建築構造計画

科目基礎情報

学校 高知工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 建築構造計画
科目番号 V5017 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 SD まちづくり・防災コース 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:和田 章,竹内 徹「建築構造設計概論」(実教出版)
担当教員 小田 憲史

到達目標

1.建築物の構造設計の役割・目的と構造計画の考え方を理解している。
2.建築構造の架構形式と骨組形式を理解し、構造図面 の表現法(伏図、軸組図)を理解している。
3.建築物に作用する荷重・外力が計算でき、骨組内の力の流れを理解している。
4.主要構造の新耐震設計法の基本的な考え方と計算ルートを理解している。      
5.建築用鋼材とその接合法、および鋼構造部材に関する断面設計法の基礎を理解している。
6.鉄筋コンクリート造の柱・はりに関する断面計算法の基礎を理解している。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1建築構造設計の役割と目的を理解し、新耐震設計法の考え方と3種類の計算ルートおよび超高層建築物の耐震性能検討法を説明できる。建築構造設計の役割と目的を理解し、新耐震設計法の考え方と3種類の計算ルートを説明できる。建築構造設計の役割と目的を理解し、新耐震設計法の考え方と3種類の計算ルートを説明できない。
評価項目2建築構造物の骨組形状を理解し、骨組に作用する荷重および外力の計算法と骨組への力の流れが説明できる。構造物に作用する荷重および外力の計算法と骨組への力の流れを説明できる。構造物に作用する荷重および外力の計算法と骨組への力の流れを説明できない。
評価項目3木構造の壁量設計、構造設計の基本的考え方が説明でき、壁量や主要構造部材の断面設計ができる。木構造の壁量設計、構造物の柱・はりの断面設計ができる。木構造の壁量設計、構造物の柱・はりの断面設計ができない。

