概要:
建築物の構造設計の役割・目的を整理し、構造計画と構造計算を含めた構造設計の流れを学び、新耐震設計法の基本的な考え方、骨組に作用する荷重および力の流れを学習する。その上で、木構造の耐震・耐風設計、許容応力度等計算による構造物の柱・はりの断面設計法の考え方の基本を身につけることより、建築技術者としての専門的基礎知識を習得する。
授業の進め方・方法:
授業は教科書「構造設計概論」と配布資料およびスライドを併用した講義形式とする。授業内で内容に関する練習問題およびその解答例を説明し、その後、練習問題に準ずる課題を自主学習する。課題の提出期日後、課題の解答例を説明あるいは配布するので、間違え点などを確認することによりさらに理解の向上を図る。欠課した時間に配布する資料や課題は各自の机内に入れておくので自主学習し理解しておくこと。
注意点:
【成績評価の基準・方法】 試験の成績を60%,平素の学習状況等(課題・小テスト・レポート等を含む)を40%の割合で総合的に評価する。学年の評価は後学期中間と後学期末の各期間の成績を平均して評価する。技術者が身につけるべき専門基礎として,到達目標に対する達成度を試験等において評価する。 【事前・事後学習】 事前学習として教科書あるいは配布資料の該当範囲(事前説明)を読んで内容を把握して授業に臨む。事後学習として授業で提示した課題を解き提出すること。課題の演習問題は周囲の学生と相談したりして解答してもよい。 【学習単位科目(30.5時間)】 本科目は学習単位のため、以下の標準学習時間を設定し自主学習時間の累計を30時間以上実施しなければならない。 ・全15回の授業に対して、事前学習0.5時間、事後学習時間1.0時間の計22.5時間 ・中間試験、期末試験の試験勉強のためのそれぞれの学習時間4時間、計8時間 【履修上の注意】 この科目を履修するにあたり、設計製図(構造図の製図)、建築一般構造(木造、鉄骨造鉄筋コンクリート造)、および(鉄筋)コンクリート構造学の内容を理解しておくこと。
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
建築構造設計とは[1-2]:建築設計全体の流れと構造設計の役割、目的を学習する。 |
建築設計全体の流れと構造設計の役割、目的を説明できる。
|
2週 |
建築構造設計とは[1-2]:構造設計全体の流れと設計段階における実施内容を学習する。 |
構造設計の全体の流れと計画・基本・実施・施工設計における実施内容を説明できる。
|
3週 |
骨組形式[3-4]:木造および鋼構造の建築図から骨組の構成と構造図の作図法の基本を学ぶ。 |
木造および鋼構造の建築図から骨組の構造図(伏図と軸組図)が作図できる。
|
4週 |
骨組形式[3-4]:鉄筋コンクリート造の建築図から骨組形式と構造図の作図法の基本を学ぶ。 |
鉄筋コンクリート造の建築図から骨組の構造図(伏図と軸組図)が作図できる。
|
5週 |
荷重と外力[5-7]:建築構造物に作用する固定荷重・積載荷重と積雪荷重の求め方を学習する。 |
建築構造物に作用する固定荷重・積載荷重と積雪荷重を求めることができる。
|
6週 |
荷重と外力[5-7]:建築構造物に作用する風圧力の求め方を学習する。 |
建築構造物に作用する風圧力を計算することができる。
|
7週 |
荷重と外力[5-7]:構造物に作用する地震力の求め方を学習する。 |
建築構造物に作用する地震力を計算することができる。
|
8週 |
新耐震設計法[8-9]新耐震設計法の基本的な考え方を学習する。 |
新耐震設計法の基本である1次設計と2次設計、耐震設計を行う場合の計算ルートが説明できる
|
4thQ |
9週 |
新耐震設計法[8-9]:大地震を想定した構造設計の概要及び耐震構造の基礎を学習する。 |
骨組の保有水平耐力と必要保有水平耐力を説明できる。
|
10週 |
鋼構造[10-12]:鋼材ができるまで、鋼材の種類、接合方法(ボルト接合、溶接接合)を学習する。 |
鋼材ができるまで、鋼材の種類、接合方法(ボルト接合、溶接接合)を説明できる。
|
11週 |
鋼構造[10-12]:部材の設計上の注意点(座屈・横座屈)を考慮した部材の許容応力度を学習する。 |
部材の設計上の注意点(座屈・横座屈)を考慮した部材の許容応力度を説明できる。
|
12週 |
鋼構造[10-12]:軸力、曲げモーメント、せん断力を受ける部材の断面設計を学習する。 |
軸力、曲げモーメント、せん断力を受ける鋼部材の断面設計ができる。
|
13週 |
