物理化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 高知工業高等専門学校 開講年度 2019
授業科目 物理化学Ⅰ
科目番号 T3046 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 SD 新素材・生命コース 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:福地賢治「PEL物理化学」  参考書:田中潔・荒井貞夫「フレンドリー物理化学」(三共出版)
担当教員 中林 浩俊

到達目標

【到達目標】
1. 物理量とそれに伴う単位を説明でき,物理化学の基礎的用語を理解し使用できる。
2. 物質の三態およびその相互変化について説明できる。
3. 気体の分子運動論を知り,速度分布や平均速度を説明できる。
4. 実在気体の方程式の導出と計算ができる。
5. 熱力学の第一法則を定量的に説明でき,熱と仕事の出入りが説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1SI基本単位およびSI組み立て単位の定義を理解し,自由に使うことができる。SI基本単位およびSI組み立て単位を説明できるSI基本単位とそれに伴う様々な単位を理解していない
評価項目2物質の状態とその相互変化の現象と原因を説明できる。物質の状態とその相互変化の現象を説明できる。物質の状態とその相互変化を説明できない
評価項目3気体の分子運動論が説明でき,理想気体と実在気体の状態方程式の導出とそれを使った計算ができる。理想気体と実在気体の状態方程式の導出とそれを使った計算ができる。理想気体と実在気体の状態方程式を使った計算ができない
評価項目4熱力学第一法則の意味を理解し,様々な条件の下でのエネルギー収支が計算できる。熱力学第一法則を理解し,状態変化に伴う内部エネルギーや仕事,熱を計算で求めることができる。熱力学第一法則を理解し,状態変化に伴う内部エネルギーや仕事,熱を計算で求めることができない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
物理化学は,物質工学の専門基礎科目の1つである。物質の状態を正しく把握し,気体を本質から理解し,さらに物質の状態変化に伴う仕事やエネルギー変化,および化学反応に伴う反応熱などについての基本的事項を学習することによって,化学技術者としての専門的基礎知識を習得する。
授業の進め方・方法:
学習状況および授業の理解度については,前回の授業を範囲にした課題や演習などを随時実施することで判断する。
注意点:
試験の成績95%,課題や平素の学習状況を5%の割合で総合的に評価する。学年評価は中間と期末の各期間の評価の平均とする。技術者が身につけるべき専門基礎として,到達目標に対する達成度を試験等において評価する。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 1.物理化学の目的と役割および物質のとらえ方 化学工業での物理かが分野の役割と重要性を理解する
2週 1.単位と基礎用語:SI単位系,基本的な物理量 物理量とそれに伴う単位を説明でき,物理化学の基礎的用語を正しく使用できる
3週 1.単位と基礎用語:SI単位系,基本的な物理量 物理量とそれに伴う単位を説明でき,物理化学の基礎的用語を正しく使用できる
4週 2.物質の状態:三態と状態変化 物質の三態,およびそれらの相互変化について説明できる
5週 2.物質の状態:状態図と臨界点 純物質の状態図と臨界点の特徴を説明できる
6週 2.物質の状態:気体と液体,および蒸発熱と融解熱 状態変化に伴う熱の出入りを説明できる
7週 3.理想気体と実在気体:理想気体の分子運動論と圧力の式の導出 理想気体のモデルを説明でき,分子運動論から圧力の式を導出できる
8週 3.理想気体と実在気体:速度分布と平均速度 マックスウエル-ボルツマン分布と平均速度を説明できる
4thQ
9週 3. 理想気体と実在気体:状態方程式とファンデルワールスの式の導出 実在気体の状態方程式の導出とその説明ができる
10週 3.理想気体と実在気体:演習 ファンデルワールスの式を使っての計算ができる
11週 4.熱力学第一法則:変化の過程 系と外界の関係,および系の準静的過程による変化について説明できる
12週 4.熱力学第一法則:内部エネルギー,熱,仕事 エネルギー収支と熱力学第一法則を説明できる
13週 4.熱力学第一法則:定圧・定積変化と反応熱 定圧および定積変化における系と外界の熱と仕事の出入りを計算できる
14週 4.熱力学第一法則:反応エンタルピー 標準生成熱からの反応エンタルピーの計算ができる
15週 4.熱力学第一法則:反応熱の温度依存性と熱容量 熱容量を理解し,反応エンタルピーの温度依存性が計算できる
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。4後7,後8
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。4後12
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。4後12
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。4
気体の内部エネルギーについて説明できる。4後12
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。3後13
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学σ結合とπ結合について説明できる。2
混成軌道を用い物質の形を説明できる。2
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。2
無機化学主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。2
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。2
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。2
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。2
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。2
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。3
イオン結合と共有結合について説明できる。2
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。3
金属結合の形成について理解できる。2
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。2
配位結合の形成について説明できる。3
水素結合について説明できる。3
物理化学気体の法則を理解して、理想気体の方程式を説明できる。4
気体の分子速度論から、圧力を定義して、理想気体の方程式を証明できる。4後7
実在気体の特徴と状態方程式を説明できる。4後9
臨界現象と臨界点近傍の特徴を説明できる。4後5
混合気体の分圧の計算ができる。4
純物質の状態図(P-V、P-T)を理解して、蒸気圧曲線を説明できる。4
熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる。4
エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。4
化合物の標準生成エンタルピーを計算できる。4
エンタルピーの温度依存性を計算できる。4
内部エネルギー、熱容量の定義と適用方法を説明できる。4後13

評価割合

試験課題等合計
総合評価割合955100
基礎的能力50555
専門的能力35035
分野横断的能力10010