化学実験序論

科目基礎情報

学校 高知工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 化学実験序論
科目番号 T3055 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義・演習 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 SD 新素材・生命コース 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:「化学系のための安全工学」化学同人
担当教員 秦 隆志,藤田 陽師

到達目標

【到達目標】
1.化学実験室における安全を理解し,危険な行動をとらないことを実施できる。
2.基本的な実験器具の使用方法,基本操作を理解し,実施できる。
3.基本的な分析実験の実施,合成実験の実施について適切な器具を自ら選び,実施できる
4.化学物質の特性と危険性を把握し,取り扱い方法を理解している。
5.化学物質の生体への影響を理解している。
6.化学物質の廃棄方法を理解している。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
安全への配慮実験室全体の安全に十分に配慮しながら実験を進めることができる自身とその付近の安全に十分に配慮しながら実験を進めることができる。自身とその付近の安全に十分に配慮しながら実験を進めることができない。
実験器具の基本的操作方法学生実験で利用するすべての実験器具に対して正しい使用方法で使用でき,かつ,危険のない合理的な利用方法を見出すことができる。学生実験で利用するすべての実験器具に対して正しい使用方法で使用できる学生実験で利用するすべての実験器具に対して正しい使用方法で使用できない
実験器具の選択実験書の抽象的な表現を見て,その時に最適な実験器具を自ら選択して実施できる。実験書をみて,その時に最適な実験器具を自ら選択して実施できる。実験書をみて,その時に最適な実験器具を自ら選択して実施できない。
化学物質の特性と危険性化学物質の特性と危険性を把握し,危険な取り扱い方法を予測できる。化学物質の特性と危険性を把握し,危険な取り扱い方法を理解している。化学物質の特性と危険性を把握していない
化学物質の生体への影響化学物質の生体への影響を理解し,未然にそのような影響がない行動がとれる。化学物質の生体への影響を理解している。化学物質の生体への影響を理解していない
化学物質の廃棄方法化学物質の廃棄方法を理解し,不慮に出てきた廃棄物も適切に廃棄できる。化学物質の廃棄方法を理解している。化学物質の廃棄方法を理解していない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (B) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
【授業の目標等】
 化学技術者が身につけるべき専門基礎として,化学実験の基礎を机上と実践で習得する。加えて,今後の実験において事故を起こさぬよう,十分に実験室の安全について習得する。
 化学技術者は様々な化学物質を取り扱うが,その特性と危険性、生体への影響について習得し,正しく化学物質を取り扱えることを目標とする。
授業の進め方・方法:
本授業の前半は主に化学実験の基礎を学ぶ。各授業にて各テーマの化学実験に関する講義を進める。テーマによってはその授業の前半は講義,後半は学んだことを実践するための基礎実験となることもある。
本授業の後半は化学物質の特性,危険性などについて,講義形式で授業を進める。
注意点:
【成績評価の基準・方法】
 試験の成績70%,小テストと課題からなる平常点30% の割合で総合的に評価する。評価は前期中間と前期末の各期間の評価の平均とする。技術者が身につけるべき専門基礎として,到達目標に対する達成度を試験等において評価する。
【事前・事後学習】
 本科目単体では効果は薄い。本授業で学んだことを各学生実験で実践的に身に着けてほしい。小テストを実施する場合もある。授業終了後は事後学習を十分に進めたうえで次の授業の最初に実施する小テストに臨むこと。適宜出題される課題も真摯に取り組み,自身で熟慮して回答したうえで〆切厳守で提出すること。
【履修上の注意】
 この科目を履修するにあたり,1年生の化学ⅠAおよび化学ⅠB,2年生の化学Ⅱ, デザイン工学演習ⅠおよびⅡの新素材・生命コーステーマの内容を十分に理解しておくこと。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 安全基礎,器具の洗浄と洗浄液,ろ過 本校で実施する学生実験を最低限遂行できる程度の実験室の安全の知識を理解し行動できる
器具の洗浄方法を理解し,適切に洗浄できる
洗浄に使われる水の種類が理解でき,その差を説明できる
各種のろ過について,それぞれの目的を理解したうえでその時に使うべきろ過の種類を選択でき,ろ過操作を適切に実施できる
2週 実験器具と体積,ピペット,秤量瓶,加熱乾燥とガラス器具,試料の採取 ビーカー,メスシリンダー,メスフラスコなど様々体積目盛りのついたガラス器具のその目盛りの精度について理解しており,実験のシチュエーションに応じてどのガラス器具を使うべきか判断できる。また,洗浄乾燥時における注意事項を把握している。
各種のピペットの操作方法を理解しており実験内容に応じて適切に選択し使用できる。
固体試料の採取方法を理解しており,適切に実験を進めることができる。
3週 定量分析基本操作 共洗いについて理解し,適切に実施できる。
定量分析実験器具を適切に使用できる
標準試料を適切に使用できる
4週 規定度演習 規定度について理解し,適切に濃度を計算できる
5週 反応操作(加熱) ガスバーナー,ウォーターバス,オイルバスの使用について十分に理解し適切に使用できる。またこれらを実験のどのシチュエーションで使用するか適切に選択できる。
還流の意味を理解し,還流装置を組み立て,実験を進めることができる。
各種冷却器について理解し,その種類と使い分けを説明できる。
クランプを適切に使用できる。
6週 精製操作(蒸留,再結晶) 蒸留方法を理解し説明でき,かつその実験装置を組み立てることが出来る。
再結晶を理解しその実験を実施できる。
7週 クロマトグラフィーとカラム分離 クロマトグラフィーの原理を理解し,
カラム分離について理解しその実験を実施できる。
8週 実験の安全, 後期中間試験 これからの実験,研究を実施するにあたり十分に安全に配慮した実験をすることができる。事故が起きたときの初期対処ができる。
前期中間試験を通してこれまでの内容における到達目標を達成できる。
2ndQ
9週 第0章 安全を学ぶ意義
第1章 火災や爆発の危険性がある化学物質
安全を学ぶ意義が理解できる。
化学物質の危険性を把握できる。
10週 第1章 火災や爆発の危険性がある化学物質第2章 実験室での火災への対処法 化学物質の危険性を把握できる。
実験室が火災の際に行動ができる。
11週 第3章 毒性のある化学物質 毒物,劇物についてその特性と取り扱いを理解できる。
12週 第4章 高圧ガスの危険とその安全な取り扱い 高圧月の危険性とその取扱いについて理解できる。
13週 第8章 化学物質の生体への影響 化学物質の生体への影響について理解できる。
14週 第9章 実験系の廃棄物 化学物質の適切な廃棄ができる。
15週 これまで(第9回~第14回)のまとめ 前期9週目~14週目までの復習を通して,ここまでの内容を定着できる
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学実験化学実験実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。3
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷)を理解し、対応ができる。3
測定と測定値の取り扱いができる。3
ガラス器具の取り扱いができる。3
基本的な実験器具に関して、目的に応じて選択し正しく使うことができる。3
試薬の調製ができる。3
工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3
専門的能力分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】有機化学実験加熱還流による反応ができる。3
蒸留による精製ができる。3
吸引ろ過ができる。3
再結晶による精製ができる。3
分液漏斗による抽出ができる。3
薄層クロマトグラフィによる反応の追跡ができる。3
融点または沸点から生成物の確認と純度の検討ができる。3

評価割合

試験小テスト,課題他相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70300000100
基礎的能力70300000100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000