前13,前14
汚泥処理・処分について、説明できる。3前11
微生物の定義(分類、構造、機能等)を説明できる。3前11

評価割合

試験課題他合計
総合評価割合6040100
基礎的能力202040
専門的能力402060
分野横断的能力000