学科の到達目標項目との関係

基準1(2)(d)(3) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
建築物の構造設計の役割・目的を整理し、構造計画と構造計算を含めた構造設計の流れを学び、新耐震設計法の基本的な考え方、骨組に作用する荷重および力の流れを学習する。その上で、木構造の耐震・耐風設計、許容応力度等計算による構造物の柱・はりの断面設計法の考え方の基本を身につけることより、建築技術者としての専門的基礎知識を習得する。
授業の進め方・方法:
授業は教科書「構造設計概論」と配布資料およびスライドを併用した講義形式とする。授業内で内容に関する練習問題およびその解答例を説明し、その後、練習問題に準ずる課題を自主学習する。課題の提出期日後、課題の解答例を説明あるいは配布するので、間違え点などを確認することによりさらに理解の向上を図る。欠課した時間に配布する資料や課題は各自の机内に入れておくので自主学習し理解しておくこと。
注意点:
【成績評価の基準・方法】                                                                                                試験の成績を60%,平素の学習状況等(課題・小テスト・レポート等を含む)を40%の割合で総合的に評価する。学年の評価は後学期中間と後学期末の各期間の成績を平均して評価する。技術者が身につけるべき専門基礎として,到達目標に対する達成度を試験等において評価する。                                              【事前・事後学習】                                     事前学習として教科書あるいは配布資料の該当範囲(事前説明)を読んで内容を把握して授業に臨む。事後学習として授業で提示した課題を解き提出すること。課題の演習問題は周囲の学生と相談したりして解答してもよい。                                                       【学習単位科目(30.5時間)】                                                                                               本科目は学習単位のため、以下の標準学習時間を設定し自主学習時間の累計を30時間以上実施しなければならない。                                     ・全15回の授業に対して、事前学習0.5時間、事後学習時間1.0時間の計22.5時間                                                            ・中間試験、期末試験の試験勉強のためのそれぞれの学習時間4時間、計8時間 【履修上の注意】                                                                                                      この科目を履修するにあたり、設計製図(構造図の製図)、建築一般構造(木造、鉄骨造鉄筋コンクリート造)、および(鉄筋)コンクリート構造学の内容を理解しておくこと。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 建築構造設計とは[1-2]:建築設計全体の流れと構造設計の役割、目的を学習する。 建築設計全体の流れと構造設計の役割、目的を説明できる。
2週 建築構造設計とは[1-2]:構造設計全体の流れと設計段階における実施内容を学習する。 構造設計の全体の流れと計画・基本・実施・施工設計における実施内容を説明できる。
3週 骨組形式[3-4]:木造および鋼構造の建築図から骨組の構成と構造図の作図法の基本を学ぶ。 木造および鋼構造の建築図から骨組の構造図(伏図と軸組図)が作図できる。
4週 骨組形式[3-4]:鉄筋コンクリート造の建築図から骨組形式と構造図の作図法の基本を学ぶ。 鉄筋コンクリート造の建築図から骨組の構造図(伏図と軸組図)が作図できる。
5週 荷重と外力[5-7]:建築構造物に作用する固定荷重・積載荷重と積雪荷重の求め方を学習する。 建築構造物に作用する固定荷重・積載荷重と積雪荷重を求めることができる。
6週 荷重と外力[5-7]:建築構造物に作用する風圧力の求め方を学習する。 建築構造物に作用する風圧力を計算することができる。
7週 荷重と外力[5-7]:構造物に作用する地震力の求め方を学習する。 建築構造物に作用する地震力を計算することができる。
8週 新耐震設計法[8-9]新耐震設計法の基本的な考え方を学習する。 新耐震設計法の基本である1次設計と2次設計、耐震設計を行う場合の計算ルートが説明できる
4thQ
9週 新耐震設計法[8-9]:大地震を想定した構造設計の概要及び耐震構造の基礎を学習する。 骨組の保有水平耐力と必要保有水平耐力を説明できる。