木構造[13-14]:地震力や風圧力対する必要壁量および存在壁量の設計法を学習する。 |
地震力や風圧力対する木構造の必要壁量および存在壁量の考え方を説明できる。
|
14週 |
木構造[13-14]:地震力や風圧力対する必要壁量および存在壁量の設計法を学習する。 |
地震力や風圧力対する木構造の必要壁量および存在壁量の設計ができる。
|
15週 |
最近の構造設計[15-15]:免震構造,制振構造や耐震診断の基礎を学習する。 |
耐震構造、制振構造、免震構造を説明できる。
|
16週 |
|
|
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 建設系分野 | 構造 | トラスの種類、安定性、トラスの部材力の意味を説明できる。 | 3 | |
節点法や断面法を用いて、トラスの部材力を計算できる。 | 4 | |
影響線を利用して、支点反力や断面力を計算できる。 | 4 | |
影響線を応用して、与えられた荷重に対する支点反力や断面力を計算できる。 | 4 | |
ラーメンの支点反力、断面力(軸力、せん断力、曲げモーメント)を計算し、その断面力図(軸力図、せん断力図、曲げモーメント図)を描くことができる。 | 4 | |
応力とその種類、ひずみとその種類、応力とひずみの関係を理解し、弾性係数、ポアソン比やフックの法則などの概要について説明でき、それらを計算できる。 | 4 | |
断面に作用する垂直応力、せん断応力について、説明できる。 | 3 | |
はりのたわみの微分方程式に関して、その幾何学的境界条件と力学的境界条件を理解し、微分方程式を解いて、たわみやたわみ角を計算できる。 | 4 | |
圧縮力を受ける柱の分類(短柱・長柱)を理解し、各種支持条件に対するEuler座屈荷重を計算できる。 | 3 | |
仮想仕事の原理を用いた静定の解法を説明できる。 | 4 | |
構造物の安定性、静定・不静定の物理的意味と判別式の誘導ができ、不静定次数を計算できる。 | 4 | |
重ね合わせの原理を用いた不静定構造物の構造解析法を説明できる。 | 4 | |
応力法と変位法による不静定構造物の解法を説明できる。 | 2 | |
鋼構造物の種類、特徴について、説明できる。 | 3 | |
橋の構成、分類について、説明できる。 | 4 | |
橋梁に作用する荷重の分類(例、死荷重、活荷重)を説明できる。 | 3 | |
各種示方書に基づく設計法(許容応力度、終局状態等)の概要を説明でき、安全率、許容応力度などについて説明できる。 | 3 | |
軸力を受ける部材、圧縮力を受ける部材、曲げを受ける部材や圧縮と曲げを受ける部材などについて、その設計法を説明でき、簡単な例に対し計算できる。 | 3 | |
接合の定義・機能・種類、溶接と高力ボルト接合について、説明できる。 | 4 | |
鋼桁橋(プレートガーダー橋)の設計の概要、特徴、手順について、説明できる。 | 3 | |
計画 | 二項分布、ポアソン分布、正規分布(和・差の分布)、ガンベル分布、同時確率密度関数を説明できる。 | 2 | |
線形計画法(図解法、シンプレックス法)を説明できる。 | 2 | |
施工・法規 | コンクリート工の目的と施工法について、説明できる。 | 2 | |
型枠工・鉄筋工・足場支保工・打設工の流れについて、説明できる。 | 1 | |
トンネル工の目的と施工法について、説明できる。 | 2 | |
建築系分野 | 構造 | 建築構造の成り立ちを説明できる。 | 4 | |
建築構造(W造、RC造、S造、SRC造など)の分類ができる。 | 4 | |
力の定義、単位、成分について説明できる。 | 4 | |
力のモーメントなどを用い、力のつり合い(合成と分解)に関する計算ができる。 | 3 | |
断面一次モーメントを理解し、図心を計算できる。 | 4 | |
断面二次モーメント、断面相乗モーメント、断面係数や断面二次半径などの断面諸量を計算できる。 | 4 | |
弾性状態における応力とひずみの定義、力と変形の関係を説明でき、それらを計算できる。 | 3 | |
曲げモーメントによる断面に生じる応力(引張、圧縮)とひずみの関係を理解し、それらを計算できる。 | 3 | |
はり断面内のせん断応力分布について説明できる。 | 2 | |
骨組構造物の安定・不安定の判定ができる。 | 2 | |
骨組構造物に作用する荷重の種類について説明できる。 | 2 | |
各種構造の設計荷重・外力を計算できる。 | 3 | |
