地盤防災特論

科目基礎情報

学校	高知工業高等専門学校	開講年度	令和05年度 (2023年度)
授業科目	地盤防災特論
科目番号	6408	科目区分	専門 / 選択
授業形態	講義	単位の種別と単位数	学修単位: 2
開設学科	ソーシャルデザイン工学専攻	対象学年	専1
開設期	前期	週時間数	2
教科書/教材	教科書：松岡 元「土質力学」（森北出版） 参考書：海野隆哉・垂水尚志「地盤工学」（コロナ社）, 地盤工学会編「地盤工学ハンドブック」（地盤工学会）
担当教員	岡林 宏二郎

到達目標

１．土の特徴について説明でき、地盤工学の項目ごとに仮定や取り扱いが異なることを説明できる。
２．有効応力と間隙水圧の関係、砂質土・粘性土のせん断特性を理解している。砂地盤の液状化を説明できる。
３．安定問題（土圧・支持力・斜面安定）の概念を説明できこれらの計算ができる。
４．構造物の基礎（調査・設計・施工）の設計思想について理解している。
５．県内の新構造物（トンネルや高速道路の新耐震設計法）について理解し、地盤防災との関係について理解している。

ルーブリック

	理想的な到達レベルの目安	標準的な到達レベルの目安	未到達レベルの目安
評価項目1	１．土の特徴について説明でき、地盤工学の項目ごとに仮定や取り扱いが異なることを説明できる。	１．土の特徴について説明でき、地盤工学の項目ごとに仮定や取り扱いが異なることを理解している。	１．有効応力と間隙水圧の関係,圧密理論の仮定と内容，圧密の関連した工法を説明できない。
評価項目2	２．有効応力と間隙水圧の関係、砂質土・粘性土のせん断特性を説明できる。砂地盤の液状化を説明できる。	２．有効応力と間隙水圧の関係、砂質土・粘性土のせん断特性を理解している。砂地盤の液状化を理解している。	２．せん断強さの概念を説明できない。せん断試験の種類・方法が説明できてない。砂質土・粘性土のせん断特性を理解していない。砂地盤の液状化を説明できない。
評価項目3	３．安定問題（土圧・支持力・斜面安定）の概念を説明できこれらの計算ができる。	３．安定問題（土圧・支持力・斜面安定）の概念を理解しており、これらの計算ができる。	３．土圧の概念を説明できない。ランキンとクーロン土圧論の相違点を説明できない。壁の変形と土圧分布の関係が説明できない。土圧の計算がでない。
評価項目4	４．構造物の基礎（調査・設計・施工）の設計思想について説明できる。	４．構造物の基礎（調査・設計・施工）の設計思想について理解している。	４．安定解析，外力（間隙水圧，耐水，地震力）の影響，地すべり調査法と設計法を説明できない。
評価項 目5	５．県内の新構造物（トンネルや高速道路の新耐震設計法）について理解し、地盤防災との関係について説明できる。	５．県内の新構造物（トンネルや高速道路の新耐震設計法）について理解し、地盤防災との関係について理解している。	５．岩盤力学の概要を理解しておらず，四国・高知の状況を理解していない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育目標 (C) （高度な専門知識をもち、その技術と情報技術を組み合わせて構築させる複合システムデザインの基礎を身につけることができる。）

基準1(2)の知識・能力 基準1(2)(d)(3) （当該分野において必要とされる専門的知識とそれらを応用する能力・土木工学の主要分野）

教育方法等

概要:

地盤工学、基礎工学を広い視野から捕らえ，これまで学んだ地盤工学の基礎を体系づけて整理し，その理論がどのように導き出されたかまで掘り下げて学び，地域特性
との関係や新しい工法について学ぶ。また、県内の新規構造物の施工や地盤災害の具体例についても学ぶ。到達度目標は，自己学習の習慣，創造ずる能力，および問題を解決する能力をつけることである。この科目は企業で構造物基礎の調査や地盤関連対策工法の開発や設計を担当していた教員が、その経験を活かし、それら地盤構造物の調査設計法について講義形式で授業を行うものである。

授業の進め方・方法:

最初の60分で講義と課題説明を行い、残りの時間で質問を受け付けた後、課題（レポート作成）に取り掛かる。残った課題を宿題（自学・自習の時間）とする。

注意点:

