概要:
化学技術者が身につけるべき専門基礎として,有機・無機化合物の合成実験を中心に行い,合成に関する実験技術を習得する。実験とその考察を論理的に文章としてまとめ,報告できる能力を身につける。
授業の進め方・方法:
下記の授業計画の通り進める。ただし,状況によって実験順序などが変更になることもある.
注意点:
【成績評価の基準・方法】
全てのレポート及び実験ノートを提出していることが合格の条件である。レポートを70%,平素の学習状況(実験の予習・準備,取り組み姿勢及び実験技術の修得度等)を20%,実験ノートを10%の割合で総合的に評価する。技術者が身につけるべき専門基礎として,レポートおよび実験ノートの内容をもとに,実験内容に関する理解の程度を評価する。
【事前・事後学習】
実験の予習を必ず行い、ノートにまとめておくこと。事後学習として実験で指示したレポート・課題を期限内に提出すること。
【履修上の注意】
本科目は有機化学I・IIおよび無機化学I・IIで学ぶ内容についての実習となる。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
導入:無機化学実験を行うに当たっての注意。実験ノートの取り方,レポートの作成方法について,実験器具の基本的使用方法の習得 酸化亜鉛の合成:銅と亜鉛のイオン化傾向の差を利用し、亜鉛粉末と硫酸銅から硫酸亜鉛と粉末銅を得る。 |
合成実験に関する基本的なレポートの書き方について理解し、レポート執筆に実践できる。基本的な実験器具を使用することができる 酸化亜鉛の合成を手順通りに実施することができる。
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2週 |
酸化亜鉛の合成:銅と亜鉛のイオン化傾向の差を利用し、亜鉛粉末と硫酸銅から硫酸亜鉛と粉末銅を得る。 |
酸化亜鉛の合成を手順通りに実施することができる。
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3週 |
硫酸銅の合成:銅を硝酸に溶かし,炭酸ナトリウムを加え,得られた合成物に硫酸を加えて硫酸銅を合成する。 |
硫酸銅の合成を手順通りに実施することができる。
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4週 |
硫酸銅の合成:銅を硝酸に溶かし,炭酸ナトリウムを加え,得られた合成物に硫酸を加えて硫酸銅を合成する。 ※レポート指導 |
硫酸銅の合成を手順通りに実施することができる。
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5週 |
コバルト錯体の合成 :塩化コバルト(II)六水和物をアンモニア存在下で酸化し,触媒を用いてヘキサアンミンコバルト(III)塩化物を合成する。 |
コバルト錯体の合成を手順通りに実施することができる。
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6週 |
塩化t-ブチルの合成:t-ブチルアルコールの塩素化を学ぶ。 |
反応を理解し、塩化t-ブチルの合成ができる。
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7週 |
酢酸エチルの合成:酢酸のエステル化を学ぶ。 |
反応を理解し、酢酸エチルの合成ができる。
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8週 |
酢酸エチルのNMRの測定と解析. |
NMR分光計を理解し,酢酸エチルのNMR分析・解析ができる。
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4thQ |
9週 |
シクロヘキセンの合成:シクロヘキサノールの脱水による二重結合の生成を学ぶ。 |
反応を理解し、シクロヘキセンの合成ができる。
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10週 |
アスピリンの合成:サリチル酸のアセチル化を学ぶ。 |
反応を理解し、アスピリンの合成ができる。
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11週 |
ジベンジリデンアセトンの合成:ベンズアルデヒドとアセトンの脱水縮合を学ぶ。 |
反応を理解し、ジベンジリデンアセトンの合成ができる。
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12週 |
m-ニトロ安息香酸メチルの合成:置換基の配向性を学ぶ。(合成) |
反応を理解し、m-ニトロ安息香酸メチルの合成ができる。
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13週 |
m-ニトロ安息香酸メチルのGCの測定と解析. |
GCを理解し、m-ニトロ安息香酸メチルのGC分析・解析ができる。
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14週 |
アゾ色素の合成:多段階合成を学ぶ。(1・2段階目の合成) |
反応を理解し、アゾ色素の合成ができる。
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15週 |
アゾ色素の合成:多段階合成を学ぶ。(3・4段階目の合成)
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反応を理解し、アゾ色素の合成ができる。
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16週 |
ベンジルアルコールの合成:還元反応を学ぶ |
反応を理解し、ベンジルアルコールの合成ができる。
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 工学実験技術 | 工学実験技術 | 物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。 | 3 | |
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。 | 3 | |
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。 | 3 | |
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。 | 3 | |
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。 | 3 | |
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。 | 3 | |
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。 | 3 | |
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。 | 3 | |
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。 | 3 | |
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。 | 3 | |
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の工学実験・実習能力 | 化学・生物系分野(実験・実習能力) | 化学・生物系分野(実験・実習能力) | 加熱還流による反応ができる。 | 4 | 後4,後6,後7,後8 |
蒸留による精製ができる。 | 4 | 後2,後3,後4,後6,後7,後8 |
吸引ろ過ができる。 | 4 | 後9,後10 |
再結晶による精製ができる。 | 4 | 後2,後9,後10,後12,後13 |
分液漏斗による抽出ができる。 | 4 | 後1,後3,後4,後7,後8,後14 |
薄層クロマトグラフィによる反応の追跡ができる。 | 4 | 後2,後9,後12,後13,後14 |
融点または沸点から生成物の確認と純度の検討ができる。 | 4 | 後3,後4,後6,後7,後8,後9,後12,後13 |
収率の計算ができる。 | 4 | 後3,後4,後6,後7,後8,後9,後10,後12,後13,後14 |