10週 鋼構造[10-12]:鋼材ができるまで、鋼材の種類、接合方法(ボルト接合、溶接接合)を学習する。 鋼材ができるまで、鋼材の種類、接合方法(ボルト接合、溶接接合)を説明できる。
11週 鋼構造[10-12]:部材の設計上の注意点(座屈・横座屈)を考慮した部材の許容応力度を学習する。 部材の設計上の注意点(座屈・横座屈)を考慮した部材の許容応力度を説明できる。
12週 鋼構造[10-12]:軸力、曲げモーメント、せん断力を受ける部材の断面設計を学習する。 軸力、曲げモーメント、せん断力を受ける鋼部材の断面設計ができる。
13週 木構造[13-14]:地震力や風圧力対する必要壁量および存在壁量の設計法を学習する。 地震力や風圧力対する木構造の必要壁量および存在壁量の考え方を説明できる。
14週 木構造[13-14]:地震力や風圧力対する必要壁量および存在壁量の設計法を学習する。 地震力や風圧力対する木構造の必要壁量および存在壁量の設計ができる。
15週 最近の構造設計[15-15]:免震構造,制振構造や耐震診断の基礎を学習する。 耐震構造、制振構造、免震構造を説明できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建設系分野構造トラスの種類、安定性、トラスの部材力の意味を説明できる。3
節点法や断面法を用いて、トラスの部材力を計算できる。4
影響線を利用して、支点反力や断面力を計算できる。4
影響線を応用して、与えられた荷重に対する支点反力や断面力を計算できる。4
ラーメンの支点反力、断面力(軸力、せん断力、曲げモーメント)を計算し、その断面力図(軸力図、せん断力図、曲げモーメント図)を描くことができる。4
応力とその種類、ひずみとその種類、応力とひずみの関係を理解し、弾性係数、ポアソン比やフックの法則などの概要について説明でき、それらを計算できる。4
断面に作用する垂直応力、せん断応力について、説明できる。3
はりのたわみの微分方程式に関して、その幾何学的境界条件と力学的境界条件を理解し、微分方程式を解いて、たわみやたわみ角を計算できる。4
圧縮力を受ける柱の分類(短柱・長柱)を理解し、各種支持条件に対するEuler座屈荷重を計算できる。3
仮想仕事の原理を用いた静定の解法を説明できる。4
構造物の安定性、静定・不静定の物理的意味と判別式の誘導ができ、不静定次数を計算できる。4
重ね合わせの原理を用いた不静定構造物の構造解析法を説明できる。4
応力法と変位法による不静定構造物の解法を説明できる。2
鋼構造物の種類、特徴について、説明できる。3
橋の構成、分類について、説明できる。4
橋梁に作用する荷重の分類(例、死荷重、活荷重)を説明できる。3
各種示方書に基づく設計法(許容応力度、終局状態等)の概要を説明でき、安全率、許容応力度などについて説明できる。3
軸力を受ける部材、圧縮力を受ける部材、曲げを受ける部材や圧縮と曲げを受ける部材などについて、その設計法を説明でき、簡単な例に対し計算できる。3
接合の定義・機能・種類、溶接と高力ボルト接合について、説明できる。4
鋼桁橋(プレートガーダー橋)の設計の概要、特徴、手順について、説明できる。3
計画国土と地域の定義を説明できる。3
日本、世界における古代、中世および現代の都市計画の思想および理念と実際について、説明できる。3
都市計画法と都市計画関連法の概要について、説明できる。3
土地利用計画と交通計画について、説明できる。3
総合計画とマスタープランについて、説明できる。3
都市計画区域の区域区分と用途地域について、説明できる。3
交通流調査(交通量調査、速度調査)、交通流動調査(パーソントリップ調査、自動車OD調査)について、説明できる。3
交通需要予測(4段階推定)について、説明できる。3
緑化と環境整備(緑の基本計画)について、説明できる。3
風景、景観と景観要素について、説明できる。3
都市の防災構造化を説明できる。3
土地区画整理事業を説明できる。3
市街地開発・再開発事業を説明できる。3
交通流、交通量の特性、交通容量について、説明できる。3
性能指標に関する道路構造令の概要を説明できる。3
計画の意義と計画学の考え方を説明できる。2
二項分布、ポアソン分布、正規分布(和・差の分布)、ガンベル分布、同時確率密度関数を説明できる。2
線形計画法(図解法、シンプレックス法)を説明できる。2
施工・法規工事執行までの各プロセスを説明できる。3
施工計画の基本事項を説明できる。3
品質管理、原価管理、工程管理、安全衛生管理、環境管理の仕組みについて、説明できる。3
建設機械の概要を説明できる。2
主な建設機械の作業能力算定法を説明できる。2
土工の目的と施工法について、説明できる。1
掘削と運搬および盛土と締固めの方法について、説明できる。1
基礎工の種類別に目的と施工法について、説明できる。1
コンクリート工の目的と施工法について、説明できる。2
型枠工・鉄筋工・足場支保工・打設工の流れについて、説明できる。1
トンネル工の目的と施工法について、説明できる。2
製図線と文字の種類を説明できる。4
平面図形と投影図の描き方について、説明できる。4