試験の成績60%，平素の学習状況等（課題・小テスト・レポート等を含む）を40%の割合で総合的に評価する。実務に応用できる専門基礎知識として，地盤工学理論の誘導過程，地盤災害とその対策法について，到達目標に示した事項について理解の程度を評価する。【学習単位科目（授業時間外の学習時間等）】本科目は学習単位のため、自主学習を45時間以上実施しなければ単位を認定しない。全15回の授業に対して小テスト対策や演習問題として0.5時間の事前学習と1.5時間の事後学習。計30時間分。また、試験対策問題や試験後理解していなかった問題の模範解答作成などで15時間分。【履修上の注意】この科目を履修するにあたり、構造力学、地盤工学、水理学、コンクリート工学などの専門基礎科目の内容を十分に理解しておくこと。

授業の属性・履修上の区分

遠隔授業対応

実務経験のある教員による授業

授業計画

		週	授業内容	週ごとの到達目標
前期
	1stQ
		1週	地盤工学の各分野における土の見方について学ぶ	土の透水，地盤内応力，安定問題など分野ごとに取り扱い方が異なる材料であることを理解する。
		2週	土の圧密;有効応力と間隙水圧, 圧密理論, 地盤改良工法について	有効応力と間隙水圧, 圧密理論, 地盤改良工法について理解する。
		3週	土のせん断;土のせん断強度とせん断試験, 砂と粘土の静的せん断特性,　砂の動的せん断特性，および地盤の液状化とその判定法	土のせん断強度とせん断試験, 砂と粘土の静的せん断特性,　砂の動的せん断特性，および地盤の液状化とその判定法について理解する。
		4週	安定解析Ⅰ;ランキンとクーロン土圧論，壁の変形と土圧分布について学ぶ	ランキンとクーロン土圧論，壁の変形と土圧分布を理解する。
		5週	安定解析Ⅰ;ランキンとクーロン土圧論，壁の変形と土圧分布について学ぶ	ランキンとクーロン土圧論，壁の変形と土圧分布を理解する。
		6週	安定解析Ⅱ;斜面の安定解析法，分割法，安定解析問題について学ぶ	斜面の安定解析法，分割法，安定解析問題について理解する。
		7週	安定解析Ⅱ;斜面の安定解析法，分割法，安定解析問題について学ぶ	斜面の安定解析法，分割法，安定解析問題について理解する。
		8週	岩盤力学;岩盤の種類について実際の標本を見て学び，四国内の岩盤・地層構成 について学ぶ	岩盤の種類，四国内の岩盤・地層構成 ，岩盤と災害との関係について理解する。
	2ndQ
		9週	建設技術における基礎工学の位置付けを学ぶ	建設技術における基礎工学の位置付けを理解する。
		10週	土質調査の目的と意義、Ｎ値から推定できる地盤定数と方法を学ぶ。	土質調査の目的と意義、Ｎ値から推定できる地盤定数と方法について理解する。
		11週	基礎構造形式とその選定法について学ぶ	基礎構造形式とその選定法について理解する。
		12週	場所打ち杭工法について、原理、工法概要、長所短所および留意点について学ぶ	場所打ち杭工法について、原理、工法概要、長所短所および留意点について理解する。
		13週	新しい盛土工法（補強土工法・軽量盛り土）について学ぶ	新しい盛土工法（補強土工法・軽量盛り土）について理解する。
		14週	東日本大震災以降、道路橋示方書の耐震設計法が改訂内容、 高知東道路（高規格道路）を事例にして具体的に説明	東日本大震災以降、道路橋示方書の耐震設計法が改訂内容、 高知東道路（高規格道路）を事例について理解する。
		15週	五台山トンネル工事の特徴・留意事項・NATM工法の概要について学ぶ	五台山トンネル工事の特徴・留意事項・NATM工法の概要について理解する。
		16週	斜面安定対策に役立つ地形・地質の見極め方について学ぶ	斜面安定対策に役立つ地形・地質の見極め方について理解する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類		分野	学習内容	学習内容の到達目標	到達レベル	授業週
専門的能力	分野別の専門工学	建設系分野	地盤	地盤調査の分類と内容について、説明できる。	3
		建築系分野	計画・歴史	都市・地区・地域・建築物の規模に応じた防災に関する計画、手法などを説明できる。	3

評価割合

	試験	発表	相互評価	態度	ポートフォリオ	その他	合計
総合評価割合	60	0	0	0	30	0	90
基礎的能力	10	0	0	0	10	0	20
専門的能力	30	0	0	0	10	0	40
分野横断的能力	20	0	0	0	10	0	30