化学工学Ⅰ

科目基礎情報

学校 高知工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 化学工学Ⅰ
科目番号 T4008 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 SD 新素材・生命コース 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 予習ビデオ,予習テキストおよびプリント
担当教員 土居 俊房

到達目標

【到達目標】
1.SI単位系の定義を良く理解し,簡単な化学プロセスの物質収支の計算ができる。
2.流動に必要な所要動力の計算ができる。
3.伝導伝熱,対流伝熱および放射伝熱の伝熱速度の計算ができる。
4.蒸発の物質・熱収支および蒸発缶の伝熱面積の計算ができる。
5.バッチ式と連続式反応装置についてそれらの特徴や用途を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 (SI単位系)SI単位系の定義を良く理解し,簡単な化学プロセスの物質収支の計算が良くできる。SI単位系の定義を理解し,簡単な化学プロセスの物質収支の計算ができる。SI単位系の定義の理解が不十分で,簡単な化学プロセスの物質収支の計算ができない。
評価項目2 (流動)流動に必要な所要動力の計算が良くできる。流動に必要な所要動力の計算ができる。流速,流量,レイノルズ数,エネルギー収支・損失をもとに,単純なプロ流動に必要な所要動力の計算ができない。
評価項目3 (伝熱)伝導伝熱,対流伝熱および放射伝熱の伝熱速度の計算が良くできる。伝導伝熱,対流伝熱および放射伝熱の伝熱速度の計算が良できる。伝導伝熱,対流伝熱および放射伝熱の伝熱速度の計算ができない。
評価項目4 (蒸発)蒸発の物質・熱収支および蒸発缶の伝熱面積の計算が良くできる。蒸発の物質・熱収支および蒸発缶の伝熱面積の計算ができる。蒸発の物質・熱収支および蒸発缶の伝熱面積の計算ができない。
評価項目5 (反応装置)バッチ式と連続式反応装置についてそれらの特徴や用途を良く説明できる。バッチ式と連続式反応装置についてそれらの特徴や用途を説明できる。バッチ式と連続式反応装置についてそれらの特徴や用途を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (B) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
化学プラントでは,原料から製品に至る過程で流体の輸送,加熱,冷却,蒸発などを行う。本講義では,様々な物理量の単位,流体の流動操作,熱移動操作,蒸発操作を理解し,技術者としての専門基礎知識を習得することを目標とする。
授業の進め方・方法:
学生に予習ビデまたは予習テキストによる事前学習を課し,講義では予習内容にかんする小テストを行い,予習の理解度を確認する。また,演習問題を5~6名のグループ学習で解き,理解できないところを学生相互に教え合い,理解を深める
注意点:
定期試験の評価50%,平素の小テストおよび演習の評価50%の割合で総合的に評価する。ただし,定期試験(年4回)は毎回,60点(60%)以上を義務付ける。
学期毎の評価は中間と期末の各期間の評価の平均、学年の評価は前学期と後学期の評価の平均とする。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 (導入)化学工化学で何を学ぶのか。シラバスの説明。 この1年間に学習する内容についてシラバスをもとに説明する。
2週 1. 化学工学の基礎
(1)国際単位系(SI)
基本単位,誘導単位,接頭語につて説明できる。
3週 (2)単位換算 非SI単位の物理量をSI単位に換算できる。
4週 (3)物質の状態および状態式 純物質の状態図が説明できる。
理想気体の状態方程式を用いて,体積,圧力,モル数を計算できる。
