概要:
食酢中の酢酸濃度や地下水中のCaイオン濃度などは,酸塩基反応や錯体生成反応を利用して求められ,これらは分析化学の基本である。重量分析と容量分析の定量の原理は化学量論によって記述されるものである。本授業では,分析化学の基本原理を学び,それに関連する化学計算法を身につけることを学習目標としている。
授業の進め方・方法:
授業計画に従って教科書および補助プリントを用いて授業を行う。教科書にある例題の解法を講義することがメインになる。適宜、小テストや課題を課す。
注意点:
【成績評価基準・方法】
試験の成績を80%,平素の学習状況等(課題・小テスト等を含む)を20%の割合で総合的に評価する。学期毎の評価は中間と期末の各期間の評価の平均,学年の評価は前学期と後学期の評価の平均とする。なお,通年科目における後学期中間の評価は前学期中間,前学期末,後学期中間の各期間の評価の平均とする。技術者が身につけるべき専門基礎として,到達目標に対する達成度を試験等において評価する。
【事前・事後学習】
事前学習として,授業資料をGoogleClassroomにアップするので,授業ノートを作成して授業で行う演習問題に目を通しておく。
事後学習として,授業中に学習した演習問題の復習をすること。授業中にできなかった演習問題に取り組むこと。
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
定性分析と定量分析[1]:分析化学の基本的概念を学ぶ。 |
定性分析と定量分析の違いを理解する。 モル濃度,質量モル濃度,ppm,ppbを理解できる。
|
2週 |
容量分析[1]:試料中の目的物の分析手順と容量分析計算法を学ぶ。 |
モル濃度を用いて溶液中の容量分析計算ができる。
|
3週 |
容量分析[2]:試料中の目的物の分析手順と容量分析計算法を学ぶ。 |
モル濃度を用いて溶液中の容量分析計算ができる。
|
4週 |
重量分析[1]:試料中の目的物の分析手順と容量分析計算法を学ぶ。 |
モル濃度を用いて溶液中の容量分析計算ができる。
|
5週 |
溶液内の化学平衡[1]:化学平衡の概念・平衡定数・ルシャトリエの法則・活量を学ぶ。 |
正反応・逆反応速度を正しく理解し,平衡定数を理解する。
|
6週 |
溶液内の化学平衡[2]:化学平衡の概念・平衡定数・ルシャトリエの法則・活量を学ぶ。 |
ルシャトリエの法則を理解する。 平衡定数を用いた化学計算(1)~(5)ができる。
|
7週 |
溶液内の化学平衡[3]:化学平衡の概念・平衡定数・ルシャトリエの法則・活量を学ぶ。 |
ルシャトリエの法則を理解する。 平衡定数を用いた化学計算(1)~(5)ができる。
|
8週 |
前学期中間試験 |
これまの学習内容について定期試験によって確認する。
|
2ndQ |
9週 |
酸塩基平衡とpH[1]:酸塩基理論・弱酸や弱塩基・それらの塩・緩衝液についてpHの計算法を学ぶ。 |
酸塩基理論を理解する。酸・塩基の解離平衡反応を理解する。 水の自己プロトリシス定数を理解する。
|
10週 |
酸塩基平衡とpH[2]:酸塩基理論・弱酸や弱塩基・それらの塩・緩衝液についてpHの計算法を学ぶ。 |
pHの定義と計算方法を理解する。強酸・強塩基のpH計算ができる。
|
11週 |
酸塩基平衡とpH[3]:酸塩基理論・弱酸や弱塩基・それらの塩・緩衝液についてpHの計算法を学ぶ。 |
弱酸や弱塩基の解離平衡を理解し,pH計算ができる。 弱酸や弱塩基の塩の解離平衡を理解し,pH計算ができる。
|
12週 |
酸塩基平衡とpH[4]:酸塩基理論・弱酸や弱塩基・それらの塩・緩衝液についてpHの計算法を学ぶ。 |
緩衝液を理解し,ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式が導出できる。
|
13週 |
酸塩基平衡とpH[5]:酸塩基理論・弱酸や弱塩基・それらの塩・緩衝液についてpHの計算法を学ぶ。 |
種々の緩衝液のpHの計算ができる。
|
14週 |
酸塩基滴定とpH[1]:様々な酸塩基滴定のpH計算から滴定曲線を求める。 |
強酸と強塩基の滴定を理解し,pH計算ができ,pH曲線が描ける。 酸塩基反応における指示薬を理解できる。
|
15週 |
前学期末試験 |
これまの学習内容について定期試験によって確認する。
|
16週 |
酸塩基滴定とpH[2]:様々な酸塩基滴定のpH計算から滴定曲線を求める。 |
強塩基による弱酸の滴定を理解し,pH計算ができ,pH曲線が描ける。
|
後期 |
3rdQ |
1週 |
酸塩基滴定とpH[3]:様々な酸塩基滴定のpH計算から滴定曲線を求める。 |
強酸による弱塩基の滴定を理解し,pH計算ができ,pH曲線が描ける。
|
2週 |
酸塩基滴定とpH[4]:様々な酸塩基滴定のpH計算から滴定曲線を求める。 |
二酸塩基の滴定反応を理解し,pH計算ができ,pH曲線が描ける。
|
3週 |
