機器分析・生命科学実験

科目基礎情報

学校 高知工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 機器分析・生命科学実験
科目番号 T4069 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 SD 新素材・生命コース 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 6
教科書/教材 実験テキスト(高知高専)
担当教員 安川 雅啓,秦 隆志,中島 慶治

到達目標

1.代表的な定性・定量分析装置として物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、形態観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。
2.固体、液体、気体の定性・定量・構造解析・組成分析等に関して必要な特定の分析装置に関して測定条件を選定し、得られたデータから考察をすることができる。
3.光学顕微鏡を取り扱うことができ、生物試料を顕微鏡下で観察することができる。
4.滅菌・無菌操作をして、微生物を培養することができる。
5.適切な方法や溶媒を用いて、生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製ができる。
6.クロマトグラフィー法または電気泳動法によって生体物質を分離することができる。
7.酵素の活性を定量的または定性的に調べることができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1分析装置、観察装置等を用いて、分析や観察の原理を十分に理解し、測定からデータ解析までの基本的プロセスを十分に行うことができる。分析装置、観察装置等を用いて、分析や観察の原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的プロセスを行うことができる。分析装置、観察装置等を用いて、分析や観察の原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的プロセスを行うことができない。
評価項目2分析装置の測定条件を正しく選定し、得られたデータから十分に考察をすることができる。分析装置の測定条件を選定し、得られたデータから考察をすることができる。分析装置の測定条件を選定し、得られたデータから考察をすることができない。
評価項目3顕微鏡を用いて十分に観察することができる。顕微鏡を用いて観察することができる。顕微鏡を用いて観察することができない。
評価項目4滅菌・無菌操作をして、微生物を正しく培養することができる。滅菌・無菌操作をして、微生物を培養することができる。滅菌・無菌操作をして、微生物を培養することができない。
評価項目5生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製が正しくできる。生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製ができる。生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製ができない。
評価項目6クロマトグラフィー法または電気泳動法によって生体物質を正しく分離することができる。クロマトグラフィー法または電気泳動法によって生体物質を分離することができる。クロマトグラフィー法または電気泳動法によって生体物質を分離することができない。
評価項目7酵素の活性を定量的または定性的に正しく調べることができる。酵素の活性を定量的または定性的に調べることができる。酵素の活性を定量的または定性的に調べることができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (E) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
固体・液体試料に含まれる物質の構造、組成、状態等を精密に測定、解析したり、生物試料の分離、培養、観察、分析等を正確に行うことにより、種々の機器分析法の原理や測定・解析法を実践的に修得することを目標とする。
授業の進め方・方法:
無機化合物、有機化合物、生物系試料を対象とした種々の機器分析実験および生命科学実験について基本的に対面で実験及び解析を行う。初回授業で実験・測定・解析に関する概要や注意事項等について学び、2回目で機器分析実験における情報セキュリティについて学ぶ。3回目から2つのグループに分かれ、無機系、有機系、生物系の実験テーマをローテーションで行う。分析機器の操作は教職員の監督下で行う。実験全体を通して、正しく安全に実験・分析・測定を行っているか、実験ノートを正しくつけているか、などについて教員が監督しながら実験等を進めていく。実験テーマ毎に各自が実験レポートをまとめ提出する。また、課題に取り組み提出する場合がある。
注意点:
【成績評価の基準・方法】
各自が主体的に実験を行い、自ら実験レポート、実験ノート、及び課題を完成させ提出することが合格の条件である。実験レポート70%、実験ノート・課題等30%の割合で総合的に評価する。技術者が身につけるべき専門基礎として、実験レポート、実験ノート、及び課題等の内容をもとに、到達目標に対する達成度を評価する。
【事前・事後学習】
事前学習として、実験の内容を予習し不明な箇所を予め明確にし質問内容を整理しておくこと。事後学習として、課題、実験レポートを作成し提出すること。
【履修上の注意】
実験の場合には白衣と保護メガネを着用し、試薬の取り扱いなど安全に十分注意すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 オリエンテーション(実験・測定・解析に関する概要や注意事項等),粉末X線回折法等の概要について学ぶ 粉末X線回折法等の原理,装置,解析法等の概要について理解できる。
2週 化学分野における情報セキュリティについて学習する 化学分野の技術者になるにあたり,必要な情報セキュリティの知識を得て,正しい行動をとることができる。
3週 3週目以降2グループに分かれ,Ⅰ,Ⅱ,Ⅲの分野をローテーションで行う
Ⅰ.無機化合物の機器分析実験 (1)無機化合物の合成
機器分析実験のための無機化合物が合成できる。
4週 Ⅰ.無機化合物の機器分析実験 (2)合成した結晶の走査型電子顕微鏡観察 合成した結晶の走査型電子顕微鏡観察ができる。
5週 Ⅰ.無機化合物の機器分析実験 (3)XRD測定とデータ解析 XRD測定とデータ解析ができる。
6週 Ⅰ.無機化合物の機器分析実験 (4)TG-DTA測定とデータ解析 TG-DTA測定とデータ解析ができる。
7週 Ⅱ.有機化合物の機器分析実験 (1)UV:共役二重結合をもつ化合物のUV測定 UV:共役二重結合をもつ化合物のUV測定ができる。
8週 Ⅱ.有機化合物の機器分析実験 (2)Vis:硫酸銅溶液のイオン交換樹脂による分離定量 Vis:硫酸銅溶液のイオン交換樹脂による分離定量ができる。
2ndQ
9週 Ⅱ.有機化合物の機器分析実験 (3)IR:各種有機化合物のIR測定と特性吸収帯の理解 IR:各種有機化合物のIR測定と特性吸収帯の理解ができる。
10週 Ⅱ.有機化合物の機器分析実験 (4)UV, Vis, IRデータ解析方 UV, Vis, IRスペクトルの解析ができる。
11週 Ⅲ.生命科学実験 (1)生物系試料の取り扱いと土壌微生物の培養・顕微鏡観察 生物系試料の取り扱いと土壌微生物の培養・顕微鏡観察ができる。
12週 Ⅲ.生命科学実験 (2)生体成分の定量性に関する実験 生体成分の定量性に関する実験と解析ができる。
13週 Ⅲ.生命科学実験 (3)クロマトグラフィーによる生体成分の分離と抽出,解析 クロマトグラフィーによる生体成分の分離と抽出,解析ができる。
14週 Ⅲ.生命科学実験 (4)酵素活性の解析に関する実験 酵素活性に関する実験と解析ができる。
15週 レポート指導と片付け 提出したレポートについて指導を受け,報告書の書き方について理解を深める。実験室等の片付けを行う。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野分析化学クロマトグラフィーの理論と代表的な分析方法を理解している。4
分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】分析化学実験代表的な定性・定量分析装置としてクロマト分析(特にガスクロ、液クロ)や、物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、形態観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。4前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10
固体、液体、気体の定性・定量・構造解析・組成分析等に関して必要な特定の分析装置に関して測定条件を選定し、得られたデータから考察をすることができる。4前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10
生物工学実験光学顕微鏡を取り扱うことができ、生物試料を顕微鏡下で観察することができる。4前12
滅菌・無菌操作をして、微生物を培養することができる。4前12
適切な方法や溶媒を用いて、生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製ができる。4前13
分光分析法を用いて、生体物質を定量することができる。4前13
クロマトグラフィー法または電気泳動法によって生体物質を分離することができる。4前13
酵素の活性を定量的または定性的に調べることができる。4前14

評価割合

実験レポート実験ノート・課題等合計
総合評価割合7030100
基礎的能力000
専門的能力7030100
分野横断的能力000