トラスの種類を説明でき、トラスの部材力の意味について説明できる。 | 2 | |
節点法や切断法を用いて、トラスの部材応力を計算できる。 | 3 | |
はりの支点の種類、対応する支点反力、およびはりの種類やその安定性について説明できる。 | 3 | |
はりの断面に作用する内力としての応力(軸力、せん断力、曲げモーメント)、応力図(軸力図、せん断力図、曲げモーメント図)について説明することができる。 | 3 | |
応力と荷重の関係、応力と変形の関係を用いてはりのたわみの微分方程式を用い、幾何学的境界条件と力学的境界条件について説明でき、たわみやたわみ角を計算できる。 | 3 | |
不静定構造物の解法の基本となる応力と変形関係について説明できる。 | 2 | |
はり(単純ばり、片持ちはり)の応力を計算し、応力図を描くことができる。 | 2 | |
圧縮力を受ける柱の分類(短柱・長柱)が出来、各種支持条件に対するEuler座屈荷重を計算できる。 | 3 | |
偏心圧縮柱の応力状態を説明できる。 | 3 | |
ラーメンやその種類について説明できる。 | 2 | |
ラーメンの支点反力、応力(軸力、せん断力、曲げモーメント)を計算し、その応力図(軸力図、せん断力図、曲げモーメント図)をかくことができる。 | 3 | |
構造力学における仕事やひずみエネルギーの概念について説明できる。 | 2 | |
仕事やエネルギーの概念を用いて、構造物(例えば梁、ラーメン、トラスなど)の支点反力、応力(図)、変形(たわみ、たわみ角)を計算できる。 | 3 | |
構造物の安定性、静定・不静定の物理的意味と判別式の誘導ができ、不静定次数を計算できる。 | 3 | |
静定基本系(例えば、仮想仕事法など)を用い、不静定構造物の応力と、支点反力を求めることができる。 | 3 | |
いずれかの方法(変位法(たわみ角法)、固定モーメント法など)により、不静定構造物の支点反力、応力(図)を計算できる。 | 3 | |
木構造の特徴・構造形式について説明できる。 | 3 | |
木材の接合について説明できる。 | 3 | |
基礎、軸組み、小屋組み、床組み、階段、開口部などの木造建築の構法を説明できる。 | 2 | |
鋼構造物の復元力特性と設計法の関係について説明できる。 | 2 | |
S造の特徴・構造形式について説明できる。 | 3 | |
鋼材・溶接の許容応力度について説明できる。 | 3 | |
軸力のみを受ける部材の設計の計算ができる。 | 3 | |
軸力、曲げを受ける部材の設計の計算ができる。 | 3 | |
曲げ材の設計の計算ができる。 | 3 | |
継手の設計・計算ができる。 | 3 | |
高力ボルト摩擦接合の機構について説明できる。 | 3 | |
溶接接合の種類と設計法について説明できる。 | 3 | |
仕口の設計方法について説明ができる。 | 3 | |
柱脚の種類と設計方法について説明ができる。 | 3 | |
鉄筋コンクリート造(ラーメン構造、壁式構造、プレストレストコンクリート構造など)の特徴・構造形式について説明できる。 | 3 | |
構造計算の設計ルートについて説明できる。 | 2 | |
建物の外力と変形能力に基づく構造設計法について説明できる。 | 2 | |
断面内の応力の分布について説明できる。 | 2 | |
許容曲げモーメントを計算できる。 | 3 | |
主筋の算定ができる。 | 3 | |
釣合い鉄筋比について説明ができる。 | 3 | |
中立軸の算定ができる。 | 3 | |
許容せん断力を計算できる。 | 3 | |
せん断補強筋の算定ができる。 | 3 | |
終局曲げモーメントについて説明できる。 | 2 | |
終局剪断力について説明できる。 | 2 | |
断面内の応力の分布について説明できる。 | 2 | |
許容曲げモーメントを計算できる。 | 3 | |
MNインターラクションカーブについて説明できる。 | 2 | |
主筋の算定ができる。 | 3 | |
釣合い鉄筋比について説明ができる。 | 3 | |
中立軸の算定ができる。 | 3 | |
許容せん断力を計算できる。 | 3 | |
せん断補強筋の算定ができる。 | 3 | |
基礎形式(直接、杭)の分類ができる。 | 2 | |
基礎形式別の支持力算定方を説明できる。 | 2 | |
マグニチュードの概念と震度階について説明できる。 | 3 | |
地震被害を受けた建物の破壊等の特徴について説明できる。 | 2 | |