5週 (4)分離プロセスの物質収支 蒸発操作および蒸留の基本的な物質収支を計算できる。
6週 (5)化学プロセスの物質収支 燃焼反応における物質収支を計算できる。
7週 (前期中間試験)
8週 (答案返却)
2ndQ
9週 2.流動操作
(1)流動の物質収支
(2)流動のエネルギー収支
①円管内の流速,質量流を計算できる。
②流動に必要な仕事,圧力エネルギー,位置のエネルギー,運動のエネルギー,摩擦損失について説明できる。
10週 (3)ニュートンの粘性法則
(4)流れの状態とレイノルズ数
①ニュートンの粘性法則を説明できる。
②円管内のレイノルズ数を計算できる。
11週 (5)円管内の層流と乱流の平均流速
①ハーゲン・ポアズィユの式を導出できる。
②円管内の層流と乱流の平均流速を計算できる。
12週 (6)円管内の摩擦損失 ファニングの式を用いて直管の摩擦損失を計算できる。
13週 (7)流動に必要な所用動力 流動に必要な所用動力,ポンプ動力を計算できる。
14週 (8)流量測定および流体輸送装置(ポンプ) ①オリフィス計およびピトー管の原理を説明できる。
②ポンプについて説明できる。
15週 (前期末試験)
16週 (答案返却)
後期
3rdQ
1週 3.熱移動操作
(1)フーリエの法則と熱伝導度
(2)平板状個体層の伝熱速度
(3)多重平板状個体層の伝熱速度
①伝導伝熱,対流伝熱,放射伝熱の違いについて説明できる。
②フーリエの法則と熱伝導度について説明できる。
③平板状固体層の伝熱速度を計算できる。
④多重平板状固体層の伝熱速度を計算できる。
2週 (4)円筒状個体層の伝熱速度
(5)多重円筒状個体層の伝熱速度
①円筒状固体層の伝熱速度を計算できる。
②多重円筒状固体層の伝熱速度を計算できる。
3週 (6)熱伝達と熱伝達係数 ①境膜伝熱係数および総括伝熱係数について説明できる。
②熱貫流による伝熱速度を計算できる。
4週 (7)熱交換器の熱収支 熱交換器の熱収支および対数平均温度差を計算できる
5週 (8)二重管式熱交換器の設計 ①二重管式熱交換器の総括伝熱係数を計算できる。
②二重管式熱交換器の伝熱面積を計算できる。
6週 (9)ステファン・ボルツマンの法則
(10)放射伝熱係数と複合伝熱係数
①ステファン・ボルツマンの法則について説明できる。
②放射伝熱係数および複合伝熱速度を計算できる。
7週 (中間試験)
8週 (答案返却)
4thQ
9週 4.化学工学実験
(1)蒸発:溶液の沸点上昇
デューリング線図を作成できる。
10週 (2)蒸発:蒸発缶の物質・熱収支および蒸発缶の設計 ①蒸発缶の物質および熱収支を計算できる。
②蒸発缶の伝熱面積を計算できる。
11週 (3)理想溶液の気液平衡関係(ラウールの法則) ラウールの法則を用いて気液平衡関係を計算できる。
12週 (4)単蒸留 ①物質収支式からレイリーの式を導出できる。
②気液平衡関係からレイリーの式を解くことができる。
13週 (5)反応装置の形式と理想流れ バッチ式と連続式反応装置についてそれらの特徴や用途を良く説明できる。
14週 (6)回分槽型反応器,連続槽型反応器および管型反応器 反応器の物質収支から基礎式を導出できる。
15週 (期末試験)
16週 (答案返却)

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野化学工学SI単位への単位換算ができる。4前1,前2,前3
物質の流れと物質収支についての計算ができる。4
化学反応を伴う場合と伴わない場合のプロセスの物質収支の計算ができる。4
管径と流速・流量・レイノルズ数の計算ができ、流れの状態(層流・乱流)の判断ができる。4
流れの物質収支の計算ができる。4
流れのエネルギー収支やエネルギー損失の計算ができる。4
流体輸送の動力の計算ができる。4
バッチ式と連続式反応装置について特徴や用途を理解できる。3

評価割合

試験小テスト・演習合計
総合評価割合5050100
基礎的能力303060
専門的能力202040
分野横断的能力000