酸塩基滴定とpH[5]:様々な酸塩基滴定のpH計算から滴定曲線を求める。 |
炭酸ナトリウムの滴定反応を理解し,pH計算ができ,pH曲線が描ける。
|
4週 |
錯形成平衡とキレート滴定[1]:錯形成平衡の取り扱い,配位子と金属イオンの親和性,配位子の定量的な解析を学ぶ。 |
錯体の形成反応と解離反応を理解できる。 錯形成反応における逐次反応および全反応の平衡定数を理解できる。
|
5週 |
錯形成平衡とキレート滴定[2]:錯形成平衡の取り扱い,配位子と金属イオンの親和性,配位子の定量的な解析を学ぶ。 |
EDTAの平衡反応において,EDTAのモル分率とpHの関係を理解できる。
|
6週 |
錯形成平衡とキレート滴定[3]:錯形成平衡の取り扱い,配位子と金属イオンの親和性,配位子の定量的な解析を学ぶ。 |
EDTAと金属イオンの反応に関する溶液濃度等の化学計算ができる。
|
7週 |
錯形成平衡とキレート滴定[4]:錯形成平衡の取り扱い,配位子と金属イオンの親和性,配位子の定量的な解析を学ぶ。 |
キレート滴定における金属指示薬について理解することができる。
|
8週 |
後学期中間試験
|
これまの学習内容について定期試験によって確認する。
|
4thQ |
9週 |
溶解平衡と沈殿滴定[1]:難溶性塩の溶解平衡,溶解度積を用いた物質の溶解度の計算法を学ぶ。 |
難溶性塩の溶解性について理解することができる。
|
10週 |
溶解平衡と沈殿滴定[2]:難溶性塩の溶解平衡,溶解度積を用いた物質の溶解度の計算法を学ぶ。 |
溶解度や溶解度積を用いた化学計算ができる。
|
11週 |
溶解平衡と沈殿滴定[3]:難溶性塩の溶解平衡,溶解度積を用いた物質の溶解度の計算法を学ぶ。 |
溶解度や溶解度積を用いた化学計算ができる。沈殿物の溶解に影響を与える因子について理解することができる。
|
12週 |
溶媒抽出[1]:互いに混ざり合わない2つの液相間における溶質の分配平衡について学ぶ。 |
溶媒抽出の方法を理解することができる。 分配の法則を理解し,分配定数・分配比・抽出率を利用することできる。
|
13週 |
溶媒抽出[2]:互いに混ざり合わない2つの液相間における溶質の分配平衡について学ぶ。 |
非電解質の溶媒抽出における分配係数・分配比・抽出率の算出ができる。
|
14週 |
溶媒抽出[3]:互いに混ざり合わない2つの液相間における溶質の分配平衡について学ぶ。 |
有機酸や金属錯体の分配平衡を理解することができる。
|
15週 |
学年末試験 |
これまの学習内容について定期試験によって確認する。
|
16週 |
まとめ |
1年間に学習した内容についての総まとめおよび今後の専門化学の学習へ活用できる。
|
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 有機化学 | 有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。 | 4 | |
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。 | 3 | |
σ結合とπ結合について説明できる。 | 4 | |
混成軌道を用い物質の形を説明できる。 | 4 | |
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。 | 4 | |
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。 | 4 | |
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。 | 4 | |
共鳴構造について説明できる。 | 4 | |
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。 | 4 | |
芳香族性についてヒュッケル則に基づき説明できる。 | 4 | |
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。 | 4 | |
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。 | 4 | |
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。 | 4 | |
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。 | 3 | |
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。 | 3 | |
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。 | 3 | |
電子論に立脚し、構造と反応性の関係が予測できる。 | 3 | |
反応機構に基づき、生成物が予測できる。 | 3 | |