CADソフトウェアの機能を説明できる。4
図形要素の作成と修正について、説明できる。4
画層の管理を説明できる。4
図の配置、尺度、表題欄、寸法と寸法線の規約について、説明できる。4
与えられた条件を基に設計計算ができる。4
設計した物をCADソフトで描くことができる。4
建築系分野構造建築構造の成り立ちを説明できる。4
建築構造(W造、RC造、S造、SRC造など)の分類ができる。4
力の定義、単位、成分について説明できる。4
力のモーメントなどを用い、力のつり合い(合成と分解)に関する計算ができる。3
断面一次モーメントを理解し、図心を計算できる。4
断面二次モーメント、断面相乗モーメント、断面係数や断面二次半径などの断面諸量を計算できる。4
弾性状態における応力とひずみの定義、力と変形の関係を説明でき、それらを計算できる。3
曲げモーメントによる断面に生じる応力(引張、圧縮)とひずみの関係を理解し、それらを計算できる。3
はり断面内のせん断応力分布について説明できる。2
骨組構造物の安定・不安定の判定ができる。2
骨組構造物に作用する荷重の種類について説明できる。2
各種構造の設計荷重・外力を計算できる。3
トラスの種類を説明でき、トラスの部材力の意味について説明できる。2
節点法や切断法を用いて、トラスの部材応力を計算できる。3
はりの支点の種類、対応する支点反力、およびはりの種類やその安定性について説明できる。3
はりの断面に作用する内力としての応力(軸力、せん断力、曲げモーメント)、応力図(軸力図、せん断力図、曲げモーメント図)について説明することができる。3
応力と荷重の関係、応力と変形の関係を用いてはりのたわみの微分方程式を用い、幾何学的境界条件と力学的境界条件について説明でき、たわみやたわみ角を計算できる。3
不静定構造物の解法の基本となる応力と変形関係について説明できる。2
はり(単純ばり、片持ちはり)の応力を計算し、応力図を描くことができる。2
圧縮力を受ける柱の分類(短柱・長柱)が出来、各種支持条件に対するEuler座屈荷重を計算できる。3
偏心圧縮柱の応力状態を説明できる。3
ラーメンやその種類について説明できる。2
ラーメンの支点反力、応力(軸力、せん断力、曲げモーメント)を計算し、その応力図(軸力図、せん断力図、曲げモーメント図)をかくことができる。3
構造力学における仕事やひずみエネルギーの概念について説明できる。2
仕事やエネルギーの概念を用いて、構造物(例えば梁、ラーメン、トラスなど)の支点反力、応力(図)、変形(たわみ、たわみ角)を計算できる。3
構造物の安定性、静定・不静定の物理的意味と判別式の誘導ができ、不静定次数を計算できる。3
静定基本系(例えば、仮想仕事法など)を用い、不静定構造物の応力と、支点反力を求めることができる。3
いずれかの方法(変位法(たわみ角法)、固定モーメント法など)により、不静定構造物の支点反力、応力(図)を計算できる。3
木構造の特徴・構造形式について説明できる。3
木材の接合について説明できる。3
基礎、軸組み、小屋組み、床組み、階段、開口部などの木造建築の構法を説明できる。2
鋼構造物の復元力特性と設計法の関係について説明できる。2
S造の特徴・構造形式について説明できる。3
鋼材・溶接の許容応力度について説明できる。3
軸力のみを受ける部材の設計の計算ができる。3
軸力、曲げを受ける部材の設計の計算ができる。3
曲げ材の設計の計算ができる。3
継手の設計・計算ができる。3
高力ボルト摩擦接合の機構について説明できる。3
溶接接合の種類と設計法について説明できる。3
仕口の設計方法について説明ができる。3
柱脚の種類と設計方法について説明ができる。3
鉄筋コンクリート造(ラーメン構造、壁式構造、プレストレストコンクリート構造など)の特徴・構造形式について説明できる。3
構造計算の設計ルートについて説明できる。2
建物の外力と変形能力に基づく構造設計法について説明できる。2
断面内の応力の分布について説明できる。2
許容曲げモーメントを計算できる。3
主筋の算定ができる。3
釣合い鉄筋比について説明ができる。3
中立軸の算定ができる。3
許容せん断力を計算できる。3
せん断補強筋の算定ができる。3
終局曲げモーメントについて説明できる。2
終局剪断力について説明できる。2
断面内の応力の分布について説明できる。2
許容曲げモーメントを計算できる。3
MNインターラクションカーブについて説明できる。2
主筋の算定ができる。3
釣合い鉄筋比について説明ができる。3
中立軸の算定ができる。3
許容せん断力を計算できる。3
せん断補強筋の算定ができる。3
基礎形式(直接、杭)の分類ができる。2
基礎形式別の支持力算定方を説明できる。2
マグニチュードの概念と震度階について説明できる。3
地震被害を受けた建物の破壊等の特徴について説明できる。2

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合60000040100
基礎的能力3000002050
専門的能力2000001030
分野横断的能力1000001020
0000000